【対談】日本一寝ない人・堀大輔さん×日本一食べない人・秋山佳胤さん
1カ月にわたって毎週木曜日に堀大輔さんの著書『食べない人ほど仕事ができる!』を紹介してきました。
じつは、本書にはあるスゴイ監修者がついています。
その名は秋山佳胤(あきやまよしたね)氏。弁護士、医学博士で2008年より水も飲まない不食を実践している超人です。
本書では、著者・堀大輔氏と監修を務めた秋山佳胤氏による、互いの睡眠観・少食観をぶつけ合う異色の対談が実現しました。
軸足が異なる二人の意見はどこへ着地するのか――?
一部を抜粋してご紹介します。
(以下、敬称略)
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秋山先生も超短眠!
堀:この本を監修していただきありがとうございます。いかがでしたでしょうか?
秋山:大輔さんがこの新しい本の中で、運動を大事にされると書かれていて、私もそれには大賛成だと思いましたよ。私もふだん運動をしているおかげで、急に山登りをしても大丈夫でした。私は息一つ切らさず、足が達者な登山ガイドよりも早く、トップでマチュピチュの山登りをしましたしね。
堀:私もよく登山に行きますよ。
秋山:大自然の中だと大地とのエネルギーの交換ができるという気がして、一足踏みしめるたびに、どんどん元気になるみたいです。
堀:おっしゃるとおりで。まあ、私は登山というより山にいるだけですけど(笑)。それでも元気になります。睡眠に関してお伺いさせてください。秋山先生も短眠でいらっしゃいますよね。
秋山:そうです。食べないと眠くならずにすみます。食べると眠くなる。この本に書いてあるとおりですけど。意識がクリアになってとくに寝なくても平気になるんです。でも、寝るのも嫌いではないですよ。
堀:気持ちいいですからね。
秋山:そうです。ただ、寝てもすぐ目が覚めます。(ドラゴンボールで)魔人ブウが「う〜ん、5秒くらい寝たかな」って言うでしょ。あそこまでじゃないですけど。
堀:そのあと、さあ殺しに行こうって飛んでいくシーンですね。確かに、世界一のショートスリーパーは魔人ブウです(笑)。
秋山:この間も、自給自足をしている群馬の農家さんのところに一泊したんですけどね。そこで、いろんな話をしてたら盛り上がりまして、いつの間にか暗かったまわりが少しずつ明るくなってきて、小鳥が鳴きはじめて、喜びと活力が湧いてきたんです。『できる人は超短眠!』の「あとがき」で書いてあるとおりなんですよ。さわやかな大自然の中だと本当に実感できます。都会だと人の動きや雑音もありますけど。
堀:大自然の恵みは、何事にも代えられないですよね。言葉にできない。
秋山:喜びが湧いてきますよね。ああ、幸せと思って、気がついたら朝5時になってました。楽しく話してると眠くもならないし、お腹も減らないし、元気になるんですよ。で、「朝5時だから一応寝ましょうか」みたいな(笑)。「じゃあ、皆寝るんだったら、私もちょっと横になりましょう」と横になるんですが、もう6時過ぎには目が覚めるんです。とくに波動がいいところですから。
短眠だと時間に余裕があるから、いろいろなことが楽しめます。ゲームもやるんですよ、私。子どもたちと一緒に「パズドラ」とか。うちの子どもたちは夜中までゲームやってたりすることもあるんですけど。寝なくていい私のほうが時間の猶予があるから進んでるわけです。ランク950超えてます。
堀:相当じゃないですか!
