帰ってきたエースと新たな歴史の始まり
トルーカ市は、首都メキシコシティから車で約2時間。住宅が密集しており、どこか落ち着いた雰囲気を感じさせる。
実は、このトルーカ市とさいたま市は姉妹都市である。首都との距離や人口など似ている点が多いことから提携が結ばれたと言う。
埼玉でサッカーと言えば、浦和レッズの印象が強いが、この街もサッカーが熱い。
街の中心部には一際目立つサッカースタジアムがある。ネメシオ・ディエススタジアムだ。
決して規模は大きくないが、毎試合スタジアムは浦和レッズと同じ赤色に染まる。
週末の試合開催は、試合中は飲食店はほとんどやっていない。試合が終わると一斉に店が開き、スタジアムから出てきたサッカーファンが集結して語り合う。サッカー文化が根付いた街である。
先週、この街でチームの歴史を刻む試合が行われた。今回はその内容を振り返っていきたい。
エースの復帰
先日、チチャリートがグアダラハラに復帰したことが大きな話題となったが、このニュースと同時期にもう1人のスター選手も古巣復帰をしている。
アレクシス・ベガ
メキシコを代表するアタッカーだ。3年前の東京オリンピックにも出場し、銅メダル獲得に貢献した。現在はA代表に選出され、10番を背負う。
そんな彼がグアダラハラからトルーカへ移籍した。
元々、トルーカは彼にとって、プロデビューを飾った古巣。3年ほどトルーカでプレーした後、昨年までグアダラハラで攻撃の一角を担った。
しかし、23/24シーズンからベガは、グアダラハラからの構想に外れ、今オフは移籍が確実視されていた。
この状況を受け、メキシコ代表のアタッカーにオファーが殺到したことは間違いないだろう。
ベガ本人も「全ての噂が正しいわけではない」としつつ、
と語っている。
このオファーの1つだったのが、古巣トルーカである。
彼の選択肢は決して難しいものではなかった。
とトルーカへの愛着は変わっていなかったのだ。
こうして、ベガのトルーカ復帰が決まった。
節目の試合はホームでのゴールラッシュ
2月4日、ホームネメシオ・ディエススタジアムで行われたレオン戦は、ベガの復帰戦かつクラブ通算3000試合目となった。
スタジアムには、長い歴史を表す過去の写真やチームの功績が大きく描かれている。
この試合の前からは、チームの2人のレジェンドが描かれた壁画もスタジアムの外に誕生した。
この新たなクラブの歴史を刻む試合は、トルーカのゴールラッシュとなった。
前半17分。ドミンゲスがフェイントで1人交わし、左足を振り抜き先制に成功。
ここからゴールラッシュが始まる。チームの司令塔14番マルセロを中心に追加点を狙うトルーカ。
24分。DFペレイラがコーナーキックから味方が繋いだボールを頭で合わせる。一度はキーパーに弾かれるものの、自ら足で押し込み追加点。試合を有利に進めていった。
その6分後。左サイドバックのアラウホがサイドを駆け上がり、味方とワンツーでペナルティエリアに侵入。そのままゴールに流し込んだ。
3点を奪ったトルーカは前半だけで勝負を決定的にした。
その後、後半立ち上がりにレオンに1点を返されるも、試合は依然としてトルーカペースで進んだ。
ベガの復帰、そして得点
70分。ついに、ベガが6年ぶりにホームに帰ってきた。
エースの復帰にスタジアムは大歓声で迎え入れた。
85分。右サイドの高い位置でボールを奪ったカルロスがドリブルで持ち込み、中へグランダーのパス。
引き付けられたレオンDFの視界の外から入ってきたのは、ベガだった。
古巣復帰戦でのゴール。今シーズン、グアダラハラで出場機会に恵まれなかったエースは自身5ヶ月ぶりの得点となった。
試合は、このまま4対1でトルーカが圧勝。
記念すべき3000試合目を文句なしの内容で勝利を飾った。
試合後、
と喜びを表現した。
エースの復帰とクラブの新たな歴史を刻んだ試合となった。
チームのリーグ戦タイトルは、2010年を最後にまだ獲得できていない。
これから、どのような歴史を創っていくのか、
赤く染まるメキシコの街に注目だ。