#10 成功するホームページ基本の型(2)~ 何をどう伝えるか? 最も大事な部分の話
こんにちは、佐藤昌弘です。
前回は、成功するホームページ基本の型として、
・1カラムであること
・トップページにお客さんの知りたい情報がすべて「チョイ出し」されてい ること
・お客さんの知りたい情報が知りたい順番に並んでいること
という話をしました。
今日はさらにつっこんで考えていきたいと思います。
まず、ホームページの中で最も重要な部分の話。
◆ファーストビューで「あ、期待できそう!」という気持ちにさせる
ユーザーがホームページにたどり着いたときに、最初に目に入ってくる画面のことを「ファーストビュー」と呼びます。
マウスを動かさず、スクロールせずに見えている画面のことです。
ホームページで最も力を入れたいのはこの部分。
ファーストビューはまさに第一印象をつくります。パッと見て「イケてないな」と思った人はすぐに立ち去ってしまいます。
適当なイメージ写真と商品名だけ、なんていうものにしたらもったいないですよ。文章と写真によって、商品の持ち味が伝わるようにつくる必要があります。
たとえば、名古屋にある「エヌドファイブ」(https://enudo05.jp)という美容院のホームページのファーストビューは、「店内写真」と「ヘアカタログ」が一定時間で切り替わるようになっています。
お客さんが最も知りたいお店の雰囲気と、ロングヘアの方々が目立つような写真配置にして見せています。
あまりキャッチフレーズなどは配置せず、シンプルに、ビジュアルイメージで訴えたい内容を伝えようと工夫してあるファーストビューです。
前回もご紹介した「佐藤建設」(https://shizen-ya.jp/)さんは、デザイン性の高い住宅の写真を、数多く見せるファーストビューになっています。
ファーストビューの写真は一定時間で入れ替わります。どれもデザイン性の高さがよく出ている写真。一見すると「これ、住宅なの?」と目を疑うような写真まで・・・。
デザイン性の高い家を建てたいと考えている人は、このファーストビューで、もうワクワクしてくるはずです。
ファーストビューをつくるときは、お客さんの「欲しい!」気持ちを引き出すことを意識しましょう。最初にアクセル全開になってもらうのです。
「こんなヘアスタイルいいなぁ、雰囲気も良さそう!」
「こんなデザインの住宅、素敵だなぁ!」
そう思った人は情報を詳しく見ていくでしょう。
#8のプロセス設計のなかで 、「強みを洗い出す」話をしましたね。その強みのなかでも、アクセルを踏むタイプの強みとブレーキをはずすタイプの強みに分かれると思います。
たとえば、「全額返金保証」とか「メンテナンス無料」といった工夫は、「欲しいけど失敗したらどうしよう」といったブレーキをはずすほうに効果的です。
こういった、ブレーキをはずすためのコピーを最初に持ってくるよりも、ファーストビューでは、「これは期待できそう!」とか「欲しい!」と思わせる「持ち味」を出したほうがいいのです。それは文章でくどくどと表現するよりも、ビジュアルで表現したほうがいい場合も多くあります。
◆なんでもビジュアル重視のかっこいいホームページがいいわけではない
いま例に挙げた美容院や建築会社は、ビジュアル重視のファーストビューでユーザーに訴えかけていました。
いっぽう、私の会社マーケティングトルネードのファーストビューは、文章多めです。
研修講師など、パブリックスピーチの講師もしていることがわかる画像や、本を書いている人なのだなとわかるように著書の画像を入れつつ、コンサルティングの特徴・強みを文章で表現しています。
こうすることで、「このサイトを、もう少しだけ見てみようかな」と思ってもらうことができたら、ファーストビューは成功なのです。
これはファーストビューだけでなくホームページ全体に言えることですが、「ビジュアル重視」か「文字重視」かは、伝えるべき内容によって変わります。どんな業種でも「ビジュアル重視のかっこいいホームページ」がいいわけではありません。
●美容院→ビジュアル重視
●コンサルタント→文字重視
というのは、みんななんとなく思うことでしょう。
それでは、これは?
