8年後の雪降る成人式で、初恋の子に「好きだ」と伝えたら、まさかの展開になった話。アラサー独身毎日更新チャレ⑧
ねえ・・・逃げないでよ・・・
近い。長いまつ毛の先まで見える。
心臓のドキドキが聞こえてしまうかもしれない。顔が赤い事がバレてしまうかもしれない。
齢12歳の俺が、恋に落ちた瞬間だった。
あの日、おれは、ま○みちゃんと他数名と、放課後の学校で鬼ごっこをしていた。そしてま○みちゃんに、屋上に追い詰められたのだ。(今考えればカオス)
ま○みちゃんは目がくりくりと大きくて、とにかくかわいい女の子だった。放課後は、帰る方向も途中まで一緒なので、目で探していたし、休日もふとま○みちゃんにばったり会わないかなと、つい目で探したりもした。
ちょろい小学生だったので、これは、ワンちゃん両想いかもしれないと確信した瞬間があった。
音楽室の授業、いつも対角線にま○みちゃんがいるのだが、
いつものように、目を向けると、何かと目が合うのだ。
オレは勇気を出して、向こうが逸らすまで目をそらさないことに決めた。
その2週間後、音楽室で1・2・3・4・5・・・胸が張り裂けるかと思った。恥ずかしくなって目を逸らした。最高にドキドキした。
廊下ですれ違う瞬間に、さりげなく目が合う瞬間、どろけいで同じ茂みに隠れる瞬間。席替えで奇跡的に後ろになった瞬間。何もかもが宝石のように輝いていた。
思いは伝えられないまま、中学校は別々になり、
それから8年の月日が過ぎ、大雪の中成人式が開かれた。
優等生でもなく、どちらかといえばだが、むしろやんちゃしていた方だったおれが、なぜか「成人式の代表あいさつ」に選ばれた。
ヤンキーみたいなやつが多い小学校だったので、普通に原稿を読んでいると、「からの?」「面白い事言え!!」と野次が飛び交う。
一応確認だが、お偉いさんが前にたくさん座っている。
あとで「なんで言わねぇんだよ!」と言われるのもめんどくさいので、真面目に書いたカンペを折りたたみ、アドリブで「地元でやらかした過去ベスト3の懺悔」を発表した。
ええ、第一位は、エレベーター(コミュニティセンター)の中に、植木鉢や案内図を入れたりして自分の部屋を作ったことです。僕は、自分の部屋が欲しかったんです。あのときは、本当に申し訳ございませんでした。
今考えてもめちゃくちゃである。
ヤンキーたちは大盛り上がり、案の定、お偉いさんたちがめちゃくちゃ嫌な顔をして「なんで、こいつ選んだんだよ。」とつぶやかれもした。
「そんな過去もありましたが、今は国立大に行っています。」
空気が変わった。
おえらいさんからは歓声とどよめき。思いのほか、サクセスストーリーみたいな展開になった。最後は、ヤンキーとお偉いさんたちの大きな拍手で幕を閉じた。win-winである。
この後に読んだ女子代表のさ○りちゃんからしたら地獄だっただろう。それが一番の、本当にすいませんでした。
そして、再開したま〇みちゃんは、もっときれいになっていた。
他愛もない話をした後、満を持して伝えた。
「実はさ、ま○みちゃんのこと、、、、好きだったんだよね!」
ま○みちゃん苦笑。
「あー、そうだったんだ笑 ありがと。」
そして、間を置いた後ま○みちゃんはこういった。
「今度、結婚するんだ。」
呟いた彼女は、窓から差し込む、冬の朝日に照らされ輝いていた。
ああ。そうか。そうなんだ。それはよかった。
こうして甘酸っぱい青春の初恋は幕を閉じた。
「あのさ、最後に一つ確認したいんだけどさ、
おれのこと好きだった?いや、なんか音楽室で目が会ったりしたじゃん。」
ま○みちゃんは首を傾げた後こういった。
「は?私が好きだったのは、隣にいた○○○君だよ。自意識過剰きもwww」
・・・・・・なぬ?
確かに、俺の隣にはつねに○○○君がいた。そして、確かなことがある。○○○君は、俺より高身長でイケメンであることだ。
こうして、俺の超絶自意識過剰による、ほろ苦い初恋が終わった。
トキメキをくれたま〇みちゃん。ありがとう。幸せになってくれ。
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