東京2-0浦和(2020年7月18日)
今回は、2020年Jリーグ第5節、味の素スタジアムで行われたFC東京対浦和レッズの一戦です。
試合前
最後にスタジアムで試合を観たのは2019年12月7日のJリーグ最終節、横浜F・マリノス対FC東京。実に7ヶ月以上かかりましたが、ようやく今シーズンも観戦日記を書ける状態になりました。
各最寄駅からの直通バスが(少なくとも狛江駅からは)なかったり、いつもあるはずの場所にグッズショップがなかったり、いつもスタンドを周回してくれてる飲料の売り子のお姉ちゃん達がいなかったり(笑)、そもそも観客の上限が5,000人だったりと、コロナの影響や爪痕はそこかしこに感じられましたが、ともあれ、また現場でサッカーを観られる喜びを存分に満喫しようと思いました。
足元の状態を整理すると、
浦和レッズ:2位(3勝1分)
FC東京 :4位(3勝1負)
2004年以降味スタでの勝利なく、ここ10試合の対戦成績でも3分7敗。まさに「鬼門」と言えるのが今日の対戦相手である浦和レッズです。
また、Jリーグ再開直後の第2節、柏レイソル戦で室屋成がJ1通算100試合出場、第3節の多摩川クラシコ、川崎フロンターレ戦で森重真人がJ1通算350試合出場を果たしました。こんなご時世でなければ、家族から花束が贈られて祝福ムードが高まる所なんですが・・・寂しいですね。
前半
個人的に注目をしていた東京の前線の並びは永井謙佑を中央に、ディエゴ・オリベイラが右、レアンドロが左。中盤は橋本拳人を中央に東慶悟を右、安部柊斗が左。
6分、左サイドで起点を作った興梠慎三が中央へ戻し、青木拓矢が長澤和輝とのパス交換から右へ展開。このパスに対してレアンドロが右足を延ばして引っ掛けるも、ペナルティーエリア内にこぼれたボールを長澤和輝が右足でシュート。
コレは森重真人がコースに体を投げ出してブロック。
12分、最終ラインの岩波拓也から右サイドを駆け上がった橋岡大樹へロングパス。胸でのワントラップから一度ボールを浮かせて安部柊斗のチェックを外すとそのまま右足アウトでのシュート(枠外)
17分、最終ラインでのパス回しからボールを受けた柴戸海が最終ラインの裏へフィード。森重真人と競り合いながらボールを収めた興梠慎三がボールキープから左に展開すると、汰木康也が中央へクロス。
ファーサイドに走り込んだ橋岡大樹が安部柊斗と競り合いながらヘディングで狙うもボールは枠の外へ。
18分、左サイドでボールを受けたレアンドロが安部柊斗とのワンツーからカットインして中央へ。縦方向への小さいパスをディエゴ・オリヴェイラがさらに裏に流すと、走り込んだ小川諒也がダイレクトで左足シュート。
アウトにかかれば「もしや」というシュートでしたが、若干インにかかったボールはそのままゴール前を横切ってゴールキックへ。
20分、中盤でボールを奪ったレアンドロが、森重真人の胸でのワンツーからドリブルで持ち上がってそのまま右足シュート(枠の外へ)
23分、最終ラインのマウリシオから前線に大きなフィードが入ると、渡辺剛の視界から外れて、森重真人との間に上手くポジションを取った興梠慎三がダイレクトで落としたボールを杉本健勇が左足でシュート(林彰洋の正面)
その後、両者ともシュートに至る形をなかなか作れない中で迎えた44分
センターサークル付近でパスを受けた森重真人が自陣から低くて速いフィードを右サイドに送ると、ボールを受けた室屋成が中央へクロス。
このボールに対して前に出た西川周作がクロスに触れずファーに流れると、ボールは詰めていたディエゴ・オリヴェイラの体に当たってゴールへ。
クロスに対してGKが飛び出すのなら、絶対にボールに触らなければいけないというのが鉄則だと思うんですが、それが守れないと起こるお手本のような事故・・・ゴールシーンだったのかな、と思います。日本代表のゴールマウスを守った事もある西川周作にしてはチョット残念なプレーかな、と。
またこのシーンでは、直前でも右サイドの最前線でボールを受けた室屋成がレアンドロとのコンビで崩そうとしてるんですけど、上手くいかずにクリアされたボールを最終ラインで渡辺剛⇒森重真人⇒小川諒也へと繋いで、一度浦和の選手を東京から見て左に寄せてるんですよね。
一度浦和の選手を逆側に寄せて、室屋成が動けるスペースを確保しておいてからの高速サイドチェンジ⇒クロス。最終的には事故みたいな形から得点が入りましたが、そこに至る過程は良くデザインされたプレーに見えました。
