【フォント考】Futuraに合う和文フォント

こんにちは、フォントかるた制作チーム2号です。
2号以外のお仕事として、グラフィックデザイン、ライティング（照らす方ではなく書く方）、お母さん、おばちゃんなどをやっています。

今回の記事はちょっと長いです。
先日、海外の製品パッケージの日本語版を作りたいと相談を受けました。
未発売のものなのでイメージ画像を作りました。（実際にはもっとビジュアルが美しいし、こんな怪しい英語は書いてありませんが）こんな感じでテキストがバーンと出ているパッケージです。

使われているのは、アバンギャルドでモダンな印象、ちょっと癖があって長文には使いづらいけどそこがまたたまらない、あのFuturaです（大好きか！）。

Futuraに合う和文フォント、と言えばすぐに思い出すのが、

筑紫AMゴシックB試作中。
フーツラに合ったゴシック体を目指している。
可笑しな翻訳英語ですが短くて和文と比較しやすいのでアップ。
Mac標準で見慣れているゴシックと違いを見ると全く別カテゴリーのゴシックの域になってる。カジュアル路線に入り込んできてるがフーツラにはそれはない悩む pic.twitter.com/xj0fCTTvbF

— 藤田重信 (@Tsukushi55) May 26, 2017

そうだそうだ、フォントワークスの藤田さんが制作の経過をずっとTweetされていました。でもこの書体はまだできてない…ﾏﾀﾞﾃﾞｽｶ…

しょうがないので、他のフォントを探します。Futuraだからゴシック体。少し曲線的で、フトコロのぎゅっと絞った形がイメージじゃないでしょうか？というわけで、まず最初に思い浮かんだのが、

筑紫アンティークSゴ

くれたけ銘石

iroha 32 kaede

この3書体。うんうん、それぞれ高級感とか可愛らしさが感じられて、Futuraっぽさがある。
※ちなみにこの3書体はフォントかるたの拡張パックでお楽しみいただけます（CM）

が、ちょっとここで問題が。この3書体は「ウエイト」と呼ばれる文字の線の太さのバリエーションがないんです。FuturaがFuturaたる所以（どんな所以や）は、あの豊富なウエイトにもあるんですよね。

ウエイトのバリエーションがあることで、商品名は太く大きく！とか、細い線で繊細な説明書きとか、メリハリのあるデザインになるわけです。そう思うと、さっきの3書体は、ちょっと残念。

んで、じゃあウエイトのある書体で、Futuraに合うものはあるかな？と探してみました。

筑紫ゴシックです。8ウエイトあります。強弱つけまくれます。でもちょっとFuturaっぽさは薄いかも。

筑紫A丸ゴシックです。こちらは6ウエイト。ちょっと丸みが多いので、可愛らしい感じが出ちゃいますが、大きな意味で（どんな）Futuraっぽさある？

そうこうしてるときに、ふと思い出しました。ウエイトと言えば…

NPGクナド｜nipponia

「クナド」です。かな書体なので、他のウエイトのあるゴシック体、例えば同じデザイナーさんが手がけた「たづがね」や、↑で試した筑紫ゴシックなどの漢字と組み合わせて使います。

ジャーン。キミに決めた！
クナドはなんと25ウエイト。欧文でもそんなウエイトは見たことないですよね。でもこのおかげで、あらゆるゴシック体の漢字に合わせることができます。
というわけで、今回の提案は「筑紫ゴシック＋クナド」で行くことにしました。
もちろん、いくつかのフォントを組み合わせるのもいいし、文字数によっては作ってしまっても良かったかもしれません。が、まあ今回はここに書ききれない制約もあったので、この結果になりました。

試したフォントたち。
今回の結論としては、
1）Futuraに合う和文書体は、曲線的なゴシック体でフトコロの狭めのもの
2）Futuraに合わせようと思ったら、ウエイトのバリエーションが必要
3）クナド素晴らしい

ちなみに、現在発売中の『＋DESIGNING vol.48』は、フォント特集。
巻頭の永原先生の「技術とタイポグラフィ」は圧巻です。筑紫書体の藤田さん、ナールやゴナの中村さん、クナドの山田さんのインタビューも読み応えあり。
2号も少しお手伝いしてますので、よかったらぜひご購入ください（宣伝か！

＋DESIGNING