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独走態勢へ クルス・アスル大暴れ

"Una goleada sin piedad de la máquina"「容赦ないゴールラッシュ」

"Propina la máquina un baile al becampeón América"「王者アメリカにダンスを披露」

現地メディアは揃って、クルス・アスルを称賛した。

リーガMX第6節 クルス・アスル対クラブ・アメリカの試合。
昨シーズンの決勝戦の組み合わせに、今節1番の注目が集まった。


アメリカ先制するも…

試合は、序盤に動いた。
先制したのは、アウェイのアメリカ。
前半16分、コーナーキックからファーでフリーになっていたウルグアイ代表ロドリゲスが頭で合わせた。

先制こそ許してしまったものの、ここで崩れないのが今年のアスルの強さ。
ボールを動かし、主導権を握った。特に、今節も得意のサイド攻撃が光った。
両サイドアタッカーに加え、シャドー、ボランチの選手もサイドに流れ、人数を掛ける。両サイドを起点に攻撃を組み立てた。

そのアスルは、44分、前半アディショナルタイムと立て続けに得点を挙げ、一気に逆転に成功。
1点目は左サイドから。2点目は右サイドから。と、先制されても、動じることなく、アスルの強みが発揮された。

5バックの堅い守り

後半、アメリカが反撃に出るが、それをアスルは安定した守備で跳ね返した。
ディフェンスの時間には、両サイドを1列下げ、最終ライン5枚で構えたアスル。アメリカはそれに対して、サイド攻撃、ミドルシュートと、アスルゴールに迫ろうとするも、ことごとく跳ね返された。
最もゴールに近づいた場面は、後半開始直後のロドリゲスのシュート。強引に放たれた右足は、無情にもポストに弾かれた。

アスルディフェンスは、5バックでスペースを消すことに加え、ボールホルダーへの激しいプレッシングを徹底した。
アメリカのオフェンス選手1人に対して、2,3人の選手がプレッシャーをかけた守備は、アメリカの自慢の攻撃力を見事に抑えた。
アメリカのエースで、今回の代表にも召集されているヘンリーは、90分を通してシュートはわずか1本。現地の評価は、5段階中2.7と不発だった。
アスルの徹底したディフェンスの度合いがこの数字に表れていると言えるだろう。

アメリカの攻撃陣
10番バルデス(中)の負傷交代もアメリカにとって大きな痛手となった。

多彩な攻撃と個の強さ

アメリカの攻撃を跳ね返したアスルは、ここから再び攻撃のスイッチを入れた。
79分、左サイドの裏のスペースに、グティエレスが走り込む。そこに、ピオビがドンピシャの浮き球のパスを供給。グティエレスは、難しい角度からキーパーのニアを突き刺す豪快なシュートを決め、3対1に。

90分には、昨季加入したファラベリがペナルティエリア外で、パスを受けると迷わず右足を振り抜いた。

試合は、4対1でアスルが快勝。

アスルの得点は、左サイドから1点目、右サイドから2点目、裏へ抜け出し3点目、ミドルシュートで4点目と、全て起点が異なった。
得点、アシストは共に4人ずつ。つまり、8人の選手が直接的にゴールに関わったことになる。
この的を絞らせない攻撃が、今季、相手ディフェンスを苦しめてきているのだ。

多彩な攻撃に加え、個のレベルもトップクラス。
FWは、セプルぺダと、ギリシャ人のギアクマキス。経験豊富な2人のエリア内でのポジショニングの良さ、決定力の高さは相手に脅威だ。
2列目で見ると、3点目、4点目を挙げたグティエレスとファラベリや、サイドアタッカーのサンチェス、ロトンディ。
さらに、その後ろのポジションには、ロモとロドリゲスというメキシコ代表MF2人。

個の力を最大限生かし、多彩な攻撃を繰り出すアスル。
GKマラゴン、DFアラウホ、レジェスのメキシコ代表、ウルグアイ代表DFカセレスを擁するアメリカディフェンスでさえ、アスルの攻撃を止められず、4失点を喰らった。この結果が、アスル攻撃の質の高さを物語っているだろう。

4点目を挙げたファラベリら(左から2番目)

因縁の相手に大きな勝利

この1勝は、アスルにとって大きな意味をもたらすことになりそうだ。
元々、アスルとアメリカは、同じメキシコシティをホームに構えるクラブとして、因縁の相手。つまり、ダービー戦なのだ。
また、アメリカとの戦いは、アンセルミ監督率いるアスルにとって、リベンジでもあった。昨シーズン、クラウス―ラ決勝で敗れた相手であるからだ。

アメリカ相手に快勝したことについて、アスルサポーターは歓喜に沸いた。
"AMÉRICA FALSO CAMPEÓN" 「アメリカは偽のチャンピオン」
と、「真のチャンピオンは俺たちだ」と言わんばかりに、アスルサポーターは胸を張った。

試合終盤の観客席の光景は、昨シーズンの決勝の時と立場が逆転していた。
現地メディアのSNSには、歓喜に沸くアスルサポーターの中に、アメリカファンが呆然とする姿が映った動画もアップされた。

一方で、アスルサポーターの中には、「この勝利はまだリベンジと言えない」といった声も挙がった。
"Falta una final" 「決勝が残っている」
と、 冷静なサポーターも。
アメリカを下してリーグチャンピオンに輝くまで、このリベンジは続くようだ。


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