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素人がデジタルで漫画を描いてみる(14):2024年後半ふりかえり

前回の記事

さて今回は第11回の記事に続く今年の漫画制作のふりかえり後半です。

制作進行

参考までに2024年前半はこうなっていました。総ページ数(免責、あとがき除く)、制作開始日付、(note記事作成日付)、完了日付、制作所要日数、1ページあたりの所要日数、(増減日数)、です。今回からトビラを含んでいて、前半ふりかえりから計算をやりなおしています。

  • (試作):20p 2023.12. 2 (----.--.--) 2023.12.24 23 1.15

  • 第1話:21p 2024. 1.21 (2024. 1.14) 2024. 3. 2 42 (---) 2.00

  • 第2話:25p 2024. 3. 8 (2024. 3.10) 2024. 5. 2 56 (+14) 2.24

  • 第3話:24p 2024. 5.12 (2024. 7. 7) 2024. 8. 6 87 (+31) 3.63

第4話途中以降はコメンタリーnoteに書いたようにGoogleスプレッドシートで制作時間を記録するようにしました。

  • 第4話:24p 2024. 8.31 (2024.10.19) 2024.10.27 58 (-29) 2.41
    【制作時間】 86:31  3:60/頁  1:49/日 (未記録分を46時間と仮定)

  • 第5話:25p 2024.11. 1 (2024.11.10) 2024.12.22 52 ( -6) 2.08
    【制作時間】 66:10 2:38/頁 1:16/日

前半もそうなんですが、この表はデジタルでの原稿制作時間をまとめたもので、それ以外の案出しやラフスケッチなんかは含まれていません。
第4話からは作業をする時間帯を変えました。私、夜更かしすると顕著に体調を崩すんです。夜は漫画なんか描かずにとっとと寝ることにして、その代わり平日朝の30~60分を制作に充てることにしました。週末は予定がなければもう少し日中の時間が使えます。
平日って仕事から帰って、メシ食って、後片付けして、風呂入って、歯を磨いたらもう何かする時間なんてないと思うんです。夜に何かやってる人はどうやって生活を回してるのかものすごく気になります。
私の場合は朝活に組み込んでしまうのが一番快適だということがわかりました。この方法でやってみた結果、第4話以降は無理なく第2話以前の制作ペースに戻すことができました。

やっていること

  • ネタ帳
    ネタ帳はもちろんあります。そもそもこの漫画の元ネタがウン十年前に描かれたネタ帳(落書き帳)にあったものです。シチュエーションやセリフ、デザインなんかは思いついたらとにかくノートに書くようにしています。
    消費されないまま残っていたキャンパスノートが結構あったのですが、お絵描きを再開したこの2年間で使い切りました。それ以降は無地のノートをネタ帳に使うようにしました。スキャンすることになったときに罫線が邪魔だからです。キャンパスノートはどこでも売ってるし、入手性はすごくいいんですが、やはり漫画を描くのには向いていないと思います。

たまる一方のネタ帳
  • メモパッドでのネーム制作
    まずアナログで1話分通しでネームを描いて、それをデジタルの下書きに起こしていく、ということをやっています。ネームを描くのに使っているのはローソンで買った無印良品のメモパッドです(第1話途中から)。
    最初(第1話冒頭)は同じく無印良品の無地ノートに描いていたんですが、このノート、キレイなので構えてしまって全然描き進まないんですよね。描き損じるとページがもったいない気がするし。一方メモパッドはわら半紙みたいで安価なので描き損じを気にせずにガシガシ描けるのでお気に入りです。小さいので持ち運びもしやすいです。
    試作のみが唯一、いきなりネーム兼下書きをGIMPのxcfに描き始めるというスタイルでした。これは当時まったく時間に余裕がなかったので仕方がなかったのです。

無印メモパッドは200枚で74円(税抜き)!

変えたこと

前半終了時の最大の反省点は制作ペースでした。後半では徹底してムダな時間を削ることを考えました。

  • 専用原稿テンプレートの導入
    たとえばベタトーンを塗るときに「他のファイルの絵を参照してスポイトで色を拾う」という操作はムダな時間を消費します。他にも別ファイルにあるパスデータを持ってくるとか、必要だけど時間のかかる操作というのは色々あります。こういう細かいムダ時間を減らすために、専用のテンプレートを用意しました。よく使う色のパレットやパスはあらかじめテンプレートに入れておくようにしました。

GIMPのテンプレートにはサイズと背景しか設定がないので
実際には雛形のxcfをコピーして使っている
  • FireAlpacaとFramePlannerを使うのをやめた
    FireAlpacaとFramePlannerは全く何も悪くありません。色々と検討した結果、GIMPを含めた3つのツールをまたいでPSDでデータを行き来させる時間的ロスが大きい、という判断になったためです。
    結局、コマ割りとフキダシ制作はGIMPのみでなんとかする、ということになりました。第2回の記事の方法に戻したわけですが、パスの使い方を覚えたことによって、以前よりも柔軟な対応ができるようになりました。

  • tategakiプラグインの使いこなし
    GIMPでセリフの写植に使っているプラグインですが、無茶苦茶高機能でこのプラグインがなければGIMPで漫画は描けなかったといってもいいくらいです。前半は基本機能でやりくりしていたのですが、後半はマニュアルを読み込んで、縁取りとか縦中横、フォントの混植とか部分的に大きさや書式を変えるとか…面倒な写植をひとつのセリフ内で実現できるように勉強してみました。セリフを分割して絵的に加工しようとすると余計な手間が増えてしまうからです。

