【フォレスト出版チャンネル#147】出版の裏側|出版業界の専門用語(前編)
このnoteは2021年6月8日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。
謎の用語「ゲラ」から、慣習上残った「見返し」まで
今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める今井佐和です。本日は編集者の森上さんと寺崎さんをお迎えしまして、「出版業界の専門用語」について、2日間にわたってお送りしていきたいと思います。出版業界の専門用語はたくさんありまして、お二人からリストをいただきましたので、私のほうからバンバン質問していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
森上・寺崎:よろしくお願いします。
今井:はい。まず1日目は、本の中身の話をしていって、2日目は本の外側とその他みたいなところで、専門用語をいろいろと聞いていきたいと思います。ではさっそく、本の中身の用語ということで「校正ゲラ」なんですけども、個人的にゲラって音の語感が妖怪っぽいなと。
森上・寺崎:(笑)。
寺崎:妖怪ゲラ?
今井:ベラに近い。
寺崎:ベラね。
今井:勝手にそういうおどろおどろしいイメージがあったんですけど、ゲラって言葉で説明すると、どんなものですか?
森上:印刷される前の。
寺崎:レイアウトを組んだもの。
今井:原稿みたいな?
寺崎:原稿の次の段階。
森上:例えば、ワードで原稿があるじゃないですか。それはゲラって言わないんですよ。
今井:それは原稿?
森上:いわゆる原稿。で、それを本の出来上がりのサイズで。
寺崎:デザインフォーマットをつくって。
森上:そう。そこに文字がちゃんと流し込まれている。原稿が。
今井:じゃあ、印刷できる寸前の段階というところですか?
森上:そういうことですね。そこに赤字を入れいくわけですね。校正ゲラって言うくらいですから。ゲラは、なんでゲラというのかは我々も勉強不足でわからないんですけど。
寺崎:ゲラ、さっき調べてみたんですけど、語源がよくわからなかった(笑)。
森上:読んでもよくわからなかった?
寺崎:ガリー船っていうのが元々語源みたいで。
森上:ガリー船?
寺崎:そう。船。活版印刷の時代のことみたいですね。
今井:そうですね。活字を並べる木製の箱がガリー船に似ていて、ということみたいですね。
森上:だから、本の中身の原稿の校正紙だね。それが、校正ゲラと言われるもの。
寺崎:最初に出てくるゲラが「初校ゲラ」と言って、それを著者に渡して、編集者が確認して、校正者が赤字入れて、それを修正したのが「再校ゲラ」と言われるんですけど、だいたい初校ゲラの段階ではイラストとか図版が入っていないことの方が多くて、それを入稿までに入れるパターンが多いです。
今井:ありがとうございます。今、「本文(ほんもん)」という言葉が出てきたんですけど、私がいただいていた用語集には本文(ほんぶん)って書いてあって、「本文(ほんぶん)って何ですか?」って聞こうと思ったら本文(ほんもん)なんですか?
森上:本文(ほんもん)って言いますよね?
寺崎:日本語的には本文(ほんもん)が正しいみたい。
今井:そもそも本文(ほんもん)が正しいんですね?
寺崎:でも、最近は本文(ほんぶん)でもいいらしいです。
今井:(笑)。
寺崎:両方いいらしいです。確か。
今井:これから本文(ほんもん)って言おうかな(笑)。
森上:「本文」っていう言葉自体は一般的ですよね? まえがきとかにも「本文では~」とか書いてあるもんね。
寺崎:変換で出てくるよね。「ほんぶん」でも「ほんもん」でも。
森上:うんうん。やっぱり本文(ほんもん)っていうことが多いですよね。
今井:本の中身の文章のことですよね?
森上:そうですね。
今井:続いて、これもちょっと読み方に自信がないんですけど、「中面(なかめん)」ですか?
寺崎:「ちゅうめん」じゃないです。「なかめん」です。
今井:大中小の中にお面の面で中面、これはどんなものですか?
寺崎:中面はざっくり本文を含めた、表紙と表紙の間のことなのか(笑)。
森上:なのかな(笑)。「中面、ちゃんと固まった?」とか言うよね?
寺崎:デザイナーさんにも「カバーだけじゃなくて、中面のデザインも今回お願いします」って言ったりとか。
今井:表紙、裏表紙以外の部分みたいな?
