フードスコープ レポート#2(アイスクリーム)
こんにちは。フードスコーレのインターン生であり、フードスコープにはメイトとして参加している山﨑です。8月に入り、猛暑日が続く中、フードスコープで作るアイスクリームの試作品第1弾が完成しました。今回の試食によって、私達が求めるアイスクリームの方向性がさらにはっきりと見えてきたように思います。プログラムを受講するメイトの感想から見えるひとりひとりの目指すアイスとは…? ひんやりとしたアイスを前に熱く議論するフードスコープの一コマをみなさんにお届けします。
前回のレポートはこちらをご覧ください。
好きなアイスのはなし
「好きな食べ物は何ですか?」という質問に対して必ず「アイス!」と答えるぐらい私はアイスが好きです。中でも昔から好きなのはアイスクリン。アイスクリンとは私が生まれ育った高知県ではメジャーなアイスで、日曜市やお祭りでは必ずアイスクリン屋さんがパラソルを立てています。原材料は卵・砂糖・脱脂粉乳・バナナの香料で作られているそうです。(「1×1=1アイスクリーム」ウェブサイトより参照)
さらっとした舌触りと、牛乳よりも卵の味が感じられるのが特徴です。私はそのサクサクとした食感と、フルーティーなアイスクリン独特の香りが大好きです。ただひとつ、アイスクリンを食べるときに注意しなくてはいけないこと。それは溶けやすいことです。アイスクリームは溶ける前に食べきりたいというこだわりがある私にとって、味わう時間が一瞬で終わってしまうアイスクリンは、難儀な存在でもあるのです。
今回のプログラムで理想のアイスについて考えていると、無意識にアイスクリンの特徴が浮かんできました。小さいころから慣れ親しんだ食べものが、いつの間にか自分の嗜好性に大きな影響を与えていることを実感した瞬間でした。みなさんの好きなアイスは何ですか? このアイスのここが好き! というポイントをぜひ教えてください。
実食!
試作アイスを食べた私の感想
~全体の印象~
食べる前の第一印象はほんのりスパイシーな香り。「Co・En corporation」の武末さんが、バニラは鼻に抜ける香りの方が強いとおっしゃっていたことを思い出し、こんなに沢山のバニラが入っていたら香りもすごいんじゃないか!! という期待を胸に最初の一口を食べてみると…。あれ?? 想像よりも優しいバニラにちょっと拍子抜けしてしまいました。シャキシャキとバニラを噛んでも噛んでも香りはあまり感じられず少し戸惑いました。全体としてなかほらさんのあっさりとした味わいのミルクが強く、甘さはかなり控えめだったように感じました。
次に3種類のお砂糖をそれぞれ食べ比べました。クリーム色のてんさい糖は粒子が大きく、ざくざくとした食感。3種類の中で最も砂糖の素材の味が感じられましたが、ミルクとバニラを楽しみたい今回のアイスにはちょっと向いてないな、と思いました。きび糖は、見た目とは裏腹に癖がなくミルクの味に馴染んでいましたが茶色が濃いのが気になります。一番合うと感じたのは3つ目の和三盆です。というのも、くちどけと甘さが一番感じられたからです。色も白色で、味だけでなく見た目もこのアイスと馴染みやすいと感じました。ただ、かなり高価な材料であることを考えると現実的ではないかもしれません。
~残したい要素~
・粉砕したバニラ
香りを楽しむだけではなく「バニラを食べる」ことができるアイスクリームはかなり面白いと思ったからです。ここ(フードスコープ)でしか食べられないアイスクリームとはこのようなものではないでしょうか? しかし、せっかく咀嚼できるのであれば、香りや味が感じられるものである必要があると思います。今回の試作品第1弾のような食感だけでは、異物感が勝ってしまっていました。
・さらりとした食感
《好きなアイスのはなし》にも書いたように私はサクサク系の食感のアイスクリームが好きなので、今回の水分が感じられる食感もさっぱりとした後味もとても好みでした。できるなら、ややしっとりとさせて満足感が加わるとよりいいと思いました。
~ほしい要素~
・バニラ感
ものがたりのある貴重なバニラをたっぷりと使えるめったにない機会なので、バニラを五感全体で感じられるアイスクリームにしたいと感じました。バニラ本来のポテンシャルを活かすことができる使い方を模索したいです。
メイトの皆さんの感想
一口食べるごとに様々な意見を出し合いながら試食をしていたメイトの皆さん。印象的だった5つの意見を以下にご紹介します。
試食会を経て決まった方向性
バニラの鞘の粉砕したものは後乗せ
バニラとの相性や全体の舌触りをなめらかにするために、卵を使用
添加物は入れない
先に味わいを優先して、食感は後から調整してみる
試作品第2弾に向けて
今回の試食会を通して、各々の嗜好性が見えてきてとても興味深かったです。同時に、好みが少しずつ異なる中でみんなが納得できるものを作る難しさを学びました。さらに、ミルクとバニラの味を邪魔してしまう恐れから試作品第1弾では入れなかった卵が、実はバニラを活かすためには必要だと分かったり、アイスクリームの食べ応えはどこに起因しているのかを考えたり。製造的な知識を得られると、自分たちでアイスクリームを作っているんだとより実感できました。
個人的には、フードスコープでしか食べられないちょっととがったアイスクリームを目指していきたいです。見た目も味もインパクト抜群で、今までのバニラアイスとは一線を画すアイスクリーム。少しめんどくさい人が集まるフードスコープで作るのだから、”普通においしい”のではちょっと物足りない気がするのです。そのためにも”一般的な好み”と”自分の好み”の感覚の両方を知っておく必要があると思います。日々の生活の中で、そういう「感覚を研ぎ澄ます時間」を大切にしていきたいです。
そして、次の試作品第2弾は当初の予定にはなかったのですが、一つ一つのことに真剣に向き合ううちに急遽追加されました。それほど一つの「おいしい」を作り上げるには時間と体力と向上心が必要なのだと思います。メイトの皆さんの本気度と素材のポテンシャルを改めて感じ、次の試作品の試食が待ち遠しくなりました。
(書き手:フードスコーレインターン生 山﨑柊果)