縁取りと縦中横と混植
特に縁取り(左下)は以前は手描きで対応していた
  • Sketchドローでの制作補助
    進捗管理にGoogleドライブを使うようになったので、出先でスマホから原稿データにアクセスできるようになりました。ということはこのデータを参照して、Sketchドローでも制作ができるということです。第4話から原稿の一部をSketchドローで描くことを始めました。以前からちょこちょこ実験をしていて、Sketchドローで指描きしたものをGIMPの原稿に持ってきてもそんなに違和感がない、というところまで来たと思えたので、思い切って採用することにしたのでした。
    これはSketchドローの透過PNGデータをピクスケに投稿することなく取り出せることが判明したことが大きいです。Sketchドローで描いたものはGoogleドライブに書き戻し、あとでGIMPのレイヤーにインポートして使用します。
    第5話のトビラはこの方法を応用して、線画をSketchドローで描いて、GIMPで原稿のトビラに仕上げ、別途そのままSketchドローで塗り、さらにCanvaで加工したものを公開告知用の絵に使っています。

第4話で指描きした線画たち
1年間のお題絵指描きはムダではなかった
  • アナログの併用
    このシリーズは「素人がデジタルで漫画を描いてみる」であって「素人がフルデジタルで漫画を描いてみる」ではないので、何もウソはもうしておりません。
    私がケチなのは相変わらずです。なので、漫画制作作業には過剰に投資せず、あるもので何とかする方針です。廉価なノートPCを使っているのでモニタはお世辞にも広いとはいえません。スマホ指描き同様に、どうしてもフルデジタルで描くのが難しいものもでてくるわけです。
    将来的にアナログのネームを取り込んでそのまま原稿にしたいという思惑があって、これはもう必要な投資だ!と判断し、2024年3月ごろにヤフオクで中古のスキャナを購入しました。家族共有の複合プリンタについているスキャナはあったのですが、リビングに置いてあるため、個人的な漫画制作のために使うのはめんどうだったのです。ADFがあるのは有利なんですけどね。
    2024年を通して漫画本編では使うことがなかったのですが、すでにあとがきや次回予告などで使っています。前述のネームもアナログ作業ですよね。スキャナを入手する前はスマホのカメラで撮影していました。

制作時間は作画のクオリティに比例します。所要日数は1日に確保できた制作時間に反比例します。読み手からすると、制作時間はどうでもよくて、何日待ったかでしか判断しません。「〆切」というものも日付に対して設定されるものなので制作時間は問わないのです。
現時点での課題は「いかに所要日数を少なくできるか?」です。制作時間を短くするか、1日に確保する制作時間を増やすかのどちらかしかありません。
作業進捗を管理しはじめて、なんとなくムダが見えてきた気がするので、今後も工夫していきたいポイントです。

絵の変遷

  • 第4話
    基本的には第3話を踏襲していますが、少し考え方を変えて「線が多くなってもいいのでは?」という割り切りをするようになりました。超キレーな洗練された線より、ノリと勢いしかない線の方が自分の絵っぽい気がしたのです。だいたいそんな神がかった線を引くのは私には無理です。
    第3話のクオリティアップがわりかしうまく行ったように思えたのと、そんなに下書きを描き込まなくても、直接「インクで描く」でガリガリ描いていけばもう描けるんじゃないか?という感触があったのです。
    第4話は背景が黒主体だったということもありますが、第1話と見比べると描き込み具合が恐ろしいくらい変わってしまっています。第1話・第2話の間の抜けた感じの絵もキライではないんですけどね。
    あとはカキモジをしつこいくらいに増やしました。第3話まではちょっとカキモジを書くのが消極的だった気がします。

恐怖漫画ばりのシャドウエルフの笑みが描きたかった
2コマ目は実質捨てゴマですがこういう動きを描くのは好きです
  • 第5話
    第5話では1枚のレイヤーに線画をすべて描いてしまい、それをコマ毎に切り分けるという方法で作画してみました。これまでは描きやすそうなページやコマを気分で選んで、バラバラに仕上げていました。そうではなく、全ページを頭から通して作業するようにして、工程ごとに周回するようにしたのです。下書きで1周、線入れで2周目…といった具合です。
    また過去原稿を背景として貼り付ける、という手法を始めて使った回でもありました。

最初の線入れ工程(2周目)
同一レイヤーにまとめて描いている
といってもこれはラフか下書きじゃないのか?というレベル
ちゃんと仕上げられる自信はありませんでした
仕上げ工程(3周目)の初期
バランス調整しながら
コマ割りをしてレイヤーに分割する
武器類を描き足して仕上げ

第5話に関しては12月24日(クリスマスイブ)を一応の〆切目標にしていたので、最後の週末はちょっとバタバタしていました。間に合わなかった時の保険として「先頭から順番に周回」ルールはちょっと崩しています。
第3話以降は、絵についてはさほど変化がありません。さすがに色々と慣れてきた感がありますね。

まとめ

1年を通して振り返ってみると、間違いなく第3話が転換点になっていると思います。第3話以前・以後を自分で見比べると、同じ人間が同じツールで描いているとは思えない感じがします。もはや試作漫画に至っては、何秒正視できるか?というレベルの出来です。私以外にも「ちょっと、よくなってない?」と思ってもらえる人がいるとうれしいです。
その分、肝心の第1話のインパクトが弱くて、続きを読んでもらえないかもしれないというのはちょっと残念ではあります。
もう1年なのかまだ1年なのかはなんとも言えないですが、このあともRPGのキャラクターがレベルアップするように、経験を積んで成長していければいいなと思っています。

読んでいただいてありがとうございました。


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