【全文公開】話し方で、男は決まる(櫻井 弘・著)
話す「内容・テクニック」より、
話すときの「意識」
「話し方」というと、
「論理的に話す」「しっかり伝える」「話す内容」
が大切だと思っている人が多いでしょう。
もちろん、話すテクニックや声、
話す内容の面白さもあるに越したことはありません。
ただ、こうしたスキルやテクニックをいくら磨いても、
「あるもの」がなければ、
せっかく身に付けたスキルの効果は半減してしまいます。
その「あるもの」とは……、
相手に対する「意識」です。
◎相手は、自分に何を求めているのだろう?
◎この話の目的は、何だろう?
◎どうしたら相手は喜んでくれるだろうか?
◎この言い方をしたら、相手はどう思うだろう?
◎相手は何を認めてほしいのか?
◎ちょっと緊張しているのかな?
◎今日は何か嫌な(うれしい)ことがあったのかな?
などなど、
相手の思いや考えを想像し、
それを意識してコミュニケーションを取れるかどうかで、
あなたの説得力や、相手に与える印象が大きく変わります。
相手の感情に意識が向けることができれば、
おのずと
「モノの言い方」「言葉の選び方」はもちろん、
「表情」「しぐさ」「間の取り方」
「ネタの拾い方」「話題の広げ方」
なども変わってきます。
今まで身につけてきた
コミュニケーション・スキルも
さらに効果を発揮するはずです。
特に男性は、
その「意識」ひとつで、
相手の印象が大きく変わります。
【お客様】【上司・部下】
【女性】【家族】【友人】
といった人間関係がどんどんよくなります。
「人間関係をよくするコミュニケーション」という観点から、
相手の感情に意識を向けるための
ポイントを27にまとめたのが本書です。
著者が話し方講師として
30年以上にわたって培ってきた経験や、
受講生の悩みから導き出したエッセンスを凝縮した1冊です。
相手に思わず
「この人、大人だな」と言わせる
男のコミュニケーション術、満載です。
【主要目次】
第1章 魅力的な男は、この「基本」を知っている
第2章 会話は、「意識」が9割
第3章 男の魅力が上がる「話し方」
第4章 男の魅力が上がる「聞き方」
第5章 男の魅力は、「日常」のコミュニケーションで決まる
【著者プロフィール】
櫻井 弘(さくらい・ひろし)
(株)櫻井弘話し方研究所代表取締役社長、(株)話し方研究所顧問。コミュニケーションの原則に基づいた、日常の話し方・聞き方を発信・指導をしている「話し方・コミュニケーション」の第一人者として知られる。製薬、金融、サービス、IT 関連等の民間企業をはじめ、人事院、各省庁、自治大学校、JMA などの官公庁、各種コミュニケーションに関する研修を手掛け、研修先は1000 を超える。ベストセラー『大人なら知っておきたい モノの言い方サクッとノート』をはじめ、著書累計部数は180 万部を超える。今まで多くの研修・講演、受講生の悩みを通して導き出した、男のためのコミュニケーション本としてまとめたのが本書である。
著者HP http://www.sakurai-hanashikata.com/
*
はじめに
──―大切なのは、話す「テクニック・内容」より、話すときの「意識」
こんにちは、櫻井弘です。
この本を手に取っていただきありがとうございます。
あなたのまわりに、
「素敵な雰囲気を持っているなぁ」
「なぜか、あの人の言うことには説得力がある」
「男として、魅力的なオーラを感じる」
「心に余裕がある人だな」
「みんなに好かれている」
「奥さんや子供からも愛されていそう」
「あの人が、自分の上司だったらいいのに……」
などと思える魅力的な男性はいませんか?
ひと言で言えば、「あの人は、大人だな」と思える人です。
お客様、上司・部下、友人、女性、家族など、仕事やプライベートの人間関係をうまくやっている男性です。
「そんな完璧な男なんていないでしょ?」と思っているあなたから見て、男性として魅力的だなと思える人でもOKです。
その男性は、どんな話し方をしていますか?