46分、興梠慎三が右から入れたクロスが逆サイドまで流れると、そのボールを拾った汰木康也が後ろに落として山中亮輔が再び中央へクロス。杉本健勇が頭で合わせるも、少し窮屈な形になったシュートはバーの上へ。
47分、右サイドでのスローインから東慶悟⇒室屋成⇒ディエゴ・オリヴェイラのボールキープ⇒東慶悟と細かくつないで橋本拳人が中央から左へ展開。
レアンドロがワントラップから中に入れたボールを永井謙佑がヘディング。
シュートは枠の外へ。
そのまま、前半は1-0で終了。
お互いに決定的なシーンをほとんど生み出せない、作らせない固い試合展開でしたが、こんな時はえてして些細な事が大きな結果に繋がるんですよね。
ただ、DAZNのハーフタイムデータによると、FC東京のアタッキングサイドは右47%(中央21%、左32%)だったので、チームとして右から攻めようとしてたからこその得点だった事は間違いないと思います。
後半
汰木康也⇒関口貴大
47分、中盤で得たFKを橋本拳人が素早くリスタートすると、安部柊斗⇒永井謙佑と左サイドへ展開し、中央へグラウンダーのパス。
コレを受けたレアンドロが右足でシュートを放つも枠の外へ。
56分、杉本健勇⇒レオナルド、長澤和輝⇒マルティノス
61分、永井謙佑⇒アダイウトン
62分、右サイドで室屋成からスローインを受けたディエゴ・オリヴェイラが反転からドリブルを開始。ファーストタッチで山中亮輔と入れ替わり、エリア内で岩波拓也との1対1からさらに縦へドリブル。
そのままゴールポストギリギリまで持ち込み、西川周作とマウリシオを引き付けて中央に短くマイナスのラストパス。
あとはもう、アダイウトンが触ればゴール!というシーンでしたが、パスがわずかにアダイウトンの後ろに入ってしまい、ボールはバーの上へ。
66分、浦和最終ラインでのパス回しから青木拓矢にボールが入った所でアダイウトンがプレスへ。青木拓矢のコントロールが浮いた所でボールをかっさらうとそのままドリブルを開始。
ボールを奪われた青木拓矢もすぐに後を追い、岩波拓也とマウリシオも左右から寄せて来ますが・・・
しかし、アダイウトンはそんな事にはお構いなく、スピードとパワーで両CBの間を割って入り・・・
そのままペナルティーエリアまで侵入。
追いすがるマウリシオのタックルより一瞬早く、西川周作の横を抜くグラウンダーのシュートを冷静に流し込んで2-0。
ボール奪取からフィニッシュまで。まさに「自己完結」のゴールでした。
68分、橋岡大樹⇒エヴェルトン 柴戸海が右SBへ。
73分、自陣でのFKから森重真人が大きく前方に蹴り出すと、ボールはマウリシオと競り合いながらエリア内に走り込んだディエゴ・オリベイラの背中を直撃し、ボールはアダイウトンの足元へ。
ディエゴ・オリベイラからの落としを想定して走り込んでいたアダイウトンが、西川周作との完全な1対1の状況からシュートを放ちますが、間合いを詰めて冷静に対応した西川周作がこのシュートをブロック。
さっきのを決められるのなら、むしろコッチを確実に決めてよ・・・
76分、山中亮輔の左からのCKのこぼれ球を追いかけたエヴェルトンとアダイウトンがもつれ合って両者転倒すると、安部柊斗がそのボールをフォローして自陣ペナルティー付近からドリブル開始。柴戸海とマウリシオのチェックをしのいでセンターラインを越えると、中央寄りにコースを変えながら一度右のレアンドロへ預け、自らはそのままエリア内へ。
レアンドロのワントラップからのリターンパスをダイレクトでシュート。
シュートは惜しくも右に外れましたが、選手の足が止まり始める残り15分でルーキーの見せられるレベルのプレーではないな・・・と。
82分、小川諒也⇒中村帆高 東慶悟⇒アルトゥール・シルバ
88分、安部柊斗⇒高萩洋次郎 ディエゴ・オリベイラ⇒紺野和也
92分、浦和陣地深くでのボール回しに対して高萩洋次郎、紺野和也、アルトゥール・シルバの交代出場3選手が執拗に追いかけて高萩洋次郎が青木拓矢からボールを奪うと、パスを受けた紺野和也が右サイドからドリブル。
関根貴大、マウリシオと1対2の状況ながら果敢にドリブルで仕掛けると、1人目の関根貴大を縦に振り切ろうとした所で足をかけられ反則を獲得。
さらに、この反則で得たFKを自ら左足でシュート(恐らく)