寺崎:ざっくり中身。
今井:(笑)。
森上:中身だね。本の中身のことを中面と言う。
寺崎:中面イラストとか言ったりします。
森上:中面のイラストをお願いするとかね。
今井:ありがとうございます。続いて、「奥付(おくづけ)」ですね。以前もVoicyで編集者は本屋さんに行くと奥付を確認していると。それを書店さんは「業界人だな」って見てるかもしれない、なんていうお話しがあった奥付なんですけども、奥付とはどんなものでしょうか?
森上:奥付は本を流通させる上で必要な情報が入っているところで、事務的情報。正式タイトル、著者名、印刷所、出版社名とか、ISBNコードっていうバーコードの番号が1冊の本に1つちゃんと付くんですけど、それが入っていたりとか、そういうのですよね?
寺崎:そうですね。だから、本屋さんで立ち読みして見ているところは何刷か。例えば1カ月前に出たばっかりなのに、4刷、5刷とかいっていたら、「これ、売れているんだ!」とかね。そういうところで判断するんですよね。
森上:そういう意味では、奥付はチェックしますけど。
寺崎:ちなみにこれ、今調べたら古来、巻紙の用紙の右端を「端」と言って、左端を「奥」と読んだことから生まれたそうです。
森上:なるほど。
今井:巻紙からの奥付なんですね。
森上:じゃあ、元来あそこにいろいろと情報が入っていたんだね。
寺崎:そうみたい。伝来とか年月を記したと書いてあります。
森上:何月何日のこの巻物を書いたよとか、誰が書いたよとか。そういうことですよね?
寺崎:そういうこと。
今井:昔からやっていたんですね。続いて「本扉」「章扉」。
森上:本扉は、ある本とない本があるかもしれないんですけど、だいたい入れるよね。
寺崎:本扉ね。実は、必要あるのかっていう話だよね。
今井:そうなんですか?
寺崎:本扉って表紙と同じタイトルがまた1ページ目に入っているんですよ。
今井:それが本扉だったんですね。
寺崎:そうなんですよ。「これ、必要なんですか?」っていうことなんですよ。
森上・今井:(笑)。
寺崎:あと、「見返し」。
森上:見返しっていうものがあるんですけども、色紙みたいになっていたりするところがないですか?
今井:あります、あります!
森上:あれが見返しで、あれはなんで付いているかって、印刷所の方に聞いたことがあって、これって基本的に製本を強くするためのものらしいです。
今井:へー。
寺崎:元々はそうなんだけど、今は印刷技術が向上したからいらないんだって。
森上:ね。言ってたよね。
寺崎:なくても成立するのに。
今井:じゃあ、ノリでまだ付けているみたいな。
寺崎:もう文化として残っちゃっている。
今井:へー。
寺崎:これも本当はいらない(笑)。
今井:(笑)。いつかなくなってしまうかもしれないですね。
森上:そうかもしれないですね。でも、なぜか残ってる、っていう。意外とお金かかるんですよ。紙代に一番お金がかかるので。
今井:たまにその見返しの部分がちょっと透けたりして工夫している本があると、ときめいたりしますね。
寺崎:見返しが3枚あったりね。
今井:え! 3枚あるのもあるんですか?
森上:あるある。ちょっとアート系の本とかね。それは贅沢につくっているなと思いますね。で、「章扉」って言うのは、第何章〇〇とか、章のタイトルだけが1ページに入っていたりするじゃないですか。
今井:あります、あります。
森上:あれが章扉っていうんですよね。
今井:確かに、新しい扉を開いていくところな感じがありますよね。
森上:そうですね。そういうイメージですよね。まさにそうです。
イチニッパ、イッパッパ、ニゴロとは?
今井:続いて「柱」なんですけど、柱とはなんでしょうか?
寺崎:これは、ページの右上とか左上とかに「第1章〇〇」って入っていて、1章分バーッと同じ文字が入っていると思うんですよ。第2章だったら、「第2章〇〇」、あの部分が柱って言うんです。
森上:そう。その下にはノンブルと言われるページが書かれている。柱ってその対抗にある。右端、左端にあるのかな、だいたい柱って。
今井:右上にあるタイトルみたいなものという感じですかね。
森上:そうそう。章のタイトル。
寺崎:「第3章」っていったら「第3章」のところを開ける。そういう利便性かな。
今井:それが柱なんですね。
森上:自分が第何章のところを読んでいるんだろうっていうときに、そこを見ればわかる。
今井:章扉まで戻らなくてもわかるっていうことですね?
