自分に合った「ロールモデルの見つけ方」のコツ
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
自分を成長させる方法として、自分の見本となるような人物を見つける、いわゆる「ロールモデル」を見つけることは、重要な選択肢の1つです。
自分に合った「ロールモデル」を見つけるにはどうすればいいのか?
その基準は?
その基準に満たしているかどうかを見抜く方法は?
そもそも、どのような目的でロールモデルを見つければいいのか?
単に「自分に合ったロールモデルを見つける」と言っても、そのために必要不可欠な要素がいくつか存在します。
気鋭の経営コンサルタント、森貞仁(もり・さだまさ)さんは、新刊『あの人の「才能」をトレースする技術』の中で、「観察力」という章で、自分に合ったロールモデルを見つけるためのコツについて解説しています。今回のnoteでは、その対象箇所を抜粋して公開します。
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「観察」の心得
「分析」「真似」の対象者を選ぶ
第1章では、「観察」についてお話しします。
第2章以降で「分析」や「真似」のフェーズに進んでいくわけですが、自分の挑戦に対する成功確率を上げ、効率的に成功へと近づいていくためには、手あたり次第に分析したり真似をしたりしていても、仕方ありません。
「観察」とは、「分析」「真似」の〝対象者〟として、どんな人を選べばいいのか。それを見極めるための過程だと考えてください。また、観察を通して対象者の考え方や行動を知ることが、先のフェーズに進んだときの土台にもなります。
それに、対象者を選ぶこととは別の視点でも、観察は大事です。
社長や上司がどのようなことを考えているかを知らなければ、組織の中で自分のポジションを築いていくことはできません。将来協力関係になる仲間を探すときや、組織拡大のために人を雇う場合にも観察が必要になります。
ビジネスを通して出会う人すべてに対して、「観察」は必要だと言えます。現在のためにも、将来のためにも、普遍的に通用するスキルを手に入れましょう。
人の「印象」を分解する
「観察」では、簡単に言えば、どんな人をお手本にすべきか、どんな基準でその判断をすべきか、ということを見ていきます。
しかしこれを実際に考えてみると、結構難しい。なぜなら、人は他人に対する評価を、全体的なイメージで決めている場合が多いからです。
分析や真似の対象者として、どんな人が適切か。読者のみなさんはどのようにイメージするでしょうか。「仕事のできる人」「優しい人」「頭のいい人」、いろいろあると思います。
しかし、何をもって仕事ができるのか、優しいのか、頭がいいのかと考えるとどうでしょうか。はっきりと条件を並べることはできないでしょう。それでは、どんなところを真似すれば再現性が高まるかがわかりません。
詳しくは本章を通してお話ししていきますが、対象者の基準をざっくり言うと、
「仕事で成果を出している人」
「標準的な人」
「人間的に嫌だと感じない人」
です。これらの基準に対して、細かく条件を説明していきます。
そして、その条件には「客観」と「主観」が含まれます。
「仕事で成果を出す人」「標準的である人」の部分では、客観的に評価していくことが大事です。自分の好き、嫌いが入ると冷静に判断できません。そのうえで、最後には自分が相手をどう感じるかが大事になってきます。そこでは客観性を捨てて考える必要があります。
この順番が大事です。いきなり主観で判断しようとすると、どうしても感情的な判断が入ってしまい、冷静な評価ができません。客観だけで見てしまうと、自分に落とし込むことができません。
多くの場合、他人の評価は線引きが曖昧です。いろいろな要素が複雑に絡んで、その人の印象を全体的に判断している。それを解きほぐしていくところから始めましょう。「印象」を分解していくのです。
最低限の知識を得ておく
対象者選びの条件として、具体的には、その人の外見や言動を見ていきます。そしてそれらを評価するためには、こちら側にもある程度の知識が必要です。
例えば、誰かの言葉遣いを評価するためには、こちらも常識的な言葉遣いを知っていなければいけません。常識性を判断するためには、こちらも常識・非常識の違いがわからなければいけません。
あるいは、外見を評価するためには、今世の中ではどんなファッションがはやっているのか、どんな客層に向けてどんなブランドがあり、それらの商品はどれくらいの値段で売られているのか、基本的なところは押さえておく必要があります。
無理に勉強する必要はありませんが、最低限の知識は持っておきたいものです。
本を読んで、社会人として恥ずかしくないくらいの常識は身につけておく、雑誌などを見てファッションの流行をチェックしておく。それが周囲から見た自分の評価にも影響することになります。
【STEP1】対象者選びの大前提を知る
目的により観察対象は変わる
