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【フォレスト出版チャンネル #38】ゲスト|弊社代表・太田宏が語る、出版したいと考えている人へ

このnoteは2021年1月6日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

100年後も変わらず、求められる能力とは?

渡部:フォレスト出版チャンネルパーソナリティの渡部洋平です。昨日はフォレスト出版代表の太田社長と編集部の森上さんにお越しいただきまして、昨年2020年の出版業界の振り返りとともに2021年以降の出版業界がどうなっていくのか、展望についてお話していただきました。その中で、2121年、出版業界がどうなっているんだというような、なかなか楽しい話をしてもらっていますので、昨日の放送をまだ聴いてない方はそちらもチェックしてみてください。今日はそんな変わりゆく出版業界の中で、いったいどんな能力が求められていくのかということについて、改めてお二人にお話しを伺っていきたいと思います。社長、森上さんよろしく願いします。

太田・森上:よろしくお願いします。

森上:社長、昨日のお話の中で、今後言語の壁が低くなってきているとのことで、出版社側の人間に求められる能力って変わってくるんじゃないかと改めて感じているんですが、実際どんなものなんでしょうか?

太田:そうですね。ネットを使っていろいろな情報が入ってくるようになったんですよね。じゃあ、100年後はどうなんだろうっていう話を昨日からしているわけですけれど、「100年経っても変わらないものは何だろう」というのを能力でも考えるべきかなと思うんですね。それは何だろうかと。
例えば100年後になったら、宇宙旅行は普通になっていますよ。大正10年、100年前だったら気軽にアメリカに行ったり、欧米に行ったり、ヨーロッパに行ったりって、普通の人は行けなかったじゃないですか。それが気軽に宇宙旅行に行けるような時代になると思うんですよ。「昨日どこ行ったの?」「うん。ちょっと大気圏外」「それってかっこいい」みたいな(笑)。そういう状態が来るかなと思っているんですけどね。ローンを組んで行っちゃったよとかね。
そういう時代になった時に非常に重要になってくることは、今とそう変わらないと思うんですね。例えば、「知的な背景」が非常に重要だと思います。なぜ重要かって言いますと、世界中の著名人とzoom会議や取材をするときは、お互いリスペクトしなきゃいけないじゃないですか。国内ならわかり合えることも、ヨーロッパの人や、エスタブリッシュメントの人たちと「おいお前(笑)」みたいな感じになるためには、知的な背景がないと、なかなか難しいだろうなと思うんですね。

森上:確かに。

太田:そうなると、やっぱり大事なのって教養、文化、芸術、そして自然への憧憬なんですよね。こうしたものが背景として、編集者なり出版社の人間に必要なんじゃないかなと思うんですよ。そして、そういうものを背景として、独創的なアイデアが生まれてくるんじゃないかなと私は思っていますね。

森上:なるほど。海外に行ったときに、外国人から日本のことについて聞かれたときに答えられる人と答えられない人との話があったりしますよね。いわゆる教養ですよね。日本人ならではの。それもありますし、それ以外の教養ですよね。 哲学とか含めたね。

太田:そうですねえ。これ、ぜひ読まれたら良いかなと思うんですが、ネット上で見られるんですが、中谷巌先生といいまして、一橋の教授を長くやられた方が三菱UFJリサーチ&コンサルティングの理事長をされています。こちらが『季刊 政策・経営研究』というまとまったものを出していまして、その中に「100年後の世界と日本」というテーマで結構分厚い研究書がネット上に出ていますので、見ていただくと非常にいいんじゃないかなと思うんですけども。

▼「100年後の世界と日本」(『季刊 政策・経営研究』より)
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2013/11/201304_01.pdf

その中で若干引用させていただくんですけども、ヨルゲン・ランダースという方が日経BP社から『2052 今後40年のグローバル予測』という本を出されています。

2013年に出ているんですけども、この中で彼が今後の世界の行方を左右すると思われる5つの問題を取り上げているんですね。なぜ申し上げるかって言いますと、先ほど言った教養、文化、芸術、自然に対する想いといったものの、背景として基礎になってくる。

