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眠り姫問題/Sleeping Beauty problem 覚書 : (同一性問題としての主観確率/Subjective probability as an identity problem) JPN&ENG







まとめ:


 この思考実験では、本来1/2のはずの公平なコインで””が出る確率が、ある条件つきの睡眠後には1/3に思えるという不思議があります。
 この実験で行われる睡眠の条件は特殊ではありますが、それ自体は無矛盾であり十分に可能なものです。その為この矛盾は私たちの持つ”確率”への一般的な理解と定義が不十分だからと考えるのが自然に思われます。

 本文では確率的事象を構成する要素を3つに分けて考えます。
一つ目は確率的事象が起こる対象である”確率的構造体とそれの持つ固有確率”です。眠り姫問題で言えば公正なコインがこれに当たり、このコインは1/2で表が出るという固有確率を持っていると言えます。しかしこれだけでは確率的な事象は成立しません。

 2つ目は、”行為主体とその公平性”です。これは確率的構造体はなんらかの行為主体がそれを確率的状態にしなければ、確率的事象は起こらないことを意味します。つまりコインは誰かが投げなければならないということ、そしてその誰かは公正な場合も不公正な場合もあるということです。

 3つ目は”観察者とその公正性”です。確率という概念を”不明な対象の起こりやすさや確からしさを科学すること”とするならば、観察は極めて重要な行為です。観察はある程度主観的なものですが、そもそも確率が”不明”を対象にしており、何を不明とするかは主観的要素を含まざるを得ません。確率は科学的な行為でありながらその内部に主観的要素を持っている、客観と主観の入り混じる科学と言えます。
 その上で、不明の対象が確定的な事象となるのは観察によってのみです。確率は結果の観察という行為によって初めて事象として成立すると言えます。そしてこの観察者もまた公正な場合と不公正な場合があり得ます。

 このように確率的事象は、”確率的構造体とその固有確率”、”行為主体とその公平性”、”観察者とその公平性”の三つの要素で構成されると考えれば、眠り姫問題の公正なコインという確率的構造体で表が出る固有確率は常に変わらず1/2であると考えることが出来ます。
 そして眠り姫にとってそのコインで表が出た確率が1/3に思えるということは、それは行為主体(実験者)、あるいは観察者(眠り姫本人)の公正性が変化したからとなります。

 結論から言えば、この思考実験ではその睡眠と目覚めの特殊な条件によって眠り姫の観察者としての公正性が変化しています。そのため眠り姫の返答としては『公正なコインで表が出る固有確率は常に1/2ですが、特殊な条件下で目覚めた今の私にとっては同様のコインで表が出る確率は1/3です。それは観察者としての私の公正性が実験の条件によって失われたからです。』というのが妥当に思われます。

 『公正なコイン=1/2の確率で表が出る』と短絡的に考えてしまうと、明らかに客観的に見て1/2の確率で表が出るはずの事象に対する、観察者の主観確率が1/3になることが不思議に思えますが、以上のように確率的事象の構成要素を分けて考えれば何も矛盾は存在しません。
 ちなみに眠り姫にとってコインで表が出る確率というのは、眠り姫の主観確率というのが正確な言い方です。それを踏まえて確率的事象の関係を整理すると下記の様に言うことが出来ます。

(確率的構造体の固有確率)×(行為主体とその公正性)× (観察者とその公正性)= (観察者の主観確率)

 特殊な条件の睡眠と目覚めで眠り姫の観察者としての公正性が変化することがこの問題のポイントですが、この眠り姫の公正性の問題突き詰めて考えていくと、やがて眠り姫の同一性の問題に行き着きます。
 それは眠り姫がどの程度、睡眠の前後で自身の同一性に信憑性を持てるかが、そのまま眠り姫にとってコイン投げの結果が表であることに対する主観確率の信憑性につながるからです。
 眠り姫問題は”確率”と”同一性”の緊密な関係性を一つの思考実験で表しており、それもこの問題の面白さの一つと言えます。


0 : 要約


本文の流れとしては、まず最初に確率的事象を構成する要素とその関係性を以下の3つに分けます。


A:確率的構造体の固有確率
B:行為主体の公正性
C:観察者の公正性

A(確率的構造体の固有確率) × B(行為主体の公正性) × C(観察者の公正性) = P(観察者にとっての主観確率)

