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2022年Innovaレポートから読み解く中国の食品トレンド
こんにちは、食品業界で働いているらびです。
2022年2月、Innova Market Insights にて2022年中国の食品・飲料のトレンドが発表がありました。
実はInnovaからは昨年 "2022年グローバルの食品・飲料トレンド" も発表されていました。筆者がグローバル(欧米中心)と中国を比較してみたところ、重複する部分が多くあったので、本記事ではそれらを紹介したいと思います。
まずは2022年グローバルのトレンドの概要をご覧ください。
2022年~10の世界の食品・飲料トレンド
① 地球シェア Shared Planet
② 植物性食品 Plant-Based
③ 食卓のテクノロジー Tech to Table
④ 消費シーンの変化 Shifting Occasions
⑤ 消費者の声 Voice of the Consumer
⑥ 腸の健康 Gut Glory
⑦ 原点回帰 Back to the Roots
⑧ 体験型消費の加速 Amplified Experiences
⑨ 再定義 Upcycling Redefined
➉ 私の食品、私のブランド My Food, My Brand
一方で中国のトレンドは以下になります(世界のトレンドと重複する部分は太字で記載)
2022年~10の中国の食品・飲料トレンド
① 体験型消費の加速 Amplified Experiences
② 消費者センター Consumer Centricity
③ プレミアム化 Premiumization
④ 原点回帰 Back to the Roots
⑤ 消費シーンの変化 Shifting Occasions
⑥ 健康食 Healthy Eating
⑦ メンタルヘルス食 Modern Anxiety
⑧ 植物性食品 Plant-Based
⑨ 特定市場の探求 Specific Market Exploration
➉ コラボレーション Collaborating For Success
結構おもしろそうなワードがたくさんありますよね。上記からグローバル・中国で重複する部分を3つほどピックアップして、一緒に見てみましょう!
1. ①体験型消費の加速
グローバル・中国同様に体験型消費が求められています。2021年のInnova消費者調査でも回答者の56%が食べ物から「面白い体験」を望んでいると回答。
一口に体験といっても、様々なものがありますよね。例えば・・・
・独特な食感による体験
・特殊技術による味、香りによる体験
・健康的な食体験
・その他サプライズ的な体験
サプライズ的な体験の例をあげると、「ジャンルを超えたコラボレーション」というテーマで、楽楽茶(ラーラーチャ:お茶)とハインツ(調味料)がコラボして「トマトアイスティー」というシリーズを展開しました。
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見た目はハインツのケチャップですけどアイスティーなんです。これにストロー指して若者が歩きながら飲んでたら、つい見ちゃいますよね。"注目を浴びる"や"SNS映えする"。現代社会では非常に重要な体験型消費のひとつと言えそうです。
2.④原点回帰
中国の若者の中にも「自国の伝統」を非常に大切にする層がいます。私の肌感覚ですが、そういった層は日本と比較して多く若者も愛国心が強い人が多いです。
Innovaの中国消費者調査でも70%の消費者が中国の伝統的な食べ物、風味が好きだと答え、58%が伝統的な食べ物を購入すると答えています(このような背景も外資食品メーカーが中国市場で苦戦する要因のひとつ)
そんな中グローバルメーカーのネスレが今年の1月に中国の伝統的な食材である「クコ(ゴジベリー)」を利用した乳性固体飲料をリリース。配合はクコ、粉ミルク、ビタミンEと非常にシンプルです。
![い](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/74614240/picture_pc_aa9033884da33cb3e351231a1685f352.jpg?width=1200)
伝統食材とネスレの独自技術(乳化技術)を駆使して売ろうという算段。しかしながら、INNOVA社のアンケートでも中国消費者の63%が国産ブランドを支持したいと考えているようです。中国国内でも沿岸部(北京市・上海市、青島等)と内陸部(四川省・重慶市等)では消費者傾向が全く違いますので一概には言えませんが、全体でみたら国産メーカーが支持される傾向が強いです。
3.⑤消費シーンの変化
コロナ禍の影響もあってか、現在中国で最も消費が伸びているのが「家庭内消費」です。特に预制菜(ユージ―ツァイ:出来合い食品の総称)は非常にホットな分野で、2020年/2021年比で33%も需要が伸びています。
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①即食食品:開封後すぐに可食
②即熱食品:レンジ加熱後に可食
③即烹食品:簡単な調理(炒め、混合等)の後に可食。具材付きが多い
④即配食品:具材の詰め合わせ。味付け・調理は自身で行う
预制菜は上記の通り4種類に分けられ、どれも日本では馴染みのあるジャンルです。当然中国でもコロナ前からあるジャンルですが、内容は中華料理一辺倒。。。しかしながら近年の预制菜は徐々に多様化しています。
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COOOOKシリーズとして2021年に販売された「ピザ餃子」は中国の伝統料理である餃子の餡に、ドリアン、鶏肉の照焼、チーズなどを加え「预制菜」というジャンルをより豊かにしています。様々な日系企業もこの预制菜というジャンルは力を入れており、今後は日本式風味も増えてくる事が期待されています。
終わりに
中国は独自路線を進んでいるように見えますが、やはり大きな流れは世界と画一化されつつあるように感じます。今後もグローバルでは「大衆受け」する商品が売れる事になり、コモディティに近いものは数社のグローバル大手や商社の独壇場になってきそうです。
そんな中、日本の強みが活かせる分野はやはり「原点回帰」(グローバル化により薄れてしまった、消えてしまった文化・食べ物の復活)だと思います。最先端のバイオテック×食やITに強い米国、フードテック×環境・サステナビリティ等エシカル消費が盛んな欧州、ビジネス規模・スピード感が圧倒的な中国。フードテックの分野でこれらの国々に競合する為には、日本古来の価値観で勝負するのが一番勝率が高いのでは?と思う次第です。
今後こういった路線で日本の食品が世界中で注目される日が来るのではないか、、と期待しつつも、
自分も貢献できるようにがんばります。
おしまい
参考資料
・Innova Market Insights (最終閲覧日2022.2.20): https://www.innovamarketinsights.com/
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