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名古屋からスタートアップエコシステムの未来を描く、カチノデの挑戦

政府が推進するスタートアップ5ヵ年計画が進む中、内閣府のスタートアップ・エコシステム拠点都市にもJ-Startup Centralとして選定され、また今年10月に国内最大級のインキュベーション施設 STATION Ai の開業も控え、大きな注目が集まる名古屋のスタートアップ界隈。そんな名古屋を拠点に「デザインでスタートアップエコシステムに貢献する」というミッションを掲げ、起業家支援プログラムの企画運営やピッチイベントの開催、インキュベーション施設の運営を行っているのが、私たちカチノデです。

はじめまして(or お久しぶりです)、代表の森です。実はいま、新しいメンバーの採用(業務委託もOK)のために動き出しているのですが、しっかりと情報発信できていないためか、割と近しいコミュニティの方からも「カチノデって何やってる会社なの?」と言われてしまう状況になってしまいました。。。(これは本当に反省しています)。そこで、カチノデのこれまでのストーリーとこれからの展望について、お話したいと思います。

社名「カチノデ」ってどんな意味?

さて、そもそも「カチノデ」ってどういう意味?と疑問に思われたかもしれません。

これは「新しい価値のデザインをする」というコンセプトに由来していきます。インパクトあるプロダクトやサービス(=新しい価値)を立ち上げるスタートアップをデザインで支えるパートナーでありたい、また、そのようなスタートアップを中心とするエコシステム全体をデザインしたい、という意図です。ただ、創業期は事業内容自体が明確でなかったこともあり、後からどんな事業を展開することになったとしても辻褄が会わせられる包括性の高い社名にしようとした結果でもあります(笑)

大学時代、「もっとリアルに学びたい」と思い立ち、デザイナーとしての仕事をスタート

私のバックグラウンドは、実はデザイナーです。大学時代、芸大でデザインを専攻していた私は、アートとデザインの違いを学びます。アートは世の中の現象や問題をアーティストの視点で捉え直し、作品を通してその視点を世の中に表出させる表現行為であるのに対して、デザインは、具体的な課題を解決するための手段を計画・実行することであり、誰かの課題を解決することがデザイナーの役割です。このことを知り、大学の授業だけでは学びが足りないのでは?という疑問を抱きました。

当時、大学の課題では、テーマをもとに何かをデザインする課題が与えられていたのですが、リアルな顧客から問いが与えられるわけではなく、想定のユーザーであったり、自分自身が欲しいものであったり、デザインワークの中で大きな割合を占めるはずのコミュニケーションを取ってクライアントの実現したいことを叶える、というデザイナーとしての役割を学ぶことが十分にできていないと感じていました(今はカリキュラムも大きく変わっているので、学べる内容は変化しているはずです)。

そこで、自分でお客さんを探し、本当に自分のデザインが相手に価値を提供できているのかどうか、それを実現するにはどのような課題があるのか、ということを学びたいという気持ちから、個人で仕事を始めました。

創業初期のデザインワーク
創業期の手作りオフィス「:OISSUSHARE YABA」

スタートアップと関わるきっかけになったのは、大学発の自動運転スタートアップ

個人で活動を続ける中で、巡り巡って、今では自動運転業界を牽引するティアフォーの創業者CEO、東京大学特任教授(当時は名古屋大学准教授)の加藤真平先生と出会います。現在(2024年1月時点)累計400億円以上を調達し、時価総額でもユニコーンに迫るティアフォーですが、当時(2016年時点)はその面影はなく(加藤代表がGoogleやテスラを超えると言っていたこと以外は)、学生が代表を務める子会社を複数社立ち上げようとしているタイミングでした。

自動運転には画像解析やセンサー、三次元地図といった様々な技術が必要になるのですが、個別の技術に特化した研究者や学生に子会社の代表を務めてもらい、良い技術や人材が見つかれば親会社のティアフォーも恩恵を受けられるというかなり面白い仕組みを構築していました。学生にとっては、バックオフィス業務を親会社が一括で巻き取ってくれるので研究開発や事業開発に集中でき、もし会社が上手くいかない場合は就職するという選択肢もあり、ゼロリスクで起業や経営を経験できます(この取り組みは今振り返るとアントレプレナーシップを育む場という観点でもかなり良いシステムだと思います)。

