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【『ザ・ゴール』はなぜ『ザ・ゴール』なのか?(全ては『月曜日が楽しみな会社にしよう』を実現するために)】

久しぶりの投稿となりますが、今後はまた、『全体最適のマネジメント理論』TOC(制約理論)や、マネジメントに関することを発信していきたいと思います。


『ザ・ゴール』を取り上げたvoicy

先日、LinkedInのとあるグループで、『ザ・ゴール』が取り上げられているとご紹介くださったvoicyがありました。

早速拝聴したわけですが、拝聴した後で15点という厳しめの評価をさせていただきました。

なぜ、このような厳しめの評価に至ったのかというと、『ザ・ゴール』がなぜ『ザ・ゴール』という題名を与えられているのか?
ということに、一切言及していなかったからです。

内容としては、『つながり』と『バラつき』の根本原因である『依存的事象』と『統計的変動』の話をメインに取り上げられていました。

まぁ、それはそれで良いんですが(良いのか(🤣)?)、最も大事なことを伝えていないと、私自身は感じました。


『ザ・ゴール』はなぜ『ザ・ゴール』なのか?


『ザ・ゴール』は、皆さんご存知の通り、工場長である主人公が、
「3ヶ月以内に工場を建て直せ。それが出来なければココは閉鎖だ」
と、最後通告を受けるところからストーリーが始まります。

小説版ではこの事態に見舞われる少し前。コミックス版ではその直後となりますが、主人公は出張先の空港で大学の恩師『ジョナ』に出会います。

近況を報告する中で、ジョナは主人公の工場が危機的状況にあることを示唆します。

たった数回の質問で、どうして今の危機的状況が分かったのか。慌てた主人公は「そんな状況には無い」と言ってしまいます。

そんな主人公に対して、ジョナはこう言います。

「君の本当の問題は、目標が何かよく分かっていないことだ。どんな会社であっても、目標は同じだ。一つしかない!」

そしてジョナは、自身が投げかけた問いの答えを教えることなく、こう一言言い残して飛行機に乗ってしまいます。

「自分の頭で考えるんだ」

その後、主人公は必死に考えた末、ジョナの投げかけた問いの答えをついに見つけ、それに向かって工場の建て直しを図っていきます。


『依存的事象(つながり)』と『確率的変動(バラつき)』


その取り組みの中で、今回のvoicyで説明があった『依存的事象』と『確率的変動』(『つながり』と『バラつき』)が出てくるわけですが、コレを音声のみで説明するというのは、かなりの冒険です。
(私には出来ません(😤))

それが結局、内容を分かりづらいものにしてしまっていました。

『つながり』と『バラつき』の解説は、『ボトルネック』の説明に欠かせない箇所であり、重要なのは『つながり』と『バラつき』があると『ボトルネック』は必ず生まれるという事実です。
(コレが後に「ボトルネックは悪ではない。単なる現実なんだ」というジョナの言葉につながります)

ポイントは、ジョナが作中で語っているように『つながり』と『バラつき』という二つの事象が重なった時が重要で、それを “Cause & Effect” で現したのが、上の図になります。

まぁ、voicyは音声のみで伝える事になりますので、そういう伝え方になったのは、仕方がないところだとは思います。

それよりも自分がポイントとなると思ったのは、著者であるゴールドラット博士が、なぜ『ザ・ゴール』という題名にしたのか?

『ザ・ゴール』で博士が伝えたいものは何なのか?

ということには一切触れていない点です。


『ザ・ゴール』とは『目標』や『目的』

『ザ・ゴール』という題名を見たり聞いたりした時、私たちは何をイメージするでしょうか?

ある意味、レースのゴール(到達点)をイメージする方が多いのではないでしょうか?

英語の “The Goal” を日本語に訳すならば、『目標』や『目的』になります。

空港のシーンで、主人公に対してジョナが言った言葉をもう一度振り返ってみましょう。

「君の本当の問題は、目標(ザ・ゴール)が何かよく分かっていないことだ。
どんな会社であっても、目標(ザ・ゴール)は同じだ。一つしかない!」

このシーンはジョナが主人公に問うのと同時に、ゴールドラット博士が読者に対して、同じ問いを問いかけているのです。

その後、数々の問題に対して、真正面から取り組み、ジョナからヒントを貰いながらも、常に自分の頭で考えて、答えを導きだしてきた主人公は、工場を建て直すどころか、全社で一番の工場を作って行くことになります。


『ザ・ゴール』のラストシーン

小説版では違いますが、コミックス版と今アニメーションになっている『ザ・ゴール』では、こんなラストシーンになっています。

ラストシーンで、ジョナが主人公にこう問います。

「君の人生の目標(ザ・ゴール)は何かね?
 会社の目標は、お金を儲けることだ。
 だが、私の人生の目標(ザ・ゴール)は違う。
 君だってそうだろう」

「自分の人生の目標(ザ・ゴール)ですか?」

「ハハハハハ、自分で考えたまえ(笑)」

「はい」

主人公はジョナの問いに対して、静かにけれど力強く答えます。

『ザ・ゴール』はその長いストーリーの中で、あなたの人生の目標(ザ・ゴール)を問い続けているのです。

そして、それを主人公の行動と共に、追体験するのと同時に、主人公と同じように考えるからこそ、『ザ・ゴール』は多くの人を惹きつけてやまないのです。

そしてラストシーンには、もう一つ博士のメッセージが込められています。

工場閉鎖を言い渡された時は、何をどうすれば良いのか分からなかった主人公が、ラストシーンでは次の目標(ザ・ゴール)に向かって、力強く歩み始める姿が描かれています。

この主人公のような人財を育てること。

そのために必要な全てが、『ザ・ゴール』の中にはあります。

自分の人生の目標(ザ・ゴール)を追い求めることの素晴らしさと、人が育つことのスゴさが、そこにはあります。

コレが『ザ・ゴール』が『ザ・ゴール』たる所以であり、博士が込められたメッセージであると、私は確信しています。

その意味では、今回ご紹介いただいたvoicyは、自分の中の『ザ・ゴール』を振り返る良い機会になったとも言えます。


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