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#260【ゲスト/哲学】哲学系YouTuberという生き方

このnoteは2021年11月25日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。


哲学系YouTuberのじゅんちゃん

渡部:フォレスト出版チャンネル、パーソナリティの渡部洋平です。今日は、編集部の石黒さんとともにお伝えしてまいりたいと思います。石黒さん、よろしくお願いします。

石黒:よろしくお願いします。

渡部:はい。今日は、哲学というテーマで、とあるゲストの方に来ていただいています。石黒さんから、ゲストをご紹介していただいてもいいでしょうか?

石黒:はい。哲学系YouTuberとして、「哲学入門チャンネル」を運営している、じゅんちゃんです。

渡部:はい。じゅんちゃんさんなのか、じゅんちゃんなのか。じゅんちゃん、よろしくお願いします。

じゅん:よろしくお願いします。

石黒:実はこのじゅんちゃん、YouTuberである前に、フォレスト出版の著者でもあったんです。その縁で、今回、ご出演をしていただいております。

渡部:はい。僕はこの話を聞いた時に、「“じゅんちゃん”なんていう人が本を出していたかな?」って思ったんですけど、聞いたことがなかったですね。

石黒:その辺りは後ほどご説明させていただきます。

渡部:はい。ということで、今日は哲学系YouTuberじゅんちゃんをお迎えしまして、YouTube活動を始めたきっかけや、人気チャンネルになった秘訣なんかを聞いていきたいと思います。現在、YouTuberとして活躍している人、これからYouTuberを目指したい人にはとても参考になるんじゃないかなと思っておりますので、是非最後までお付き合いください。では、改めまして、じゅんちゃん、よろしくお願いします。

じゅん:よろしくお願いします。

渡部:先ほど、じゅんちゃんが、フォレスト出版の著者だって聞いたんですけども、出てこないんですよね。

石黒:はい。実はですね。“じゅんちゃん”名義ではなくて、“北畑淳也”名義で世界の思想書50冊から身近な疑問を解決する方法を探してみたという、めちゃくちゃ長いタイトルの本なんですけど、これを2019年に出版されていて、当時はまだ20代だったんですよね?で、ブログを書かれていて、YouTuberに転身された時は、びっくりしました。ちなみに今もまだ20代ですか?

じゅん:今、29です。

石黒:おわ!まだ20代なんですね!まだ20代とは言え、本を出した時と現在では、やっぱりプロフィールも変わっていると思うので、じゅんちゃん、軽く自己紹介をお願いできますか?

じゅん:はい。プロフィールはそんなに変わってないんですけど、今はちょっと大阪じゃなくて、東京周辺でYouTuberをやっていまして、大学を卒業して、色んな本を読んで、それをブログとかに書いていて、本を書くきっかけをいただいて、その後、ブログよりもYouTubeの方が面白いかなと思って、動画の世界に転身したみたいなのが、簡単な自己紹介になります。

石黒:なるほど。今、お聞きになっているリスナーの方もそう思われるかもしれないんですけど、掴みどころがないというか、そんな感じがするんじゃないかなと(笑)。僕が初めてお会いした時も、ゲストハウスを泊り歩いていて、特にアパートとかマンションに定住しているわけでもなく、かなり変わった人っていう印象はあったんですけど、現在はもう東京に根城を置いて、定住しているんですか?

じゅん:今も定住はしてなくて、色んなところの民泊とかを借りて・・・、最近はちょっと動画を撮る関係で、ゲストハウスだと収録ができないので、個室がいいので、民泊を借りるっていうのが多いですね。で、ひと月に1回とか、2カ月に1回とか移動したり、あとはいいところが見つかったら、オーナーさんと交渉して、ちょっと長期間住むとか、そういう感じですね。

石黒:そうなんですね。僕は民泊はしたことないんですけど、そのお家のご家族と一緒に住んだりするんですか?

じゅん:いや、家族とは住まないですよ(笑)。

石黒:(笑)。

じゅん:基本的には自分1人でって感じですね。

YouTuberに転身した経緯

石黒:そうですよね。それで、先ほどブログよりYouTubeの方が面白いんじゃないかみたいなお話をされましたけど、YouTuberに変身した経緯と言うか、転機、そもそもいつぐらいから始められたんですか?

