見出し画像

全国の悩めるプレイングマネジャーを「無理ゲー」から救う本

フォレスト出版編集部の寺崎です。

最近、「罰ゲーム化する管理職」というワードをメディアでよく目にします。これはいったいどういうことでしょうか。

管理職になりたがらない人も近年増えています。

日本能率協会が全国の一般社員に対して行った調査によると、実に7割以上が「管理職になりたくない」と答えたそうです。

管理職、マネジャーに何が起こっているのでしょうか?

「マネジャー」と一口に言っても様々ですが、現在では「プレイヤーの役割」をこなしつつ、「マネジメント」もしなければならない「プレイングマネジャー」が全体の9割に上るそうです。

つまり、「マネジャー=プレイングマネジャー」ということです。

そんなプレイングマネジャーが今では「無理ゲー」と化しています。

◎なぜ、プレイングマネジャーが無理ゲーなのか?
◎プレイングマネジャーを無理ゲーから救うことはできるのか?

こんな疑問にすっきり答える新刊が今週出ます。

中尾隆一郎『成果を上げるプレイングマネジャーは「これ」をやらない』

著者は累計8万部突破『最高の結果を出すKPIマネジメント』でおなじみの中尾隆一郎さんです。

本書はまだ発売前ですが、今日はnote購読者のみなさまに特別に本書の「はじめに」全文を公開いたします。


***

『成果を上げるプレイングマネジャーは「これ」をやらない』はじめに――プレイングマネジャーを「無理ゲー」から救う本

「プレイングマネジャー」を無理ゲーから助けたい。
 
 本書はそんな思いから書いたものです。
 なぜならば、1人で「プレイヤーの役割」と「マネジャーの役割」の2役を担っている「プレイングマネジャー」が、とんでもない状況に置かれていることを知ってしまったからです。
 そして、誰かが本気でプレイングマネジャーを助ける方法を考えないと、あらゆる組織が破綻してしまうのではないかと危惧したからです。
 このテーマを考え出したきっかけは、「生産性を高めるためにタイムマネジメントについてのワークショップをしてほしい」とある企業から依頼を受けたことでした。
 そのワークショップの対象は「プレイングマネジャー」でした。当時の私が想定していたプレイングマネジャーは、管理職同等の階層(グレード)でありながら「プレイヤーの役割だけ」をしている人でした。しかし、現在のプレイングマネジャーは、プレイヤーの役割に加えて、マネジメントの役割もしている「1人2役の管理職」だというのです。
 そこで現在のプレイングマネジャーについて調べてみることにしました。
 すると、プレイングマネジャーの大変な状況がわかってきました。
 まず、マネジャー(管理職)のうち、何割の人がプレイングマネジャーなのか調べてみて驚いたのですが、実に9割のマネジャーがプレイングマネジャーだったのです。
 そして、プレイングマネジャー自身はかなり頑張っているのに、1人で解決するのはほぼ無理ゲーな「構造」が存在します。「タイムマネジメント」といった小手先のテクニックだけではどうにもなりません。
 私が把握した無理ゲーな「構造」とは、「6つの圧力」がプレイングマネジャーを押しつぶそうとしているという事実です。1つや2つでも大変な圧力ですが、それが6つもあるのです。
 プレイングマネジャーの置かれている状況は、洒落にもならないものでした。
 まず、プレイングマネジャーを取り巻く「6つの圧力」のポイントを説明しましょう。

①プレイング業務の増加
 この圧力は、会社からの「何が何でも短期業績を達成してほしい」という要望がきっかけで起きることが多いです。短期業績を挙げるために、メンバーを育成している時間がありません。
 その結果、プレイングマネジャー自身が「プレイヤーの役割」を増やさざるをえません。そのため、「マネジメントの役割」を行う時間がさらに減り、メンバーの育成ができず、自分自身の「プレイヤーの役割」を減らすことができない状況を生んでいます。

②タイムマネジメントの厳格化
 プレイングマネジャーは、なんとかメンバーの育成をしようと「マネジメントの役割」をこなすために時間を作ろうとします。しかし、日中はプレイングの業務でいっぱいです。それなら残業や休日出勤で対応すればよいと考えます。かつてはこの方法を選択できました。しかし、昨今の「働き方改革」では、休日出勤や残業ができません。つまり、「マネジメントの役割」の時間を増やせないのです。

③新業務増加への対応
 さらに、現在のマネジャーには、従来なかった新しい業務への対応が求められています。例えば、DX、コンプライアンス、各種ハラスメント、SDGs、健康管理、情報管理、個人情報管理への対応などです。つまり、「マネジメントの役割」で実施しないといけないことの量も増え、質も高まっているのです。
 ここに対上司、対部下からの圧力が加わります。

④上司の無理あるいは曖昧な要望
⑤メンバーへの対応の高度化

 変化が大きい現代では、上司も答えが分からないので、上司からみると部下にあたるプレイングマネジャーに丸投げしたりすることがあります。上述の①のきっかけになる「何が何でも短期業績を挙げてほしい」という要望などは、この最たるものです。
 さらに、メンバーとのコミュニケーションでも神経を使う必要があります。一歩間違うとハラスメントだと大騒ぎになるかもしれません。従来とは比較できないほど丁寧なコミュニケーションが求められるのです。

