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転職後すぐに適応障害になった話②

前回の話はこちら。

転職から二ヶ月半。
新しい環境に馴染めず、仕事にも苦戦する日々の中、上司から言われた「がっかり採用」。
頑張ろうという気力が打ち消され、絶望に支配された。

土日も診療している都内精神科を調べ、前日に予約を取り、意を決して診療に行った。



初めての精神科

すごく不安だったが、とても綺麗な待合室で所狭しと患者が座っていた。
初めての診察ということもあり、簡単なアンケートと1枚の紙が渡された。
紙には「木を書いてください」との記載が。
木の書き方で精神状態を測るものなのだろうと思うが、深く考えずにザッと書いて渡した。

その後しばらくすると、医師の診察の前に簡単なカウンセリングが行われた。
今の状態や経緯を、素直にカウンセラーに話した。
辛かったし、泣きそうだった。
カウンセラーは、すごく寄り添ってくれた印象だが、あの言葉を…あの環境を…自らの言葉で口にするだけで、すごく辛かった。


そして、医師との診察が始まった。
経緯はカウンセラーと共有されていたため、改めて話す必要はなかった。
新しい環境や仕事に馴染めず、
毎日「行きたくない…」という気持ちが強く起こり、出勤前の動悸や不眠気味であることを話した。
医師から「よくここまで頑張りましたね。」という言葉と共に、
「上司の発言はパワハラなので、深く考えすぎないでね。」と言われ、気持ちが和らいだ。

「睡眠前に飲む抑うつ薬と、睡眠に入りやすくするお薬を処方しておきますね。」
「それと…適応障害の診断書を出すことも可能ですが、どうしますか?」
涙ながらに「お願いします」と口にした。

「診断書を会社へ提出する必要があります。提出しに職場へ行っていただく必要がありますが、大丈夫そうですか?」

「大丈夫です。頑張ります。」

「また困ったことがあれば、◯◯さんのお力になりますから。」

肩の荷が下りるような、そんな気持ちだった。
精神科から帰宅後は、両親にも話した。
困惑した様子だったが、理解を示してくれた。

その日の夜。
早速処方された薬を飲んだが、なかなか寝付けなかった。
背伸びしたところに転職し、華々しい未来を想像していた。
新卒の就活では決して成功とは言えなかったけど、やっと大きな会社に、派遣ではなく「正社員」として入ることができた。
周りも喜んでくれたし、たくさん期待もしてくれた。
なのに…二ヶ月半で…こんなはずじゃなかった…
明日、上司になんて言おう…休職は認めないと言われたらどうしよう…
自分が担当している業務はどうしよう…

睡眠前に自問自答を繰り返し、、いつも以上に自分を責めてしまっていた。
しかし、徐々に薬が効いてきたのか、気づいたら眠りについていた。

初めての休職

「行きたくない…でも、ちゃんと話さないと…」
心が葛藤しながらも、重たい目をこすって、起き上がった。
親も心配そうにしながら、朝の支度を見守ってくれた。
診断書を持ち、意を決して出社した。

出社してリュックを置く。
室長がデスクに居るのを確認し、診断書を持って室長の元へ行った。
(※室長→部署内で一番上の役職にあたる。自分の業務と直接的な関わりは少ないが、部署のまとめ役的な立ち位置。例の発言の上司とは別人。)

「おはようございます。すいません、本日お手すきの際に、お話ししたいことがありまして」
診断書を差し出した。
「今聞くよ。どうした。」
「経験者として採用されているのにも関わらず、周りの方の期待に答えられず、プレッシャーになっていて…」涙ぐみながらに語った。
「わかった。後で時間とって、ちゃんと聞くから。とりあえず、診断書は預かっておくから。」
部署内に徐々に人が出社し始めていたこともあり、改めて時間をとってくれることに。

例の発言をした別の上司も何食わぬ顔で出社してきた。
その後、一度自分のデスクに戻り、通常の業務を始ようとした。
ソワソワが止まらなかった。
パソコンを立ち上げるも、無気力で何も情報が頭に入ってこなかった。

室長は、1時間後に別室での会議をセッティングしてくれた。
1時間を何とかやり過ごし、室長と別室に移動した。

「貢献できず、本当に申し訳ありません。」早速、涙ぐんでしまった。
「僕も、休職はしていないけど、抑うつ剤を飲みながら仕事をした経験があるから。ゆっくり休みな。」
室長は自身の経験も交えて寄り添ってくれて、真摯に話を聞いてくれた。

今の現状、経緯、別の上司に言われた一言など赤裸々に話した。
「あの人は、ズバッという人だからね。でも、わかった。辛い中話してくれて、ありがとう。
人事課とも話して、診断書通り、一ヶ月間お休みして大丈夫だから。今日も、午後休で帰っていいから。
産業医が来る日があるから、その日だけは来てもらう必要があるけど、この部署には寄らなくていいから。」

「ありがとうございます。」

涙が止まらなかった。
朝1に突然診断書を差し出したのにも関わらず、迅速に対応してくださって感謝しかなかった。

「仕事のことはあまり考えずにね。ランニングとか散歩すると、精神的に良い効果があるから。」
室長は休職中のアドバイスもくれた。

室長とのお話を終え、涙を拭いながら執務室へ戻った。
室長はすでに部署内にも、自分がお休みすることを伝えていたそうで、今抱えている業務の引き継ぎもスムーズに進んだ。

そして、あっという間に、12時。お昼休憩の時間になった。
休憩のチャイムが鳴ると室長が駆けつけてくれた。
「準備ができたら、帰りな。」

「ありがとうございます。」
デスクを軽く整理し、私物を少しカバンに入れて、パソコンの電源を切った。

「お先に失礼します。」
室長は、出口まで贈ってくれた。

「自惚じゃないけどさ。ここを転職先に選んでくれたのは、僕たちの雰囲気が良かったからだと思ってるから。」
「まずは、ゆっくり休んで。また、会える日を楽しみにしてるね。」
建物の出口まで、室長は自分のことを気にかけてくれた。
室長の優しさと温かさに、心が和らいだ。
こんな自分で申し訳ないと思いながらも、見送ってくれたことに感謝した。

「ありがとうございました。」

そして、家まで帰宅し、休職の生活が始まった。
次回、休職中の葛藤を書こうと思います。

それでは。

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