仕事の「頑張り」は重要?
今回も続けて労務関連の話題です。
前項にも続く話題ですが、料理業界は長時間労働が蔓延しています。
その原因のもう1つが、
「頑張り」 を評価する点
「頑張ること」自体は悪ではないし、むしろ自己成長をする上での避けては通れないプロセスだと思います。
しかし、日本の社会特有の評価制度に問題があります。
戦後の高度成長期、先輩方は諸外国から材料を輸入し、完成したもの(自動車や家具など)を作り海外に輸出していました。
当時の技術力の成長度合いは素晴らしく、大量生産大量消費の時代がやってきます。
しかし、大量生産するにはまだまだシステムも機材も不足していたため、
長時間働くことによって商品を大量に生産するにはプロセスが当時の最適解でした。
ここでGDP世界第2位に上り詰めることで、先輩方は成功の体験をつかみます。
その方々が今は管理職や役員になっていることで、当時の考え方をそのままやらせる風潮が強く残っているのだと思います。
今で言うと高度成長を遂げた中国のアリババのCEOも週7働けと言っていました。
この考え方が土台となり、「頑張ること」=「成功」に結びつきました。
しかし現在は状況や環境が全く違います。
バブル崩壊以降、単純な長時間労働だけでは付加価値を創造する諸外国に遅れを取ってしまいます。
日本の評価基準は元来外国の評価基準とは全く違います。
大学に入ることが容易な外国のと、卒業が容易な日本とですでに違うのですから、教育の仕組みがそもそも違うのです。
しかし、外国も日本も、商売の本質は同じです。
見たことのない世界を、
みんなが楽をできるように、
もっと簡単に、、
などなど、商品を作るときの理由は様々ですが、
本質は
「価値の創出」
です。
の本質が変わらない以上、やはり「頑張った」ことは評価基準とはズレてしまうのです。
現在、多くの経営者の方々はもうすでにその脳みそにアップデートしているし、そもそもその考えの方が会社を経営されている場合が多いと思います。
現実に経営者の評価の仕方と現場の評価の概念がずれてしまっているので、
長く働いているのになかなか給料が上がらない
という問題も出てきています。
価値というのは、どのくらいの時間働いたか、ではなく、どのくらいの数の視点を持ってその事象を見て考えることができたか、が生み出す結果です。
このことから「頑張った」こと自体に対して意味はないことがわかるかと思います。
身の回りの業務をもう一度見直し、その行動や習慣は本当に必要なものなのか、
逆に無くすことによって生まれるメリットはないのか
など、もっと自分の頭で考えて動くことが重要なことは以前申し上げた通りです。
そう考えると勉強の仕方もまた変わってくるでしょう。
自分の視点を「価値の創出」に変え、その目的を達成させるための「手段が」途中から「目的」にならないように(手段の目的化)自分自身を見直すことが大切だと考えます。
料理人の数だけ、新しい世界は作り出せます。
そんなクリエイティブな世界に身を置いていることを実感し、自分も長時間労働の渦や習慣に飲み込まれずに、新しい考え方で日々包丁を握ってみましょう。