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#386【ゲスト/ビジネス】必殺残業から脱却。ヘルプシーキングの実践ポイント

このnoteは2022年5月4日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。


やっちゃいけない。残念なヘルプシーキングとは?

土屋:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める、土屋芳輝です。本日も昨日に引き続き、株式会社 NOKIOO取締役の小田木朝子さんをゲストにお迎して、編集者の鹿野さんと共にお伝していきます。どうぞよろしくお願いします。
 
小田木・鹿野:よろしくお願いします。
 
土屋:昨日は4月21日発売された、小田木さんの新刊、『仕事は自分ひとりでやらない』の中から「ヘルプシーキング」についていろいろとご解説していただきました。まだお聞きでない方はぜひ昨日の放送もチェックしてみてください。昨日は僕自身もいろいろと仕事を抱えちゃうっていうところがある中で「ヘルプシーキング」についてお話を聞いたんですけれども、本日は「ヘルプシーキング」をどうやって実践していったらいいかということについてお聞きしていきたいと思います。では、まず「ヘルプシーキング」を実践するための1番大事なポイントっていうのは何でしょうか?

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小田木:そうですね。1番はじめというところでいくと、助けを求めることに対しての拒否感を手放すっていう、ここがスタートかなって思います。昨日も同じ話で盛り上がりましたけれども、助けを求めるって、仕事できない人みたいとか、あとは迷惑をかけている気がするとか、いろんな前提とか思い込みが出てきたじゃないですか。自分にとって望ましくないって思っていることをやるのって難しいと思うんですよね。なので、「助けを求めることはだめなこと」みたいな、この思い込みを手放すことが実践以前の最初の最初かなって思います。
 
土屋:ちょっと振り返りになってしまうかもしれないのですが、助けを求めるときは、誰に助けを求めればいいんでしょうか? 上司なのか、部下なのか。
 
小田木:今の発想だと、いざ困ったときにどうするかっていうことじゃないですか。困ったときって、もうできることが知れているんですよね。
 
土屋:なるほど。
 
小田木:防災と同じで、備えがあってこそ、災害時の適切な避難ができると思うんです。普段は何もやっていないのに災害時にできることって、たかが知れていて。実は「ヘルプシーキング」も同じで、困ったときに素早く助けを求めるっていう、緊急時にどうするかもめっちゃ大事なんですけれども、実は上手に助けてもらおうとか、助け求めようって思うと、その前の、困っていない時の仕事のやり方とか、あともっと言うと仲間との関係性がめっちゃ大事になるんですよね。さっき、土屋さんが言った「誰に助けを求めればいいですかね」っていうところでいくと、「土屋さんの仕事を知ってくれている人ってどれぐらい作れていますか?」とか、あと「困ったときに説明できる整理整頓が土屋さんはできていますか?」とか、いろいろと工夫の余地があって、できることってあると思うんですよね。そこにヒントがあるかなって思います。
 
土屋:なるほど。困ってからじゃなくて……。そうですよね。
 
小田木:そう。なので、防災と同じって考えてもらったら、すごくイメージしやすいと思います。
 
鹿野:私も小田木さんの本を編集している中で、最初は土屋さんと同じような発想で、「どういうふうに助けてもらったらいいんだろう?」とか考えていたんですけど、そうすると、小田木さんの中では「残念なヘルプシーキング」という。
 
土屋:なるほど。
 
鹿野:助けてもらいにくい。僕のパターンで言うと、ギリギリまで自分でやって、できなくなったらギリギリで「誰か助けて」って。困ったら上司に頼ったりとか。それだと、助けられる限界があると書かれていて、「なるほど!」と思いましたね。なので、「ヘルプシーキング」は助けを求める力なんですけど、やっちゃいけない、助けにくい「ヘルプシーキング」もあるのでそこは押さえておいた方がいいのかなと思います。
 
