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【フォレスト出版チャンネル#199】ゲスト/読書術|人気ブロガーおすすめのビジネス書以外の3冊

このnoteは2021年8月18日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

 なぜ無名の会社員が、本を出版することになったのか?

渡部:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティの渡部洋平です。今日も昨日に引き続いて、羽田康祐さんにお越しいただいて、編集部の石黒さんと共にお届けしてまいりたいと思います。それでは、改めまして、羽田さん、石黒さん、よろしくお願いします。

羽田・石黒:よろしくお願いします。

渡部:まず、羽田さんはいったい何者なのかみたいな話をして、昨日はなんとなくのところで終わったんですけど(笑)、広告代理店と外資系コンサルティングファームを行き来した、ハイブリッドキャリアを持つグランド・ストラテジストということで、驚きの僕らと同じ会社員という立場でありながら、現在、本を3冊出版されて、さらにどれも素晴らしい内容と評価も高く、売れているということで、そんな羽田さんに今日もお話していただきたいと思います。昨日の放送では「羽田さんがお勧めするビジネス書3冊」ということで、念のためもう一度お伝えしておきますと、『イシューからはじめよ』『仮説思考』、『賢さをつくる』という3冊を紹介してもらいました。

これらの本に関しては昨日の放送を聞いていただけると、いったいどんな部分がお勧めポイントなのかということがわかるので、ぜひ振り返っていただきたいと思います。
それでは、今日の放送に入ってまいりたいのですけれど、まず昨日の放送の最後に触れたんですけど、そもそも会社員という立場である羽田さんがなぜうちの石黒さんと会い、出版まで至ったのかという経緯が、個人的に気になったので少しその辺をお話していただきたいなと思うんですけれども。

羽田:はい。これは石黒さんからお話をされたほうが……。

石黒:そうですね。本当にたまたまでして、要するに帰納法とか、演繹法ってありますよね。それをビジネスに使って解説している本ってないなと思って、哲学系の本とかそっち系はあるんですけれど、ビジネスに帰納法、演繹法みたいなものを使っている本ってないし、非常にシンプルな推論の方法なので、もしそれが使えるんであれば、ビジネスマンにとって武器になるんじゃないかなと思って、ネットで検索したんですよね。「帰納法 ビジネス」とか、「演繹法 ビジネス」みたいな感じで検索していったら、羽田さんのブログにたどり着いたんです。それで、そのブログを見たら、めちゃくちゃ内容がいいんですよね。「お! こんなブログあったんだ!」と感動して、この人だったら書けるかもしれないと思って、羽田さんにアプローチしたのが、最初のきっかけですね。

羽田:Facebook経由でご連絡いただいたような気が……。

石黒:そうですね。ブログに連絡先があったのか、なかったのかわからないんですけど、ブログのタイトルのFacebookを見つけて、それでダメ元で……。だいたい新しい著者さんに連絡するときって、ダメ元なんですけど。それで、Facebookで連絡をしたら、お返事をいただいて、「1回会いましょう」という感じでしたね。

渡部:へー。

羽田:すごいなと思って。僕のブログって、僕にたどり着かないように、あえて連絡先を載せていないんですよ。それでたどり着いて来る人って、今までに3人くらいかな。石黒さんを入れて。だから、すごいなと思って。そこまでたどっていただけたんだな、みたいな感じでしたね。

石黒:そうだったんですね。ほんとに連絡する前までは会社員なのか、何者なのかっていうのは、わからない状況ですよね(笑)。

羽田:そうそうそうそう(笑)。全く連絡先は載せてないですし、誰かっていうのも載せていなかったので。だから、FacebookかTwitterしかないんですよね。

渡部:すごいですね。羽田さんはそのときは、出版をしたいみたいな意図はあったんですか? でも、連絡先を入れてないくらいなんで、そういうわけでもない……。

羽田:そうですね。完全に趣味としてやっていたというか。僕のキャリアって、広告代理店とかコンサルティングファームなんですけど、結局外側からお手伝いする人であって、当事者じゃないんですよね。一回、当事者として何かやりたいなと思って、ブログを書き始めて、そうすると、反響とかダイレクトに返ってくるので、おもしろくなって、やっていたらとんとん拍子にページビューが上がって、いろいろな方からそういうご連絡もいただくようになって、という流れですね。そのときは「よーし! 本を出すぞ!」っていう感じでは全然なかったですね。

