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NISAとiDeCoは併用したほうがいいのか?
フォレスト出版編集部の寺崎です。
これまで『新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』(山崎俊輔・著)の内容を引用しながら「NISAとiDeCoは何歳から始めるべきか?」「NISAとiDeCo、どっちを先に始めるべきか」について2回にわたって検討してきました。
今日はいよいよ、NISAとiDeCoの併用戦略について踏み込んでまいりたいと思います。
NISAとiDeCoの併用戦略の基本
NISAとiDeCoは、基本的に「併用」を意識して考えるべきです。
政府の方針として税制優遇は重複させない傾向があって、「国民年金基金+iDeCo」とか「確定給付企業年金+企業型確定拠出年金+iDeCo」のように非課税枠をシェアしあう制度のほうが多数です。
しかし、NISAとiDeCoは同時に開設でき、枠も別途設定されています。
重複利用できるメリットを活かさない手はありません。
基本的な併用戦略はこうです。
①まずはiDeCoを満額まで積み立てる
所得控除も運用パフォーマンスの一部と考えると、これを先に確保することが重要です。iDeCoを開設し、積立を満額行います。
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②可能な範囲でNISA投資をする
年間360万円の上限など気にしなくてよく、つみたてNISAを続けるような感覚でまずは「年40万円程度」を目指します。可能であれば「年120万円」のつみたて投資枠の達成を目指していきます。
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③iDeCoは老後の受取資金と割り切り、長期積立分散投資を継続する
定期的な入金、投資信託を中心とした定額購入を行うiDeCoは、機動的な売買に向いていません。基本的には長期積立分散投資の枠組みだと考え、目の前の株価水準変動は気にせず継続していきます。
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④NISAについては自分の拠出ペース、投資意向を踏まえつつ、投資のスタンスを決めて活用する(ただし解約は控えめに)
NISAについては2024年以降は枠が大きくなるので、むしろ自分の積立ペースを意識し利用と継続をすることが大事になります。ただし安易な売却、出金をしないようにします。
ここまでNISAとiDeCoの違いをみてきましたが、商品性の違い(NISAは個別株が買える)、解約条件の違い(iDeCoは解約が困難)、枠の大きさの違い(iDeCoは枠が小さい)、税制優遇の違い(iDeCoは所得控除がある)を踏まえて考えれば、NISAとiDeCoは併用にこそ意義があると思います。
本書では「iDeCoファースト」が推奨されています。
なぜならば、iDeCoほど税制メリットのある制度が他にないからです。
35歳から「iDeCo×NISA」の投資を始めた場合のシミュレーションをしてみます(本書6~7ページの資産シミュレーションより)。
◎35歳から30年積立をスタートした場合――――
【ideCo】
月上限の2万3000円の積立(30年で元本828万円)
↓
65歳の最終受取額 1584万円
※年4%の利回り想定
※月176円の口座管理手数料で試算
【NISA】
月4万円の積立(30年で元本1440万円)
↓
65歳の最終受取額 2776万円
※年4%の利回り想定
NISA+iDeCoの合計受取金額 4360万円
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同じ金額を銀行預金にしていた場合は元本の「2268万円」にしかなりません。一方、NISA+iDeCoでこつこつ積み立てていけば、2倍近くにお金を増やせるわけです。
上記シミュレーションは年4%の収益確保を想定していますから、これを大きく下回ることも、逆に大きく上回ることもあるでしょう。
こういう話になると、必ず「元本割れするケースもあるんだよね?」と聞かれますが、ご安心ください。
金融庁資料が示す20年の長期積立分散投資の驚くべき結果
ここに有名なデータがあります。
つみたてNISAがスタートするとき金融庁が示したデータです。これによると20年の積立投資をした場合、ほぼ100%の確率で運用成績はプラスで終わり、かつその半分くらいは年4~6%の成績で納まっている……というのです。
仮に中央の年5%で運用をしたとします。
20年のあいだ、月1万円を積み立てたとすれば、20年かけた積立元本は2
40万円です。運用収益を加味したゴールは411万円となり+71%の増、ということになります。ほとんどほったらかしで自動的に積立投資をしていたゴールとして考えれば悪くない成績ではないでしょうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1691808332500-QLWWXdTJ21.png)
つまり、積立投資を5年間だけやった場合は元本割れする可能性があるが、20年間保有し続ければ元本割れリスクはほとんどなく、運用成績のよい結果も出ますよ、というわけです。
この話は『お金は寝かせて増やしなさい』(水瀬ケンイチ・著)という本でも、これでもかというぐらい強調されていた部分です。
我々の公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は資産の70%以上をインデックス運用しており、具体的には「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」に4分の1ずつに投資しています。
そんなGPIFの運用成績が過去最高の約19兆円の黒字になったというニュースが最近ありましたが、これぞまさに20~30年かけてコツコツ続ける長期投資の強みを象徴しているのではないでしょうか。