この活動の一環で、ティアフォーの完全子会社として、株式会社カチノデを創業しました。当時は、プロダクトやサービスのロゴ、紹介カタログ、Webサイト、グループ子会社のCI、展示会で使用するジャケットやグッズなど、ティアフォー関連のデザイン制作を担当していました(2019年に同グループから独立)。

当時制作したティアフォー関連のデザイン

創業初期、特に名古屋大学発ベンチャーを中心にスタートアップの起業家たちと距離が近く、デザインワークのお仕事をいただいていました。ちょうどこの頃、大学発スタートアップの支援拠点として名古屋大学オープンイノベーション拠点「OICX(オイックス)」の立ち上げで、オフィスの運営事務局を担当させていただくことになり、スタートアップのビジョンや社会課題を解決し大きなインパクトを目指す姿勢に感銘を受けました。VCからの資金調達を経て急速に成長する起業家たちの姿を間近で見ながら、彼らをサポートしていくことは、社会にとって必ずプラスになるはずだと思い、「スタートアップ支援」を事業の中心に据えることにしました。

名古屋大学オープンイノベーション拠点「OICX」
OICXに入居する(入居していた)スタートアップ

デザイナー的思考で事業を作る

カチノデはスタートアップを支援する会社ですが、私たち自身は一般的に「スタートアップ」と呼ばれる存在ではありません(エクイティファイナンスによる資金調達は無く、Jカーブ的な成長曲線も描きません)。そもそも急成長急拡大を目指すビジネスモデルではないことが理由ではあるのですが、もともと私自身がデザイナーであることも原因だと思っています。私の基本的な行動原理は「これまでの経験や知識、使用可能なあらゆる要素をクリエイティブに組み合わせ、誰かのやりたいことを実現するために創造する」ことで、これはデザイナーの性質そのものであり、変えようにも変えられません。でも、だからこそ生みだせる価値があると考えています。

スタートアップに大きく焦点を当てはじめてから、約3年が過ぎようとしています。3年続けてやっと、全体像が見えてきた感覚です。ここから「使用可能なあらゆる要素をクリエイティブに組み合わせ創造する」という私たちの強みを活かしながら、世の中にインパクトある事業を生み出していきたいと考えています。

現在のビジネスモデルと地域の魅力

ファンドを運営しておらず、現時点ではスタートアップへの投資を行わない我々は、大学や自治体などの公的機関が主なクライアントになります。大学や自治体が主催するプロジェクトの企画運営を行い、スタートアップ向けに様々なサービスやコンテンツを提供します。

私たちは、スタートアップだけでなく、その周囲にの投資家やVC、大企業や中小企業などの産業、自治体などの行政機関、大学や研究機関など、スタートアップエコシステム全体に注目しています。

愛知は自動車産業を中心とする大きな産業があり人口も多く、同時に農産物の生産も盛んで、地方都市でありながら大都市でもある、とても面白い特徴のあるエリアです。名古屋大学を中心に東海地方の大学群は起業家教育にも力を入れており、若くてポテンシャルのある学生たちが活躍する可能性を秘めています。この愛知・名古屋という地域を中心として、東京をはじめとして他の地域、国との補完関係を築きながら、独自のエコシステムを構築することを目指しています。

名古屋市も、この地域の持つポテンシャルを発信しています。

あらゆる“アントレプレナー”と共にコミュニティをつくる

起業家、投資家、事業会社、自治体、大学、NPOや財団、あらゆる立場で、不確実な状況の中で社会課題を解決するためのサービス・プロダクト・事業(=新しい価値)を生み出そうと活動している人たちがアントレプレナーであると、私たちは定義しています。そんなアントレプレナーたちのコミュニティを育て、様々なコラボレーションによってたくさんの新しい価値が生まれる未来を一緒に作りたい人を募集しています。ご興味がある方はぜひお話しましょう!

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