食材のサルベージとその付加価値、めぐみと森のようちえんの「おみそ汁の日」
こんにちは!
和歌山食と暮らしプロジェクトの おりく(♂)です。
このプロジェクトでは、和歌山に住むみなさんと一緒に
「食」を中心としたさまざまな出来事をもとに
「暮らし」を考えるヒントを共有していく…
そんな取り組みをしています!
和歌山食と暮らしプロジェクトでは「もったいないキッチン」をたびたび取り上げています。
もったいないキッチンとは…
参加されるご家庭で余った食材、食べきれなかったり、賞味期限間近な食材を持ち寄り、みんなでお料理し、食品ロスにならないように工夫しながら食べきれたら…というイベントです!
別名サルベージ・パーティとも呼ばれ、さまざまな都道府県でその取り組みが行われています。
今回はめぐみと森のようちえんさんで同じような取り組みがあると聞き、伺わせていただきました。
めぐみと森のようちえんさんは森、川、海などさまざまな自然のフィールドの中で活動を行う未就学児を対象とした認可外保育施設です。
代表の佐道さん夫婦によると「人を大切にする」認可外保育園であるとのこと。
子どもとの関わりはもちろんのこと、保護者との日々の関わり、勤めているスタッフさんとの関わりをとても重要視しているとおっしゃっていました。
保護者との懇談は40分以上、スタッフさんとの面談は1時間以上行うこともあるとのこと。
バスで子どもを各家庭に送る際も、それぞれの子どものその日の活動や様子などを、保護者の方に時間が許す限りお話するそうです。
そんなめぐみと森のようちえんさんで月に2度行われている「おみそ汁の日」。
1度は子どもが中心に調理を行い、1度は保護者の方と一緒に調理を行うとのことで、今回は保護者の方がいらっしゃる会にお邪魔しました。
一石二鳥、三鳥、四鳥、「おみそ汁の日」
食育の活動として、子どもが中心となってご飯を作る活動はコロナが流行る以前からあったそうです。
しかし、コロナが蔓延し、食育の活動がなかなか活発に行えなくなりました。
そして、何より「人が集まって話す場」が激減しました。
私自身も当時は人と会えなくなり、孤独を感じたことを覚えています。
コロナも落ち着いてきたのをきっかけに、食育の場としてはもちろん、人が集まってさまざまな話をする場として「おみそ汁の日」の活動が行われてきたとのことです。
「おみそ汁の日」にはさまざまな役割があり、食育活動の面、「人が集まって話す場」という面だけではなく、食材のサルベージという役割があります。
本来は限られた予算の中で継続して活動を行うため、各家庭から食材を集めて節約しながら行うという目的があったそうなのですが、副次的に食ロス削減、各家庭の食材の整理、普段口にしない食材を楽しめるなど、さまざまな利点が発見できたとのこと。
めぐみと森のようちえんさんの「おみそ汁の日」は、今では食育活動やサルベージ・パーティの枠を越えて、一石二鳥、三鳥、四鳥、それ以上の付加価値のある活動であると感じました。
「おみそ汁の日」参加してみた
薪割りから始まる
というわけで、私も「おみそ汁の日」に参加させていただきました。
この日は本年度最初の「おみそ汁の日」だそうです。
まずはスタッフさんが集合し、準備。
私は10時前くらいに伺わせていただき、10時過ぎには保護者さんもゆるゆると集まってきました。(集合が10時過ぎとなっており、そのゆるさも良い……)
おみそ汁の調理や羽釜での米の炊飯等はすべて薪ストーブで行うので、薪割りから始めなくてはいけません。
大人でも非常に骨が折れる作業で、炊飯器など文明の利器に慣れてしまった私たちが忘れていたような感覚です。
しかし、本来ご飯をいただくまでにはこのような工程があったのだと再確認できる場でもあります。
また、子どもにもご飯をいただくまでの工程、またその苦労を知ってもらう良い機会となるという話を保護者の方としながら作業させてもらいました。
メニューはその日に思いつく
「おみそ汁の日」では各家庭から集まった食材、購入してきた野菜、前回までの会で使わず持ち越した食材などから、その日メニューが確定します。
学校給食のような、栄養価などある程度の枠の中で決められたメニューではなく、集まった、限られた食材から、誰かのふとしたアイデアでメニューが決まっていく自由さが好きだとスタッフさんが話していました。
その日の特徴的なメニューは柑橘2種を使ったサラダ。
サラダに柑橘を使うという発想は意外と思いつかないものです。
その発想が、参加した人の家庭の毎日の食事に活かされ、頭の中を整理するきっかけ、新たな発見になればというお話を伺い、「おみそ汁の日」にもめぐみと森のようちえんさんの「人を大切にする」というモットーがあらわれているのだと思いました。
参加した方々の料理への心理的なハードルを下げ、肩の力を抜いて毎日の料理をできるようになれば、という話がとても印象に残っています。
