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こんな本はいかが㊲ 保科正之 徳川将軍家を支えた会津藩主 中村彰
徳川家3代目徳川家光の異母弟にして、会津藩主であった保科正之(ほしなまさゆき)。その生い立ちと徳川家光との絆、また如何に正之が聡明であったか語る一冊。
漫画・風雲児たちで知った(こんなんばっか笑)保科正之ですが、こうして改めて本で読むと本当に名君でございます。
江戸城の天守閣が現存していないのもこの方の功績。江戸の大火事があった際に天守閣も焼け落ち、その際に正之が「天守閣というものに力を注ぐよりも町家の復旧に力を入れるべき」と進言したがゆえだそうです。そして玉川の河川工事もこのお方。
家臣も、藩の石高が限られる中で、石高の少ない同じクラスの家臣を多数抱えるシステムにすることで上意下達がスムーズに行く、ひいては家臣同士の結束力も固まったといい事づくめ。
また、適切な米備蓄・開放による庶民へのスムーズな救済…などなど。
ややこしくなるので今の政治云々と言いたくはないのですが、ちっとは見習ってくれ!と言いたくなるような善政ばかりでございました。
そして、漫画・風雲児たちでも触れられていますが、この正之の民のため徳川のため、という信念は引き継がれていき、幕末では最後まで佐幕として抗うのですが、それはまた後のお話。
あとがきでは「仇敵・会津に名君がいたこと、そんな会津を討ち滅ぼしたことが都合が悪い明治政府によって意図的に存在を抹消された、名誉が回復したのは昭和になって以降だった」とありますが、こういう優秀な人物は立場に関わらず後世に残すべきじゃないのかなーと思いました。