その「カイゼン」 本当に改『善』してますか?
少々昔の話ですが、当時担当していた部署でラインリーダーが「改善したい」と言ってきました。
当時の私は、今ほど勉強していなかったので、メンバーが自主的に「改善したい」という姿勢に喜び、その改善を進めるように言ったのです。
ところが、その改善が終わってしばらく経つと、前工程から「負担が大きくなって対応ができない」と言ってきたのです。
そこで負担が増えた原因を探ってみると、先にラインリーダーが行なった『改善』が原因だったのです。
WIN-WINでなければ『改善』じゃない!
ラインリーダーが行なった改善は、自分たちがやらなければならない作業の手間を、レイアウト変更を行うことで前工程に押し付けたものでした。
私はすぐにラインリーダーに、元に戻すように指示しました。
ラインリーダーは大変不服だったようですが、私はこう言って元に戻すように命令しました。
「WIN-WINでなければ改善じゃない! 自分たちがやらなければならない作業を他工程に押し付けるのは改善ではなく改悪だ!」
今になって思うのは・・・
その時は、結構厳しめに言って元に戻させたわけですが、ラインリーダーとしては納得できていないようでした。
私個人としては、WIN-WINでなければ改善ではないという意見を変えるつもりはありませんし、その時に元に戻させたのは間違いではないと今でも思っています。
ただ、もうちょっとラインリーダーを納得させられる方法があったのではないか? ということは思わずにはいられません。
昨日書いた記事、『面倒くさい』は改善のゴングでお話しした『三つの質問』が最初にできていたのなら、ラインリーダーを納得させられたのではないかと思うのです。
ダメなものはダメと言う姿勢
そしてなぜダメなのかを説明する姿勢
今の私から見て、当時の私は確かに未熟でした。
「ダメなものはダメ」と言う姿勢はありましたが、「なぜダメなのかを説明する」姿勢は持っていなかったと思います。
一応「ウィンウィンでなければ改善じゃない」と言う説明はしています。
でも今振り返ると、それだけでは足りないと思うのです。
最初に改善を行う前に、三つの質問
※ 何を変えるのか?
※ 何に変えるのか?
※ どうやって変えるのか?
をしていれば、ラインリーダーがやろうとしている改善が、WIN-WINの改善ではないと説明できたと思うのです。
それに、その説明の後に、ラインリーダーがやろうとしている改善を、より良い方向に導くこともできたと思うのです。
この経験以降、私は改善を行う前に必ず、その内容を確認してどのような成果を上げられるのかを確認するようになりました。
そして、それを先に示せない(三つの質問に答えられない)改善は、実行を許可しませんでした。
「ダメだったら元に戻せば良い」という罠
改善を行う際に「もしダメでも元に戻せば良い」と言われることがあります。
これは決して間違いではないと思いますが、ものすごい罠を孕んでいる言葉でもあります。
その罠とは、「たとえ良い結果が得られなかったとしても、元に戻されることはまずない」ということが一つあります。
「せっかくやったんだからしばらく続けてみよう」とか、「自部署では良い結果が出ているのだからいいじゃないか」といったことになるからです。
何より改善した本人たちは「良かれ」と思っているので、元に戻す場合抵抗勢力になってしまいます。
そしてもう一つの罠は、見切り発車を許してしまう可能性です。
自部署内、自社内であれば問題はないでしょうが、もしそれが他部署や他社に迷惑をかけるものだったらどうなるでしょう。
最初にお話しした事例では、一応自部署内ではあったものの、別工程に迷惑をかけてしまっています。
そうした場合、それはWIN-WINではない改善であり、あえていうなら「改悪」と言えるものなのです。
自部署のメンバーから「ここを改善したい」という話が出てきた時は、必ず『三つの質問』をしてみてください。
それをすることで、メンバーの改善がより良いものになることは間違いありません。