ももかんの処置
こんにちは!
⚽フットファンク/理学療法士⚽です!!
今回の記事では、「ももかんの処置」についてです!
以前の記事では、スポーツ外傷に必要な「PLICE」について作成しました!
まだ読んでいない方は、是非読んでみてください!
サッカーに関わる選手およびスタッフ必見です!
それでは早速今日も学んでいきましょう!!
①ももかんとは?
「ももかん」とは、太ももの前側の筋挫傷のことです!
「筋挫傷」とは、相手の膝や頭などの硬い部分が多くは当たって起こるものです!
サッカー・ラグ ビー・アメリカンフットボール等コンタクトスポーツでよくみられます!
筋挫傷の約20%は、太ももに起こると報告されています!
サッカーの現場ではよく出会いますが、選手の自覚症状を中心に判断されることが多く、中には痛みを長引かせたり、再発を繰り返したりすることもあります!
たかが「ももかん」でしょ!と言わずに、しっかりと処置を行いましょう!
②ももかんの症状
「ももかん」の症状は、外力により骨との問に挟まれた筋が損傷し炎症、浮腫、出血を起こす病態!
⇒簡単に言うと、熱を持って、腫れて、内出血が出ます!
太もも面の筋肉は衝突した双方の骨に挟まれ、 断面積の小さい受傷側の大腿骨に近い深部の筋が損傷されやすい!
⇒簡単に言うと脚の奥側の筋肉に症状が出やすいわけです!
筋肉でいうと「中間広筋」というところになります!
大腿四頭筋という太ももの前の筋肉の1つで、膝を伸ばす時に働きます!
詳しく知りたい方は、下のリンクに飛んでみてください!
やっかいな症状として、腫れが強く出てしまうことで「膝が曲げづらく」なってしまいます!
これはさっき触れた「中間広筋」の腫れ具合によって変わってきます!
腫れは具合は、「周径」といって脚の太さを測ったり、MRIによって評価をしていきます!
周径は部位を決めて定期的に図ることで、腫れの軽減をみることができます!
MRIの場合は、下の図での矢印のように色が変わることで評価できます!
③肉離れとの違い
肉離れの代表例が、ダッシュに起こりやすい太ももの後ろ側の「ハムストリングス」です!
筋肉への過剰な負担等で、過度に引き伸ばされて起こります!
肉離れによりハムストリングス(太ももの後ろ側)の機能障害が起こります!
今回の「ももかん」は、相手の膝や頭などの硬い部分が当たって起こるものでした!
受傷する場面や受傷しやすい場所も違うことも特徴でしたね!
④最適な処置
「ももかん」を起こしたら,可能な限り直ちに練習や試合を中止し、膝を曲げて安静固定することを徹底します!
応急処置がその後の予後(症状や復帰時期)を決めることになります!
膝は120°曲がることを目標として、弾性包帯等で圧迫してその上からアイシングをします!
簡単に言うと、可能な限り早く応急処置をする!
膝は可能な範囲で大きく曲げて、アイシングをします!!!
上のような応急処置をする理由として、「打撲後の出血を抑える」ことが重要になります!
膝を伸ばせたままにすると、緩んだ筋肉の中で出血が起きて腫れが大きくなってしまします!
膝を出来るだけ曲げておくことで、腫れを抑えることが可能になります!
いったん腫れてしまうと、膝の動きが制限されてしまうため注意が必要です!
⑤ありがちなNGな処置
ここからはよくありがちな処置について触れていきます!
A.「ただのももかんだし、放っておこう!」
B.「アイシングだけやっておけないいかな!」
C.「安静が大事だし、膝は伸ばしたままでいいか!」
D.「膝は曲げないといけないって聞いたな!」「凄く痛いけど曲げちゃおう!」
⇒これらは全てNGです!
それぞれ詳しくみていきましょう!!
A.ももかんを受けてからのプレー
⇒最適な処置は「可能な限り直ちに練習や試合を中止」でした!
受傷してからのプレーは、筋肉周りの出血を促進してしまいます!
つまり継続して、プレーをすればするほど腫れが強くなってしまいます!
B.「アイシングだけやっておけないいかな!」
⇒圧迫やアイシングであれば、優先すべきは「圧迫」でした!!
手を切ってしまった場合は、圧迫して止血をしますよね!
それと一緒でももかんの場合も、優先すべきは圧迫することです!!
C.「安静が大事だし、膝は伸ばしたままでいいか!」
⇒「膝は可能な範囲で大きく曲げる」が重要なポイントでした!
膝は伸ばしたままにしておくと、より腫れが強くなってしまいます!
D.「膝は曲げないといけないって聞いたな!」「凄く痛いけど曲げちゃおう!」
⇒可能な限り膝を曲げます!「120°を目標にする」とよいです!
痛みが強い場合は、膝を曲げすぎないてもよいです!
骨折や骨化性筋炎の可能性もあります!
ケガして3〜4日経過して、膝が90°まがらない場合は損傷が大きかったと考え、骨化性筋炎も考えます。
⑥復帰の目安
復帰に関しては、あくまで目安であることを注意してください!
まずはももかんを「3つに分類」して、復帰の目安を考えていきます!
1.軽症:膝屈曲が90°以上可能
2.中等症:膝屈曲90°以下
3.重症:膝屈曲が45°以下
受傷直後の膝関節屈曲角度を120°まで獲得できれば
⇒「数日の安静」でスポーツ復帰が可能であると言われています!
また、中等症等以上では,復帰には「3週間以上」が必要と言われています!
⑦参考文献および引用文献
筋挫傷と肉離れ:山口睦弘:スポーツメディスン 21(1): 22-25, 2009
大腿部の外傷(肉離れ,筋打撲傷):奥脇透:臨床スポーツ医学 33(9): 860-864, 2016.
大腿筋挫傷・ 肉離れの画像評価:土肥美智子
少しでも「ももかん」のことが理解でき、皆さんの競技復帰が早まれば嬉しいです!
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