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ゆっくり夢日記 「ウンディーネの池」2014年2月2日
朗読動画
記録
2014.02.02
私はこの軍人さんと結婚しないといけない。時代が時代なので軍人さんに気に入られるのはとても名誉なことだ。軍人さんが昼食をつくってくれる。軍人さんが消えてしまって不安になったので探している。綺麗な池の近くで五人程の少女と話している。その池には城が沈んでいる。木洩れ陽がきらきらと反射している。お城が深いブルーに染まりなんとも言えぬ美しさだ。見惚れてしまい、手を伸ばそうとする。すると軍人さんに止められた。「ここはウンディーネの池だ、手を深く入れると引き込まれてしまうよ」掌の半分以上浸けると溺れてしまうのだ。教えられた通り手を漬けすぎぬように水をすくって飲んでみる。特に感動的な味はしない。ふと、足元を見ると水溜りができている。池の水が増しているのだ。池が私を引きこもうとしているらしい。軍人さんに手を引かれ正気に戻る。軍人さんは少女達にお礼を言って厨房へ向かった。帰りながらすこし叱られた。軍人さんは本気で私を心配していて、この人は私が好きなんだなぁと思った。話を聞くと少女たちはウンディーネらしい。なるほどそれで一言も発しなかったのかと納得する。ここらへんでは飲水はウンディーネに頼んで汲んでもらうのだ。パスタはそんなに美味しくなかったけどいい話を聞いたなぁと思う。軍人さんに儀式があるからと連れて行かれる。女性は林檎と髑髏を紐でつないだものを咥えないと行けない。林檎を咥える。海辺の岩場で、教官が何か演説している。内容はよくわからないけど、戦死者への言葉らしい。何か悲しいことを思い出して泣いてしまう。
詩「ウンディーネの池」
2014.02.02
突然訪ねてきた男は、軍服に身を包んでいた。均整のとれた逞しい躰、高い鷲鼻に猛禽を思わせる鋭い眼光、頬に切り傷の跡があるが十分に端正な貌だと言えよう。
今日、私はこの軍人さんと結婚しないといけないそうだ。
軍人さんに気に入られるのはとても名誉なことだ。そういう時代なのだ。
軍人さんは私の両親と話をした後、私を自分の屋敷に連れて帰った。
今日からここが私のお家。今日からこの人が私の旦那様。
「突然のことで疲れたろう、座りなさい」
と言われふかふかの椅子に座らされた。旦那様はテーブルの向こう側に座った。彼は長い間何も話さず私を観察していた。私は彼の炯々たる光を放つ眼やゆっくりとした瞬きが怖くて、出来るだけ目を合わせないように、部屋の調度品をきょろきょろと見まわしていた。
撃ち落された雉の絵が暖炉の上に飾ってある、植物を模したランプがほこりを被っている、テーブルの上の深紅の薔薇はよく見ると造花だった。
ゴーーーン、柱時計が正午を告げる。旦那様が立ち上がる、どうやら昼食をつくってくれるそうだ。
「ここで待っていなさい」
と言われる。旦那様は厨房へと行ってしまった。針の音だけが部屋に響く。
この家には、旦那様以外いないのかしら?暫く待っても旦那様は戻ってこない。
不安になり、部屋を出て長い廊下を抜けると中庭があった。梔子の香りがする。白い小道を奥へ行くと綺麗な池があり、旦那様がいらっしゃった。
彼は池のほとりで五人の少女と何かを話している。旦那様の傍に駆け寄った。水面が木洩れ陽をきらきらと反射している。ふと池の中を覗くと、西洋風のお城が沈んでいた。城の煉瓦が深いブルーに染まりなんとも言えぬ美しさだ。思わず、手を伸ばした。すると直ぐに旦那様に止められた。
「ここはウンディーネの池だ、手を深く入れると引き込まれてしまうよ」
話を聞くに、掌の半分以上水に浸けると溺れてしまうそうだ。しかし、半分以下なら水を分けてくれるらしい。教えられた通り手を漬けすぎぬように水をすくって飲んでみる。澄んだ水だ、どんなに清涼なことだろうと期待して飲むと特に感動的な味はしなかった。
足元を見ると水溜りができている。池の水が増しているのだ。
池が私を引きこもうとしているらしい。私はそれはそれで良いと思った。旦那様が急に手を引き強く抱きしめた。頭の芯が痺れているようで旦那様の声が遠く聞こえる。池に魅入られているのだと彼は言う。旦那様は少女達に深くお礼を言う。すると少女たちははにかんでおじぎした。
水の入った桶を軽々と持ち上げ、もう片方の手で私の手を強く握って旦那様は歩き出した。
梔子の小道を歩きながらすこし叱られた。
旦那様は本気で私を心配していて、少し感情的で今までにないくらい沢山喋った。私はまだうわの空で何度も何度も池の方を振り返った。でも、ぼんやりとこの人は私が好きなんだなぁと感じた。
厨房に着くと小さな高椅子に私を座らせ、旦那様は鍋で湯を沸かし始めた。
旦那様が言うには少女たちがウンディーネらしい。ここらへんでは飲水はウンディーネに頼んで汲んでもらうものだそうだ。そして部外者が彼女たちの声を聞くと池の底に行きたくなってしまうらしい。彼女らは悪いものでは無いがそういう性質のものなのだ恨まないで欲しいと、そして、君はまだ近づかないで欲しいと言い。今日ここへ来たばかりだからね、と付け足した。
なるほど、それで彼女達は最後一言も言葉を発しなかったのかと納得する。
一掴みのパスタを湯で、旦那様はナポリタンを作ってくれた。
ナポリタンはそんなに美味しくなかったけれど、素敵な話を聞けた気がしたから満足だった。
旦那様はまだよくわからない人だけど悪い人ではない気がした。
暫くたったある日、旦那様に儀式があるからと海辺に連れて行かれる。
旦那様は少し悲しそうな顔をしている。
儀式で女性は林檎と髑髏を紐でつないだものを咥えないといけない。林檎の方を軽く齧る。髑髏が歩く旅ゆらゆら揺れてカラカラと乾いた音がした。
岩場では、とっても偉い軍人さんが何か演説している。
内容はよくわからないけど、戦死者への言葉らしい。
何か悲しいことを思い出して涙が零れてきた。
この景色は見たことがある。何時の事だったかは思い出せない。