じゅん:始めたのは、2年前の12月なので、もうちょっとで2年ですね。なので、1年10カ月ぐらい前の年末ぐらいに始めて、すぐその後にコロナがきたって感じですね。で、「YouTuber向いているんじゃない?」みたいなのを結構周囲から言われることがあって、「とりあえずやってみるか」みたいな感じで始めた感じですね。

石黒:そうだったんですね。それこそ登録者0から始めて?

じゅん:そうですね。

石黒:現在はもうYouTuber1本ですか?

じゅん:メインはYouTubeになりますね。それ以外もYouTubeに付帯して、YouTubeつながりで出会った人とかと何かやったりとかはしているんですけど。今は動画の方に注力してますね。

石黒:なるほど。どこかに勤めているってわけでもなく?

じゅん:今は知り合いの。はい。

YouTubeチャンネル「哲学入門チャンネル」が目指すもの

石黒:改めてこの、じゅんちゃんの「哲学入門チャンネル」の方針、そしてコンセプト、そういったものを教えていただければと。

じゅん:そうですね。哲学というものを、そもそも一般的に認識されているもののように、僕はあんまり捉えてなくて、政治というものと哲学というものが、基本的には元々同じものであったっていうことを暗に伝えることを意図していて、有名な哲学者を紹介するとか、そういう概念的なものを紹介するっていうことに、元からあまり関心がないので、思想的なものを身近にっていう、それこそ以前出した本にも関わるような話ですね。

石黒:そういうことだったんですね。あえて、「哲学入門」という言葉を使ったってことなんですね。

じゅん:そうですね。批判する人からは「全然哲学じゃねーじゃねーか」とか言われるんですけど、哲学っていうものが政治とか社会というものから切り離されて、いわゆるプラトンとかから始まって、プラトンがソクラテスが政治と社会によって殺されたから、これじゃダメだって言うので、そういう個人の世界に、ある意味、入っていってしまったんですけど、でも「実際問題、そこにはないよ」っていうのを最近、例えばマイケル・サンデルとかが言い始めている感じですね。

石黒:元はと言えば、アリストテレスとかも政治について語っていたりとかもしていますよね。

じゅん:そうですね。

石黒:なるほど、なるほど。そういったちょっとひねくれたと言うか(笑)、そういうじゅんちゃんなりの哲学のメッセージが込められているんですね。

じゅん:最近は公共哲学というジャンルがあるにはあるので、そこまで昔ほど反発もないかなと思います。でも、まだまだ哲学というものについて、1人で本を読んで勉強しますみたいな感じのイメージは強いには強いですよね。

石黒:そうですね。で、この「哲学入門チャンネル」なんですけど、現在は登録者数5万人を突破しましたよね。その5万人って、1つの区切りと言うか、人気チャンネルと言える数字かなと思うんですけれど、こうして人気チャンネルになった要因っていうのは、じゅんちゃんとしては、どこにあったと思いますか?

じゅん:そうですね。色々あると思うんですけど、似たようなことをやっている人がいなかったっていうのがまずあって、当時、始める時も自分がやろうとしている方向性と同じようなことをやっている人がいなかったので、ある程度いくかなっていうのは思っていましたね。

石黒:なるほど。じゃあ、ブルーオーシャン的な部分で攻めていったっていうことですね?

じゅん:そうですね。みんなに人気があるものって、すぐレッドオーシャンになったりするじゃないですか、逆に言えば。プログラミングとか、英会話とか、すごく人気があるし、注目度も高いけど、発信する側も多いので厳しいですけど、僕みたいなニッチなところをいけばあんまりやっている人もいないし、有名人も入ってこないし、そんな感じですね。

石黒:なるほど。じゅんちゃんがチャンネルを始めた2年ぐらい前って、いわゆる政治的なチャンネルって言うと、どっちかと言うと、結構激しい保守っていうと、語弊があるんですけど、いわゆる右寄りの、例えば「KAZUYA Channel」とかを筆頭に、「日本が大好きです」みたいな自己紹介をしているようなチャンネルが多くて。じゅんちゃんは僕はリベラルとは思っていないんですけど、逆側から意見を表明しているチャンネルって、あんまりなかったなって印象があるんですよね。そこに、じゅんちゃんが入ってきたっていうのは。

じゅん:それはあるかもしれないですね。当時は意識はしていなかったんですけど。

石黒:あ!意識していなかったんですか?