石黒:そうなんですよね。それで、羽田さんにお会いして、「帰納法と演繹法を使ったビジネスのスキルを解説してください」って、もう完全に無茶ぶりですよね。

羽田:(笑)。

石黒:僕も全然イメージもできてないのに、無茶ぶりしたら、「推論法と呼ばれるものの中に、もう1つアブダクションというものがあるので、それを加えてまとめたらいいんじゃないでしょうか。」って、逆にご提案いただいて、それが本になったのが1作目の『問題解決力を高める「推論」の技術』で、いまだにロングで売れている非常にいい本です。

羽田:ありがとうございます。本当にそんな感じでした。編集者の方とお仕事をするのは初めてだったので、いろいろと勉強になるなと。

石黒:いやー、お恥ずかしいですよ(笑)。

羽田:その後、この(フォレスト出版の)Voicyをさかのぼって聞いてみたら、「編集者は自分なりに“こういう本を出したいんだ”っていう想いを持った上で、著者にあたらないとダメなんだ」みたいなことをフォレスト出版の偉い人が言っていたので。

石黒:誰かな?

羽田:「そういうことなのね!」みたいなのは、あとからわかりました。確かにそうだよなと思って。

渡部:今回のケースは羽田さんが何者かはわからない中で、「このブログを書いている人はすごい人だ!」って、できた本なんで、すごいですよね。要は、位がある人が言っているから、すごいじゃなくて、本当に内容がいいから、たどり着いたわけですからね。

石黒:僕の著者は割とそういう人が多いですよ。読書猿さんもそうでしたもん。

羽田:そうだ! そうそうそうそう!

石黒:読書猿さんは何者かわからないけど(笑)、ブログを見たら半端ないんで。連絡方法がないから、ダメ元でブログのコメント欄に「フォレスト出版の石黒です。すみません。連絡させてください」って書いて、それが最初でしたからね。

渡部:そう考えると、リスナーの方も本当にいい内容を自分なりにアウトプットしていると、世に出る機会があるっていう。夢のある、勇気づけられる話だと思うので。

羽田:本当にそうだと思います。有名なタレントでもなければ、有名なYouTuberでもない中で、見つけていただいたのはありがたいとしか言いようがないですよね。

渡部:内容が素晴らしかったというところが1番大きいですよね。

羽田:本当にありがたいです。出版文化ってこういうことだなと。

渡部:そうですね。いろいろな経緯で出版される著者の方がいると思うのですが、今言った通りまさにいいものが世に出る、しかも売れるっていうのが1番いいことだと思うので。では、ここで石黒さん、1つ宣伝しておきましょうか。今回の新刊も皆さんに手に取っていただけるように。

石黒:はい。羽田康祐さんにお書きいただいた最新刊が7月に発売された『インプット・アウトプットが10倍になる読書の方程式』というタイトルの本になります。前回の放送で内容については、羽田さんご自身から語っていただいたんですが、内容としては基本的には「読書の方程式」とは言いつつ、対象となる本はビジネス書なんですよね。ビジネス書を読んでそこから、著者の視点だったり、著者の法則だったりを抜き出して、自分で使えるようにする、そういう読書術の本なんですけれど、それで前回は羽田さんにお勧めのビジネス書3冊をご紹介いただいたんですけど、今回は逆に本当に素朴な興味、好奇心で、ビジネス書以外の本って、羽田さんはどんな本を読むんだろうっていうのがあったので、ぜひビジネス書以外の本でお勧めの3冊を教えていただきたいなと。小説でも、写真集でも、哲学書でも何でもいいので。

羽田さんおすすめの3冊①「川べりの道」(鷺沢萠/文春文庫『帰れぬ人びと』に収載)

羽田:個人的には無茶ぶりなんですけど(笑)、了解です。まず1冊目がですね、鷺沢萠さんという作家の『川べりの道』という作品があるんですね。ただ『川べりの道』というのは原稿用紙で言うと多分40枚くらいの短編で、講談社の『帰れぬ人びと』という文庫の中の短編の1つとして収録されているんですね。

石黒:これはどこがお勧めというか。

羽田:これは、僕にとってはお守りでもある本なんですけど、鷺沢萠さんっていう女性の作家が、『川べりの道』っていう短編小説を書いたのが、18歳の高校生のときなんですね。で、そのままその作品が文學界新人賞を受賞したっていう。文學界新人賞っていうと、又吉さんが受賞したんですけど、そういう作品で、当時そのニュースを見た時に、僕は大学生だったんですけど、「えー!」と思って、「18歳の女の子がこんな作品を書けるの!?」みたいな。僕よりも完全に年下ですよ。

石黒:同じ経験してますよ。僕が大学生のときに、綿矢りさが……。

羽田:そんな感じ! そんな感じ!

