フォレスト出版編集部の寺崎です。
書籍を作るにあたり、重要な要素のひとつに「著者プロフィール」があります。なぜ重要なのかというと、タイトルが気になって本を手に取った読者が次に関心を寄せるのが「誰が書いたのか?」だからです。
ですから「このテーマを書くのに日本一ふさわしい実績を持つ著者」というファクトが読者に伝わるのが最強の著者プロフィールです。
ゆえに編集者は著者のプロフィールを「最強の著者プロフィール」に仕立て上げるべく、苦心します。
論より証拠ということで、いくつか担当した事例をご紹介します。
アピール材料は全部盛り込む
いささか古い本になりますが、天台宗の故・荒了寛大僧正の書籍『365日を穏やかに過ごす心の習慣。』を担当したときのこと。
「大僧正」といえば、天台宗の教えを極められた高僧です。そんな荒さんのような方になると、書籍タイトル、カバーデザイン、著者プロフィールなんかにはいちいち口出ししません。
基本的にすべて「よきにはからえ」です。
というわけで、著者プロフィールもイチから考案する必要がありました。
そこで材料を集めました。
当時、他社さんから出ていた書籍に掲載していたのが、このプロフィールでした。これではちょいアピールが弱いなぁと正直感じました。
そこで考えます。
「荒さんはズバリ一言で言うと何者か?」
これがつまり「肩書」。
冒頭に掲げた、本を手に取った読者が抱く「誰が書いたのか?」にすぐに答える必要があります。
「荒さんは・・・やっぱり天台宗をハワイに広めたすごい人だよなぁ。しかも阿闍梨ではなく大僧正というのも他にはないバリューがある」ということで肩書が決まりました。
天台宗ハワイ開教総長・大僧正
ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
さらにプロフィールをモリモリにしていくために、著者のアピール材料を実際に取材するなか拝借したり、ネットの過去記事から拾ってきたり、あれこれ材料を集めます。
そして完成したのが、次のプロフィールです。
「ながっ!」と思われたでしょうか。
でも、いいのです。どの要素に読者が刺さるかわからないので、「著者プロフィールは盛り込めるだけ盛り込め派」です。
思うに、入社当時のフォレスト出版の著者プロフィールがモリモリで、これまでのビジネス書のスタイルを壊していた点に影響された気がします。
ただし、著者によってはこのスタイルを嫌い、ごくシンプルな短文のプロフィールを好む方もいらっしゃいます。そこは著者の意向を尊重して、モリモリ封印。
客観的な「数字」は最大の武器
もうひとつだけ、事例を出しましょう。
中尾隆一郎さんの『最高の結果を出すKPIマネジメント』の著者プロフィールがこちら。
ポイントは太字にした2か所。これによって「リクルートで圧倒的な実績をあげたすごい人」であることと、「KPIをリクルート全社グループで教えているぐらいだから、KPIマネジメントの専門家であるに違いない」と想像します(実際にそうです)。
圧倒的な実績をドーン!と示すにあたって絶対に入れるべきは「数字」です。
6年間で売り上げを30倍、店舗数12倍、従業員数を5倍
29年勤めたリクルート時代
約11年間にわたって
「29年務めたリクルート時代」という表現から、外部コンサルタント的な立場でKPIマネジメントに関わってきたのではなく、現場たたき上げのKPIマネジメントを実践してきたことが伝わります。
というわけで、今日は著者プロフィールをテーマに語ってみました。