じゅん:当時は意識をしていたわけではないですね。

石黒:へぇー。で、このチャンネルもほぼ毎日更新していますよね。

じゅん:そうですね。

石黒:もう全部で何回くらい更新されています?

じゅん:基本、毎日やっているので、多分700いかないかくらいじゃないですかね。

石黒:おー!その中から、じゅんちゃんに、これは見てほしいなあっていう回を教えていただこうかなと思っているんですけど。

じゅん:前に撮ったやつばっかりですけど、1つ目がアーレントの思想を紹介するもので、「社会の脆弱性を前にして今最も守らなければならないもの」っていう、コロナとか菅政権とかで表面化したものについて話しているものが1つと、「自分たちが幸福であるための条件」っていう、アリストテレスの切り口で話す動画と、あとは「低迷する日本経済に対して何が足りないのかを違う思想から紹介する」っていうのが、大きく3つありますね。

石黒:なるほど。こちらの3つのURLを貼っておきますので(2023年9月現在は再生不可)、是非YouTubeでご覧いただければなと思うんですけど、この3つを選んだ理由みたいなものって何かあるんですよね?

じゅん:そうですね。特に真ん中の「アリストテレスの話」なんですが、別の活動とかをする時に意識していることなんですけど、「人間っていうのは政治的な動物である」っていうふうに、考えていたアリストテレスっていう人がいて、マルクスとかは「人間は労働する動物」っていうふうに定義しているところがあったんですけど、そんな中で、政治的動物って考えた理由って何かみたいな話で、その究極的な理由が幸福というものを追求するためであるっていう。幸福っていうのは、快楽とかは究極的には満たすものではなくて、人間が幸福と感じられるのは、自分たちで集まって議論をして、共通の理念、正義と呼ばれるものを掲げること。そしてそれを求めるところに一番幸福というものを感じられるきっかけがあるんじゃないか、みたいな話を平たく言えばしていて、なので、サンデルさんとかが、アリストテレス主義者って言われたりするのは、その辺の理由でもあるんですけど、人間が幸福になるために、そもそも忘れかけているものっていうのが、それじゃないかみたいな話をしてる感じですね。

石黒:ちなみにそのマイケル・サンデルって今、アリストテレス主義者とかって言われているんですか?

じゅん:そうですね。アリストテレスの影響をかなり受けていて、アリストテレスとカントっていう、哲学者の影響を一番受けているであろう人なんですけども。カントという人も理念的なものを重視したんですが、アリストテレスっていうのはより具体的に政治的活動がそれを満たすために重要だみたいなの述べていた人ですね。

石黒:私も哲学の本をつくったり、じゅんちゃんの本をつくったりしていたんですけど、結構もう内容を忘れちゃっていて、アリストテレスって何やったんだっけ?みたいな(笑)そんな感じになっちゃっているので、ちょっと復習したいなと思います。

じゅん:アリストテレスは結構面白いです。

おすすめのYouTubeチャンネル

石黒:なるほど。じゃあ、今おすすめの放送回を教えてもらったんですけど、逆に、「今、このチャンネル、熱いよ!」とか、「いつもこのチャンネルを見ていますよ」みたいな、そういったチャンネルはありますか?ちなみに僕がハマっているのは、「極楽とんぼの山本圭壱 けいちょんチャンネル」なんですけど。

じゅん:そうですか(笑)。

石黒:はい。じゅんちゃんは何でしょうか?

