タレント集団 ラジャドス
エースが抜けても安定の強さを誇っている。
メキシコ北部の大都市のチーム、CFモンテレイ。ラジャドスの愛称で親しまれている。
2011年に、クラブワールドカップで柏レイソルとの対戦したこともあるクラブだ。
(試合はPK戦の末、柏レイソルが勝利)
メキシコ北部を代表するクラブは、毎年優勝候補の常連で、2022‐23シーズンのクラウス―ラではリーグ戦首位で終えたものの、プレーオフ準決勝で敗退。
23‐24アペルトゥーラでも、リーグ戦2位であったが、準々決勝で敗退するなど、タイトルまであと一歩という状況が続いている。
今年のクラウスーラでは、より一層タイトルにかける想いは強いだろう。
しかし、前回の記事で紹介したように、9年間モンテレイのエースとして活躍したフネス・モリは、このオフ期間にプーマスへ移籍。
モリが2試合に1ゴールペースで積み上げたゴールは154。チームにもたらした影響力が大きいがために抜けた穴は大きいだろう。
だが、この試練を前にしても1月は安定の強さを魅せた。リーグ戦4試合を終え、8得点2失点。
その強さの要因はスター選手たちの存在だ。
チームの心臓とストライカー
モンテレイが本拠地とするBBVAスタジアム。
山に囲まれた中にあるスタジアムは、2026年北中米ワールドカップで試合会場でもある。昨夏、久保建英所属のレアルソシエダとアトレティコマドリードがプレシーズンマッチも行われた。
この場所で行われたクラウスーラ開幕戦、対サントス・ラグーナ。
試合はモンテレイペースで進む。
前半、何度もチャンスを作るも無得点で終えるが、後半立ち上がり、得意のサイド攻撃からゴンザレスが頭で合わせて先制に成功。
その後はサントスの反撃を凌ぎながら、追加点を狙うモンテレイ。
この試合目立ったのは、中盤のルイス・ロモとFWのヘルマン・ベルテラメだった。
ロモはメキシコ代表の常連で、2021年の東京オリンピックでGKオチョアらと共にオーバーエイジ枠として選ばれた経験を持つメキシコを代表するボランチ。ゲームのコントロール力に優れ、攻守に欠かせない存在だ。
ベルテラメは年代別アルゼンチン代表経験もある25歳。スピードとシュート力が魅力のFWで、移籍したモリの穴を埋めるのに申し分ない実力を持っており、今チームで最も得点を期待されている選手だ。
ハイライトからも分かるように、この試合では攻撃の起点はロモ、フィニッシャーはベルテラメという形が何度も見られた。
特にベルテラメはシュート9本放つなど、圧倒的な存在感を示した。
1点差が続いたこの試合は、2人がスタジアムを沸かせ、勝利を決定的にした。
相手のコーナーキックを凌ぎ、すぐさまカウンターを仕掛けたモンテレイ。
自陣のペナルティエリア付近でボールを受けたロモはそこから相手陣地のペナルティエリアまで、ドリブルで駆け上がった。
相手を引き付けたロモは、右サイドからスプリントで駆け上がったベルテラメにパス。ベルテラメの強烈な右足がキーパーのニアを突き刺した。
93分のゴールだった。
試合を決定付けたゴール。このゴールに携わったのは2人であるが、ベルテラメと同じようにスプリントしていた選手は他に4人いた。
90分という最も運動量が落ちる時間帯に6人の選手がスプリントをしたシーンは、ベルテラメの言葉を思い出す。
それは開幕戦の直前のインタビューのシーン。
モリが移籍したことで、得点への注目はベルテラメに集まっていた。
モリが抜けたことでの得点へのプレッシャーについて問われたベルテラメは、
チーム一丸となって戦うことをといった言葉の想いがあのゴールに繋がったのだろう。
エースだったモリが抜けた状況でも、ロモとベルテラメを中心としたモンテレイのチーム力が存分に発揮された開幕戦となった。
日替わりヒーロー
1月の4試合は、ロモとベルテラメ以外の活躍も目立った。
昨夏、スペインのベティスから加入したカナーレスは2得点。加入したばかりのバスケスは3得点。他にも、メサ、コルティソなど6選手が得点を記録。
ベルテラメの言葉のように、どの選手が出ても得点が取れるチームとなった。
X(旧Twitter)でも、ロモ、カナーレス、バスケスの写真を載せて
“Estos son los que juntos verdaderamente me ilusionan” 「彼らは私をワクワクされる選手たち」
と大絶賛している。
2月最初の試合クラブ・アメリカ戦では、1対1とアウェイで貴重な勝ち点1を獲得。
クラウスーラ優勝に向け、上々な滑り出しを魅せている。