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今季最大の死闘 首位アスルVS 昨季王者アメリカ
"Pasó de la hazaña a la pesadilla…"
「天国から地獄へ…」
現地メディア TUDN MEX は、90分をこの言葉で表現した。
メキシコサッカー1部リーグ、リーガMXアペルトゥーラ(前期)リギージャ(プレーオフ)準決勝。
ここまで圧巻の強さで首位を独走したクルス・アスルと、逆転での優勝を狙う昨季のチャンピオン、クラブ・アメリカが激突した。
どちらもメキシコシティに本拠地を構える両チームの対戦は、クラシコ・ホベン(若者のクラシコ)と呼ばれるビッグマッチである。
現在、アメリカのホームアステカスタジアムは。26年W杯に向け改修工事中。そのため、2試合ともアスルのホームスタジアムである、アスルスタジアムで開催された。
黄色に染まった第1戦
第1戦はアメリカのホームとして開催された。普段はアスルサポーターで青く染まるスタジアムがこの日はアメリカサポーターで埋め尽くされた。
試合はアスルペースで進み、得意とするサイド攻撃を何度も仕掛けた。強力なワントップツーシャドーがボックス内で構えるも、ゴールネットを揺らすことはできなかった。
対するアメリカも、カウンターを狙い反撃を試みるが、こちらもゴールネットを揺らせず。
スコアレスドローで第1戦を終えた。
この結果第2戦では、上位であるアスルは引き分け以上で決勝進出。アメリカは勝利が絶対条件となった。
第1戦とは対照的な90分
第2戦はアスルのホーム。
スタジアムは青く染まった。
試合は序盤から動く。
前半15分のアメリカ。昨季からチームの核として欠かせない存在となっているゼンデハスが左足を振り抜き、先制に成功。
アメリカの1点リードで折り返すと、後半立ち上がり。
アスルのミスを見逃さなかったアメリカのMFサンチェスが、キーパーの頭を超える見事なシュートで追加点を挙げた。
大きな追加点を奪ったアメリカであったが、相手はリーグ首位のアスル。リーグ屈指の攻撃力だけでなく、準々決勝のティファナ戦では3点差を追いつくというメンタリティーも兼ね備えているアスルは、簡単に食い下がらなかった。
52分に、共にメキシコ代表であるFWセプルぺダとDFサンチェスを投入すると、68分ついに1点を返し1点差に。
しかし、直後の72分のアメリカ。コーナーキックをDFフアレスが頭で合わせ、再びアメリカの2点リードに。
このゴールで火がついたアスルは、怒涛の反撃を魅せる。
両サイドに大きくボールを展開し、アメリカディフェンスを揺さぶる。
80分、右サイドからのクロスをFWフェルナンデスが合わせ2点目。
そして、86分。
またも右サイドからのクロスが上がるも、一度はアメリカディフェンスに弾かれた。
しかし、そのこぼれ球をアスルのMFロサスが見逃さなかった。19歳でアスルの未来を担うと定評のある若者が、迷わず左足を振り抜いた。ボールはゴールに一直線に突き刺さった。アメリカのGKマラゴンは一歩も動けず。
ついに、試合は振り出しに。そしてアスルの決勝進出も視野に入った。
青く染まったスタジアムは、この日最高潮のボルテージ。
"Obiamente sentí felicidad, porque el America praticamente ya estaban aniquilado"
「もちろん嬉しかったです。アメリカはほぼ完全に壊滅状態でしたから。」
試合後、現地で観戦したアスルサポーターはアスルが追いついた瞬間をこのように振り返った。
3点を失っても、追いついたアスル。
試合はこのまま終わり、アスルが決勝進出。
すると思われていた。
天国と地獄
アスルの驚異的な追い上げがあり、試合は3対3の同点。
スタジアムのボルテージと一緒に、アスルの公式Xも興奮気味に速報をアナウンスした。
3点目の喜びが X のポストで伝えられた3分後、
"89’El árbitro marca penal para el América"
「89分 主審がアメリカにPKを与える」
の文字が投稿された。
アメリカの最終ラインからのロングフィードがペナルティエリア内へ。
それに反応したアメリカのサンチェスが、アスルのサイドアタッカーロトンディに倒されたとして、PK判定が下された。
アスルの選手たちが猛抗議をするも、判定は覆らず。
このPKをアメリカFWアギーレが落ち着いて決め、これが決勝点となった。
結果、3対4でアウェイアメリカが勝利。
決勝進出を決めた。
両指揮官の声
誰もが予想していなかった試合展開に、アスルの指揮官アンセルミ監督は、会見室でショックを隠し切れなかった。
"Nos evitamos las preguntas, lo que voy a responder es lo mismo, en esta momento las emociones de todo lo que aconteció nos hace difícil ver el resultado."
「質問は避けます。答える内容も同じになると思います。今は起こったこと全ての出来事に感情的になってしまいそうで、冷静に結果を見ることが難しいです。」
"De sentarme acá y decir cuál quier barbaridad, voy a dar la cara, que es los sentimos, agradecer a los hinchas de Cruz Azul por este gran año, que sepan que lo vamos a seguir intentando."
「ここに座って感情的になって、何でも言ってしまいそうです。まずはアスルサポーターに素晴らしい一年を過ごせたことに感謝したいですし、これからも挑戦し続けることを知っていてほしいです。」
と多くは語らず、会見場をあとにした。
一方で、アメリカの指揮官ジャルジーニ監督は、
”Una noche que no vamos a olvidar nunca.”「一生忘れられない夜になった」と試合を振り返った。
同時に「喜びに浸るのはまだ早い。明日からまた決勝のモンテレイ戦に向け準備しなければならない。」とも語った。
天国と地獄。
まさに死闘だった。
決勝点のきっかけとなったあのPK判定は、様々な物議を醸している。
噂によると、審判買収の話もある。
その内容についてはまた次回、1つの記事として改めて言及しようと思う。
決勝に進んだアメリカは、現地時間12日に決勝第1戦、15日に第2戦を戦う。
対戦相手は、来年クラブW杯で浦和レッズと対戦するモンテレイ。
2024年アペルトゥーラの戦いがついに最終章へと突入する。