●アレルギー体質専門の美容院
●商品パッケージのネーミング・デザイン専門のコンサルタント
アレルギー体質でパーマもカラーもできないという人のために、体質を考えたパーマ液、カラー液をそろえた専門の美容院があったとします。
この場合、伝えるべきは、このリクツの部分。商品パッケージのネーミング・デザイン専門のコンサルタントなら、「こういうデザインが得意ですよ」と文章で説明するよりもビジュアルで見せてしまったほうが早いでしょう。
つまり、ホームページにたどり着いたお客さんが「何を期待して見ているのか」です。その期待に応えるために、どんな情報があるべきなのかを考えるのです。
写真のほうが効果的に伝わるのか。文字のほうが効果的に伝わるのか。それとも、動画、イラスト、グラフ、図、フォントなのか・・・。
これらは伝え方(=HOW)の部分ですが、その前に、何を伝えるか(=WHAT)が重要です。
これを忘れてしまうと、うまくいっているライバル会社のホームページをマネしようとしてしまう。そして失敗します。
表面的な伝え方の部分をマネしてもダメなのです。
先ほどお見せした「エヌドファイブ」という美容院は、
●平日夜23時まで営業している
●ヘアスタイルがまとまり、手入れがラクなのでロングヘアに挑戦できる
●黒くなり過ぎず、明るめの色で白髪染めができる
という強みを伝えたいと考えていました。だからこそ、「平日深夜23時まで営業」はファーストビューの真ん中、ロゴの下にちゃんと入っていますし、店内写真、ヘアカタログ写真のすぐ下に「忙しくて諦めていたロングヘア、当店でなら叶います。白髪染めが黒すぎて嫌な方も、当店なら安心です」というコピーがあります。
同じ美容院でも、「美容室Powason」(http://www.powason.com/)は「40代の働く女性を10歳若返らせるヘアサロン」がWHATの部分です。
先ほどとは、雰囲気が違いますね。WHATの部分が違うから、伝え方も変わるのです。「エヌドファイブ」も「Powason」も、どちらも合格点のファーストビューだと思います。
◆“WHAT”を突き止めろ!
HOWの前にWHAT。
WHAT(=何を伝えるか)というのは、「お客さんが何を期待しているのか、期待に応える情報はどのようなものなのか」ということです。
これを突き止めておかなければなりません。
WHATを突き止めることは、#8のプロセス設計のなかでやった「強みの洗い出し」と通じます。
ターゲットが期待していることが「強み」になりますからね。特徴的なことでも、ターゲットにとって興味のないもの、不要なものは「強み」にはなりません。#8で強みの洗い出しをちゃんとやった人は、再度見直してみてください。
さて、WHATを突き止めるために、まず考えたいのは「お客さんにとってのメリット」です。
何ができるようになるのか、何が手に入るのか。お客さんが自分自身ではできず、また、競合他社では何か不満なところがあるから、あなたの会社に依頼するわけです。それはあなたの会社の強みに違いありません。
ですから、こんな質問で考えてみてください。
「当社のお客様は、ライバルへスイッチせず、当社をご愛顧してくれているのは、当社のどの部分を高く評価・期待してくれているからか?」
その答えが、お客さんが期待していることであり、あなたの会社の強み。WHATです。それは1つではないかもしれません。いくつかの要素が組み合わさっていることはよくあります。
WHATによく含まれるものをリストにしておきますので、参考にしてください。
●もれなくもらえるモノ
●工夫(当社ならではの様々な工夫)
●実績の多さ(安心感)
●マスコミ取材歴(評判の高さ)
●受賞歴、表彰歴、ランキング、特許、免許(良さの証明)
●有名な人が使っている事実(高評価)
●想い、ストーリー(共感)
私のクライアント企業で、WHATを突き止めてホームページを改善した結果、ライバル会社を追い抜き、売上日本一になってしまったところがあります。
もちろん詳しくは明かせませんが、本当にそういうことが起こるのです。
どうやって突き止めたのかと言えば、いまお伝えした通り「当社のお客様は、ライバルへスイッチせず、当社をご愛顧してくれているのは、当社のどの部分を高く評価・期待してくれているからか?」という質問によってです。
これをせずに、成功しているライバル会社のホームページをマネしたところでうまくいきません。
ライバル会社のホームページをマネしてつくって、たとえ問い合わせが増えても、成約率は下がります。
本当の持ち味からズレたところに反応してやって来たお客さんは、「あれ? 違った」とガッカリするでしょう。
問い合わせ対応だけ増えて売上は上がらないのですからマイナスですね。そういうことにならないよう、WHATを突き止めてからHOWを考えるようにしてください。
今回はホームページの核心に触れる話をしました。
ここまでできれば、かなりいいホームページの骨格になるはずです。
でも、まだ終わりではありません。多くの人が気を抜いてしまいがちだけれど、大事な部分が残っています。
次もぜひチェックしてくださいね。次回でホームページの話は最終回です。
それでは、また。
編集部より こちらの連載は毎週水曜日に配信いたします。次回は3月24日です。よろしくお願いいたします。
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