石黒:文藝賞取って。僕は文芸を読んでいたので、めちゃくちゃカーンですよ。まだ高校生のこんなかわいい美少女が、こんな文章を書いて新人賞取るなんて、もえるなっていう。

羽田:(笑)。

石黒:そんな感じだったんですけど。すみません。余計な話をしちゃいました。

羽田:本当にそういう感じで、この時に思ったのが、18歳の女の子がここまでできるんだったら、もっと自分も頑張らないとって思ったんですよね。それから、この『川べりの道』っていう作品が、僕の中で原体験じゃないですけど、文章を書くときのルーツじゃないですけど、何かあったときにちょっと思い出して読んでみて、頑張れる作品みたいな。残念ながら鷺沢萠さんは35歳でお亡くなりなっちゃったんですよね。

石黒:みたいですね。

羽田:自殺されちゃったんですけど、そういったことも含めて、心の中に引っかき傷なのか、なんなのかわからないけど、原体験として残っている作品でしたね。

石黒:ストーリーとしては、いわゆる純文学だと思うのですけど、どんなお話なんですか?

羽田:お父さんがすでに離れたところで愛人と暮らしている、そこにお金をもらいに行く15歳の少年の話なんですよ。それで、川べりの道を毎月1回通っていて、自分の想いがあるんだけれども、最後は希望に満ちたような心情で終わるっていう話で、読む度にその時々の自分の心理状態で、解釈が変わってくるなと。「もしかしたら、これってこういうことを言いたかったのかな」とか、「こういう心情って実はこれにつながっているのかな」とかっていう、いろいろな解釈ができるんですよ。年齢を重ねれば重ねるほど違う解釈ができるみたいな、そういう作品で、「これを高校3年生が書いたの!?」ってびっくりしちゃう感じです(笑)。とにかく読んでみるとびっくりします。文体といい……。僕、大学のときは純文学が好きで、芥川賞の受賞作を第1回目からバーッと読んでいくみたいなことをやっていて。

石黒:素晴らしいですね。僕も文芸とか読んでいましたけど、そこまでは(笑)。

羽田:(笑)。純文学って意味のわからない本も多いんですけど、素晴らしい作品もあって、その過程で鷺沢萠さんに出会った。多分、どこかの年に芥川賞の候補になっていたんだと思います。これはちょっと読んでいただきたい。高校生3年生でこれだけの作品を残した人がかつていて、今の自分と照らし合わせてみると「よし! 頑張ろう!」と思うような、お守りのような作品かなぁ。

石黒:なるほど。私も読みたいですね。誰でも、学生時代に出会った小説っていうのはその後、10年、20年、30年経ってもやっぱり忘れられないものですよね。私も当然ありますし。

羽田:僕もこういう小説書けるかなと思って、当時中古のワープロを買って、小説を書いてみたんですけど、全然ダメでしたもんね、やっぱり(笑)。

石黒:私も書いてましたよ。全然ダメ。

羽田:一応、応募もしたんですよ。文學界とか、講談社の群像ってありましたよね? そういうのに送ってみたけど、全然ダメで、やっぱりこの人の才能はすごかったんだなって改めて思いましたね。そういう作品です。

羽田さんおすすめの3冊②『哲学思考トレーニング』(伊勢田哲治/ちくま新書)

石黒:意外な作品と意外な羽田さんの過去が……。ありがとうございました。では、2冊目はどんな本なのか楽しみです。

羽田:2冊目は、ある意味僕らしいのかもしれない。『哲学思考トレーニング』っていう、ちくま新書から出ている伊勢田哲治さんという方の本なんですけど、今で言う、クリティカルシンキングですかね。物事を批判的に考えることで新しい何かを生み出そうみたいな考え方なんですけど、『哲学思考トレーニング』を読んだ時に「クリティカルシンキングを自分は出来た気でいたけど、浅かったなー」っていう印象を持ったんですよ。この人が言う『哲学思考トレーニング』って半端なくって、哲学の世界では水槽の脳っていう概念があるんですって。

石黒:水槽の脳?