小田木:「残念なヘルプシーキング」だと、他には「急にブラックボックスをぶん投げる」みたいな(笑)。そういうケースがあったりとか、いくつかあって。もう本当に思い当たりすぎてごめんなさいねっていう感じなんですけれども(笑)。なので、誰に仕事を振るかっていうよりも、相手にも負担のない仕事のやり方を普段からしておけるかとか、助けやすいっていうか、必要な助けがお互いにし合えるだけの情報共有をしておけるかみたいな。めんどくさいって思うかもしれないですけど、それをやっておいた方が、困らなかったとしても結果的に仕事ってスムーズにいくと思うんですよね。
 
土屋:なるほど。それは、すごくよくわかりますね。仕事についてもそうですけども、僕は会社を出て独立していた時期もあるので、会社経営とかでもそうだと思うんですよね。困った時に、「資金どうしましょう」ってなってもお金を借りれなったり、いろいろとあると思うんですけど、ちゃんと事前に用意をしておいて資金を回すとか、色んな意味で「ヘルプシーキング」って、すごく大切だなって思いましたね。
 
小田木:ありがとうございます。急にお金が欲しくなったときに「ください」って言える人はいないけれども、事前にどんな事業をやっているかをいろいろと発信できていたり、理解者を作っておけば、いざという時に助けることができる人がいるっていう。同じ発想ですよね。

ヘルプシーキングを実践するポイント

土屋:そうですよね。素晴らしい。では、私も仕事を溜め込みやすいんですけれども、そういう人がどうやって「ヘルプシーキング」を実践していったらいいか、方法をちょっと教えていただけますか?
 
小田木:はい。ありがとうございます。さっきの通りだと思うんですけど、今の自分の仕事のやり方をちょっとずつ変えていくっていうところと、あとは仲間との関り方を変えていくっていう、自分で工夫をすることとしてはこの二本柱をあげているんですよね。例えば、どんな人かわからない人の仕事って、助けてあげにくいじゃないですか。でも、どんな人かよく理解できている、要は関心の持てる相手の仕事であれば、めっちゃ助けたいなって思うとか。助けやすいっていうのがあると思うんですけど。そうなってくると、例えばリモートワークで1人仕事で、要は1人商店的な仕事をしているとしても、自分が今どんな仕事をしているか、仲間と共有する場を作ってみるとか。そういうことが備えに繋がると思いますし、あとは例えば同じチームで仕事をしていて、みんなローカルにファイルを保存するので、いざ困った時にまずファイルの場所を共有したり、ファイルをアップロードするところから始めないと仕事の依頼が出せない。そうすると、困ったときに助けられないし、助けを求められないし。そういう、いざ困ったときに「これだとな・・・」っていう。例えば、緊急出口に荷物を積んであったら逃げられないよね。荷物は今のうちに片付けておこうとか。消火器の期限が切れていないか、点検しておこうとか。そういうことも含めて、仕事の中でやっていく。あともっと言うと、1人でそれをやらないっていうのも、私は「ヘルプシーキング」の一環かなと。今のままだと困っても連携できないし、「ちょっとみんなで見直さない?」とか、あと「共有しておかない?」とか、「そういう場を作っておかない?」って言って。それも1つの「ヘルプシーキング」の形だと思います。
 
鹿野:僕が本を編集していて、おもしろいし大事だなと思ったのが「ヘルプシーキング」を上手にできている会社とかチームにあるのが3つあって、「個人スキル」と「仕組み」と「文化」って言い方を小田木さんがされていたんですけども、組織の中で仕組みと文化がちゃんと作れているかっていうのがすごく大事だなと思って。最初からチームとして連携をしながら仕事をする体制になっているかどうかとか、上司がちゃんと「助けを求めろよ」と言っているかどうかとか、そういうのってもう風土の問題になってくるなと思って、そこを作っていくっていうのが結構ポイントなんじゃないかなと個人的に思ったんですけど。
 