次にこれを眠り姫問題の場合に当てはめます。

・眠り姫問題の場合、確率的構造体は公正なコインの為、その表の出る固有確率は”1/2”とします。
・問題の設定で特別な言及がない為、実験の主催者は公正な行為主体として影響を与えないものとして、”1"とします。
・そして、問題となる確率は、眠り姫が目覚めた後の彼女のコインに対する主観確率とします。
その確率を1/2の場合と、1/3の場合で考えたとき、その違いは下記のように観察者としての眠り姫の持つ公正性の違いとなります。


”表”の主観確率が1/2とする場合:
A × B × C = P

1/2 × 1 × C = 1/2
C = 1/2 ÷ 1/2 ÷ 1
C = 1

”表”の主観確率が1/3とする場合:
1/2 × 1 × C = 1/3
C = 1/3 ÷ 1/2 ÷ 1
C = 2/3

 睡眠前、実験の内容が眠り姫に説明された段階で、眠り姫がコインの確率に対して公正性があるとするなら、問題は目覚めた後の眠り姫がその公正性を維持しているか否かとなります。

 そしてそれは眠り姫が睡眠の前後でコインの確率に対する同一性を維持しているかと言い換えることができます。

 確率と同一性は共に”確からしさの度合い”を扱う学問であり、特にこの思考実験において問われる問題は眠り姫の主観確率である為、彼女が彼女であることの確からしさは、この問題の要点になることを示すのが本文の目的です。


1 : 問題


実験の参加者である眠り姫は、実験の内容を全て説明され、一日経過後、眠り薬を投与され日曜日に眠りにつきます。
眠り姫が眠っている間に実験の主催者により一度だけ公正なコインが投げられ、そのコインの結果により下記のいずれかが行われます。

case H: コインが表であった場合。眠り姫は月曜日に目覚めさせられ、質問されたのち、再び薬を投与され眠りにつく。

case T: コインが裏であった場合。眠り姫は月曜日に目覚めさせられ、質問されたのち、再び薬を投与され眠りにつく。そして翌日の火曜日にも目覚めさせられ、質問されたのち、再び薬を投与され眠りにつく。

この時投与される眠り薬には、一日の記憶を完全に忘却する記憶消去効果があり、そして次に目覚めさせられるまで絶対に目覚めないという作用があるものとします。その結果として、 眠り姫が目覚めて質問を受ける際、その日が月曜日か火曜日か、この実験ですでに目覚めたことがあるかどうかは決して知ることができないものとなります。

眠り姫が起こされた時にされる質問とは以下のものです。

「あなたにとってコインが表だった確率は幾らか?」
"What is your credence now for the proposition that the coin landed heads?"

コインの結果に関わらず、水曜日になれば眠り姫は目覚めさせられ、水曜日は質問を行わず、実験はそこで終了します。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%A0%E3%82%8A%E5%A7%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C"

 初めに確認しておく必要があるのは、この思考実験が何を問題としているかですが、それは眠り姫が目覚めた状態でされる「あなたにとってコインが表だった確率は幾らか」という質問に対して、彼女がどう答えるのが妥当か?、ということで良いだろうと思います。
 この思考実験は、公正なコイン投げという確率的事象に関する、眠り姫の主観的な確率とその変化を問題にしています。



2:確率的事象


 一言に確率的事象と言ってもその意味が曖昧ですので、まずは確率的事象一般が成立する要件を考えてみます。


 単純な確率的事象の例として思いつくものとしては、サイコロを投げると言うものがあります。例えば一つの公正なサイコロを用意し、それを無作為に投げ、その結果が”1”であったとします。これを確立的事象とするのは問題ないことだと思いますので、この一連の流れの中に何があるか見ていきたいと思います。

(1): まず最初に必要なものとして考えられるのは、確率的な構造を持つ物体です。サイコロ投げの例で言えばそのサイコロであり、眠り姫問題で言えばコインです。より相応しい言葉があるのかもしれませんが、ここではこれを確率的構造体と呼んでおきます。