秋山:前に健康相談でいらしたお子さんがいじめなどのストレスから脱毛症で苦しまれていたのですが、その子も「パズドラ」を結構やってるというので、私のアカウント見せたんですよ。そしたら、「神!」とか言われて尊敬されてしまいました(笑)。「パズドラ」のおかげで健康相談でも対話がはずんで、その子もすっかり元気になりました。本当に何が役立つかわからないですね。
堀:本当にそうですね。なにかを否定するとかじゃなくて、楽しみながら取り込んでいかれているのがすばらしいと思います。私も堀井雄二さん(ゲームデザイナー、作家。「ドラゴンクエストシリーズ」のシナリオライター。愛称は「ゆうてい」)とお会いしてお話したことがあるのですが、堀井雄二さんも4時間ほどの睡眠時間と仰っていました。
多くの方が問題解決しようとするときに、これだけの量が必要、これだけの時間が必要って思い込みが強過ぎて、できなくなってることが多いんじゃないかなと思ってます。
秋山 そうなんですね。今回の本の中でも、「具体的な目標を立ててやることで」っていうところに書かれているとおり、目標を立てることで行動しやすくなると思いますが、立てた目標に縛られ過ぎると、逆に力が発揮できなくなったりしますよね。
さすがだと思いました。
堀:補助輪として使うんだったらいいと思うんですけど、それが縛りになってしまうのはもったいないです。
秋山:そうそう。本当にいろんなことでも、それをどのような意識で捉えるのかでぜんぜん様子が変わってくるんですよね。
音や光は食べられる!?
堀:秋山先生が、最近関心をお持ちなのはどういう方面でしょう?
秋山:今一番興味があるのは、音とか波動とかそういう方面ですね。たとえばシンギング・リンやライアーなど、美しい音を奏でる楽器演奏にはまっていますね。
世間からは「不食の人」と言われていますが、私も別に食べてないわけじゃないんです。食べてるものが違うだけ。物質食ではなく波動食をいただいてるんです。たとえば音というのは物質ではなく、波動です。昨日の私の講演会にも本当にすばらしい音楽家が参加してくださいました。そういう会は「魂の食事」だと言えます。音を食べるというと奇異に聞こえるかもしれませんが。
堀:私、音は光だと思っているんです。私はミュージシャンだったし、楽器も制作しているんですけど、そのときからすごく感じていたんですよ、音って光だと。だから音というのは、本来見えているんですよ。全員が見えているんですけど、音を耳で聴いていると認識しているだけ。言語で惑わされているだけだともいえます。だから、逆に見えているものはすべて音ともいえます。つまり、すべてつながっている。また音を鳴らしたら、そのあと減衰するというのが一般的にいわれていることですけれども、回し方次第で増強、共鳴がある。つまり倍数的に増えるということもありますし。となっていくと、音はある種、経済ともいえますし、音は在り方ともいえますし、なんというかすべてなんです。
秋山:すばらしいお話ですね。
堀:要約すると、音を食べることはできるんです。音を食べて生活できて当たり前なんです。そして、光を食べて生活することも当たり前ですから、光を食べることも音を食べることも結局、すべてつながるんです。
秋山:実は食べ物を食べているときにその物質だけをいただいているんではなく、それに乗っている音や光を私たちはいただいているわけです。
堀:見え方というのがそのまま味に反映される。その見え方って光なわけですし、そのレストランで流れている音楽だって食べているわけですし、それらを含めて健康にもなる。
秋山:どんな方と、どんなシチュエーションでというのも、すごく影響しますよね。やはり楽しい人と食べるときはおいしい。そういうシチュエーションも一つの音であり光であり愛であると。
堀:おっしゃるとおりです。秋山先生がおっしゃるプラーナですね。私はそういう言葉を持ち合わせませんけど。
秋山:科学的に言えば、アインシュタインの相対性理論を皮切りに、物理学のほうで「物質とエネルギーは相互転換可能である」と証明されています。実は物理学のほうが進んでるんですよ。
堀:物理学のほうが進むのって、ある種当然だと思っています。これは私の考えなんですけど、人の心には「執着」があると思うんですよ、どうしても。たとえば、食事が美味しいと思うがあまり、食事に執着する。その結果、食事をとらないといけないという理論を無理やり形成してしまう。自分が欲しいという理由で、それが正しいと考えてしまいがちなのです。物理学の場合はそれがなくてすむといいますか、執着が入り込む余地が少ないのです。
