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連休って何日間がベスト?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の美馬です。

本日は、最近読んだ本の中で特に面白かった1冊を紹介します。

人は2000連休を与えられるとどうなるのか?』(上田啓太/河出書房)

2010年にブログ『真顔日記』を開設後、累計1000万PVを記録する人気ブロガーとなった上田啓太氏。本書はWebメディア『ジモコロ』に投稿していた内容を書籍化したもののようです。

厳密には2190日。約6年間、知り合いの家の物置き部屋でひきこもり生活をしていたエピソードを綴った回顧録で、これまでの人生を振り返る時間があったり、飼い猫の死を看取ったり、いろいろな心身実験をした果てに上田氏は離人症を体験します。

いろいろな実験の内容を一部ご紹介……。
鏡に向かって「お前は誰だ?」を問いかけ続ける
活字に触れるのをやめてみる
人生で出会った人全員の情報をデータに起こす
行動を分単位で記録する
食事、睡眠、排泄以外の行動を禁止する
などなど。暇を極めた強者しかできない領域ですよね。(笑)
でもこれが意外と人間の本質を考えさせられる実験だったりするようです。

そしてこれだけの実験をしても上田氏は終始冷静。淡々と自分に起こった心身の変化を記録するだけなんです。

「ふむふむ。案外人間って自分の状況をすんなり受け入れられるんだな」
やっぱり人間って適応能力が高い生物だということをあらためて知る機会になります。

ほかにも私が個人的にこの本を推している理由は、”連休”という言葉を使っているところでしょうか。
雑誌の大喜利連載に投稿して食いつなぐ、はたから見たらただのニートでひきこもり。しかも友人の自宅を間借りして、です。世間からの印象はきっと良くないものかもしれません。

しかしこの書籍では一貫して彼の生活を”連休”と呼び、ニートやひきこもりという言葉で表していないのです。こう言った言葉を使ってしまうと、すごく稚拙というか、チープな文章になってしまうんだろうな、と感じています。

 連休。

 この二文字を見て何を感じるかで、その人の状況が分かるのかもしれない。大半の人は「よろこび」を感じるんじゃないだろうか。会社や学校に行っている人にとって連休は素晴らしいものだ。
 その一方で、とくに何の感情もわかない人もいるかもしれない。日常的に通う場所のない人間は連休と言われてもピンとこない。
 よく言われることだが、日々の労働があるからこそ、週末はうれしい。金曜日の夜はワクワクするし、月曜日の朝はうんざりする。3連休があれば大よろこび。盆と正月は素晴らしい。
 ところで、私は過去に2000連休を体験したことがある。6年間にわたる休日だった。厳密に計算すると2190連休になるのだが、端数は切り捨てておく。この状況で細部にこだわるほどアホらしいこともない。

 この本では、
「人は2000連休を与えられるとどうなるのか?」
 という問いに、実体験をもとに答えてみたい。3連休ではない。10連休でもない。2000連休だ。ゾッとする人もいるかもしれない。そこにあるのは巨大な空白だからだ。
 そんなものを与えられると、人はどうなってしまうのか?

人は2000連休を与えられるとどうなるのか?』(上田啓太/河出書房)

ところで、連休って何日間がベストなのでしょうか。

ゴールデンウイークは1週間、小中高生の夏休みは1か月、大学生になると2か月の休みをもらえます。あの頃は2か月でも足りなかったくらいですよね? なんでかって考えると、やっぱり戻る場所があるからなんだなー、と。この本を読むとしみじみ感じられるんです。

転職活動期間中、およそ1か月半、何者でもない時期が自分にもありました。

学生でもない、仕事もしてない、たまにふらっと日雇いのバイトに行って食いつなぐ。そんな生活に人生最大の不安を感じました。それが2000日も続くと考えると……おそらく病みますよね。(笑)

そんなゾッとする体験がこの1冊に詰め込まれています。
シルバーウイークも近づいてきましたが、休み明けに帰れる場所があることに少しばかりのありがたみを感じながら、ぜひ読んでみてください~。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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