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これからの仕事に求められる「パーパス人間」とは?

こんにちは。フォレスト出版の美馬です。

先週にひきつづき、新刊『自分の価値のつくりかた』(安田雅彦)から、本日は「パーパス」について詳しくお伝えしていきます。

▼先週までの投稿はこちら。

「パーパス経営」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

高度経済成長期における日本の企業経営は、良いモノをつくり、売り、良いサービスを提供することによって利益が上がり、その利益を社員に還元することでみんなハッピーになるという仕組みで成り立っていました。

企業もつくればモノが売れていたので、つくりたいモノをつくることができましたし、自社の利益を中心に経営理念を掲げていれば問題なかったのではないかと思います。

しかし、近年、経営理念以上に「パーパス」が企業に求められるようになりました。モノが溢れかえった世の中ではモノは売れなくなり、一方で環境問題や社会問題が取り沙汰され、SDGs(持続可能な開発目標)という概念が重視されるようになりました。

安くて品質の良い製品やサービスを提供することは大前提として求められつつ、それらが社会にどのような良い影響を与えているのかという社会的価値が問われ、そこに共感が得られなければモノやサービスが売れず、人材も集まらないため企業が安定成長できないという、ある意味世知辛い世の中です。

こうした時流に合わせて「社会にどのような良い影響を与えているのか」「どんな社会をつくりたいのか」という理念を中心においた経営をしている企業が増えており、その経営の仕方は「パーパス経営」と呼ばれています。

本書の著者・安田雅彦さんは、これからの時代、この「パーパス」の考え方を一社員、一個人も持って働くことが必要だと述べています。どういうことなのでしょうか? 安田さんは次のように解説しています。

(前略)
 数字的な成長はあくまで「結果」です。自社の業績が伸びると世の中にどんな変化が起きるのか、誰にどんな価値を提供できるのか、それを「パーパス」として言語化し、忠実に経営をしていきます。
 パーパス経営をする企業に勤める人は、自社のパーパスに共感し、「自分が世の中に提供したい価値」と「企業が世の中に提供したい価値に接点がある」という状況で働くのが理想とされています。
 なぜなら、そこが共通していればエンゲージメント(自社に対する「愛着」や「思い入れ」などの意味。社員の企業に対する貢献意欲や業績の向上につながるため、社員エンゲージメント向上は経営における重要課題の1つに数えられる)、すなわち「明日もここで働きたい」という気持ちが強くなり、企業にとっても企業に属する人にとってもWin-Win の関係をつくり出すことができるからです。それが「頑張ろう!」という理由になります。
 つまり、パーパス経営が企業に求められるように、個人にもパーパスを持って働くことが求められています。具体的には、あなた自身が「社会や世の中にどのような良い影響を与えているのか」について考え、さらに「今後どのような価値を世の中に与え、どんな社会をつくりたいのか」をつねに意識して働く必要があるということです。
 この考えを自分自身の中心に据えて働く人、すなわち自分のパーパスを明確にして働いている人を、私は「パーパス人間」と呼んでいます。

安田雅彦『自分の価値のつくりかた』より

では、自分のパーパス(どのような価値を生み出し、世の中にどのような変化を与えたいか)を考えるにあたって、まずは何を考える必要があるのでしょうか?

本書によると、自分の「欲望」「仕事」「価値」を深く考察して、これらの相関関係を見出す必要があるとしています。これにより自己理解が進み、あなたのパーパスがより自分に合ったものになるとのこと。

ではその方法を見てみましょう。

★「欲望」の見つけかた

「欲望」と「仕事」に、さらに「価値」を結びつける前に、あなたの欲望、すなわち本当にしたいことの探し方を考えていきます。
 そもそも欲望とは何でしょうか? 広辞苑第七版(新村出/岩波書店)によれば、欲望とは「ほしがること。また、ほしいと思う心。不安を感じてこれを満たそうと望む心」とされています。
 たとえば、「お金がほしい」「彼女(彼氏)がほしい」「美味しい物が食べたい」などは、いずれも何か(お金、彼女・彼氏、美味しい物)が不足していて、その状況を埋めようとしている状態です。どれも短期的に実現できそうな欲望です。そうした欲望も大事なのですが、今回考えてほしいのは長期的な欲望です。「老後は遊んで暮らしたい」「毎日健康で幸せに過ごしたい」「日々成長し続けたい」といった人生を通した欲望です。「あの人って優秀だよねと言われる人材になりたい」とか「友人にいつも囲まれてワイワイ生きていたい」などでもOKです。今はその状態になれていないけれど、いずれはそうなりたい自分を考えられるだけ考えて、書き出してみましょう。
 ここでのポイントは、自分の欲望に忠実になることです。「こんなこと恥ずかしくて書けないよな」とか「世間体が悪いから書かないでおこう」とか、そんなことは一切気にしなくていいので、自分の心に素直になって考えてみてください。
(中略)
 欲望を書き出せたら、次に「その欲望をどのように実現したいか」を考えましょう。私には「お金がたくさんほしい」という欲望もあります。この欲望について深く考えてみます。
 そもそも、お金を手に入れる方法はいくつもあります。宝くじを当てるのもそうですし、仕事でキャリアアップしながら年収を上げていくのもそうですね。極論を言えば、強盗や詐欺などで手に入れることもできます。
 ただし、私は普通の人間なので罪を犯してまでお金を手に入れることはしたくありません。また、宝くじで得たお金で裕福になるのも何か違う気がします。それでは満足できなさそうだからです。じゃあどのようなお金なら満足できるのかと考えてみると、仕事で良い結果・成果を出した対価として得られるお金で裕福になりたいという結論に至ります。

