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『リトルキャプテン』 24 〜ちっぽけな僕の壮大なストーリー〜

 ビルは現実の世界でも夢の世界でも「不安、心配、恐怖」の観念に取り憑かれていた。「何とかしなければ」と思えば思うほど空回りし、そのうち生きる気力さえもだんだん無くなっていった。会社をクビになり、妻と子が離れていってから一ヶ月が過ぎようとしていた。いまだ次の仕事が全く決まらない状態だった。食欲もなくなり体重は減ってきていた。「もう俺はダメなのか?」ビルは心の中でつぶやいた。

 数日前から上陸していた台風が過ぎ去り、空はペンキで塗ったような青色が広がっていた。ビルは昼過ぎに家の近くの公園までふらふら散歩した。日曜日ということもあって、公園には何組か家族が来ていて楽しそうに過ごしていた。ビルがベンチで「ぼー」としていると、小学生くらいと思われる男の子がビルの隣にちょこんと座った。男の子はじろじろとビルを見ていた。ビルもその視線に気づいた。「おじさん何でそんなに元気無いの?僕のキャンディー1つあげるね」男の子はそう言ってビルにキャンディーを手渡した。ビルは「ありがとう」と言ってキャンディーを口に放り込んだ。





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