 この状況に拍車をかけるのが、次の圧力です。

⑥本人のマネジメント力不足
 そもそも大半のプレイングマネジャーは、「マネジメントの役割」とは何なのか、学んだこともない人が少なくありません。マネジメントは「スキル」なので、習得すれば誰でもできるのですが、習得しないとできません。
 しかし、大半のプレイングマネジャーは、過去に自分がされたマネジメントをベースにメンバーをマネジメントをしているだけだったりするのです。

 この本を手に取ってくれたあなたがプレイングマネジャーであれば、あるいは周囲にプレイングマネジャーがいる方であれば、思い当たるところがたくさんあるのではないでしょうか?
 そうなのです。明らかに以前のマネジャーと比較しても、難易度が比較できないくらい増しているのです。
 ただし、「プレイングマネジャーは大変だ」と言って、この状況をこのまま放置していても何も解決しません。プレイングマネジャーは大変なままです。
 何とか解決策を見出せないか?
 そこで考えてみました。

「こうしたプレイングマネジャーの無理ゲーな状況を変えるために、一緒に知恵を出しあってくれる人はいませんか?」

 このようにSNSを通じて募ってみました。
 すると、様々な業界で異なる経験を持った100名を超える方々が協力してくれました。それも実に半年間以上のディスカッションに付き合ってくれたのです。
 このディスカッションを通じて、「こうすればプレイングマネジャーが無理ゲーから脱出できるのではないか」という方法を考え出せました。
 最後の「おわりに」に詳しく書きましたが、100人を超える様々な立場の方々が私の問題提起に興味を持ってくれたおかげで、この本に書いた内容は彼ら100人の方々との共作、いわば集合知になりました。
 
 ポイントは時間を生み出すことです。
 時間さえ生み出せば、「マネジメントの役割」に時間を割くことができます。さらには「マネジメントの役割」を実行するためのスキルを習得することもできるようになります。
 みんなの叡智を集めて、プレイングマネジャーが、新たに時間を生み出すために「何をすればよいのか」。そして、それを「誰が主体でやればよいのか」という分かりやすい形でまとめることができました。
 まず、「何をすればよいのか」については、「❶やめる」「❷絞る」「❸見直す」の3つで整理できました。
 そのためには、私たちが当たり前にやっている常識を疑う必要があります。

◎私たちが当たり前にやっていることを ❶『やめる』
◎私たちが当たり前にやっていることを ❷『絞る』
◎私たちが当たり前にやっていることを ❸『見直す』


「やめる」「絞る」「見直す」は、改善をするならば、一見当たり前のように思えるキーワードだと思うかもしれません。しかし、本書では、これらの概念をプレイングマネジャーの視点から具体的に掘り下げ、独自のノウハウを提示しています。
 この本は、次のような人に読んで欲しいと思っています。
 当事者である管理職の9割にのぼるプレイングマネジャー、それに加えてプレイングマネジャーの上司や人事、そして経営者です。経営者が変えることを決めれば、組織は変わるからです。
 そしてできれば、関係者全員で一緒に読んでほしいと思います。どの内容も、100人の叡智を結集して、具体的かつ実践できるレベルでまとめています。
 この本の内容が、プレイングマネジャーを無理ゲーから脱出させ、あなたの組織の業績向上の一助になれば嬉しいです。そして、読者の皆さんと一緒にバージョンアップできればさらに嬉しいです。

2024年12月  
中尾隆一郎 

***

【著者プロフィール】
中尾隆一郎(なかお・りゅういちろう)

株式会社中尾マネジメント研究所(NMI)代表取締役社長
株式会社LIFULL取締役。LiNKX株式会社取締役。
1964年生まれ。大阪府摂津市出身。1989年大阪大学大学院工学研究科修士課程修了。同年、株式会社リクルート入社。2018年まで29年間同社勤務。2019年NMI設立。NMIの業務内容は、①業績向上コンサルティング、②経営者塾(中尾塾)、③経営者メンター、④講演・ワークショップ、⑤書籍執筆・出版。専門は、事業執行、事業開発、マーケティング、人材採用、組織創り、KPIマネジメント、経営者育成、リーダー育成、OJTマネジメント、G-POPマネジメント、管理会計など。
著書に『最高の結果を出すKPIマネジメント』『最高の結果を出すKPI実践ノート』『自分で考えて動く社員が育つOJTマネジメント』『最高の成果を生み出すビジネススキル・プリンシプル』(フォレスト出版)、『「数字で考える」は武器になる』『1000人のエリートを育てた 爆伸びマネジメント』(かんき出版)など多数。Business Insider Japanで「自律思考を鍛える」を連載中。
リクルート時代での29年間(1989年〜2018年)では、主に住宅、テクノロジー、人材、ダイバーシティ、研究領域に従事。リクルートテクノロジーズ代表取締役社長、リクルート住まいカンパニー執行役員、リクルートワークス研究所副所長などを歴任。住宅領域の新規事業であるスーモカウンター推進室室長時代に、6年間で売上を30倍、店舗数12倍、従業員数を5倍にした立役者。リクルートテクノロジーズ社長時代は、リクルートが掲げた「ITで勝つ」を、優秀なIT人材の大量採用、早期活躍、低離職により実現。約11年間、リクルートグループの社内勉強会において「KPI」「数字の読み方」の講師を担当、人気講座となる。

▼日本でいちばん売れているKPIマネジメントの本はこれ!


いいなと思ったら応援しよう!