大胆な屋外料理
コロナ以前の子どもが中心となって行う食育活動は屋内での調理が中心だったそうです。
しかし、調理のフィールドを屋外に移したことにより、さまざまな利点があったそうです。
その1つが大胆に火を使って調理ができるようになったこと。
当日も中華鍋を豪快に振って炒め物を作っていましたが、家の中ではなかなか中華鍋を使って料理はしないでしょう。
屋内では汚れが気になるけれども、屋外では中華鍋を振って多少油が飛び散ったり、大きな揚げ物をしたりしても気になりません。
豪快な調理ができる、それを目で見て楽しめる、美味しく食べられるといったワクワクを参加したすべての人が感じられます。
メニューがその日決まること、豪快な料理など、料理をすることへのワクワクを普段感じていなかったので、今回それを感じることができて嬉しかったです。
できるだけ、食べる
「おみそ汁の日」ではできる限り食べられる部分は食べることを意識しているそうです。
当日はほうれん草や小松菜の根っこまで食べるのはもちろんのこと、おみそ汁の出汁をとったかつお節はそのまま食べ、昆布は一度取り出し食べやすい細さに切ってからまたおみそ汁に戻しています。
屋外なので、できる限りごみは少ない方がいいという側面もありますが、美味しく食べられるところは美味しく食べる、それは普段の生活でも大切な考え方だと思います。
この考え方が参加した各家庭からさらに広がると素晴らしいですね。
おみそ汁、お米、美味しすぎる
調理も終盤、グループでのアート活動を終え、子どもたちが集まってきました。また午後の活動のため、集まったグループの園児から先に食べ始めます。
すごく印象的なのは子どもたちが美味しい、美味しいとおかわりを繰り返すことです。
後で私もいただきましたが、特に有機野菜を使ってたっぷり作ったおみそ汁と羽釜で炊いたちょっとおこげの入ったご飯は格別です。
薪を割った苦労、強い火力での調理、羽釜で炊く、具だくさんで大量調理、調理者の愛情や想い、さまざまな要素が組み合わさってこの美味しさになっているかと思うと感動します。
子どもが成長するうえで、この美味しさの意味を理解することはとても大切なのではないかと感じました。
「自由」のために大切なこと
めぐみと森のようちえんさんは日中の活動も園児たちと話しながら活動内容を決めるなど、決まった枠があまり存在しない自由さが特徴です。
それは、「おみそ汁の日」の工程やメニュー選定からも感じました。
園児がメインで調理を進める日は子ども自身がその日できることをする、ずっと薪を割ってても良いし、火の番をしてても良い、そういったお話も伺いました。
しかし、その「自由」を保つことは非常に大変だそうです。
活動内容を話し合って折り合いがつかないこともあるとのことで、想像するとすぐその場面が浮かびます。
だからこそ、「自由」を保つために入念な準備がされています。
自然をフィールドにしているからこそ、園児の身に着けている帽子やウェアは一定の耐久性のある製品を使うことを義務付けていたり、「おみそ汁の日」の料理にはできる限り生ものを使わなかったりということがその例です。
保護者の方との懇談やスタッフさんとの面談で充分な時間をとり、考え方を共有することもその1つかもしれません。
「自由」であることには責任が伴うということをスタッフさんや保護者の方が理解することで、活動の幅が広がるのだと感じました。
普段子育てする身として、子どもの食育について難しさを日々感じています。
「おみそ汁の日」の活動だけではなく、連携している農家さんとの活動や毎日のお弁当作りを頑張っておられる保護者の方のサポートなど、めぐみと森のようちえんに通っている園児たちは「食べること」に関してとても貴重な視座を身につけながら育っていくんだろうなとうらやましく感じました。
私たちも普段の食事を、ご飯が炊飯器で簡単に炊けることを当たり前、毎日何気なく食べられることを当たり前だと思ってしまうこともありますが、それは当たり前でなく、毎日美味しく「食」を楽しめていることに感謝することが大切だと思いました。
また、食と暮らしについて日々いろいろなことを伝えていく身として、さらに学びを深めていきたいと思います。
めぐみと森のようちえんのみなさん、今回は参加させていただきありがとうございました。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
和歌山 食と暮らしプロジェクト
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運営:NPO法人わかやま環境ネットワーク
NPO法人ホッピング
担当:越中
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