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仕事の依頼・発注にも「型」がある⁉
こんにちは。フォレスト出版の美馬です。
10月6日の投稿で、デザイナーさんに仕事をお願いするときに最初に押さえておきたい情報を、次の書籍から一部抜粋・引用してご紹介しました。
『すべての仕事はデザインから始まる。失敗しないデザイン発注』(カイシトモヤ/クロスメディア・パブリッシング)
▼前回の投稿はこちらから。
本日は、前回に引き続き、発注手段について本書から学んだことを一部抜粋・引用してご紹介させていただきます。
リファレンス型発注
「リファレンス」とは、直訳すると「参照する」となりますが、本書によると、参照用のイメージ画像やアイテムを集めて提示するリファレンス型の発注が最近増えてきたと言います。
(前略)
既存の作例や関連するイメージを集め、オーダーしたいデザインの雰囲気や特徴を視覚的かつ直感的に伝える方法です。
(カイシトモヤ/クロスメディア・パブリッシング)より
リファレンス型発注のメリットとしては、頭の中でイメージしているものを具体的に提示することができるので、非言語的なコミュニケーションを成立させることができると言います。言語化が難しい場面では大活躍できる方法というわけですね。
私もじつは最近、意図せずこのリファレンス型発注をしていました。実際に用意したリファレンス資料がこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1696927738906-ZYknIMxkJu.png?width=1200)
▼提示させていただいた書籍
左上:『私は私のままで生きることにした』(キム・スヒョン著 吉川南訳/ワニブックス)
右上:『あやうく一生懸命生きるところだった』(ハ・ワン著 岡崎鴨子訳/ダイヤモンド社)
左下:『死にたいけどトッポギは食べたい』(ペク・セヒ著 山口ミル訳/光文社)
右下:『怠けてるのではなく、充電中です。』(ダンシングスネイル著 生田美保訳/CCCメディアハウス)
ひと目で私がどんなイメージを伝えようとしているかおわかりいただけたと思います。これを視覚的な情報ナシで伝えようとするとけっこう難しいですよね……。「韓国エッセイの翻訳本のカバーデザインのような、かたすぎなくてふわっとした印象を与えるイラストとカラーで……」みたいな?(笑)
口で伝えるより、リファレンス資料を見せたほうが一発で伝わる気がしますね。
ただ、このリファレンス型発注には注意点があると言います。それは、リファレンス型発注を嫌うデザイナーさんもいるということ!
デザイナーさんの創造性や自由度を奪い、デザインのの類型化を生んでしまいやすく、デザインの差別化が図りづらくなってしまうようです。つまり、デザイナーさんの創造性が発揮されない「芯の細いクリエイティブ」になってしまいかねないと言います。
十分に注意しなければならないところではありますが、リファレンス型発注が有効な状況や、活用できる場面はいったいどんな時なのでしょうか? 本書によると、
◎その領域にはじめてデザイナーさんが取り組む時
⇒あらかじめデザイナーさんの特性をリサーチしておく必要がありますね。
◎多くのリファレンスがそろった時
⇒1番最悪なのは「たった1つの例を参考にしてもらうこと」これは絶対にNGだと言います。
◎「二物衝突」の材料として使用する時
まったく関連のない材料の掛け合わせをする状況では有効のようです。
以上3つの状況が挙げられていました。創造性や自由度を確保することを考えると、たいへん納得いきますね。
イメージボード型発注
つづいて、リファレンス型を少し発展させた発注の方法に、イメージボード型というのがありました。イメージボードとは、リファレンスの写真や色見本などを1枚の大きな紙やデジタルファイルの整理したもののこと。雑誌などの切り抜きをコラージュする作業がこれと同じかもしれません。
この発注方法の注意点とメリットについて、本書では以下のように解説されてます。
イメージボードとは、単に集めてきた写真を無思考で張り付けるのではありません。
似た写真を省いたり、貼る位置を近づけたり離したり、グループを作ったりする編集的な意図が加わったものです。あえて類似の写真をたくさん貼ることで、そのイメージの重要性も示せますし、総覧したときに大きい面積として見せることもできます。
イメージボードは、デザインの本工程に入る前に、発注者とデザイナーとの間に基本的なイメージやトーン&マナーの齟齬がないかを確認する意味で、デザイナーが作成するケースもあります。
しかし、イメージボードを創造的な対話のツールとして、発注側とデザイナーが話し合いながらその内容を固めていくことで、より意思疎通のとれたデザインプロセスが実現します。
(中略)
しかし、アナログでもデジタルでも、大切なのは「直感的に扱える」ことです。
イメージボードは、それ自体のデザイン精度の高さに配慮する必要はありません。いかに手早く共通イメージを編み上げるかが重要なのです。
(カイシトモヤ/クロスメディア・パブリッシング)より
固定化されたイメージが過度にないからこそ、適度な想像の自由度を残すことができる、発注方法というわけですね。
ブレインストーミング型発注
最後に本書で紹介されていいたのが、「ブレインストーミング」です。ブレストというと、複数名が自由にディスカッションをしていろいろなアイデアを出すことですね。本書では、デザイナーさんとのコミュニケーションにおいて、とくに初期の段階でブレインストーミングを行ない、予めいくつかのアイデアを出しておくというのも有効な方法だと解説されています。
ブレインストーミングは、主に言葉を介して行われます。デザイナーが作る視覚的表現の前に、発注者とデザイナーが共通で使える道具である「言語」を通すことで、発注者とデザイナーの双方が対等な立場でアイデアを固めていくことが可能となります。
ブレインストーミングにおいてとても大切なのが、意見をフラットに交換するための自由な空気づくりです。
そのためには、相手の意見にただちに反論や批判を行わず、どんな意見も可能性の1つとして受け止めること。それがのちのちに否定される要素(欠点や失敗の可能性)を持っていたとしても、後の行程で整理していけば良い話なのです。
相手の意見に刺激を受けてさらにこちらからも新しいアイデアが浮かび、対話による相互作用を期待するのが、ブレインストーミングという立場なのです。
(カイシトモヤ/クロスメディア・パブリッシング)より
以上、ご紹介させていただいた内容はあくまで”さわり”の部分。本書ではもっと詳しく解説されていますので気になった方はぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。
私自身、本書を読んであらためて感じたのは、デザイナーさんとは必ず直接お会いさせていただく! ということ。まわりの話を聞くと、デザイナーと直接会ったことがなく、メールベースでいつも依頼をしているという人も多くいます。直接会えない距離にいるのであれば、ZOOMなどを活用してしっかり顔を合わせることが大事なのではないでしょうか。メールで伝わりづらいことは、電話でも一度お話させていただく、などなど、工夫していく必要がありますね。
それでは、本日も最後までお読みいただきありがとうございました。