おいしくていい商品なら売れるでしょう
みなさんこんにちは。
私たちFOOD STORY PROJECTは食の専門家が集まるプロジェクトチームです。
「商品企画や商品開発の仕事をしています」
「へえー!面白そう!」
「おいしいものたくさん食べれそう」と言っていただくことが多いです。
「商品作るって、どんなことしてるんですか?」
はて。商品企画や開発ってどんな仕事でしょうか。
今日は商品開発についてお話ししたいと思います。
商品開発の仕事って面白そうだな、何してるんだろうか。
ぜひ、興味があれば覗いてみてください。
商品開発は売れる商品をつくる仕事
そりゃそうでしょう。ええ。と思ったみなさま。
これは食に限らずどんな業種でも共通することだと思います。
このために、何回も試作して考えて提案して…ひとつずつ出来上がって店頭やWEBで並びお客様の元に届く。
そして開発中に必ず1回は出てくる言葉
「おいしいものなら売れるでしょう」
「良い商品なら売れるでしょう」
この言葉は力強く、そう言われるとそうですね!
やっぱおいしいものをつくることが最優先ですよね!!
そんな空気が流れる。
でも、毎回もやもやするわけです。
「おいしくていい商品なら売れるでしょう」
「おいしくていい商品なら売れるでしょう」
「おいしくて、いい商品なら、売れるでしょう」
う−ん。
おいしくて?って何をもっておいしいんだっけ。味覚は環境とか人それぞれの嗜好で違うよね…地域によっても違うし年代によっても違うし…
いい商品って?いい、ってなんだろう。
かっこいい?センスがいい?…いい、ってなんだろう。
売れるでしょう。
…でしょう?!ってもう推測だよね!希望的観測。(こら)
そうそう、想いがなくては始まらないしね。
会議をしてるとどうしても抽象度が高くなることが多いんですが
おいしい商品って…抽象度高すぎるような
(でもおいしくていい商品つくることが商品開発だよね…)
私自身もいい商品を作りたいと思う一人として、
この
おいしくていい商品なら売れるでしょう問題について考えてみました。
特に、コロナで一変したWEBやモバイルでの購買体験について考えてみます。
ここから先の話は個人の意見なので、機会があれば同じように商品開発をしている方の意見や食以外の業界の方にも意見を聞いてみたいなと思います。
●●●されたものと、されていないもの
FOODSTORYでは様々な地域の食材を使用した商品開発の相談が多く寄せられます。
生産者・販売者・製作者・お客さん
関わる全ての人が三方よしの状態で関われること
未来へと繋がる仕組みで販売できること(環境や社会にとって)
今回は全国にあるそうした事例を参考にさせていただき、商品開発に必要なものは何かを探していきたいと思います。
突然ですがこちらの商品、みたことありますか?
パッケージはこちら
そして、こちらがウェブサイトです。
栃木県の那須市にある「バターのいとこ」
「ふわっ・シャリッ・とろっ」おいしい三重奏が繰り広げられる
バター?ではなく、無脂肪乳から作ったワッフル状のお菓子。
口いっぱい、ならぬ画面いっぱいに広がるワッフルの写真を見ると
「お、美味しそう…!!!」
(これを書いているのが深夜24時なので、テロです)
そして、写真だけをみた時よりもサイトまで入ると
牛乳から5%しか取れないバター。
残りの95%は脱脂粉乳になり安く売られてしまう。
この点から生まれた商品が”バターのいとこ”
写真をみて
美味しそう。
写真をみただけよりもパッケージをみたときの方が
美味しそうだし、可愛いパッケージ。人にあげるのも良さそう。
サイトを開いてみて、
「美味しそうだし、人気で予約しないと買えないなら買ってみようかな…!」
そんなふうにボタンを押すことを考えた人もいたのではないかと思います。
そう、ここにはたくさんのブランディングとマーケティングが詰まっています。
食べたことないけど、食べてみたいネーミング
WEBでの食品の買い方には2種類あります。
①店頭で食べてリピート購入
②WEBサイト限定での購入
ここでは後者の②についてみていきます。
開発段階で
・WEB限定で販売する
・脱脂粉乳から作られる
・那須の地域らしさを伝えるお菓子
を作りたいという設定。
ネーミング
この商品は2年くらい前から知っていたのですが最初見たときのインパクトはこの名前でした。
【バターのいとこ】
バターのいとこ?!
これは箱に入ってるしバターなのか?
いとこって何?
このパッケージかわいい
タイトルから、なんなんだろう?
そんな興味で目に止まったのを覚えています。
バターワッフルだったらお菓子か。
ってなるし、バターのいとこワッフルと言われてもそれならバターワッフルが良いよね。となりかねない。
バターのいとこ
あえて中身を説明しないから
バターのいとこってなんだろう?ってなる。
これは例えば仮に、
(PLACE)WEB限定で販売する
(PRODUCT)脱脂粉乳を使ったもの
(PRICE)安価ではなく付加価値をつけた価格で(予約品でお菓子セットで4000円弱)
(PROMOTION)ポップアップショップと那須の新たなお土産品としてのブランディングを伝える
こんな具合で
何をどこでどうやって売ろうか?
これを決めて商品を作る方法です。
企画から商品開発までの流れ
売れるものを作りたい!食の体験でお客さんに喜んで欲しい!
これには
▶︎マーケティング
▶︎ブランディング
▶︎クリエイティブ
この3要素をパズルのように、組み立てていくことが必要です。
メーカーさんやデザイナーさんアプリ開発の会社さんや飲食店さんなど、いろんな方からお声がけいただくことが多いですが、「何からしましょう…!」「ひとまず売れるもの早く作って下さい」ということは珍しくありません。
商品を作って売るサポートをすることがお仕事なので、食に関する商品やサービスを作りたいと思う様々な業種の方からお声がけいただくことが多いです。
実際に、企画から商品が売れるまでの流れをみてみます。
(ウェブでの想定ですが店舗でも流れは同じです)
1)ご相談(ヒアリング)
2)ご要望の整理と企画ご提案
3)方向性とやる目的の整理とゴールの設定
4)商品開発のご依頼
5)スケジュール作成と業務の洗い出し
6)マーケットリサーチ
7)具体的商品案のご提案(誰に、どうやって、商品を伝えるか)
8)試作・試食
9)ブランドの世界観の作り込み(トンマナ、キャッチコピー)
10)食材の調達先や工場の選定、シェフとの連携
11)販売方法に合わせて商品提供のルーティン作成
12)商品パッケージの作成
13)商品購入サイトの作成
14)商品撮影
15)商品販売
1つの商品が出来上がるまでに実にたくさんの工程があります。
この1〜15全てが商品開発だと思います。
なので、この中の⑧の部分だけを抜き出して
「おいしくていい商品なら売れるでしょう」
というのは、必要だけどそれだけで十分ではないことです。
おいしいこと、と売れること、は似ているようで違う…!
「おいしくていい商品なら売れるでしょう」
「おいしくて欲しいと思う商品なら売れるでしょう」
私は商品開発をする時に「自分が欲しいか」こう自分に100回は問いかけます。
自分のお金を出しても本当に欲しいかな?
買おうと思った時に買いやすいかな?
美味しくていい商品にはたくさんのシカケが詰まっています。
▶︎バターのいとこを参考にさせていただきました。
人気で入手困難です→
バターのいとこ
https://butternoitoko.com/