森上:まさにそういうことです。それが柱です。
今井:おもしろいですね。柱って言うんですね。そこのことは「右上のタイトル」って心の中ではずっと呼んでいました。
森上:柱って言ったら、ちょっと(出版)業界の人っぽいです。
今井:かっこいいので、これから使っていこうと思います。続いて、「つめ」。「つめ」って何ですか? もちろん手の指の爪ではないんですよね?
森上:最近はあんまり……。辞典系のやつではあるよね。
寺崎:あー。辞書なんかには絶対入っている。あ行、か行、さ行みたいに紙の左端に本を横から見ると、黒い帯が斜めに走っているみたいな感じですよね。
今井:スケジュール帳の1月とか2月とか、端のほうにあってみたいな。
森上:そうそうそう。
今井:あそこの部分ですかね。うまく説明できないんですけど(笑)。
寺崎:たぶん伝わっていると思う。
森上:たぶん。そのことです。
今井:それが「つめ」。そして、気になる用語が続くんですけど、「泣き別れ」。
森上:「泣き別れ」っていうのは例えば、大きな文字の見出しがあって、本文が続くじゃないですか。そのときにページが分かれちゃうこと。それを「泣き別れ」って言うんですけど。
今井:確かに悲しい感じがします(笑)。
森上:同じページに入っていてほしいじゃないですか。本当は。
今井:「これページが分かれると見にくくなるよ」みたいなのが「泣き別れ」。
森上:そうそう。
寺崎:ちょっとセンチメンタル。
今井:センチメンタルですね。泣き別れちゃった……みたいな。泣き別れたときにはどうするんですか。
森上:見開きで泣き別れのときはいいんですけど。
今井:あ! 見開きで分かれるときも、泣き別れって言うんですね。
森上:言いますね。ですが、ページをめくらないといけないときは禁則になっていて。
今井:禁則なんですね!
森上:それはもう改ページにしちゃう。見出し自体を次のページに送っちゃう。で、そこはスペースを開けちゃうっていう感じですね。
今井:確かに、今まで読んだ本で左の端っこのほうにタイトルがあるのとか、見たことないですね。
森上:ないですよね。
今井:あったら、ちょっと気持ち悪い感じがしますね(笑)。
森上:そうそう。
今井:続いて、全然想像がつかないんですけど、「ノンブル」。ノンブルって何ですか?
寺崎:要するにページ数なんですよ。
今井:ページ数!
寺崎:1ページ、2ページって感じで、1、2、3、4と。
森上:だいたい下に入ってますよね。
寺崎:これ、なぜかフランス語で、ノンブルって言うんですよ。
今井:ノンブルって、フランス語だったんですね。
森上:なぜだろうね。印刷技術って基本的にドイツなので、なんでフランス語……。
寺崎:なんでだろうね。ノンブルを通すって言います。1章〇ページ~〇ページ、2章〇ページ~〇ページ、3章〇ページ~〇ページ、それを全部合体させたときに、「これ、全部ノンブル通してください」みたいな。1ページから最後まで。
今井:ページ数のことをノンブルと。
森上:そうです。下に入っている。
今井:続きまして、「トンボ」。これは、もちろん昆虫のことではないんですよね(笑)。
森上:トンボって言うのは、製本のときの目印ですね。2本の線が入っているここで切ってくださいっていう。
今井:紙を裁断してください的な。
森上:そうそう。印刷したときって少し外側に余裕もっていますよね。仕上がりのとき、製本のときにはここで切ってくださいと。その目印のことをトンボと言います。内トンボ、外トンボってだいたい2つあって、それを内トンボで切るんですよ。
今井:それをトンボと。トンボの形に似ているからトンボなんですか?
寺崎:たぶんそうだよね。
今井:トンボを直線で表すと、あんな感じかなみたいな。
森上:確かに。事実確認してないけど、たぶんそうだと思う。
今井:続いて、「天地、のど側、小口側」とありますが、これは何ですか?