羽田:はい。というのも、石黒さんなり、渡部さんなりが体験している……、今、Zoomで見ているじゃないですか?

石黒:はい。

羽田:この世界は実は水槽に浮かんだ脳が見ている映像で、電極か何かが脳に挟まっていて、その電極で見せられている映像。

石黒:マトリックス的なやつですか?

羽田:で、もう50万回くらい見せられている映像で、毎回リセットをしているみたいな。だから今、目の前にあるのは事実ではなくて、単なる見せられている認識にすぎなくて、電気の力によって、その認識がつくられている。で、生まれてから死ぬまでの一生を脳の中で再現されているだけで、死んだら、またリセットされて、0歳から巻き戻って。だから、「今あなたの見ている映像は50万1回目なんですよ」みたいな。そういう話が書かれているんですよね。もしそうだとしたら、確かめようがないし、今、目の前で見ていることの何が事実で、何が認識かもわからないじゃないですか。そこで、この著者がおっしゃっているのは、結局世の中にある唯一の事実って、「自分が今こうやって映像を見ているんだなって、“我思う、故に我在り”しかこの世の中に事実はないんだよ」みたいなことが書いてあるんですよ。「えー!!」みたいな。

石黒:そうですね。哲学で言われる「主観と客観」の話とかですよね。

羽田:そう。これを見て、世の中っていうのは結局事実だと思っているは自分の認識にすぎなくて、認識さえ変えてしまえば、事実なんてもしかするとどうでもいいのかもしれないみたいな(笑)。だって、その人の認識していることがその人の事実だから、みたいなことを思ったんですよね。そう考えると「結局、幸せとか不幸とかも自分の認識次第か!」みたいなふうに考えが変わっていったりとかして、本当にこれは自分が物事を見たり、考えたりする上での発想の転換につながった感じですね。

石黒:それこそ何かに悩んでいたりとか、潰されそうになったときにふとこの本に書かれていたことを思い出して……みたいな。

羽田:そうそう。その悩みとかも事実じゃなくて、認識だからみたいな。そう思うと、「そっか。じゃあ、認識を変えよう」って自分をコントロールできるようになって、そういう感じの学びが大きかったですね。これはびっくりしちゃった。

石黒:なるほど。これはおいくつくらいのときに読まれたんですか? 本は2005年に出ているんですけど。

羽田:これもたぶん10年くらい前かな。初めて哲学ってこういうことなんだってわかった作品ですね。その時は「哲学って何?」っていう、「役に立つのかな?」みたいな。

石黒:みんな、最初はそうですよね。

羽田:そうそうそう(笑)。「何の役に立つの?」みたいな。意外と教養として役に立つなぁと思って。

石黒:ありがとうございます。

羽田:ぜひ、読んでみてください。

石黒:はい。私も哲学書を一応つくったことがあるんですよ

羽田:そうなんだ!

石黒:はい。『読まずに死ねない哲学名著50冊』という。

羽田:あー! 結構それ売れたんじゃないですか?

石黒:結構売れました。

羽田:売れましたよね? 聞いたことあるもん。

石黒:はい。なので、僕もそれが哲学への入り口でしたね。哲学の入り口としてやっぱり新書っていいですよね。サラっと呼んで。この『哲学思考トレーニング』もちくま新書さんから出ています。ぜひ、「哲学は何の役に立つんだ?」みたいな、そういう人に手に取っていただければと思います。ありがとうございます。では、3冊目をよろしくお願いします。

羽田さんおすすめの3冊③『水路上観察入門』(吉村生、高山英男/KADOKAWA)

羽田:はい。3冊目はですね、『まち歩きが楽しくなる 水路上観察入門』っていう、KADOKAWAさんから出ている本で、水路の上を観察しようみたいな。その写真と簡単なお散歩日記みたいなのが載っているんですよね。で、全ページカラーじゃないかな。吉村生 さんと、高山英男さんという方が書かれていて、高山英男さんというのがうちの会社の上司にあたる……。

石黒:上司にあたるんですか?

羽田:ちょっと部門は違うんですけど、まあまあ上司にあたる方で。

石黒:羽田さんの本のレビューに、いつもこの高山さんのお名前があるんで。

羽田:そうそうそうそう(笑)。いつも書いてくださってありがたいなって思っているんですよね。石黒さん、暗渠ってご存じですか?

