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民法改定(改悪)案 附則/衆議院法務委員会附帯決議(仮)

ご注意

附帯決議は、4月12日の法務委員会において米山隆一議員(立憲民主党)が読み上げたものを、国会の動画に基づきforesight1974の責任編集において再現したものです。実際の付帯決議とは異なる場合があります。

附則

民法等の一部を改正する法律案に対する修正案

民法等の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
(中略)
附則に次の三条を加える。

(啓発活動)
第十七条 政府は、この法律による改正後のそれぞれの法律(次条及び附則第十九条第二項において「改正後の各法律」という。)の円滑な施行のため、新民法第七百六十六条第一項又は第二項(これらの規定を新民法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定により子の監護について必要な事項を定めることの重要性について父母が理解と関心を深めることができるよう、必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。

(周知)
第十八条 政府は、改正後の各法律の円滑な施行のため、新民法第八百十九条各項の規定による親権者の定め方、新民法第八百二十四条の二第一項第三号の急迫の事情の意義、同条第二項の監護及び教育に関する日常の行為の意義その他の改正後の各法律の規定の趣旨及び内容について、国民に周知を図るものとする。

(検討)
第十九条 政府は、施行日までに、父母が協議上の離婚をする場合における新民法第八百十九条第一項の規定による親権者の定めが父母の双方の真意に出たものであることを確認するための措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
2 政府は、この法律の施行後五年を目途として、改正後の各法律の施行の状況等を勘案し、父母の離婚後の子の養育に係る制度及び支援施策の在り方等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

附帯決議(民法の一部を改正する法律案に対する附帯決議)

政府及び最高裁判所は本法の施行にあたり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

1 施行後の本法の運用状況について公表するとともに、諸外国における子の養育に関する法制度の動向等も踏まえ、本法による改正後の家族法制による子の利益の確保の状況、親権者の指定等における父母の真意の反映の程度、DVや児童虐待等を防止して親子の安全安心を確保するものとなっているか等について、不断に検証し必要に応じて法改正を含むさらなる制度の見直しについて検討を行うこと。

2 子の権利利益を保護するための父母の責務の明確化等の本法の趣旨及びその内容について、国民、関係府省庁は元より児童扶養手当て等の事務を行う地方公共団体及び共同親権の導入により大きく影響を受ける関係機関等に正確に伝わるよう、周知広報の徹底に努めること。特に、親権の単独行使の対象となる民法第824条の2各項の、急迫の事情及び教育に関する日常の行為、特定の事項及び766条第1項の子の監護の分掌等の概念については、その意義及び具体的な類型等をガイドライン等により明らかにすること。

3 子の利益の確保の観点から、本法による改正後の家族法制による子の養育に関する事項の決定の場面において、子自身の意見が適切に反映されるよう、専門家による聞き取り等の必要な体制の整備、弁護士による子の手続代理人を積極的に活用するための環境整備のほか、子が自ら相談したりサポートが受けられる相談支援のあり方について、関係府省庁を構成員とする検討会において検討を行うこと。

4 父母の別居や離婚に伴う子の養育を巡る事件の審理に関し、特に、子の権利利益を保護する観点に留意し、子の監護の安全や安心への配慮のほか、当事者の意見を適切に聴取しこれを尊重することを含め、適切な審理運営がなされるよう、必要な研修その他の取り組みを行うこと。

5 離婚後の養育費の受給や親子交流等が適切に実施されるよう、我が国における実情調査のほか、諸外国における運用状況に関する調査研究等を踏まえ、養育費、婚姻費用について裁判実務で用いられている標準算定表を参照して取り組まれる額が適正なものとなるための配慮等を含め、国自らによる取り組みのあり方に加え、民間の支援団体や地方公共団体の取り組み等への支援のあり方について検討を行うこと。また、調査研究にあたっては公的機関による養育費の立替払い制度など、養育費の履行確保のさらなる強化について検討を深めること。

6 父母による子の教育が、互いの人格の尊重及び協力関係のもで適切に進められるよう、離婚前後の子の養育に関する講座の受講や、共同養育計画の作成を促進するための事業に対する支援、ADRの利便性の向上など、関係府省庁及び地方公共団体等と連携して必要な施策の検討を図ること。

7 改正法により家庭裁判所の業務負担の増大、及びDV虐待のある事案への対応を含む多様な問題に対する判断が求められることに伴い、家事事件を担当する裁判官、家事調停官、家庭裁判所調査官等の裁判所職員の増員及び専門性の向上、調停室や児童室等の物的環境の充実、オンラインによる申立て やウェブ会議の利用の拡大等による裁判手続きの利便性の向上、子が安心して意見陳述を行うことができる環境の整備など、必要な人的物的な体制の整備に努めること。

8 司法手続きにおける利用者負担の軽減を図るため、法テラスによる民事法律扶助、DV等被害者法律相談援助や、地方公共団体における支援事業など、関係機関との連携を一層強化し必要な施策の充実に努めること。

9 DV及び児童虐待が身体的な暴力に限られないことに留意し、DVや児童虐待の防止に向けて、被害者支援の一環としての加害者プログラムの実施の推進を図ることを含め、関係機関と連携して被害者の保護支援策を適切に措置すること。また、居住地や勤務先、通学先等が加害者に明らかになること等によるDV被害や虐待の継続、SNSやインターネット上の誹謗中傷や濫訴等の新たな被害の発生を回避するための措置を検討すること。

10 親権者の指定や親子交流等が、子の利益のため適切に行われるように するため、DV及び児童虐待の被害またはそれらのおそれの有無についての認定が適切に行われるよう、必要な研修その他の取り組みを行うこと。また、父母が互いの親子交流を尊重しこれを妨げる行為を防止する措置等について検討すること。

11 本法の下で新たな家族法制が円滑に施行され、子の利益を確保するための措置が適切に講じられるよう、関係府省庁等が連携して必要な施策を実行するための体制整備を進めること。また、本法の施行に伴い、税制、社会保障制度、社会福祉制度等への影響がある場合には、子に不利益が生じることはないかという観点に留意して、必要に応じ、関係府省庁が連携して対応を行うこと。

12 改正法が、国民生活へ多大な影響を与えることに鑑み、本法の施行に先立って、子の利益の確保を図るために必要な運用開始に向けた適切な準備を丁寧に進めること。

参考資料

附則案:

附帯決議: 

※石垣のりこチャンネルより

【分野】経済・金融、憲法、労働、家族、歴史認識、法哲学など。著名な判例、標準的な学説等に基づき、信頼性の高い記事を執筆します。