どうしても思いつかないという人は、あなたから見て魅力的に映る男性の話し方を想像してみてください。
ロジカルに話す、おもしろい話ができるというものもあるかもしれませんが、「表情」や「しぐさ」「間の取り方」「ネタの拾い方」「話題の広げ方」などが魅力的なのではないでしょうか?
「話し方」というと、「論理的に話す」「しっかり伝える」、そして、「話す内容」が大切だと思っている人が多いかもしれません。
もちろん、話すテクニックや声、話す内容も、スキルがあるに越したことはありません。私も、今までに書籍や講演・研修の中でも、そのようなスキルをお伝えしてきました。
ただ、こうしたスキルやテクニックをいくら磨いても、「あるもの」がなければ、せっかく身に付けたスキルの効果は半減してしまいます。
その「あるもの」とは、相手に対する「意識」です。「想像力」と言い換えてもいいかもしれません。
相手は、自分に何を求めているのだろう?
この話の目的は、何だろう?
どうしたら相手は喜んでくれるだろうか?
この言い方をしたら、相手はどう思うだろう?
相手は何を認めてほしいのか?
ちょっと緊張しているのかな?
今日は何か嫌なことがあったのかな?
などなど、相手の思いや考えを想像し、それを意識してコミュニケーションを取る必要があります。
なぜ、相手の感情に気を配る必要があるのか?
それは、人間が感情を持つ生き物だからです。
テクニックばかりに目を向いてしまうと、相手の感情への配慮が疎かになりがちです。
どんなに正当な理由があっても、感情のレベルで納得できなければ、相手はあなたに対して心を開くことはなく、あなたの意見も聞いてくれないのです。
しかし、相手の感情に意識を向けるだけで、話し方や聞き方のスキルがそれほど高くなくても、話す内容が拙いものであっても、相手はあなたに心を開き、あなたの意見も聞いてくれるはずです。
相手の感情に意識が向けることができれば、おのずと「モノの言い方」や「言葉の選び方」はもちろん、「表情」「しぐさ」「間の取り方」「ネタの拾い方」「話題の広げ方」なども変わってきます。今まで身に付けてきたコミュニケーション・スキルもさらに効果を発揮するはずです。相手の感情に「意識」を向けることは、コミュニケーション・スキルのインフラとも言えます。
特に男性は、その「意識」ひとつで、相手の印象が大きく変わります。
「相手の感情に意識を向けるなんて、そんな難しいことできるわけないよ」と思っているあなたは、その意識を向けるためのポイントを知らないだけ。コツをつかめば、誰でも簡単にできるものです。
本書では、「人間関係をよくするコミュニケーション」という観点から、相手の感情に意識を向けるためのポイントを27にまとめています。話し方講師として、30年以上にわたって培ってきた経験や、受講生の悩みを通して導き出したエッセンスを凝縮しました。
ぜひ本書を読んで、話すときの意識を変えるだけで相手の印象が変わることを、あなた自身で体験してみてください。
櫻井 弘
第1章 魅力的な男は、この「基本」を知っている
魅力をつくる「3つの力」を知っている
魅力は「三力」
コミュニケーションにおける「魅力(みりょく)」とは、「三力(みりょく)」とも言い換えられると考えています。魅力を上げるためには、3つの力が必要だからです。「3つの力」とは、「思考力」「行動力」、そして「言語力」です。
それぞれの力について、必要な理由と考え方をお伝えしていきます。
1つ目は、「思考力」です。
たとえば、相手に何かを説明するときに、「具体的な説明」ができなければ、相手にハッキリと伝わりません。
逆に言えば、「具体的に説明するためには、具体的な思考が前提でなければならない」ということです。
同じように、「肯定的に伝えるためには、肯定的な思考」が必要になってきます。また、論理的に話さなければならないときには、「論理的な思考」が前提となってくるのです。
つまり、しっかりと聞いて、話して、伝えるためには、「しっかりと考える」という「思考」が前提条件になるわけです。
