【著作権の話#7】自由に使っていい素材、ダメな素材
本日入稿の7月の新刊は10代向けにもかかわらず、グラフや表組など、やたら図版が入っているので、それなりに手間がかかっています(入稿日にnote記事担当はキツイ!)
で、グラフなんかは国や官公庁が公開しているデータが多く、それを使用してつくっています。
イラストラフのイメージをつくるときには「いらすとや」の素材を活用させていただくことが多くなりました。
たとえば……
上図は本来、私とデザイナー、あるいはイラストレーターとの間のクローズドな関係のなかで使用しているものですが、このnoteに公開できるくらいには、著作権的にも問題ありません(たぶん)。
今回で【著作権の話】は7回目になりますが、著作権を守ることは大切ですが、変にビクビクしすぎるのもよくありません。せっかくのクリエイティブな発想も、萎縮してしまいます。
上記の国や官公庁のデータや、「いらすとや」のイラストも、ルールさえ守れば自由に使えるのです。結局は、正しいルールを知って、適法と違法の線引ができればいいだけです。
ということで、宮本督『これだけは知っておきたい「著作権」の基本と常識』の中から、上記に関連しそうな箇所を一部抜粋、本記事用に改編してお届けしましょう。
国・官公庁の統計資料は自由に使える?
●政府機関の発信する情報は自由に使える
会議の資料としてさまざまなデータを活用したいときがあります。政府や官公省庁、地方自治体、独立行政法人などが発行している刊行物の調査統計資料、報告書などは、自由に使うことができるのでしょうか。
基本的に、公的な刊行物の内容にも著作権はありますが、次の条件を満たす場合には、許諾なしで自由に使えます。
2016 年1月からは、政府機関の発信する情報には、クリエイティブ・コモンズのCC-BY4.0 と互換性のある「政府標準利用規約(第2版)」が適用されています。
このルールに従って、誰でも、複製、公衆送信、翻訳・変形等の翻案等、自由に利用できることになっています。商用利用もできます。クリエイティブ・コモンズとは、簡単にいえば、著作物の適正な再利用の促進を目的として、著作者がみずからの著作物の再利用を許可するという意思表示を手軽に行えるようにするための仕組みです。
社内研修用にデータや記事を利用するときは?
●特例は非営利目的の教育機関だけ
学校などの教育機関の授業で、公表された著作物を使用する場合は、著作権者の許諾なしに必要な範囲で複製したり、改変して利用したりすることが認められています。
新聞記事や文学作品の一節など、授業で必要な部分をコピーして教室で配布する等、通常なら著作権者の許諾が必要な著作物を自由に使えます。
こうした特例が認められるのは、非営利目的の教育機関です。具体的には、文部科学省が教育機関として定めるところおよびこれに準ずるところ(幼稚園、小中高校、中等教育学校、短期大学、大学、大学院、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校、専修学校、看護学校などの各種学校、大学校、保育所)、社会教育においては、前記教育機関と同等の年間教育計画を有するところ、となっています。
このため、営利目的の予備校、私塾、カルチャースクール、営利企業の社員研修などは適用外です。
よく「教育目的の場合は著作物を自由に使える」といわれますが、これは誤解です。著作物を、著作権者の許諾なしに使えるのは、非営利目的の教育機関だけです。
たとえ少人数の規模であっても、会社内での使用は私的使用とは認められません。ですから、企業の社内教育や研修用に新聞や雑誌の記事など著作物の内容を利用する場合には、著作権者の許諾が必要になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(編集部 いしぐろ)
*参考