石黒:字は知っています。

羽田:暗渠っていう、昔、川とか水路だったところに上に何かを被せたりとか、土で埋めたりとかして、今はもう川でもないし、水路でもないんだけど、その跡が残ったものを暗渠っていうんですよね。その暗渠を探索するマニアの人たちがいて、そのマニアの1人が僕の知り合いの高山さんなんですよ。ずっと暗渠の本ばっかりを出しているんですよ(笑)。すごいディープで、マニアックで、それでも日本中の……、台湾とかも行ったりしているけど、暗渠を調べに行っている。特に何か役に立つわけでもないのにみたいなところが、すごくうらやましいなっていう、僕の感情が。

石黒:なるほど。何の役にも立たないことに一生懸命なれること自体がうらやましいと。

羽田:まあ、ハッキリ言っちゃうとそうなんですけど(笑)。あと、暗渠って大正とか昭和の時代にあった水路が上から塞がれてしまっているものなので、それが、懐かしさとか追憶みたいなものを上から塞がれてしまっていて、すごく人の人生に当てはまるような気もしちゃって。昔の大切なものが、今薄れかけているなみたいな。そういうのが重ね合うような感じがするんですよね。世の中もより便利なほうへ、早いほうへ、コストパフォーマンスがいいほうへ進んでいるじゃないですか。そんな中で「過去を振り返ってもいいんだよ」って言ってくれているような1冊。で、意味があるものを僕らは追いかけようとするけども、「意味がなくたっていいじゃない」っていうことを訴えかけてくれているような気がする1冊ですね。なので、時々この本をパラパラめくると「そんなに焦らなくてもいい、急がなくていい、意味なんてなくてもいいんだ」みたいな。「そんな時間があったっていいじゃない」みたいな、「後ろを振り返ったっていいじゃない」みたいな。そういう気持ちをつくってくれる1冊かなぁ。

石黒:そういう気持ち、僕もすごくわかって、フォレスト出版のnoteにも書いているんですけど、結局ビジネス書を読むような人って役に立つものとか、稼げるもの、そういったものに惹かれて、それ以外のものを「くだらないもの」って言っちゃうんですけど、でも、僕は役に立たないものこそ、人を豊かにするんじゃないかなって思うんですね。

羽田:そうそうそう。そう思います。

石黒:昔のイギリスとかの特権階級の人だって、びっくりするくらい働かないんですよ。無駄なことばっかりに金を使うんですよ。それが1番贅沢な生き方なんですよね。無駄なことに金を使うっていう。だから、稼げるとか役に立つことばっかりにお金を使ったりする生き方っていうのは、僕は逆に貧相な生き方なんじゃないかなって思ったりしました。

羽田:そういったことを本当に感じさせてくれる。昔のことを懐かしんでもいいじゃないですか。それが役に立たなくても、そういうことを思い出させてくれるなぁっていう、そういう時間が流れる1冊です。

石黒:ちなみに暗渠っていうと、いわゆる私有地だったりとか、線路の下とか、そういったイメージがあるんですけど、洞窟に入るみたいに探検とかできるものなんですか?

羽田:発見に近いかもしれないです。例えば、クリーニング屋さんって街で見かけるじゃないですか。クリーニング屋さんの近くに暗渠が結構あったりするんですね。

石黒:へー。

羽田:それは、昔クリーニング屋さんがお洗濯で水をいっぱい使う時に水路から汲み上げて使っていたので、暗渠があるとか。

石黒:なるほど。

羽田:あと水路の近くにも暗渠があるだとか。そういうふうに暗渠を見ながらいろいろと街を眺めていくと昔の街並みみたいなものに想いを馳せることができたりとかして、そういう楽しみ方も暗渠にはあるんですね。街歩きと言うか、街探索に近いかもしれない。

石黒:タモリ俱楽部とかで暗渠特集とかやってタモリさんが喜びそうな話ですよね。

羽田:そうそうそう。著者の高山さんはテレビに出たり、「散歩の達人」に出たり、ラジオに出たり、暗渠の達人としてすごく活躍されているんで、暗渠も極めるとここまでいくんだなみたいな。本当にゆるい時間が流れている。それが本当に羨ましくてしょうがないって感じですね。忙しいビジネスパーソンにはそういう時間がやっぱりいるよなって。何かを失わないようにしないとなみたいな。

石黒:ありがとうございます。非常におもしろいお話を聞けました。

羽田:いえいえ。

石黒:渡部さんどうですか?

