エリートは逃げる努力をしている?
こんにちは。
フォレスト出版 編集部の美馬です。
突然ですが、「自分はデキるやつだ」「自分はエリートだ」と思っている人は世の中にどれくらいいると思いますか?
『全米トップ校が教える自己肯定感の育て方』(星友啓/朝日新聞出版)によると、
仮にこれを”自己肯定感”としたときに、例えば、「自分に価値があると感じるか」という質問に、アメリカや中国では約8割がイエスと答えるのに対して、日本は2割にも満たないと言います。慎ましい日本人特有の価値観によるものとはいえ、あまりの低さに驚きます。
では、自己肯定感が低いとどのような問題が生じるのでしょうか。
星友啓氏によると、
といった具合に、メンタル疾患、依存症にまで影響するというので、日本人の自己肯定感の低さは、言うまでもなく非常に深刻な問題となりそうです。
さて、冒頭の話に戻りますが、「自分はデキないやつだ」「自分はエリートではない」と思っている人に朗報です。ある”ズルい努力”をすることで約1万人近くの人がセミリタイアに成功したという話があるのです。巷ではこれを、『悪魔の法則』と呼んでいるのだとかなんとか。
それがこちらの『「社会人1年目クビ」からたった5年で「セミリタイア」を果たした僕のやっている ズルい努力』(やまもとりゅうけん/SBクリエイティブ)で解説されています。
著者のやまもとりゅうけんさんについては、本書の”はじめに”から一部抜粋してご紹介させていただきます。
かなり壮絶な経歴をお持ちの方のようですが……。
私は、自分が出版業界に入るまで、「ビジネス書を出版できるような人は、順風満帆に輝かしい実績を積み上げている、いわゆる典型的なエリートなのでは?」と思っていましたが、意外に皆さん”失敗”していることが多いんですよね。そして大体の方が自分のことを”凡人”だと言っているような気がします。
本書の著者であるやまもとりゅうけんさんも、例のごとく自分のことを”凡人”だと話しています。では、そんな著者が「実力主義」から抜け出し、”ズルい努力”でセミリタイアに成功した方法は何でしょうか。
著者曰く、世の中で成功している人は、正攻法では戦っていないのだと言います。ゲームにも裏ルールがあるように、社会というステージにも抜け道となる裏ルールがあるとのこと。今回は、この裏ルールの1つ、『”逃げる”ことこそ最高の努力』をご紹介します。
一度何かをはじめたとき、どんなにつらい状況に陥ってもそこから逃げないことが美徳になり、それを乗り越えると美談として語られるようになります。社会の雰囲気的にも、根性論でどうにかなるような時代でもないですし、”逃げない”という選択肢は、時に思考を停止しているとみなされることがあると言います。
著者はこの思考停止の状態から逃げる努力を重ねたことで、それまでの経験と新しい経験を重ね合わせ、自分の中に眠る希少性を生み出したとのことです。
会社員として、おそらく大部分の方が受注側からスタートすることと思います。しかし、本当の幸せを手に入れるためには、受注する側から発注する側に移行することが本書では推奨されており、それを実現するのが「戦略的に逃げる」ということ。1つのことに固執せず、偏差値60くらいまで極めて、それ以上成果が見込めなければ別のことに注力する。これを繰り返すことで、さまざまな経験と質の高いスキルを獲得することができ、これらが掛け合わさって生まれた希少性は、知らず知らずのうちに自分の武器となると言います。
このルールは、仕事に限らず、勉強や人間関係にも通じるところが多そうです。苦手な勉強から逃げても良いし、苦手な人から逃げても良い。無理して立ち向かってメンタルブレイクするよりも、いろいろなことに一旦は挑戦してみた、という事実それ自体が、自分を良い方向に導いてくれそうな気がします。そう考えると少しは気持ちが楽になると思いませんか?
また、「こうあるべきから逃げる」ことも必要だと著者は言います。
世の中には、誰が決めたかわからない「こうあるべき」が蔓延っています。「こうあるべき」からあえてズレた市場をつくることで、自由な発想ができる。例えば、新たに事業を展開するとき、すでにその界隈で「こうあるべき」というルールができあがっているのなら、「偏差値60の新参者」ということを強みにすることで、その市場は、独裁的なものから、誰もが興味を持ってくれる民主的なものに変わるとのこと。
つまり、型にハマった考え方は非常に生産性の悪い考え方と言えます。そして押しつけがましくつまらないものです。
クリエイティブな仕事をしていると、自分の企画に対する他者の意見を含め、いろいろな人の企画や意見に触れることになります。もちろん意見は三者三葉、意見が正反対になることもあります。はじめのうちは、先輩の意見がすべて正解のように思いましたし、自分の意見なんて頭の中にないようなものでした。「先輩の意見に従うべきだ」という思考になっていたのだと思います。そうなるとだんだん企画も、意見も思いつかなくなって行き詰ってしまうんですよね……。
新人のうちは前に倣えをしておくべきかもしれませんが、間違っていても自分の意見をとりあえず言ってみることは大切かもしれない、と感じる今日この頃です。「こうあるべきから逃げる」ことでのびのびとした新たな発想と、自己の成長、悩みの尽きない不健康な生活から解放されるのではないでしょうか。
ぜひ皆さんも”逃げる努力”をしてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。