「口動」と「考動」が行動させる
次に「行動力」です。
「考えてから行動するか?」「行動してから考えるか?」あるいは、「考えながら行動するか?」「行動しながら考えるか?」
そんなことを考えているうちに、相手や状況はどんどん変化してしまいます。
つまり、「行動力」のキーワードは、「スピーディーに」「速やかに」が挙げられます。
そのためには、考えながら行動したり、行動しながら考えるという「同時進行」が重要です。つまり、「思考」と「行動」はセットになっていなければいけません。
「頭ではわかっているつもりでも、行動に移せない」という場合があります。
たとえば、電車に乗って座っていたら、年配の方が目の前に立ったとします。70歳にはなっていないように見受けられます。席を譲るか、譲るまいか迷っているうちに、声をかけるタイミングを失い、ごまかすようにスマホをいじるしかなくなった。
こうなると、周囲を気にしたり、声をかけるタイミングを失って、気まずい思いをする、あるいは、後悔するという結果になりかねません。
これは言ってみれば、「あいさつ」と同じようなもので、日頃から行動して、習慣になっている人は、「いつでも、どこでも、誰にでも」気軽に席を譲ることができるはずです。
すなわち、日常的に思考と行動は、「セット」になっているのです。
コミュニケーションという観点から考えると、「行動」の中には、口を動かす言語活動としての「口動」という行為も必要になってきます。
すなわち「言語力」です。
朝一番のあいさつにもかかわらず、ボソボソッと暗く低い声で「おはようございます……」などとあいさつしたら、相手は、「何だ朝っぱらから暗い声であいさつして……。感じ悪い、気分が悪い」というマイナスの印象を抱きます。そうなれば、相手からの返事も返ってこないかもしれません。
3つの力が揃って初めて、相手に伝わる
「気持ちは、態度や声に現れる」と言われます。気持ちが暗ければ、声も暗くなるし、お辞儀も暗い感じになるはずです。
実際に、「相手に確実に届くあいさつ」をするなら、「言葉に心を込めて行動する」ことが求められます。
このことを私は「3つのコ」と呼んでいます。「言葉(コトバ)」「心(ココロ)」「行動(コウドウ)」です。そう、「言語」「思考」「行動」です。
いずれにしても、これら3つが揃って、かつバランスが取れていなければ、相手には伝わらないことをしっかりと認識して、理解し、身につける必要があります。
たとえば、「謝罪」の場面を思い浮かべてみてください。
たとえ「申し訳ございません!」とすまなそうな語調で頭を深々と下げていたとしても、もしポケットに手を入れたままだったら、相手は「何だ、その態度は!」と不快に思うでしょう。
いわゆる「言行不一致」の状態です。
この場合、相手に不信感や不快感、懐疑心といったマイナスの感情を抱かせてしまいます。
したがって、「言語力」「思考力」「行動力」の3つの力がバランス良く、しかも違和感なく相手に届いていることが、人間同士のコミュニケーションにおける大前提となります。
魅力的な男は、この3つの力の重要性をよく知っています。
3つのプロセスで、話を進める
あの男が、「レディファースト」をスムーズにできる秘密
欧米では「レディファースト」が当たり前になっています。
レストランに入るときも出るときも、女性を優先的に誘導し、ドアがあれば開けてあげます。椅子に腰掛けるときも、奥の席に先に座らせます。
重い荷物を持っていたならば、代わりに持ってあげます。電車の中で網棚から荷物を下ろすときも、先に立ち上がって荷物を取ってあげます。
つまり、何をやるにも、女性優先というわけです。
それを実践するためには、大事なプロセスがあります。
相手を「認識」して「理解」し受け入れ、相手を人間として「尊重」するという3つのプロセスです。それでは、それぞれについて解説していきましょう。
相手を「認識」する──プロセス①
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