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子どもの「ほめ方」には3つのポイントがある
フォレスト出版編集部の寺崎です。
先日「罰を与える子育てがダメな根本理由」ということで、「これって、子どもだけではなく、大人にも使えるのでは?」という記事を書きました。
今日は「ほめるほうがいいことはわかった。じゃあ、ほめる際の具体的なやり方を教えてほしい」という方に。
「ほめ方」には、いくつか基本ルールがあるようです。
ほめ言葉のポイント
ほめ言葉は、伝えるだけでも強いストロークになります。
子どもをほめる際には、その効果を最大限に発揮させたいものです。
では、どのようなほめ方が効果的といえるのでしょうか。
次の例を見てみましょう。
B E F O R E
子:ただいま!お母さん、聞いて。今日、なわとびが15回も跳べたんだよ。
親:あら、そうなの。
子:うん!
親:……。
子:……。(それだけ?)
ほめ言葉は、お世辞ではいけません。
子どもは、感性が豊かです。大人よりもずっと機敏なのです。
だから、言葉が本気で伝えられているものなのかどうかを察します。
ほめ言葉を伝えるうえで、大切なことが3つあります。
せっかく「聞いて聞いて!」と言ってきたのに、「あら、そうなの」だけだと、子どもも寂しい思いをしてしまいます。
では、どのように「ほめ言葉」を使えばいいか。
ポイントは3つです。
ほめ言葉のポイント① すぐにほめる
1つ目は、すぐにほめることです。
たとえば、翌日になってから「昨日、自分の部屋を片づけていたみたいだな!」「えらいぞ!」と言われたとしても、子どもにとって思い出すことは難しいものです。
でも、部屋を片づけ終えたときに「おっ! きちんと片づけたんだな。えらいぞ!」と伝えられれば、理解することができます。
ほめ言葉には「賞味期限」があるのです。
行動心理学では、60秒以内にほめることが効果的とされています。60秒経つと、ほめるチャンスが腐ってしまうのだと捉えましょう。
子どものよい行動に気づいたら、できる限り早くほめ言葉を伝えるようにします。
なんと!
ほめ言葉には賞味期限があるのだそうです。
「ほめポイント」を見つけたら、すかさず瞬時にほめる!
これが1つめのポイントです。
ほめ言葉のポイント② たくさんほめる
「ほめるのは、なんだか気まずくて……」などと、ほめることに躊躇してしまうことがあります。叱ることはできるけど、ほめるのは気まずいというのはよくある話です。
ほめるのが気恥ずかしいのは、ほめ足りていないからなのです。
0を1にするのは難しい。でも、10を20や30にするのは、そう難しいことではありません。
子どもの望ましい行動を見つけたら、できるだけ多くほめましょう。
面と向かって言わなくていいのです。
照れくさければ、独り言のようにして呟つぶやいてください。
「おっ。食器を片づけているね。いいねぇ」
「おもちゃを譲ってあげたんだ。優しいなぁ」
「泣かずに立ち上がれた。すごい!」
こんなふうに、口癖のようにして、小さなほめ言葉を生活にちりばめていくようにしてみましょう。次第にほめることに慣れてくるはずです。
親が毎日「やればできる」と繰り返していれば、子どもは被暗示性が強いので、その言葉を信じて、言葉通り「自分はやればできるんだ」と信じて、努力するようになります。
できるだけ多く、ほめ言葉を伝えていきましょう。
たしかに、親にこれでもかってぐらいほめられた体験を持つ子は、大人になっても自己肯定感が高そうです。
思い返せば、自分はあまりほめられた記憶がありませんが、唯一覚えているのは、小学校1年生のときに書いた作文を周囲の大人がやたら面白がってくれたのを覚えています。いま、文字にかかわる仕事に就いているのは、この時の記憶のせいかもしれません。
ほめるのはタダ。どんどんほめましょう。
ほめ言葉のポイント③ 身体接触とセットにする
ほめ言葉の効果をさらに高めるようにするためには、身体接触とセットにするのが望ましいです。
身体接触というのは、次のようなものです。
◎頭をなでる
◎握手する
◎ハイタッチする
◎肩をポンと叩く
◎抱きしめる
◎だっこやおんぶ、肩車をする
このような身体接触を伴いながらほめるようにすれば、さらにほめ言葉の効果が増します。
身体接触に関しては、他人であればハラスメントに抵触する可能性があります。親以外には、なかなかできないものです。
でも、人と人が触れ合うことは、大きなストロークになるのです。
子どものがんばりに応じて、親がたくさん触れてあげるようにしましょう。
たしかにこれは家族以外にはできないほめ方ですね。
職場の部下の女性に「この企画書、なかなかいいねぇ~。目のつけどころがナイス!」なんて言いながらボディタッチしたら、翌日から自分の席がなくなっているかもしれません。
殿方はどうかご注意を。
では、最後にGoodなほめ言葉を交えた事例のAFTERを見てみましょう。
A F T E R
子:ただいま。お母さん、ねえ聞いて。今日、なわとびが15
回も跳べたんだよ。
親:ええっ、すごいねえ。じゃあ、さっそく今から見せてもらおうかな。
子:うん! いいよ!
〔実際にやっているのを見せてもらう〕
親:本当にできてる!【①すぐにほめる】
よく練習をがんばったね!【②たくさんほめる】
すごいよ。(頭をなでながら)【③身体接触】
子:うん!(うれしいな! またがんばろう!)
なるほど、やっぱりこんな風に反応してくれると、「よし、またがんばるぞ!」てな気持ちになってきますね。
こんな感じで、ほめ方、叱り方、励まし方、問いかけ方、挑発の仕方などを言葉かけの技法としてまとめたのが『子どもがまっすぐ育つ言葉かけ大全』(三好真史・著)という本です。
ぜひ、書店で見かけたらお手に取ってみてください。