赤白軍団 下剋上の始まり
ミーティングでのこの一言から週末のリーグ戦に向けてのトレーニングが始まったのは、アトレティコ・サン・ルイス。メキシコの中西部に位置するサン・ルイス・ポトシを本拠地とするクラブだ。
スペインのアトレティコ・マドリードがクラブの所有権を持ち、運営していることから、チーム名やユニフォームが赤白のストライプと共通点は多い。
クラブは、3月1日試合前の時点で、13位。開幕から2連勝をしたものの、それ以降の7試合は、1分6敗と勝てていない。
しかし、そんな状況の中でも、プレーオフ進出やタイトルに十分チャンスがあるのがリーガMX。
上位8チームが進出するプレーオフに、食い込んでいくことはできるのか、上位以外の争いもリーガMXの見どころであり、サン・ルイスはプレーオフ争いの注目チームの1つである。
10位までのチームが優勝の可能性あるリーグ
13位のサン・ルイスを「プレーオフ進出やタイトルに十分チャンスがある」という表現をしたが、これがどういうことなのか。
ここで一度、リーガMXの制度に触れてみたい。
上位8チームがプレーオフに進出するリーガMXは、8番目のチームの決め方が、独特な方式となっている。
リーグ戦の日程を終えて決まった順位の7位と8位が対戦し、勝者は7番目のチームとしてプレーオフ進出が決定。
それと同様に、9位と10位も対戦し、その敗者は最終順位が10位で、敗退となる。この対戦で勝ったチームと7位8位対決の敗者が「8番目」の座をかけて対戦する。
この3試合を終え、正式にプレーオフに参戦できる1~8番目のチームが決定していく。つまり、リーグ戦の日程で10位以内に入れば、大逆転での上位進出もあり得るのだ。
3月1日試合前の時点で、10位となっているのはケレタロ。そこから、レオン、サン・ルイス、マサトラン、アトラスがわずかな差で追っている。
シーズンも折り返しが過ぎ、ここからさらに熾烈な争いが予想される。
サン・ルイスは、「10位争い」に勝ち残るため、ここで悪い流れを断ち切り、勢いをつけたいところだ。
そのような状況で週末、ホームにプエブラを迎え撃った。
圧巻のゴールラッシュ
ホームで負けられないサン・ルイスの結果は、圧勝だった。
試合データで振り返ってみると、
ポゼッション率71%、
シュート数はアウェイチームプエブラの5本に対して約4倍の19本。
この数字から想像できるように、サン・ルイスは攻め続けた。
前半早々にプエブラの選手が1人退場したことも終始、試合を優位に進めることができた要因でもあるが、それでも試合をコントロールし続け、相手にチャンスを作らせなかったことは、チームにとって非常に良い試合だったと言えるだろう。
1人多いサン・ルイスは、ピッチを幅広く使い、右に左にボールを展開し、攻撃を組み立てた。
この攻撃で目立っていたのは攻撃陣の3選手。
先制点を挙げたブラジル人アタッカーのフェレイラ、コートジボワール代表選出経験を持つストライカーのボリ、23歳のアタッカーのガルダメスだ。
サイドからのクロスをフェレイラとボリがボックス内で合わせようとするシーンは多く見られた。相手が攻めるためにラインをあげれば、カウンターで裏のスペースに2人が走り込み、ペースを譲らなかった。
先制点のシーンも、広く空いた相手ディフェンスほ裏のスペースにフェレイラが追いかけ、相手のミスを誘った。
この2選手がいることで、サイド攻撃だけでなく、カウンターも効果的に仕掛けることができた。
ガルダメスは、後半途中からの出場となったが、これもまた存在感を示す活躍となった。特に、先制した後は押し込む展開が続きながらも、なかなか追加点を決めきれない時間帯が続いた。
そこに出場した23歳は、左サイドから積極的な動きを見せ、チームの3点目を挙げた。その後も、得点には繋がらなかったものの、見せ場を多く作った。
彼の投入は、フェレイラとボリという2人に頼らずに、攻撃に新たな選択肢を作った非常に効果的な交代カードとなった。
この結果、4対0でプエブラを下し、チームは連敗ストップ。7試合勝ちなしという長いトンネルから脱出した。
10位争いの展望
週末の試合を終え、現在の順位は
10位ケレタロ(勝ち点11)に続いて、
レオン(勝ち点11)
サンルイス、サントス(勝ち点10)
マサトラン、アトラス(勝ち点9)
と混戦状態。
残り7試合。直接対決も多く残している。
中でも、サンルイスはアトラス、サントスと
ケレタロはアトラス、レオン、マサトランと3連戦がある。
これらの試合の結果次第で、順位が今と全く違うなんてことも十分にあり得る。
上位争いだけでなく、プレーオフ進出をかけた戦いが見れるのもリーガMXの魅力。
短期決戦を見据えた戦い方をするチームも今後は見られるようになってくるかもしれない。
赤白軍団のように虎視眈々とプレーオフ進出を狙っているチームにも目が離せない。
↓プエブラ戦ハイライト