【実家の空き家】入居希望者が殺到する、貸すための工夫6選
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
空き家になってしまった実家をなんとかしたい――。
この問題をスムーズに解決する方法の1つに「貸す」があります。
ただ、借り手を見つけるのは、そうそう簡単ではありません。とはいえ、しっかり借り手を見つけているオーナーも一定数います。
その違いは何か?
それなりの工夫をしているからです。
空き家・古家再生のスペシャリストである三木章裕さんは、新刊『実家の「空き家」超有効活用術』の中で、「貸すための工夫6選」を挙げています。今回は、同書の中から該当箇所を一部編集して全文公開します。
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「あなた物件をぜひ借りたい」と入居者が列を成す、貸すための工夫6選
人口減少、世帯数減少の中、物件はどんどん増加しています。なんらかの手を打たなければ、あなたの物件が空室になるのは当たり前です。
そんな中、満室経営を続けている大家さんもたくさんいます。
このような方の工夫の仕方を学んで、入居者に選ばれる賃貸物件を目指してください。
①営業力強化
近隣の賃貸不動産に入居者を見つけてくれる業者(業界内では「客付業者」と呼ぶ)に顔を出して、物件への案内をお願いすることです。
管理会社に任せているから安心と思わず、大家さんが自ら顔を出すことで、業者への印象が大きく変わります。
②情報拡散も怠らない
今は大家さん自ら募集できるサイトがいろいろありますので、そのようなサイトを利用して、直接入居希望者にアピールすることもできます。
大家さんと入居希望者を直接マッチングする賃貸サイトをいくつか挙げてみます。
③家具・家電付きにする
特に単身用の場合、転勤族は、実家や自宅に戻れば家具・家電はありますので、余分に購入したくないものです。ですから、すでに家具・家電が備え付けられていれば助かります。
大家側で備える家具・家電は、決して新品でなくても、中古のものでも大丈夫です。部屋に備え付けてあげると、家賃も少しアップすることができますので、おすすめです。
入居時に必要ない場合は、また別の部屋の募集時までしまっておいて使えばいいでしょう。
④ステージング
ステージングは、部屋に家具などを設置して、あたかも住んだ場合をイメージできるモデルルーム化です。
人はガランとした部屋を見ただけで、そこでどのように暮らしていくかのイメージが湧きにくいものです。そのイメージを補完するために、実際に家具などを置いて、その部屋でどんな暮らしができるかを提案します。
ステージングの効果は、やはり絶大です。もしやらない場合とやった場合を比較する機会があれば、経験的には2倍は反響率が高くなると感じます。
現在はインターネットで物件を探す時代です。そうなると、ガランとした部屋より、ステージングされた、インスタ映えする物件がまず選ばれることになります。
しかし、ステージングがいいといっても、たかが賃貸でのイメージアップなので、無尽蔵にお金をかけるわけにはいきません。
予算は家賃の1〜2カ月分まででしょう。
なおかつ、これは入居が決まれば回収して、別の空き室に使い回しするぐらいのコスト管理をしないと、もったいなくてやれません。
住宅販売の場合は、かなり贅沢な家具・家電をつけて、成約すればそれをプレゼントするようなキャンペーンもやるみたいですが、賃貸ではそこまでふんだんにお金をかけると採算が合いません。
ちなみに、全室やらなくても構いません。ちゃんと予算管理しながら、効果を高めることが大切です。
実際にステージングをするのに、内装工事業者に頼む方もいるでしょうが、できれば、インテリアコーディネイターやカラープランナーなど、内装のプロに頼むと、逆に安い家具・家電でも、それなりに素敵な部屋に見えるようにプランニングしてくれます。
大阪では、住宅のカラープランニングをしている女性2人の会社「A&Kworks」(https://ak-works.co.jp)さんや、全国的に空室対策コンサルティングしている「フィーリングリフォーム」(https://feeling-reform.com)さんなどがよく利用されているようです。
また、空き家や古家などを専門にステージングを提案する「clasical-home」(https://cchome.co.jp)さんが人気です。
この会社の良いところは、ステージングの設備を買い取らないで、リースしてくれること。また、古い物件に合うように、新しい家具ではなく、骨董品を使うようにして、古い物件の古さを活かして、アンティークでビンテージな感じにしてくれます。空き家や古家など築年数の古い物件にはぴったりです。
このように、最近では賃貸物件でも多様なサービスが提供されるようになっていますので、ぜひ利用して、他の物件より一歩先に進んだ価値のある物件だとお客様に思ってもらうことが大切です。
⑤DIY物件(入居者が自由にリフォーム、貸主のリフォームコストの節約にもなる)
これは、最近注目の賃貸のやり方です。
DIYとは「Do It Your self」で、「自分でやる」という意味です。賃貸の場合、入居者が自由に改装できるので、とても喜ばれている物件です。
例えば、ポータルサイトのスーモさんの「キーワードから探す」の欄に「DIY可」とワードを入れると、結構物件が出てきます。入居者としては、自分たちのライフスタイルに合わせてカスタマイズでき、自分好みの物件で暮らすことができるので、部屋にも愛着が湧き、大切に住んでくれますし、長期入居の可能性もあります。借りるほうも、建築家やデザイナーや美術・建築系の大学生など、その需要は高く、またその内装はとてもおしゃれで、退去されても、そのまま次の入居者がすぐ決まることも結構あります。
フルリノーベーションしてもいい物件から、一部自由に壁紙を選べるものまで、DIY可能物件にもいろいろあるので、募集時までにはしっかり決めておく必要があります。
なお、DIY物件については国土交通省も後押ししており、DIY型賃貸借の手引きをホームページ(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000046.html)で公開されています。
⑥多頭ペット飼育可能物件にする
世間は空前のペットブームですが、なかなか共同住宅ではペットの飼育を認めてもらえないのが現状です。たとえペット可能物件のマンションでも、せいぜい1匹か2匹まで。
その点、空き家や古家では、ちょっとした庭があったりして、ペットも多頭飼育も可能です。
そこで、空き家や古家では、ペットの多頭飼育も認めてあげると、たとえ辺鄙な場所の物件だとしても、かなり遠方からの入居希望が来たりします。
多頭飼育の無秩序な許可はダメですが、ある程度ルールを明確にして、柔軟な飼育を認めてあげると、圧倒的な差別化になります。
ポータルサイトのスーモさんでも、ペット可・相談OKの賃貸物件として検索サイトとペットと暮らす住まいのノウハウを解説してくれています(https://suumo.jp/chintai/nj_103/)。
貸す側として特に注意すべきは、退去時に普通の退去時よりは原状回復工事にコストが高くつく可能性があるので、保証金を多くもらったり、普段の家賃を頭数に合わせて増額する仕組みなどを取り入れておく必要があります。
また、ペット飼育を許可する場合は、管理規約を作っておくことが大切です。やはり、鳴き声や臭いなどで近隣に迷惑をかけるような場合には退去してもらうことも、一筆とっておいたほうがいいでしょう。
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いかがでしたか?
何もしなければ金食い虫となってしまう実家の「空き家」ですが、上手に活用すれば金食い虫どころか、所有者にお金が残る、資産として潤してくれる“富動産”に変わるお宝になります。
【売る】【使う】【住む】【貸す】――。
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▼新刊『実家の「空き家」超有効活用術』の「はじめに」「目次」の全文が読めます。
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▼今回紹介した新刊『実家の「空き家」超有効活用術』について、著者の三木章裕さんとトークしたVoicy音声はこちらです。