日本発の自己啓発書が世界で売れている意外な理由
ビジネス書の世界には「自己啓発」という一大ジャンルがあります。われわれは略して「ジコケー」ともっぱら呼んでいます。
もともとはアメリカで生まれたジャンルであり、本国では「Self Help」と呼ばれます。自らを助ける⇒自己啓発というわけです。
この日本発の自己啓発書がいま世界で売れに売れているという記事が日経新聞に出ていました。
日本発の自己啓発書が1000万部突破
いちばん売れているのが『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)。記事のなかで、売れている要因として「ありそうでなかった本」という分析がなされています。
めっちゃ陽気でラテン気質なイメージのブラジルでも33万部刊行されているそうなので、人の悩みに国境も民族も関係ないと思わせられます。
「ありそうでなかった」
これは自己啓発書に限らないヒットの法則かもしれません。
「左利きのユーザーに向けた文具・雑貨」というありそうでなかったアイデアで成功しているようです。
こんな本も出ていました。
中国で稲森和夫さんが大ベストセラーに
京セラの創業者・稲盛和夫さんといえば、日本でも大ベストセラーとなった『生き方』。これがちょうど高度成長の踊り場に立った中国で大ブームとなっています。
これに似た動きが経営の神様と称される松下幸之助の『道を開く』(1968初版)でもみられます。こちらも国内で566万部にのぼる大ベストセラーですが、発行元のPHP研究所では改めて中国市場に着目した新訳版を刊行するそうです。
「こんまり現象」はなぜ起こったのか?
また、アメリカではNetflixの番組にもなった『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵・著・サンマーク出版)。
アメリカでヒットした当時、「モノに魂が宿るなんて、なんてクールな思想なんだ!」とSNSで話題となったのを見かけましたが、物質主義のアメリカ人の心の変化にカチッとはまったという意味では、これまた「ありそうでなかった」のかもしれません。
自己啓発書が生まれる国は「成り上がり」「成金」になれる国
先にも述べましたが、いわゆる自己啓発書はアメリカに源流があります。それについても日経記事では結びにこう書かれています。
自己啓発書は民主主義と歩を一にして発展してきたものなのかもしれません。たしかに、身分制度が固定的な国家であれば、貧乏人が成り上がることはできませんから、自己啓発もクソもないでしょう。
この記事を読んで思い出したのが、神田昌典さんの発言です。Voicy公式フォレスト出版チャンネルの1000回記念に神田さんにゲスト出演いただいたときに、こう語っていたのです。
この発言を聞いた時には「なるほど!」と唸りました。それと同時に、戦後の自由な日本に生まれた幸せをちょっぴり感じた次第です。
最後に神田さんが上記発言をされたゲスト回の放送を貼っておきますので、ぜひ聴いてみてください。
(フォレスト出版編集部・寺崎翼)