安田雅彦『自分の価値のつくりかた』より

★「欲望」と「仕事」を紐づける

 では、さらに一歩進んで「欲望を仕事で満たす方法」について考えてみます。
 たとえば、あなたが誰にも縛られず、自由に働きたいという欲望を持っていたとします。しかもそれを趣味であるヨガのインストラクターの活動で実現したいというビジョンも持っています。できれば、その業界でも有名になり、動画番組出演や出版もしたいという思いに至ったとしましょう。
 この欲望は一見(仮にあなたが一般的な会社勤めだとして)、今のあなたの仕事で満たされることはなさそうです。それでも「風が吹けば桶屋が儲かる」と考えるくらい強引でいいので、無理やり結びつけてみてください。
「誰にも縛られず自由に働く」ために、「ヨガインストラクターとして世の中に認知される」ために、今の仕事や環境でできることが、何かないかを真剣に考えるのです。

 ・ 自由に働くには独立・起業が必要だから、そのための支援がスムーズに得られるようにミーティングのプレゼンテーション能力を上げたい。積極的に営業施策の提案を行なおう。
 ・ 職場内のコミュニケーション向上の一環としてヨガサークルをつくって、同僚に無料のヨガレッスンを実施してみる。それをヨガインストラクターとしての経験にしよう。

 このように、こじつけでもいいので、欲望と仕事を関連づける方法を考えてみてください。そしてそれを実行してみてください。すぐに結果は出なくても、「あなたが欲望を実現する未来」への架け橋になってくれるはずです。

安田雅彦『自分の価値のつくりかた』より

★「価値」の見つけかた

 自らの欲望を知り、欲望と仕事を結びつけることができたら、次はあなたが世の中に対してどのような「価値」を与えられるかを考えてみます。
 言い換えれば、あなたは今の仕事を通して、社会に対してどのような役に立っているのか? ということです。役に立っているかどうかわからないのであれば、どんな影響を与えているのか? でもかまいません。
 とはいえ、いきなり社会に対してというのも漠然として捉えどころがないので、まずは目の前の人や組織に対して、仕事でどのように役に立っているのか? 影響を与えているのか? ということから考えてみましょう。
 私の今の仕事は人事コンサルタントです。主に中小企業の企業理念、組織文化、戦略人事、そして人事制度の策定や改革に携わっています。その会社の人事部長になったつもりで、社員のコーチングやエンゲージメントの向上も重視してじっくり腰を据えて向き合っています。
 その結果として、「明日もここで働きたい」「ここで働けて良かった」と社員の皆さんに思ってもらえるような労働環境づくりをサポートしたいと考えています。生き生きと社員の皆さんが働けるようにすることで、その会社の離職率は下がり、結果的に会社は活性化するはずです。業績も向上するでしょう。その時に初めて、私は誰かの役に立ったと言えるわけです。当然ながら、仕事でそうした成果を上げてチヤホヤされ、お金を稼ぐことが私の欲望です。
 飲食店で働いている方なら、美味しくてボリューム満点の食事を提供することで、誰かの心と空腹を満たすことに役立っていますし、いつも丁寧な接客を心がけているなら、その笑顔が誰かの心を癒すことに役立っています。まわりと比較する相対評価ではなく、自分自身が「役に立っている」と思うことができればそれで良いのです。
 どんなに小さいことでも良いですから、あくまでもあなたの基準で書き出してみてください。すると、あなたが思っている以上に自分は人の役に立ち、価値のある仕事をしていることに気づくと思います。

安田雅彦『自分の価値のつくりかた』より

このように、あらためて「欲望」「仕事」「価値」について考えてみると、今まで気がつかなかったポジティブな側面が見えてきますよね。

より質の高いパーパス人間になるために、じつはこのあと「欲望」「仕事」「価値」をさらに紐づけるための方法があるのですが、ご興味があればぜひ本書を手に取ってみてください。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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