世の中のわけのわからない出来事のほとんどは、本書で解説しているバグでできている!?
先週8月14日の「毎日新聞」の書評欄「今週の本棚」にて、『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』をご紹介いただきました。
おかげさまで、5万部を突破しました!
評者は日本総合研究所主席研究員、ベストセラー『里山資本主義』著者の藻谷浩介氏。
2000字を超える論評で、非常に好意的に紹介してくださり、本当に有り難い限りです。
世の中で行われているわけのわからない判断は、およそのところ、この本に厳選して盛られた60種類の「認知バイアス」の、どれかもしくは複数が絡んで起きているようなのだ。
――藻谷浩介・評
昨今のオリンピックやパンデミックによる日本社会の混乱を、本書で解説している認知バイアスにからめて評しており、「そういう見方もあるのか!」と私自身、とても勉強になりました。特に、「緊急事態宣言中の五輪開催」が、典型的な「認知的不協和」を生み出しているという点は、「確かに!」と納得しまくりでした。
全文を、ぜひお読みいただければと思います。
また、若者たちが自分たちの視点で「討論」する、次のラジオ番組でも、本書を取り上げていただいております。
もともとは学生向けを意識した企画でしたので、こうして若者に手にとっていただけたのは、本当にうれしいことです。
オジサンはお名前を全然存じ上げなかったのですが、なえなのさんという方の意見は印象的でした。
(この本を読んだら)悲しくなってきちゃった。踊らされているんだな、こうやって……人間だね……。
――なえなの
情報に踊らされて、冷静さを失い、非科学的・不合理な判断をしてしまう……。『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』は、そうした流れで人間が陰謀論へはまってしまうことへの警鐘になることも、役割の一つ、出版の意義として考えています。
さて、この「陰謀論への警鐘」というテーマでいえば、私は現在、ある新刊の編集をしています。
Qアノンをはじめとした陰謀論につながる、社会的な出来事やムーブメント、スピリチュアル、宗教などの系譜をたどり、世の中にあふれる陰謀論への入り口となる「言葉」について解説するという、かなり尖ったコンセプトの企画です。
すでに脱稿しており、これから本格的に編集作業に入っていくのですが、これがメチャクチャ面白い!
たとえば、「チャネリング」「霊感商法」みたいな言葉が、あやしい世界と相関性があることは、なんとなく想像できるかと思います。
しかし、「ビートルズ」「スティーブ・ジョブズ」「マクロビ」「アロマ」「ボードゲーム大会」というグループ名や人名、一般名詞が、あたなを闇落ちさせる入り口の言葉になる可能性があるとは、想像がつかないのではないでしょうか。
本書では、こうした何食わぬ顔をして点々と存在している「言葉」が、ある種の補助線を引くことによって、一つの怪しいスペクタクルな流れの奔流につながることを、膨大な文献を用いて検証していきます。
ちなみに、弊社でもスピリチュアル、精神世界系の本を出していますが、それを否定するわけではありません。こうした本よって読者が前向きになり、生きる歓びや気の合う仲間を得られるのであれば、そんなに素晴らしいことはありません。読者側のリテラシーが高ければ高いほど、そうした本を読んだ成果は、自ずと出てくるのではないかと思います。
一方、世の中には、私のようないじけた、あるいは非科学的なものを忌避する人もいるのも確か。
しかし、豊かな生態系を維持するために、森には多様性が必要なように、スピ系の本を出している同じ出版社の中だったとしても、それらに対してある種のカウンターとなる本が存在のは、むしろ健全と思えるのです(そうした意図を理解して、企画を通してくれた会社側の懐の深さに感謝です)。
今後、このnoteで続報をお伝えできればと思います。
(編集部 石黒)