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ユダヤの教えから何を学ぶか

こんにちは。
フォレスト出版 編集部の美馬です。

現在入社1年目の私は、社内の新人研修に出席をしています。編集者として知っておくべき知識をはじめ、文章の書き方、書籍タイトルや宣伝のキャッチコピーのつくり方などを毎週1時間半にわたり、指導を受けています。

ユダヤ教徒、ラビの教え

先日の研修で、このような課題が出されました。

ユダヤ教の指導者であるラビの元に、ある青年が訪れ言いました。
成功してお金持ちになりたいのですが、どうしたらよいですか。」
ラビは、こう問いかけます。
「ある2つの列に並ぶことができるとします。
1つはお金持ちが並ぶ列の最後尾。もう1つは貧乏な人が並ぶ列の最前列
どちらの列に並んだほうが、成功に近づくと思いますか?」

といったような内容です。
実際にこのような話が歴史上にあったかは定かではありませんが、成功するためには、お金持ちの最後尾貧乏人の最前列、どちらに並ぶべきだと考えますか?

ちなみに、研修の場では盤上一致で、お金持ちの最後尾に並ぶべき、となりました。その理由はだいたいどれも同じようなもので、
前に並ぶお金持ちの行動や考えをマネできるから
「最後尾」という事実がプライドを刺激し、やる気が出てくるから
常に上を目指す習慣がつくから
などが挙がりました。

さて、正解はこちらに書かれているようです。

貧乏でも金持ちの列に並べ—ユダヤビジネス哲学—』(手島佑郎/全日出版)

タイトルの通り、お金持ちの列に並ぶのが望ましいようです。長い人生における今という瞬間に、お金がないと憂いているのは単純に運がないからです。しかし、意識を常に高く持つことやプライドまで捨ててしまっては、一生、運が味方に付くことはありません。つまり、一生貧乏人ということになります。成功者であるお金持ちの背中を見て、学び、実践していかなければならない、という教えです。

成功のヒミツは『タルムード』にある

ユダヤ人に成功者が多いと言われているのはご存じでしょうか? 世界にわずか0.25%しかいないと言われているユダヤ人が、ノーベル賞受賞者の20%を占めている(ユダヤ系を含める)ようで、『フォーブス』の長者番付で常に上位を占めているのもユダヤ人です。私の知る限りでは、スターバックスやリーバイスの創業者、そしてアインシュタインもユダヤ人だと言います。

ではなぜ、ユダヤ人に成功者が多いのでしょうか?

そのヒミツは『タルムード』にあると考えられています。タルムードは、「モーセの十戒」でよく知られているモーセが伝えたユダヤ教徒の守るべき聖典です。タルムードには、成功や繁栄につながる内容が網羅されており、現代のビジネスパーソンの指南書としても活用できるとされています。このタルムードを切り口にしているビジネス書はたくさんあるので、興味がある方はぜひ探してみてください。

弊社刊行の書籍にも、ユダヤの教えから学ぶメッセージ性の強いバイブル本があります。

コロナ禍によって、漠然とした不安が芽生えた先行きの見えない時代を、私たちはどう生きるのか……? 
ユダヤ賢者の知恵』(石角完爾・著)では、この不安を解消してくれるユダヤの教えが詰まっています。

限りある時間の中で仕事をする

編集者というクリエイティブな仕事に就いて2か月ほど経ちましたが、最近になって「時間が足りない!」と、よく口にするようになりました。まだ、時間に追われるような仕事をきちんとしているわけではありませんが、日々の企画出しや各会議、ミーティングへの参加、そのほか細かい作業などをこなすだけであっという間に終業時間になってしまいます。24時間って案外短いですよね……。

しかし、ユダヤの教えでは「効率よく仕事をするためには、時間はたっぷりない方がいい」とされています。
確かに、ユダヤ人は、安息日(金曜日の日没から土曜日の夜)には一切仕事をしないそうです。パソコンやスマホにも触らない、仕事の書類や話もしない、もちろん接待ゴルフも行きません。そして日曜日はヘブライ聖書の勉強会、加えて水曜日の夜にはタルムードの勉強会があるとのことです。必然的に仕事に充てられる時間が少なくなりますが、この限られた時間の中で仕事を終わらせなければならないという、いい意味で差し迫った状況にあるほうが人間は行動に移すことができるのでしょうか。