じゅん:僕は基本的には、自分と正反対のものを見るので、一般的には僕の視聴者さんとかがあんまり好きじゃない、「Will」とかのチャンネルをよく見ていて。

石黒:「Will増刊号」っていうやつですかね?(2023年現在は「デイリーWILL)

じゅん:そうですね。すごい人気があるチャンネルですけど。

石黒:34万人もチャンネル登録者数がいて、結構サムネイルがすごいですね。「変態しかいない?立憲民主党が気持ち悪い」とか(笑)。

じゅん:「そこまで言って委員会」とか見ているような人が好きなゾーンなんだと思うんですけど、僕はそういうのを見て、他にも似たようなチャンネルって多分あると思うんですけど、そこに出ているような人が運営しているチャンネルとか。それを見ながら、自分の言論について考えると言うか、ある意味では、中立的に見るために。

石黒:なるほど。

じゅん:自分の言論をチェックするためでもあるし、世の中にはどういうのがあるのかっていう極地を見るためにもよく見るって感じですね。

石黒:なるほど。ちなみに全然関係ない話なんですけど、僕の高校の時の友達から2年ぶりぐらいに電話がかかってきたんですよ。で、たわいもないことをだらだら話していたんですね。そしたら、その友達の奥さんの話になったんですよ。「いや、最近、うちの奥さんが月刊Hanadaとか、Willとか、正論を読みはじめたんだよね」って言って、僕もなんて答えようかなって、「ああ・・・そうなんだ・・・」みたいな感じで答えたんですけど、じゅんちゃんも、そういうの見ているから大丈夫って今度言っておきますね!

じゅん:(笑)。本屋さんに行くと、1番目立つところにあるので、商売がうまいんでしょうけど、政治イコールそれみたいな感じで、入っていく人が少なくないと思います。

石黒:そうですね。中吊りもそうですし、表紙自体も中刷りみたいな感じで、僕も手に取って見ちゃいますもんね。読んじゃいますね。どんなことが書かれているのかって。あれはあれで、面白いっちゃ、面白いですね。

じゅん:そうですね。

石黒:バランス感覚をやしなうっていう意味でも、一方ではリベラルと言われているものを読んで、他方では真逆なものを読むと、自分の中のバランス感覚っていうのが生まれるんじゃないかなと思います。

じゅん:僕の中でのポリシーというのが、丸山眞男とかのスタンスが好きなんですけど、丸山眞男にとっての、言論人としての使命と言うのが、自分たちの正義主張をするところに言論人の価値はなくて、その境界線って立って、対立言論と、自分たちが支持する考えの両方をよく理解していることっていうのが・・・、自分たちや自分の正しさを論証することだけに正しさとか、真っ当さみないなものは宿らないみたいな話をよくされていて、僕は結構共感している感じですね。

石黒:なるほど。正義を振りかざすっていうのもまた違うっていうことですよね。

じゅん:そうですね。

石黒:わかりました。ありがとうございます。

渡部:石黒さん、今日はこれで大丈夫ですか?

石黒:はい。とりあえず今日は。また明日も色々と根掘り葉掘り聞きたいなと思います。

渡部:はい。ありがとうございます。お2人の話を聞いていて、すごく僕の勉強になりました。丸山眞男さんは、大学に入って、一番最初に、ゼミの先生に「これを読め」って言われた本だった気がして、久しぶりに名前を聞きました。すごく失礼な話で、僕は、じゅんちゃんさん、今回、石黒さんにこの対談をセッティングしていただいて、初めて知ってしまったんですけど、この後、チャンネルを拝見させていただきたいと思うんですけど、すごくバランス感覚と言いますか、石黒さんは極端な感じのタイプなので、キャラが違うと言いますか、お話を聞いていて、面白いなと思いました。ありがとうございました。今日はYouTuberとしての活動を始めたきっかけ、そのチャンネルがどういうふうに成長してきたのかみたいなところについて、お話をお聞きましたけれども、明日はもう少し深いお話ですね。お金事情や、もっと話しづらいんじゃないかみたいなところも石黒さんがガンガン聞いてくれると思っております。リスナーの皆さんは是非明日も楽しみにしていただければと思います。じゅんちゃんさん、石黒さん、ありがとうございました。

じゅん・石黒:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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