寺崎:これは単純に、本の上と下を天と地と言うんですよ。
今井:かっこいい言い方をしますね。
森上:例えば、段落で「天から一字下げ」と言うと、段落として一字下げる。天から一字空けるとか二字空けるとか言うし、下からちょっと開けたいときは、地から何字空けるとか言いますね。
今井:天地と使いこなしたらかっこいいですね。できる編集者みたいな(笑)。
寺崎:さっきのトンボとの絡みなんですけど、最後の最後に「寺崎さん! 本文とカバーの天地のサイズが違います!」とか。実はあったんですよ。サイズが違ってて。
今井:世にも恐ろしいお話ですね。
森上:どっちかの判型が間違えていたってこと?
寺崎:天地じゃなくて、左右のサイズが。左右のことなんて言うんだっけ?
森上:小口側とのど側って言うけど。
寺崎:そっかそっか。それが違っていたのかもしれない。
今井:おっとっと、っていう感じですね(笑)。そんなこともあるんですね。で、今、お話がありました、のど側、小口側なんですけど。
森上:のど側って言うのは、本を開いたときに真ん中の谷みたいになっているところ、あっちをのど側って言います。その両端が小口側って言います。例えば、右ページの小口側もあるし、左ページの小口側もあると。のどはその真ん中のところ。
寺崎:製本で閉じてあるところがのどですね。
森上:それで閉じてないほうの外側のことを、小口側って言います。
今井:ありがとうございます。続いて「128、188、256」という16の倍数の数字が並んでいるんですけども、これは何のことでしょうか?
寺崎:これはページ数なんですよ。128ページはイチニッパ、188ページはイッパッパ、256ページはニゴロ。
今井:ジゴロみたいですね。
寺崎:この業界に入って「188ページに決まりました」って電話するじゃないですか。印刷会社も最後何ページに収まったか気になっているんで。「あー!イッパッパですね」って言って。「なんだ! この言い方は!?」って。
今井:(笑)。
森上:最初はね(笑)。「ニゴロですね! 結局、ニゴロになったんですね!」とか言われて、最初わからないよね。
寺崎:これ、たぶん業界の合理化? ニヒャクゴジュウロクって言うよりも、ニゴロって言ったほうが間違えない。
今井:これより大きくなることはあるんですか?
森上:もちろんあります。この倍数以外は、紙の無駄になっちゃうんですけど、4ページ単位だったら何とかなります。次の用語に「折」ってあるんですけど、16ページ単位で一折って言われていて、表面8ページ、裏面8ページで印刷をするので、16ページになります。その16の倍数が理想的です。
寺崎:一折っていうのは、要するに印刷機と考えてください。
今井:ありがとうございます。続いてちょっと気になる単語なんですけど、「埋草」って何ですか?
寺崎:これは、イラストレーターさんとかには失礼な話なんですけど、白ページが出てしまったときに、そこに入れるイラストとかカット、別の言い方で「捨てカット」なんて言ったりするんですよ。
今井:捨てカット。捨てるカットですね。
寺崎:フォレスト出版はこういう言葉はあまり使わないし、こういうことをしないんですけど、前いた版元で白ページ恐怖症候群があって、「捨てカット入れろ」とかって言われたりしていました。森上さんはそんなことあった?
森上:僕はあまりない。でも、雑誌上がりの編集者って、めちゃくちゃそれを気にするよね。ちょっと白のスペースがあることをやたら気にする。
今井:確かに雑誌と新聞はあんまり余白がないイメージが。
森上:そうなんですよ。
今井:本とかだと、逆に余白が文章を引き立たせるみたいなのがあるので、あまり余白が気にならないんですけど。
森上:そうなんですよね。余白にも限度ってありますけどね。
今井:確かに(笑)。
森上:本文の中で半分もいかないで、3行くらいでこぼれちゃうとすごくかっこ悪いので、改行したり、加筆したりして行数を調整して、できるだけスペースを埋めていく努力はしますけど。でも、基本的にはスペースはスペースのままで残しておきますよね。それを埋めちゃおうという発想の人もいるんだよね。
今井:恐怖症の方が。
寺崎:ダメです。
森上:失礼だよね。イラストレーターさんとかにはね。
「トルツメ」「テープ起こし」は中年編集者の証し?
今井:だから埋草なんですね。続いて、「アタリ」とあるんですけど、これは、何か当たる感じなんですか?