5つの問題、1つ目が「資本主義のゆくえ」なんです。次に「経済成長」「民主主義」「世代間の平等」、そして「地球の気候と人間との関係」。で、なぜこれが教養と関係してくるかということですが、今後100年の間の前半なんでしょうけども、中国をはじめとするアジアの国が先進国並みの生活水準をずっと求め続けるわけですよね。当然ながら、地球の温暖化とはどんどんで進んでいくのは予測の範囲ですよね。これどうなるのって言うと、可能性があるのは今世紀、つまり 21世紀。おそらく今人類が展開している大規模な経済活動は、2040年までに地球の自然を修復不可能なまでに搾取しつくしている可能性があると言ったんですよ。

森上:なるほど。

太田:人類が本当の意味で気候変動の脅威に直面するのは21世紀の後半になると言っているんですね。

渡部:最初の話ですが、19年後ですか?

森上:そうですね。

太田:後半の話は21世紀ですから、「80年くらいで本格的にヤバいぞ」っていう状態に直面していくだろうと。よかったよ、生きていなくてっていう話では収まらないですよね。

森上:そうですね……。

太田:それを超えて2121年になっていくと、どんな世界なんだろうなと思うのですが、そのとき、我々出版界どうなっているかわかりませんけども、そこでプロデューサー、ディレクター、編集者という存在はワールドワイドにいろいろな人たちと友達になっていかなきゃいけないということで、やっぱり教養・文化・芸術・自然に対する想いが非常に重要になっていくだろうなと思いますね。
そういう背景があったうえで、世界中の人と付き合って書籍を出していくと意味があるんじゃないかなと思います。ただし、紙の本なのかどうか、表現媒体が。そこはかなり難しいですよね。だって、僕らはかつて竹に文字書いていたんですからね。

森上:そうですよね。社長の世代ですよね(笑)。

太田:違いますよ、さすがに(笑)。私は何歳なんですか?(笑)

森上:(笑)失礼しました(笑)。

太田:竹が紙に変わったわけですよね。だから、どういう風になるのかはちょっと想像つかない。昨日話しましたけども、頭とかポチっと押すと眼球の裏に文字が浮かぶとかいったことかもしれないんですが、いずれにせよ、きわめて大切なこととは、教養・文化・芸術・自然に対する想いが非常に重要になってくるんだろうと思いますし、そこで最も重要なことは、独創的なアイデア、そして行間を読む大切さが今後100年経っても重要視されるんだろうなと思うわけです。

森上:なるほど。100年後を見据えて、今をそこから考えて行くと見えてくるものが変わってくると今回感じましたよね。実際に、技術とか社会で変わっていくものはどんどんあるから、それはもちろん合わせて変えていかなきゃいけないこともあるけれども、変わらないもの、むしろ強化していくもの、そういったものがあるんだなということがすごくよくわかりました。(太田)社長の口癖で、新しいことにチャレンジということで、いい意味で「1勝9敗でもいいからおもしろいことをやろうぜ」と。それも100年後を見据えた上でどんどん面白いことをやって行こうよ、といったところは変わらないということでいいんですかね。

太田:変わらないと思いますね。

森上:これも変わらない1つのものですよね、うちの方針だと。

太田:そうですね。100年後もフォレスト出版が残っているかっていうと、残っていると思いますけれども、僕らはいませんよ、間違いなく。

森上:(笑)そうですね。社長の孫の世代かもしれないですね。ひ孫か。

出版したいと考えている人へのアドバイス

渡部:では、今回は年始ということで、2020年、そしてこれから未来のことについてお話しいただいたんですけれども、今、Voicyを聞いてくださっている皆さんで、出版に興味ある方もすごく多いのかなと思いました。なので、今日の最後のテーマとして「出版したいと思っている人たちへ」というテーマで、何かお話ししていきたいと思っています。出版したい、コンテンツビジネスやりたいっていう方に対して、太田社長からひと言お願いできればと思います。

