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#447【他社本研究】『売上の地図』(池田紀行・著/日経BP社)

このnoteは2022年7月27日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

売上は、複雑な要素が絡まってつくられる

今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める、今井佐和です。本日は「他社本研究」ということで、『売上の地図』(池田紀行・著/日経BP社)について、フォレスト出版編集部の貝瀬さんにお話をお伺いしていきます。貝瀬さん、よろしくお願いいたします。

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貝瀬:よろしくお願いします。
 
今井:こちら、「他社本研究」ということで、池田紀行さんの『売上の地図』をお選びになったきっかけというのは何かあったのでしょうか?
 
貝瀬:はい。実は著者の池田さんはトライバルメディアハウスっていう、マーケティング会社を経営している社長さんなんですよ。それでnoteを活発に書かれていまして、マーケティングに関する深い情報というか、記事を何本も書かれていて、前からおもしろいなと思っていたんですね。それで、このnoteの記事をまとめたら、ひょっとしてマーケティングの本がつくれるんじゃないかなと思って、ご本人に連絡してみたんですよ。そしたら、もうすでに日経BPさんで企画が進んでいるって言われてしまって、その1カ月後ぐらいに出たのがこの本なんです。それですごいのは、発売1週間でいきなり3刷で、マーケティングの専門書としては非常によく売れていて、異例の売れ行きなんじゃないかというので、もしかしたらフォレスト出版で出ていたかもしれないなあという、ちょっと未練がましい想いもありつつ……。
 
今井:(笑)。
 
貝瀬:ちょっと紹介してみたいと思いました。
 
今井:はい。こちらはどういった内容の本になるのでしょうか?
 
貝瀬:はい。『売上の地図』というタイトルにある通り、売上っていうのは、商品をつくっただけでもダメだし、それをお店に置いただけでもダメだし、宣伝しただけでもダメ。要はさまざまな要因が組み合わさって売上ってできていますよと。それを池田さんは20個挙げているわけですね。で、それぞれは「どういう構造になっていますか?」「組み合わせになっていますか?」と。例えば、要因でいうと、商品、売り場、ブランド、広告、メディア、今だとネット、SNSなんかも入ってきます。こういう要素が複雑に組み合わさって、それぞれが機能することで売上という数字ができますよと。だから、よくある企画だけよければいい、商品だけよければいい、あるいは商品がいまいちでも有名人をCMに出せばいいとか、そういう単純なものじゃないんですよっていう、一言でいうとそういう本ですね。
 
今井:歯車が回っていくためには、どの凸凹も大事だよ、みたいなところで、全体図がこの本に載っているということですかね。
 
貝瀬:はい。まさに地図というだけあって、その辺がよく書かれています。
 
今井:ちなみに貝瀬さんが特にここがおもしろいなと思った場所はありますか?
 
貝瀬:ネットがどれぐらい売り上げに影響を及ぼしているのか。もちろんこのご時世ですから、どんな業界であろうと、ネットの中で評判になりたい、あるいはSNSでバズりたい、それが売り上げに大きな影響を与えるということはわかっているとは思うんですけど、よくあるインフルエンサーマーケティングっていう、インフルエンサーにお金を払って宣伝してもらうっていうのもあるじゃないですか。そういうのも効果はゼロじゃないんだけど、持続性ってないよねと。瞬間風速になっちゃうよと。だから、その商品をきちんと市場に根付かせる、消費者の認知のある一角を占めるためにどういうことが必要か。例えば、ユーザー、お客さん自身が「ついこの商品はツイッターとか、インスタグラムで紹介したくなっちゃうよね」っていう。成功例で言うと、口コミだと受験生向けの企画で当たった「キットカット」とか。

▼【参考】「キットカット」受験生応援キャンペーン2025
https://nestle.jp/kitkat/juken2025

今井:はい。
 
貝瀬:あんなようなことなんですけど。企業側が資本を使って、大きなお金を使って、消費者を啓蒙するというスタイルがちょっと古いんじゃないかと。今はもうそうじゃなくて、ソーシャルメディア時代というか、社会自体がソーシャル化しちゃっていて、人々は、自分の関心のあること、おもしろいと思ったことを人に伝えたいし、それで伝えられた人っていうのは、自分が信頼している人がおもしろいと言っているのであれば、「じゃあ、見てみよう」みたいな。そういう自然発生的な消費者のニーズ、ムーブメントみたいな。そういうものが今はすごく重要なんじゃないですかっていうのを、特にこの本の中では言われていて、「うん、確かにそうだよな」というのが1つです。
 