森上:なんで当たるのかわからないんですけど、アタリっていうのはおそらく昔、アタリ機っていうのなかった? 現像するときに写真に焦点を合わせて、この大きさでっていうものがあるんですけど、そこから来ているんじゃないかなって、個人の経験では思うんだけど、何かって言うと、本文に中にどんなイラストを入れたいかっていうのを、「アタリを付けておく」って言う。
今井:あー。「このへんに入れるよ」みたいな。
森上:「このスペースに、これを入れます」っていうのが印刷所との会話なので、今はDTPですけど、ちゃんとそれを伝える意味で、仮にそれを入れておくもの。「本チャンのデータはあとから来ますが、後送なんですけど、これをここに入れます。」みたいな。
寺崎:それに近いのを、今思い出したけど、「ゲタ」ってあるよね。
今井:どういうことですか?
寺崎:実は正確な意味をわかってないんだけど。
森上:ゲタって、基本的にはダミーの文字のことだよ。
寺崎:そっか、そっか。黒丸を入れたりとか。
森上:そうそう。ゲタって黒の太い2本線あるじゃない。それがガーっとダミーが入っているのがゲタ。
寺崎:あー。活版の時代は! そういうことか!
今井:それがゲタの鼻緒に見えるからということなんですね。
森上:たぶん、そうだと思います。今は、黒丸でダミーを入れちゃうじゃないですか。
寺崎:入れちゃう。
森上:加筆しようと思っているスペースに。
寺崎:そっか。活版の時代の表現なんだな。
森上:たぶんそうだと思います。
寺崎:それに近いのでね、文章を取るっていう指示があるんですけど、カタカナで「トルツメ」って入れるんですよ。
今井:トルツメ?
寺崎:これ、活版の時代って「トル」だけだと、一字分のスペースが開いちゃうから、詰めるんですよ。
今井:なるほど!
寺崎:トルツメとトルママというのが当時はあったらしいんですよ。でも、今はコンピューターで処理するから、削除したら自然に詰まるので、トルツメのツメはいらないんですよね。でも、なんかトルツメって書いちゃうときがあるよね。
森上:あります。たまーにある。でも最近、俺も気を付けて、「(トル)ツメ」を使わないようにしてる。トルだけにするようにしてます。
今井:今まではトルツメって書いていたんですか?
森上:書いていたときがありました。90年代後半の頃は。
寺崎:あと、「テープ起こし」ね!
今井:テープ起こし!?
寺崎:今、テープなんて使わないじゃないですか。だから、本当は(音声の)「文字起こし」って言うべきなんだけど、なぜか「テープ起こし」って言っちゃうんだよね。
森上:言っちゃうねー!
今井:テープ、今は全然使わないですもんねー。
森上:使わないですよね。でも、昔はカセットでやってたんですよね。
寺崎:キュルキュルキュルキュルとかいって、何回も巻き戻してね。
今井:聞きすぎて切れちゃったり、とか。懐かしいですね(笑)。
森上:取材をするときのテープ起こし、テープでやってましたね。
寺崎:120分のテープかな。
森上:そう。やってましたね。
今井:そして、出版業界の専門用語、本日の最後は「校了」なんですけど、校了って、終わったぞーみたいなイメージですが。
森上:まさにそのとおり。
寺崎:これは、飲みに行く日ですね。
今井:ちなみに、何をもって出版業界では校了と言うんですか?
森上:基本、赤字(修正)がもう入らない。そのまま印刷して製本した本になる状態。
寺崎:データフィックス。
今井:印刷会社に「あとは任せた!」って言えますよね。
森上:そうですね。完全に手離れ。
今井:だから、飲みに行く日なんですね(笑)。
寺崎:でも、印刷所から電話がかかってきたりするんですよ。
今井:え!? 怖い!
寺崎:このデータが足りませんとかね(笑)。で、また会社に行ったりしてね。
森上:それこそ、サイズがおかしいとかね。データが開かないとかね。ありますよね。そんなハッピーな日です。
今井:ハッピーな日(笑)。ありがとうございます。ということで、本日は出版業界の専門用語ということでさっそく習った用語を使うと、「本文(ほんもん)についての出版業界の専門用語」をお伝えしてきました。明日は本文以外のいろいろな専門用語を聞いていきたいと思います。本日は森上さん、寺崎さん、どうもありがとうございました。
森上・寺崎:ありがとうございました。
(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)
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