太田:わかりました。出版するのを補助してくれる方々は、この世にたくさんいるわけで、編集者以外にも〇〇プロデューサーとかいっぱいいるわけですけれども、出版・本を作ることでも、コンテンツビジネスでも共通して大事なことは、“読者の本当の悩みとは何か”を捉えることじゃないかなと思うんですね。

森上:企画の本質ですよね。

太田:そうですよね。で、ここでひと言アドバイスすると、私の友人で日産のGTRを作った水野和敏さんという方がいらっしゃるんですけども、あの人の話を思い出したんですね。で、何かって言いますと、マーケットリサーチではわかりませんよ、と。例えば車のマーケットリサーチをして、「どんな車がいいですか?」ということを、お金をかけてリサーチしても本当の消費者の気持ちはわからない。ではどうするか? これが名言なんですよ。
「それは妥協しているコンプレックスを探せ」
ってことなんです。これすごく重要です。「妥協しているコンプレックスを探せ」と水野さん言っているんですね。「じゃあ、不満な点を見つければいいんですか?」じゃないんですよ。車じゃないんですけど、例えばラーメン屋さんは今たくさんあるじゃないですか。でも、私が若い頃は女性って一人でラーメン屋は入らなかったですよね。ちょっとなんか入っちゃいけないかなという感じがしたわけですよ。今は普通に入っていますよね。あとは、イタリアンとかフレンチって高そうだなあっていう感じが、かつてはしていたんですよ。ところが「俺のイタリアン」とか「俺のフレンチ」とかっていう定額制や低価格のイタリアンやフレンチが出てくることで流行るわけですよね。
これは、その消費者の妥協しているコンプレックスを探した結果なんですよ。ラーメン屋に入りたいんだけれども、入るなんて私は考えられない。でも入りたい。

森上:そこで妥協が入っていますもんね。

太田:あと、イタリアンとかフレンチの高級料理店は一年に一回だけ行くとかって。でも本当はそうじゃないんだよとか、あるわけじゃないですか。そういうのを解消してあげるところが何なのというね。その部分は何なのっていうことをね。本人から怒られちゃうかもしれないですけどね。車じゃなくて、ラーメンとかね、イタリアンとか言っていると……。まあ、とにもかくにも、マーケットリサーチでわからないよと。消費者が妥協しているコンプレックスは何なのかということを脳に汗して探せ。そして、消費者に直接聞けと、マーケットリサーチじゃなくて、ということを強調していて、なんなのかって言うと、出版にしてもコンテンツビジネスにしても、消費者に聞いて、妥協しているコンプレックスを探して、それを具現化するという。それを解決してあげる。これが非常に重要なんじゃないかなと私は思っています。

森上:なるほど。元々社長も編集者でいらっしゃるんで、編集者の先輩としていろいろと含蓄があるお話を伺うことができましたね。

渡部:そうですね。森上さん、今日は社長がいらっしゃるので、ここからもっと偉そうなことは言えないですよね。

森上:(笑)。そこはもう今日は大先輩がいるんで。

渡部:ありがとうございました。ではリスナーの皆さん、今すごく役立つ情報だったのではないかと思います。ぜひ2021年、何か目標がある方、出版やコンテンツビジネス以外にもすごくお仕事に役立つことだと思いますので、ぜひ役立てていただければと思いました。それでは太田社長、森上さん、今日はこれで終了とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

太田・森上:ありがとうございました。

渡部:本日は弊社・フォレスト出版代表太田社長と編集部の森上さんに、「今年2021年の出版業界はどうなっているのか?」というテーマから「これから変わらず必要になってくる能力」、そして「出版やコンテンツビジネスに必要なアドバイス」をお話ししていただきました。それでは今日はありがとうございました。

太田・森上:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)



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