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読書アプトプット#10「ぼぎわんが、来る」

前回、ホラー作品の「近畿地方のある場所について」に関する感想記事を書いた。

今回の「ぼぎわんが、来る」も同じくホラー作品。
そしてこちらもまた賞をとっており、評価が高いようだ。自分はホラーを全然読んだことがない人間だが、前回の「近畿-」があまりにも傑作過ぎて、賞をとっているとはいえ「近畿-」と比べて本当に怖いのだろうか、とどうしても比較してしまう目があった。
この作品も友人に薦められたのだが、「近畿-」とは違うベクトルの怖さということで、読んでいくと確かにその通り、その意味が分かった。
全3章の物語となっており、賞ごとに語り手が変わる。この作品は筆者曰く、怖さとは何かを考えた際に、人に"恐怖"を与えるのは対象それ自体の姿形や性格ではなく、「人々に恐れられている」ということ自体ではないか、という仮説によって基づいている。
恐怖の対象自体の恐ろしさというよりも、それを目の当たりにした際の人間の豹変ぶり、言葉を選ばずにいうなら「頭がおかしくなってしまう」様にスポットが当たっている為、着眼点が独特ながら非常に怖い作品になっている。
もう一つ私が素晴らしいと感じた部分は、「結局人間が一番ヤバいよね」っていうニュアンスが含まれていること。特にそのニュアンスが顕著に感じられるのは第2章である。
これは自分の予想だが、読み手は長い文章の中で、物語に入り込むために、はたまた共感しやすくするために、語り手に感情移入をしていくのだと思う。語り手が正義、語り手が何とか頑張って、生き抜いていって欲しいという希望を、彼らに託しながら読んでいるのだ。
しかし、先ほども述べたように、この作品では章が変われば語り部も変わる。すると状況は一変する。これまで正義だと信じていた語り部が語り部で無くなった瞬間、つまり第三者視点になった時、その人に対するイメージや評価は全く異なるものになってしまうのだ。そのギャップに私は驚いてしまった。
この作品は「比嘉姉妹シリーズ」の一環であり、シリーズ化されているようなので、興味があればそちらも読んでみようと思う。

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