今井:確かに。YouTubeとかでも、商品を紹介したりすることはありますけど、案件と言われていて、やっぱり見ている側は「どうせお金もらっているんでしょ? 本気でいいと思ってないでしょ?」っていう目で見ちゃうんですよね、きっとそういうものは。だからやっぱり消費者が自発的に「これいいよね」っていうのが大事なポイントなんでしょうけど、そういう仕組みをつくるのは難しそうですよね。
 
貝瀬:この本の中では触れられていなかったんですけど、別のマーケティングの本に出てきたのは、「ナラティブ」っていう言い方になるんですけど、消費者の隠れた欲求、「インサイド」とも言いますかね。そういったものを、本人が気づいていないものを、言語化してあげるような。だから、当然、何もないところに消費って生まれないので、人々がなんとなくもやっとしている、それをうまく表現しやすいかたち、キャッチコピーなのか、SNSの仕掛けなのかわからないですけど、そこをついてあげることで、隠れていた消費者の声がブワーッと上がってきて、口コミが発生するという、ちょっとややこしいんですけど……、すみません。
 
今井:ありがとうございます。
 
貝瀬:そんなようなことを、最近はマーケティングの人たちはよく言っていますね。

あらためて、ブランディングとは何か?

今井:ちなみに、この本には他にはどのようなことが書いてあったんですか?
 
貝瀬:あとはここ数年、よく話題に挙がるブランディングについて、強いブランド、弱いブランドってよく言われますけど、ブランドの強弱を決めるものは何かっていうと「想起」、要は「コーラ」って言われたら、もう「コカ・コーラ」、「ペプシ」よりも先に「コカ・コーラ」が浮かんできますよね。
 
今井:はい。
 
貝瀬:焼きそばって言うと、「ペヤング」、ないしは「U.F.O」が必ず出てきますよね。
 
今井:(笑)。
 
貝瀬:そのジャンルを聞いたら……、例えば今だったら、たぶん掃除機と聞いたら、「ダイソン」になるんじゃないですか。わかりませんけど。
 
今井:私は「ルンバ」が出てきますね。
 
貝瀬:そっか、そっか(笑)。だから、上位1位か2位を占めるための努力をしろっていうことを、池田さんの持論ではないですけど、よく言うんです。この本でも言っているし、noteにも書いてあるんですけど。要は、池田さんはダイソンの掃除機を使い続けているらしいんですね、この著者ご本人は。それはなぜかと言うと、「サイクロン」というのが最初はおもしろいと思ったと。それで、買ってみたと。それで、使ってみたら、真面目にすごかったと。メンテナンスであったり、吸引力が落ちないとかもすごい。そうすると、新しい機種が出たら、またダイソンを買うよと。それぐらいになると、それまでの間にまわりの人たちに「ダイソンの掃除機は快適」みたいなことを自然に触れて回るんですね。そうすると、それを聞いた人が「それっていいんだ」って。それで、100人に1人、10人に1人くらいが「池田さんがいいって言っていたし、買ってみるか」みたいな。そして、買ってみたら、本当によかった。そうすると、その人もダイソンのファンになると。
当然、元の商品がいいということは前提なんですけど。それで、ユーザーが参加していって、ファンがそのブランドを宣伝してくれる。その循環。そうすると、そのヘビーユーザー、ファンの人たちが新しいお客さんを引っ張ってくれるわけじゃないですか。それでブランドについて教育もしてくれると。そういう循環っていうのは、地道な作業なんだけど、やればできるんじゃないかと。その辺は、特に私なんかはずっと「本」という単発の商品をつくっているので、そういう視点ってなかったので、非常におもしろいなと思いました。
 
今井:ありがとうございます。ここまで『売り上げの地図』についてお話を伺ってきたんですけれども、こちらの本はどのような方におすすめでしょうか?
 
貝瀬:基本的には、ある程度大きい規模のメーカーの方かなと思うんですね、メインのターゲットは。まさに食品だったりとか、機械、家電、自動車。あるいは、それに準じるような関係の方だと思うんですけど。これは部分、部分、先ほども申し上げたみたいに、「ソーシャルメディアの使い方」とか、「ブランディングに対する基本的な考え方」っていうのがあるので、その辺の自分に必要なところをうまく使えば、ほとんどのお仕事で使えるところがいくつか見つかるんじゃないかなと思うので、とにかくマーケティングに悩んでいる、売上を伸ばしたいなと思っている、すべてのビジネスパーソンにはご一読いただきたいなと思ったりもしている次第です。
 
今井:ありがとうございます。本日は「他社本研究」ということで、『売上の地図 3万人を指導したマーケティングの人気講師が教える「売上」を左右する20のヒント』、池田紀行さんのご著書でした。本日は貝瀬さんにお越しいただきました。どうもありがとうございました。
 
貝瀬:ありがとうございました。
 
(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)
 

 


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