勝ってる試合で途中出場の選手が果たすべき役割と、自分の持ち味とをよく理解した選手であり、プレーだなと思います。レアンドロに譲らず、自らFKを蹴って行く気の強さも好感が持てます。
そして、試合はこのまま2-0で終了。2004年以来となる、味の素スタジアムでの久しぶりの浦和レッズ戦の勝利となりました。
試合を終えて
久しぶりの観戦日記なので、書きたい事が山ほど・・・
まず、ディエゴ・オリベイラ、アダイウトン、レアンドロの強力ブラジリアントリオをどう共存させるのかを含め、今シーズンをどう戦っていくつもりなのか開幕前からずっと気になっていて、開幕戦、再開後の数試合でもなかなか見えて来なかったんですが、この試合でようやく見えた気がします。
3トップの右はディエゴ・オリベイラ、左にレアンドロ、中央は永井謙佑とアダイウトン。右のローテーションは紺野和也で、この試合はレアンドロがフル出場でしたが、左はアダイウトンが兼務でしょう。田川亨介がいれば、中も外もこなせる貴重な存在なだけに負傷離脱が残念です。
この試合を最後に橋本拳人が去る中盤は、ほぼ間違いなく高萩洋次郎が中央に入るでしょう。その両脇が東慶悟、安部柊斗、アルトゥール・シルバら。
両SBは室屋成、小川諒也、中村帆高から2名。CBは恐らく森重真人、渡辺剛にジョアン・オマリを加えた3名で回す腹づもりでしょう。
安部柊斗、中村帆高が新人らしからぬプレーを見せている事で、人員のやり繰りに関しては現在一定の目途が立ってますが、唯一の心配点はまさにこの試合で橋本拳人が去る中盤のセンター。高萩洋次郎に何かあった場合、また彼を休ませたい場合、誰をどう使って乗り切る考えなんでしょう。
この試合、両SBに高い位置を取らせるため、また相手2トップのプレスを回避するために橋本拳人が両CBの間に下りて来てビルドアップに参加するシーンが何度か見受けられました。高萩洋次郎であれば同じ事が問題なく出来るはずですが、ココに東慶悟や安部柊斗、アルトゥール・シルバが入る絵は、残念ながら想像しずらいです。
前述の3人で中盤に一定の守備力、及び運動量の質と量は担保されてるとは思いますが、高萩洋次郎不在時の配給役をどう解消するかが気がかりであり見ものです。
一方、この試合を現地で観ていて、室屋成の右からのオーバーラップを攻撃の重要な手札としてチーム全体が強く意識してる事を改めて確認しました。
中計画面だとなかなか映らないんですが、スタジアムで観ていると、渡辺剛と森重真人の両CBが、隙あらば長いボールを入れて室屋成を走らせようとしているのがよくわかります(両者が右にフィードを蹴るモーションを入れてから他にパスを出すシーンを何度も見かけました)
加えて、ディエゴ・オリベイラを右サイドに置く事で相手DFの意識がどうしても彼に向くため、室屋成の周りにスペースが出来やすくなります。
また、彼の守備に対する献身性はサイドにおけるファーストディフェンダーとしても非常に有効に機能するはずです。
この試合ではオーバーラップした室屋成が戻るまで、ディエゴ・オリヴェイラがサイドバックの位置に入るケースすら見かけました。
彼が右サイドで守備にも奔走する事で、守備面での貢献が不安視されていた逆サイドのレアンドロも、今のところ想像をはるかに超えるハードワークを我々に見せつけています。
開幕前はあまり想像してなかったんですが、こうして色々な事象を重ね合わせると、ディエゴ・オリベイラの右サイド起用は、今のところ長谷川健太監督のスマッシュヒットと言えると思います。
今日の一枚
相性の悪い浦和を下し、笑顔で橋本拳人を送り出す事が出来ました。
Jリーグ再開直後に彼の移籍のニュースを聞いた時は、正直「そりゃないよ。今年こそ!だったんじゃないの?」と思いました。ただ、生え抜きとして「FC東京を優勝させてから行くという約束を破ってしまい、申し訳ございません」という彼の言葉と涙に偽りはないと思ってます。
まだ、間に合います。今シーズンがラストチャンスです。
今シーズンFC東京が優勝できれば、橋本拳人も優勝チームの一員です。
前述したように、彼が抜ける事で中盤の真ん中に小さくない穴が開く事態が予想されますが、それをも乗り越えて、「橋本拳人のいたFC東京」が優勝を勝ち取れる事を期待しています。
スタッツ
ハイライト映像
次回予告
次回は8月1日、FC東京対サガン鳥栖の試合を観に行く予定ですが・・・果たしてチケットが手に入るのか、そもそも観客が入れる状態なのか。信じて準備をして行きたいと思います。