小田木:確かに。勇気を振り絞って思い切って助けを求めたら、「チッ」って言われたとか、「えー!」って顔されたとか。これはもう二度と助けを求めないパターンですもんね(笑)。一方で、「ナイスヘルプ!」みたいな。「よく言った!」って言われたら、また早い段階できちんとアラートをあげようって思いますし、そういう感じかな。さすが編集者。よくわかっていらっしゃる。
 
鹿野:雰囲気作りとか、それは1人では難しいこともあるかもしれないけども、この本を読んでくれた人は、相手が助けを求めてきたら肯定するとか、自分が助ける側に回るとか、自分も助けてって言うとか、ちょっとずつやっていくことで組織の文化とかも生まれてくるのかなというふうに作りながら思いましたね。
 
小田木:ありがとうございます、まとめていただいて。
 
鹿野:いえいえ。フォレスト出版さんでは、「助けを求める文化」みたいなのはあったりするんですか?
 
土屋:僕はあるつもりでいるんですけども、ちょっと僕以外の人はわからないです。ただ、僕は戻ってきてまだ1年ぐらいなんですけど、そんな中ではもしかしたらそういうところって意識はしていないけども抜けているのかなっていうのはすごく感じる部分もあるので、そこは是非やっていきたいなと思ったんですけども。僕も戻ってきて、いきなりまた上から入ったので、そうすると下の子達のことをあんまりよくわかっていないこともあって、助けを求める側でもありつつ、助ける側でもあると思うんですけども、そういう時に意識した方がいいことってありますかね?
 
小田木:そういう意味でいくと、マネジャーとか、リーダーとか、先輩が率先して助けを求めるってめっちゃ大事だと思うんですね。「俺、困っている! 助けて欲しい! 教えて!」みたいな。それを見て「助けて」って言っていいんだなって、みんな思うと思うし、立場に関わらず連携したり、協力し合うって大事だよなって、みんなが思えるのって、やっぱりリーダーとか、先輩が率先して、そういう行動をとっているっていうところだと思うので、むしろがんがん求めちゃってくださいみたいな。
 
土屋:下の子たちもそれを見て助けを求めてきた時は「おっしゃ!助けてやるよ!」みたいな感じで言えばいいってことですかね?
 
小田木:そうそう。「今度何かあったら、言ってね!」みたいな。「いや、マジ助かったよ」って。助けてもらった時に「ごめんなさい」じゃなくて、「ありがとう」っていうみたいな。めっちゃ悲痛な顔をして、「ごめんなさい。ごめんなさい。」って言われたら、どっちも嫌じゃないですか。なので、「まじありがとう」っていう。助けを求めることを率先してやるのと、あと求めた時のリアクションをどっちで作っていくかって大事ですよね。
 
土屋:なるほど。わかりました。もうこれは僕も含めて、僕のチームメンバーの皆さんにこの本を読ませようと思います。
 
小田木:ぜひ、土屋さんから配っていただいて(笑)。

最後のメッセージ 〜その仕事あと30年続けられますか?

土屋:本当に今お聞きのリスナーの皆さんにも、ぜひ読んでいただきたいなと思うんですけれども。では最後に、著書の中で1番伝たかったことをお聞きしたいなと思うんですけれども。
 
小田木:ありがとうございます。「その働き方はずっと続けられますか?」っていう、このメッセージが私的には大事かなと思っていて、無理がきく時もあるじゃないですか。でもここにいる私たちでも、「あと何年働きますか?」っていうと、「あと5年頑張ればいいです」じゃなくて、たぶん20年30年ベースで働いていくんじゃないかなって思うんですよね。そうなってくると、硬い言葉ではありますけれども、持続可能な働き方、もっと言うと仕事のやり方の持続性って考えた方がいいなって思っていて、私は続けられる持続可能な仕事のやり方について考えた時に「ヘルプシーキング」が大事だよなってすごく思っているので、「今の仕事のやり方を30年続けられますか?」っていうのは、一緒になって一度本気で考えてみようみたいな。そんなことを込めたかなって思います。
 
