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シェフから教わる《清潔な厨房のつくり方》が目から鱗だった説
『Restaurant Spontane(レストラン スポンタネ)』のオーナーシェフ 谷岡 博之さまにインタビューをしています。この記事は「清潔感のある従業員が働きやすいキッチンのつくり方編」です。ぜひ、最後までご覧ください。
『レストランスポンタネ』の厨房づくりに工夫がたくさん…!
―ちなみに、厨房のリノベーション費用は、いくらくらいかかりましたか?
450万円ぐらいですね。一番コストとして大きかったのは、グリストラップの導入です。
―グリストラップとは?
下水を流し込む箇所に取り付けて、浄化して流せるようにできる最新の設備のことです。油が絶対に浮かないようにしていて、今、キッチンを見ていただいても大変綺麗ですよ。他所のお店を除いてみるとわかりますが、ぞっとすると思います(笑)。これからお店を開く人にもオススメしますね。油を流しても、油を浄化してくれるから、油詰まりがないわけです。なにより掃除が楽です。前の店舗から使っていて、お値段は多少張りますが、最も高品質な規格を選びました。
―へぇ、そんな機械があるのですね!時間の短縮としてもよいですね。
はい。あとは、若い子が嫌がらないですよね。グリストラップの掃除は、大変ですからね…。
―実に、若手に優しい機能ですね。
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古民家の改装。施工会社や土地を選ぶポイントとは…
さて、谷岡シェフ、施工会社を選んだきかっけはありますか?
設計会社と施工会社のJJサービスさんと、元々お付き合いがありました。だから信頼関係があったので、お願いしました。設計料も請求されていませんし、当時は現金が少ない事情を察していただき、随分と助かりました。
―なるほど。また、谷岡シェフにとって物件を決める際の着眼点(考え方)を教えていただけますか?
やはり、自然が見えるところが大事です。ビルの中で店をやるのは、私は息が詰まってしまい、無理なのです。あとは二階や地下も避けました。特にビル内の奥まった部屋などは、絶対NGです。「庭が見える」とか、「外の景色が綺麗に見える」などの場所を選ぶようにしています。
―間取りは、意識されますか?
いえ、特に意識していないですね。郷に入れば郷に従えで、なんとかなります。ただ、調理場だけは、きちんと作りたかったので、面積確保ができる場所にしました。
―調理場の面積は、最低どのぐらい必要ですか?ご自身でルールのようなものがあるのでしょうか?
やはり、5坪以上は欲しいかなぁと思います。パントリーの導入や設置する機械にもよりますがね。
―なるほど。要するに料理の方向性で厨房のサイズを決めるわけですね。人の動線とかも関わりそうですね。
はい。それと調理場のポイントが2つあります。
1つ目は、私は“虫が大嫌い”なんですよね(笑)。だから、必ず調理場を設計するときには機器などを置くときに、壁から1センチ開けるように設計してもらいます。例えば、たいていのお店では冷蔵庫などをベタ付けします。
でも、あえて壁から1㎝空けることによって、害虫を寄り付かなくなります。ゴキブリって1㎜、2㎜が大好きらしいのです。でも、1㎝の間隔があると、虫にとっても居心地が悪いようなのです。これは、ホテル時代に教わった知恵です。1㎝空ける設計は、結構施工会社から面倒くさがられるんですよ(笑)調理場設計する人が面倒みたいで…でも、絶対にやったほうがよいと思います。
―有難うございます。それは良いことを聞きました!2つ目の工夫点は何でしょうか?
ドライキッチンにすることです。床は、フラットにすると、水やゴミが冷蔵庫やストーブの下にまで入ってしまうじゃないですか?それが嫌で、弊社では4㎝ほど嵩上げしたところから測って15㎝の隙間を空けています。いわば底上げです。底上げした上に冷蔵庫とかを置くと、ゴミが滞留せずに清潔なんですよね。また、うちのキッチンは高さ90㎝まであるため作業がしやすいです。女性がスタッフとして来た場合、少し大変かもしれませんが…この方法もお勧めです。
―なるほど、どちらも清潔が保つことができる厨房の工夫ですね!最後に、物件を探すときのコツや注意すべき点を教えていただけますか?
物件選びは、焦らないことです。焦ると、変な物件に手を出すことになる。そのような事態は絶対に避けたかったので、私は働きながら探しました。構えているレストランがあるわけだし、住む場所もある。最悪、そのまま続けても良かったわけですし、テーブルや椅子も無駄になったら誰かに譲ればよいことですから。気長に探すことです。
物件が出てくるまで妥協しないことが大切なのだと感じました。いよいよ、次の記事では「若手料理人の育て方」や「今後の京都・西山」の未来について語っていただいてます。
(つづく)