私はもともと動物研究から入ってるんですけど、人間に比べれば動物対象のほうが執着を入り込ませずにすみます。冷たい言い方かもしれないんですけど、動物がどうなろうと感情移入しないで研究しないと成立しません。動物がかわいいとか、かわいそうとか、そういう気持ちを意図的に切って、残酷なこともせざるをえません。その結果、動物研究のほうが人間研究よりも論理的に正しい方向へ進めることができるのだと思います。
睡眠に関しても私、動物から教えていただいてるっていうことが多いです。これがたとえば、人の食事であったり、栄養だったりとなると、途端に執着が入って曲がってしまうことが多いのです。最近の研究に関しても、人の身体も「こうあってほしい」という願いが先に立ってしまっているがゆえに研究が遅れてしまう。そういうことは多々あると思います。
秋山:「こうあってほしい」という願いとともに、いろいろ思惑というか利権みたいなものもありますからね。食についてもそうですけど、睡眠についてもそうだと思います。やはり自分の持ってる信念体系が崩れるとき、不安に思うのは自然な情ですから。勇気を持って、そこにチャレンジするともっと自由になることもあるんですけど。なかなか今まですがってきたものを手放せない。それが執着というものだと思います。
堀:さらにわかりづらくしている要因があります。動物の中で、人間だけが自分自身を認識することができる存在だという点です。何よりの証拠に、人間しか鏡を持っていない。鏡を持ってる生物ってほかにいません。もちろん、動物も水面に映った自分を見ることはできるはずなんですけど、動物が水面をのぞくのは24時間の中で凄く短い時間です。自分の姿かたちを見るために水面をのぞくわけではないです。人間は、自分自身を意識して、特別視するあまり、なにかに執着し手放せていないことにすら気づけない。現実と自分の心の間に断層をつくってしまうんです。
秋山:逆に、気づいたら、もう手放しの半分は終わってるようなものですよね。動物の研究というところは、なるほどなと思いました。動物というだけで私には関係ないと客観視できて、無意識にストップをかけることが減ったりしますね。
堀:それが残酷なときもあるんですけどね。だからこそ、学ばせてもらえるということもあります。
秋山:動物の命を直接使っちゃうようなものは、それこそ残酷ですけども、そうじゃない動物の観察から得るということもありますよね。その場合は、むしろ動物理解につながります。
堀:おっしゃるとおりでして、私は山の中にこもることもあったりするんですけど、変な机上の研究より、山の中で過ごして動物を観るほうが気づきが多いんです。観るというと狭い意味になっちゃいますが、臭いを嗅ぐこともあれば、聴くこともあって、さまざまな要素がありますけど。そういうときの気づきのほうが、なんというか……うまく言葉にはできないんですけども。
堀大輔(ほりだいすけ)
1983年大阪生まれ。GAHAKU株式会社代表取締役、社団法人日本ショートスリーパー育成協会理事長。1日の平均睡眠時間は45分以下、食事はほぼ週3食で過ごすなど(1日3食の日もあれば、週0食の日もある)、人間の2大欲求を克服している。2016年には妻との間に第1子となる男の子が誕生。処女作『できる人は超短眠!』(フォレスト出版)では睡眠の新理論を提唱、さまざまな角度から3時間以下という短時間睡眠の優位性と実践カリキュラムを解説し、賛否両論を巻き起こした。自身の経験と独自研究の末に睡魔を掌握することに成功した彼だが、食欲に関しては小学生のころから食事の回数が極端に少なくても平気で、そのコントロールに苦慮した記憶はほとんどないという。前作の睡眠同様、今作でも欲求を理性の支配下に置くことによるメリットと実践法を伝えている。
監修者 秋山佳胤(あきやまよしたね)
1969年東京生まれ。弁護士、医学博士。東京工業大学理学部情報科学科卒業。1998年弁護士登録(東京弁護士会)、2008年ロータス法律特許事務所設立。2012年医学博士号(代替医療)取得。2008年より水も飲まない不食を実践。本業の弁護士の傍ら、健康や不食に関する講演や著作活動も行う。著書に『誰とも争わない生き方』(PHP研究所)、『不食という生き方』(幻冬舎)、『しない生き方』(イースト・プレス)など。
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(編集部 石黒)