土屋:そうですよね。今はがむしゃらにやっていても、10年後、20年後にこのままでいいのかっていうのは確かに疑問ですよね。
 
小田木:「人生にはがむしゃらにやる時期も必要じゃない?」っていうのは、全然否定しないんですよ。私もそうでした。ただがむしゃらにやらなくなるっていうよりも、適切な頑張り方ができるようになるのに近いのかなって思っていまして、私も今は仕事の力抜いているわけではなくて、むしろエンジンマックスですけども、別に労働時間が長いわけではなく、1人で抱え込んでやり切る頑張り方でもないっていう。適切に頑張れているっていう感覚がすごくあるので、別に成長を諦めるわけじゃないし、頑張らないわけじゃないし、手を抜くわけじゃなくて、適切な頑張り方で持続可能な仕事のやり方をする。そういうのをみんな自分なりに考えるきっかけが持てたらすごくいいのかなって思っています。別にこの本じゃなくてもいいんですけど、そのテーマを考えるのって。
 
土屋:この本を読んでいただいて、考えるきっかけにしていただきたいなと思います。
 
小田木:ありがとうございます。
 
土屋:ということで、本日ご紹介した4月21日に発売された、小田木さんの新刊『仕事は自分ひとりでやらない』のURLをこのチャプターに貼っておきますので、ぜひチェックしてみてください。まだいろいろとお聞きしたいことがあるんですけども、お時間がなくなってきましたので、最後に小田木さんからリスナーの皆さんに一言メッセージをいただきたいんですけれども。その前に鹿野さんは、メッセージ大丈夫ですか? 何かあれば。

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鹿野:そうですね。繰り返しになりますけど、「ヘルプシーキング」っていう考え方は、仕事の効率を上げるとか、成果を出すとかっていうのも、もちろんそうなんですけども、もっと楽しく長く働けるようになる新しい仕事のやり方だと思っていますので、ぜひ多くの人に読んでいただきたいなと思います。この放送を聞かれた方はぜひ書店さんで見つけたら、手に取ってみてください。
 
土屋:ありがとうございます。
 
小田木:ありがとうございます。
 
土屋:では、続いて小田木さん、お願いします。
 
小田木:もう今のメッセージでいいかなって思っちゃったんですけれども(笑)。この放送を聞いて、手に取ってくださる方は私が必殺残業でめっちゃ抱え込む人間だったっていうのを分かった上で手に取っていただけると思うので、「お前が言うか」と思いながら見てもらうとすごくおもしろいのかなって(笑)。一方で、個人の経験談っていうよりも、できる限り再現性を持ってやってもらえるように書いてみたので、そんなところをちょっと評価しながら読んでもらえたらうれしいなって思います。
 
土屋:ありがとうございます。あと小田木さんもVoicyをやられているということなんですが、そこではどんなことを話されているんですか?
 
小田木:ありがとうございます。平日毎日10分、仕事、キャリア、両立に関する放送をするっていうのがコンセプトのVoicyチャンネルなんですけども、1話10分ぐらいっていう、めっちゃ聞きやすい短い放送になっているので、よかったら聞いてほしいなあっていうところと、あとこのVoicyの中で「#ヘルプシーキング」って検索していただくと、「ヘルプシーキング」に関して話した10分ずつの放送が選んで聞けるようになっているので試してみてください。どうしよう。本買わなくてよくなっちゃったみたいな(笑)。

土屋:そうですね。耳で聞いて、「ちょっといいな、これ」と思ったら、本も買って、置いておくと。
 
小田木:そうですね。「いきなり本ってどうなの?」って思った場合は、ぜひVoicyも聞いてみてください。
 
土屋:はい。ということで今日は小田木さんにご出演いただいて、いろいろなお話を聞いてまいりました。小田木さん、鹿野さん、本日はありがとうございました
 
小田木・鹿野:ありがとうございました。
 
(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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