(前略)
 たとえば大学教授のユダヤ人ならば、いつ研究をするのか、論文を書けるのか?
 私はユダヤ人になってむしろ逆にユダヤ人としてのこういった儀式と行事が非常に忙しくある、つまり仕事ができない時間が増えることにより、逆にそれ以外の時間でいかに効率よく仕事をするかということを考え、実行するようになった。
 結果として、今までの1.5倍ぐらいの仕事ができるようになったうえ、成果も1.5倍ぐらい上がるようになった。
 いかに効率よく仕事をするかということは、いかに時間をかけて仕事をするかということではないということがユダヤ人になって初めてわかった。つまり「効率よく仕事をするためには時間がたっぷりない方がいい」というのが逆説的な心理である。

 そしてもう一つわかったことがある。
 たっぷり時間をかけられるとなると、かえってよい仕事ができない、成果が上がらない。
 それよりもたっぷり時間がかけられない、時間が限られている、時間がたっぷりないという状態の方がよい仕事ができる、内容のある仕事ができる、成果が上がるということもユダヤ人になってわかった。 

 これは身体の健康にもまったく同じことが当てはまる。
 たっぷり食べられるとなるとかえって健康に悪い。たっぷり食べられない、うまいものが食べられない、食べたいものが食べられないとなるとかえって身体は健康になっていく。
 仕事も身体も制限された状況の中の方がよいものが生まれ、より健康的になる。
 これがユダヤ人になってわかったことである。                                       

ユダヤ賢者の知恵』(石角完爾・著)

自宅に仕事を持ち帰って休日に片付けようとする、このビジネスパーソンあるあるの行動が、逆に効率の悪さを冗長していたように感じます。そのため私の場合は、パソコンを自宅に持ち帰らない日を何日か設けるようにしました。ダラダラと仕事をせず必ず仕事を完結させる! やはりこれに尽きます。

「自分の考え」を持たずに一生を終えるのか?

「効率よく仕事をしたい」というのは自分の立派な考えであり、主張です。例えば、効率よく仕事をするためにどうしたらいいのか考え、学ぼうとする姿勢にも、日本人とユダヤ人では大きな差があると言います。

 日本人とユダヤ人を比較して一番目につく違いは、勉強量の違いだ。
 日本人はユダヤ人に比べると本当に勉強をしない。やるのは受験勉強だけで、成人した日本人のほとんどが勉強をせずに一生を終える。
 これに対し、ユダヤ人は聖書とタルムードの勉強を一生続ける。この違いは何に表れるか?
 それは一言で言うと「自分の考え」を持って一生を終えるかどうかに表れる。
 日本人は、各人に自分の考えがあるように見えるが、それはテレビや新聞の影響を受けてマスコミの書いたり言ったりしていることを単に反復しているだけに過ぎない。
 テレビのコメンテーターは日本に新聞しか読まないからその影響を受け、その新聞記者はテレビしか見ないから、結局誰もが人の受け売りだ。各人が自分独自の考え方を持たない。
 ユダヤ人は、聖書とタルムードという古典書を子どものころから勉強する。基本軸がしっかりしているので、マスコミの影響を受けにくい分、自分自身の独自の考えを持つ。
 ユダヤ人は「私はこう考える」ということを主張してやまない。

ユダヤ賢者の知恵』(石角完爾・著)

日本人は自分の考えがない人、多いですよね……。私もそのうちの1人だと自覚していますし(編集者として致命的ですが!)、自分の考えを主張するのも得意ではありません。何が原因なのかと考えると、やはり自分に自信がない、というのが根底にあるのかもしれません。こうなると自己肯定感の話になってきますが、これもやはり日本人には足りないところです。その点、ユダヤ人には自分を信じる、慈しむという気持ちが育まれています。自分の考えを持つこともこれに含まれますが、子どもたちが自己肯定感を育むうえで大切になるプロセスの要素がユダヤの教えには多くあるようです。


ユダヤの教え、宗教という言葉を聞くと少しハードルが高いように感じますが、日常生活やビジネスシーンで使えるような、自分事になれる教えもたくさん見つけることができます。自分の人生の教訓になるようなバイブル本を探すのも面白いかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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