 これは確率事象が起こる対象です。競馬レースの馬や、あるいは天気や誰かの行動や意見などもこれにあたりますし、確率問題の設定によって何であれ確率的構造体と見做す事ができます。
 確率的構造体はその構造に由来する固有の確率を持つと考えられます。公正な六面サイコロであれば1~6までの数字が1/6ずつの確率を持っていますし、公正なコインの場合では1/2の確率で表か裏です。
 そしてもちろんその固有確率が不明な場合や、不完全な情報しか提供されていない場合もあります。また、歪んだコインや細工のされたサイコロなど、その構造体が公正でなく、偏性(偏った性質)を持つ場合もあります。
 また本文においては、この確率的構造体の固有確率という概念には地球の重力や空気といった当たり前の前提としての環境因子も含めています。宇宙空間や別次元空間など劇的に環境が変化する場合にはそれを個別に扱う必要が出てくると思います。

 眠り姫の思考実験では単に公正なコインと設定されているので、このコインを1/2の確率で表が出る固有確率を持った確率的構造体と見なすことができます。

(2): 次にその事象の行為者、つまりサイコロを投げる行為の主体が必要となります。眠り姫の実験の場合であれば実験の主催者がこれに当たります。

確率的構造体はその構造に由来する固有確率を持ちますが、その構造体が一定の状態に安定していては確率的事象は起こりません。シンプルに言えば机の上にただ置いてある静止したサイコロは確率的事象とは言えないということです。
 確率的構造体はそれを非安定的状態に置いて初めてその固有確率が意味を持ちます。確率的状態というのは、サイコロの場合であればそれを投げてそれがどの面にも定まっていない不安定の状態のことです。これはサイコロは誰かが降らなければ確率的事象とならないという当然のことを言っているに過ぎません。
 しかしこのことが意味するのは、天気の様に常に不安定で、一定の定まらないものを確率的構造体とする場合には、それを確率的状態に置く必要はありません。その様な場合には行為主体は必要なく、ただ公正あるいは無作為な存在として扱えば良いだろうと思います。

この行為主体も場合によっては公正ではない場合があります。ギャンブルでイカサマをする人などが分かりやすい例です。眠り姫の思考実験では主催者はコイン投げに関して公正なものとして扱われていますので、それを考慮する必要はありません。また天気の確率のように明確な行為主体が存在しない場合もありますが、そのような場合は単に公正かつ無作為なものとしてそれを扱えば良いだろうと思います。

(3): 最後にその事象の観察者です。例えに挙げたサイコロ投げで言えば出た”1”の数字を観察した者をいいます。本題の思考実験の場合は眠り姫自身がこれにあたります。
 確率事象の観察者というのは、おそらく行為主体よりも重要なものです。
例えば中身の見えない箱の中でサイコロを振った場合、その結果は物理的には確定しているはずであり、行為主体も存在します。しかしまだそれを誰も観察していないのであれば、その確率的事象は未決定なものと見なさねばなりません。確率的な事象は誰かがその結果を観察して初めて成立すると言えます。

 この観察者も”確率的構造体”や”行為主体”と同様に不公正な場合がありえます。観察者は一見するとただ結果を受け入れるだけの公正な存在にも思えますが必ずしもそうではありません。試しに次のような極端な状況を考えてみます。

1万人の人々を集めて100人ずつのグループを100個作ります。
そして各グループにくじ引きを引いてもらいます。
くじ引きの中身は当たりが一つとハズレが99個入っています。
その結果、100人の当たりくじを引いた人が生まれることになります。
次にその当たりを引いた100人だけを集めたグループを作ります。
しかし彼らにはくじ引きの結果は教えません。
ですが実験前の説明で、くじの当たりを引いた人だけが、くじ引き後に再度集められることを皆知っているとします。

再度集めたグループの中から無作為で一人を選び、その人が先ほど引いたくじ引きの当たりが出る確率はいくつだったかと尋ねればそれは1/100だと答えるはずです。ですが、あなたが当たりを引いた確率は?と尋ねれば彼らは現在の状況から考えて100%と答えます。
 彼らは皆1/100で当たりが出るくじ引きという確率的事象の公正な観察者でした。ですが現在の彼らは公正な観察者ではありません。それは彼らがくじ引きで当たりを引いた人だけを特別に抽出して作った特殊な条件を持つグループだからです。このような場合には、彼らは1/100のくじ引きという確率的事象に対して不公正な観察者であると言えます。