何を目的にするのかによって、「分析」や「真似」の対象者は変わります。具体的な対象者選びとして、大枠から考えてみましょう。
私の場合、「分析」「真似」の対象となる人のコンサルティングを受けるために、仕事を辞めました。思い切って大きなチャレンジするのもいいと思いますが、やはり会社や身近な関係性の中で考えるほうが無難だと思います。
「分析」を経たあとの「真似」というフェーズを考えると、立場の離れた人ではあまり意味がありません。実行動で考えたときに、自分がすることと社長がすることでは大きく違うからです。それを真似しようと思っても無理です。年齢の近い先輩や、一つ上の役職の人を観察すべきです。
しかし、自分のたどり着きたい最終地点は、先輩ではありません。考え方や物事のとらえ方、主義、思いという面では、より高く対象を選ぶべきです。大きな思考枠という意味では、社長をトレースできる可能性もあります。
それに、「分析」「真似」は一回やったら終わりということではなく、自分のいるステージが上がる中で常に繰り返していくことになります。最初は雲の上にいるような人であっても、いずれ実行動としての真似をすることになっていきます。
また、会社の中でポジションを高めていこうとするのであれば、自分はトップの意向を実現するピースとして存在していることを認識しなければいけません。
トップがどう考え、何を優先しているかがわかっていなければ、おかしな方向に進んでしまいます。社長は「森を大きくしたい」と考えているのに、自分は「海に出るために頑張っている」のであれば、いつまで経っても立場は良くなりません。それを防ぐためにも、トップの観察や分析は必要です。
第一条件は「結果を出している人」
大前提として、対象者は「仕事で結果を出している人」です。
「人生で仕事が一番大事」「結果がすべて」だとは言いませんが、本書のノウハウの目的は、ビジネスとしての結果を出すことです。当然、参考にすべきなのも結果を出している人です。口でどんなにそれらしいことを言っていても、結果を出していない人は除外です。
仕事の協力者や将来的なビジネスパートナーを探すための分析であっても、自分にメリットをもたらしてくれる相手でなければいけません。この場合も、やはり力のある人、特に自分が不得意なことに対する能力を持っている人です。
まずは数字でわかる部分を見ていきましょう。
簡単なところでは、相手が会社員であれば月収、経営者であれば会社の売り上げです。他にも販売実績や顧客数。チームを率いる立場であれば、部下の成績、チームの成績。それらが高ければ高いほどいい。それ以外にも基準はありますが、いったんここを大枠として考えましょう。同じ会社にいる人であれば、ある程度のことはわかると思います。
実態をしっかりと確認する
ただし、表面上の数字を鵜呑みにしてしまってはいけません。
まず単純に、嘘をついたり見栄を張ったりしている場合もあります。先輩が「俺は人より高い給料をもらってるよ」と言っていても、実際の金額を教えてくれない限りは、本当かどうかはわからないわけです。その点、営業成績などであれば嘘はつけません。裏付けの取れる数字を見ていきましょう。
一見、結果を出しているようだけれど、その条件下での偶然性が働いている場合もあります。例えば営業マンが大口の顧客を先輩から引き継ぎ、売り上げが多くなっている。あるいは売り上げ成績はいいけれど、よく見てみるとチームとしての動きが大きく影響していて、本人の能力はそこまで関係していないケースもある。大きな結果を出しているけれど、ずっと昔のことだという場合もあります。
また、対外的な要素が働いている場合もあります。
例えば、新型コロナ禍で大きく売り上げを落とす業界や、逆に恩恵を受けた業界もあります。マスクや消毒薬、家具、テイクアウトの食品などは、普段より売りやすくなっているはずです。
これらの要素が強ければ、真似をするには適さないでしょう。その個人が自分の力で確実に結果をしているという事実が大事です。
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いかがでしたか?
自分に足りない才能、あったらいいなと思う才能――。誰しもが持っている欲であり、願いでもあります。そんな他人の才能を自分にものにする、トレースすることができるなんて!
その夢のような話を具体的かつ実践的に落とし込んだのが著者の森さんです。
昔から「学ぶ=真似ぶ」といわれますが、まさにそれを具体的な思考法と実践法として提示しているのが新刊『あの人の「才能」をトレースする技術』です。
多くの人は、「真似する」ことを嫌い、「オリジナリティ」にこだわりがちです。ところが、本書を読んでいると、「オリジナリティは、マネをした後に勝手についてくる」ことがよくわかります。興味のある方はチェックしてみてください。
▼同書の「はじめに」「目次」を全文公開
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