渡部:ロジカルシンキングだとか、効率よく結果を出すと言っているような前半戦とは打って変わって、後半戦は完全にスタイルが変わってきた感じで。

羽田:ふり幅が(笑)。

渡部:聞けて良かったですね。

羽田:すごく大事だと思いますね。これからの時代に大事なんじゃないかな。

渡部:ありがとうございます。では、今日は石黒さんの好奇心から「羽田さんお勧めの非ビジネス書」ということで3冊お勧めしてもらいました。最後にもう1回ご紹介しますけど、まず1冊目が『川べりの道』、鷺沢萠さんですね。

石黒:文春文庫の『帰れぬ人びと』に収録されています。

渡部:全てアマゾンリンクを貼っておくので、興味がある方はご確認ください。で、2冊目が『哲学思考トレーニング』、伊勢田哲治さん、最後が『まち歩きが楽しくなる 水路上観察入門』、吉村生さん、高山英男さん。高山英男さんの「中級暗渠ハンター(自称)」という肩書はちょっとおもしろいですね。この3冊をお勧めしていただきました。

羽田:ぜひ、読んでいただきたいですね。

石黒:みんなおもしろそうな本ですね。読みたいと思います。

渡部:では、羽田さんに2日間にわたり、ご出演いただいたんですけど、そろそろ締めていきたいと思います。最後に両日含めて羽田さんからまとめてリスナーの皆さんにメッセージをいただきたいのと、あとは再三の繰り返しになりますけれども、7/17に発売になりました『インプット・アウトプットが10倍になる読書の方程式』もぜひ、リスナーの方に読んでいただけたら嬉しいなと思います。ちなみに、石黒さんはあえて言っていないんでしょうか。結構おもしろい特典がついていて、これは目新しいなと思ったんですけど、その辺のご紹介はしなくてよろしいんでしょうか。

石黒:そうですね。本書をご購入いただいた方は、無料でこの本のオーディオブックを入手できます。1倍速はもちろんのこと、1.5倍速、2倍速、あとほとんど聞き取れないと思うんですけど、3倍速までご用意していますので、キンドル版でも紙版でも、巻末の方に案内のURLが貼ってありますので、そこにアクセスしていただければこの本のオーディオブックを入手することができます。もちろん、聞くだけでもいいですし、文字を追いながら聞くのでもいいですし、いろいろな使い方あると思いますので、ご利用いただければと思います。

渡部:羽田さんが読まれているわけではないんですね?

石黒:違います! 違います!

羽田:あれって人工知能か何かを使って読んでいるみたいな。

石黒:音声合成ソフトというものがあって、文字を入力すると音声化してくれるんですよ。

羽田:それ、僕も聞いたんですけど、すっごく人間の生声みたいな感じでしゃべっていますよね。びっくりしちゃった。

石黒:編集もしているんですけど。

羽田:そうなんだ。人間が読んでいるのかなっていうぐらいの。多分、言われなきゃわからないくらいじゃないかな。

石黒:はい。業界でも(書籍の特典でオーディオブックをつけるのは)初めてのことだと思うので。

羽田:そうですよね。

石黒:オーディオブックを1冊買うと3000円くらいすると思うんですけど、本を買うと手に入るのでめちゃくちゃお得です。

渡部:わかりました。ぜひ、石黒さんが作成したオーディオブックがついている、羽田さんの英知が詰まったこの1冊を皆さまに手に取っていただければなと思います。では、最後に羽田さんからリスナーの皆さんにメッセージをいただいて終わろうと思います。

羽田:はい。普通のビジネスパーソンですが、僕なりにコンサル会社だったり、広告代理店で学んだことをギュッと詰めこんだ1冊が、今回出た『インプット・アウトプットが10倍になる読書の方程式』という本ですね。多分、どの読書術の本にも書かれていないようなことが書かれているので、ぜひ手に取っていただきたいなと思います。以上です。

渡部:はい。では、羽田康祐さん、2日間にわたってご出演ありがとうございました。

羽田:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)

 

 [冨田1]文春文庫と言っているような・・・ご確認お願いします。

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