 このような不公正な観察者は、実験の主催者と被験者の間に情報の非対称性があれば簡単に設定できます。

 ここまでに述べた”確率的構造体”、”行為主体”、そして”観察者”があって初めて確率的事象は成立すると考えられます。

 しかしこれはその観察者にとっての確率であり、主観的な確率です。それはもし異なる信念や情報、能力や公正性(偏性)をもつ複数の観察者がいる場合には、共通の確率的構造体と行為主体による事象であっても複数の異なる確率(主観)が成立するということを意味します。
 その例として、何万人もの観客が見ている中で行われる競馬はその構造をよく表していると言えるかもしれません。皆が一つのレースという確率的構造体を見ており、その行為主体としてはレースの主催者がいます。そして、その観察者である何万人の観客はそれぞれに異なる”確からしさ”でどの馬が一位になるかの確率を信じているからです。

 このように確率的事象を捉えると、眠り姫問題の設定としての”公正なコイン”は確率的構造体としての固有確率が1/2なのであって、誰が投げて、誰が観察したとしてもそれが常に1/2であり続けると言う意味では無いと考えることができます。


3:公正性


 この”確率的構造体”、”行為主体”、そして”観察者”の関係を大雑把に単純化して表すと下記の様になります。

確率的構造体の固有確率 × 行為主体の公正性 × 観察者の公正性 = 観察者にとっての主観確率

最終的な主観確率が0%~100%に収まるようにする必要はありますが、基本的な考え方はこれでいいように思います。
例えばカジノの賭け事で1/6の固有確率で1が出るサイコロを、ある一定のイカサマをするディーラーが投げ、それに賭ける客は公正であり、その結果として1000回投げられたサイコロの内の1/3が”1”だったとする場合は下記の様に表せます。

1/6 × ? × 1 = 1/3
? = 1/3 ÷1/6 ÷1
? = 2

これはディーラーが”1”の目を2倍の確率で出るような偏性を持っていたという意味になります。

これを眠り姫問題に当てはめるとコインで表が出た確率は下記のようになります。


眠り姫にとっての”表”の主観確率が1/2とする場合:


*実験の設定によりコインは公正であるため、この確率的構造体の固有確率で表が出る確率は1/2です。
*コインを投げる実験の主催者は公正と見做せます。そのため確率的構造体の固有確率に対しなんの影響も与えることがないと考えられるので、”1”とします。
*眠り姫の観察者としての公正性はわからないので”?”としておきます。
*眠り姫の主観確率は1/2と仮定します。

(1/2) × (1) × (?) = 1/2
? = 1/2 ÷1/2 ÷1
? = 1


この”? = 1”は眠り姫が観察者として公正であり、偏性を持たないことを意味します。その為、眠り姫にとってコインで表が出る確率が1/2である為には、眠り姫の公正性が”1”であること、すなわち公正である必要があります。

眠り姫にとって”表”の主観確率が1/3とする場合:

*こちらも同様の理由からこの確率的構造体の固有確率で表が出る確率は1/2です。
*コインを投げる実験の主催者は公正と見做せるため 1とします。
*眠り姫の観察者としての公正性はわからないので”?”としておきます。
*眠り姫の主観確率は1/3と仮定します。


(1/2) x (1) x (?) = 1/3
? = 1/3 ÷ 1/2 ÷ 1
? = 2/3


 この”? = 2/3”は観察者としての眠り姫がコインの確率に対しての公正性を持たず、偏った偏性を持つことを意味します。眠り姫にとってのコインの確率が1/3である為には眠り姫に公正性がないこと、別の言い方で言えば偏性を持っている必要があることになります。



もしこの二つの式が妥当なら、眠り姫にとってコインが表である事の主観確率が1/2なのか1/3なのかは、眠り姫自身の観察者としての公正性次第となります。



 眠り姫のコインに対する公正性について考える為に、まず睡眠前の眠り姫の状態を見てみます。

まず初めに公正なコインは1/2の確率の可能な状態を2つ持ちます。
しかし眠り姫は記憶消去作用を持つ薬を飲むことになっているため、目覚めに際して月曜と火曜が区別できません。その結果実験で目覚めた時に眠り姫の可能な状態は倍の4つに増えることになり、それぞれの確率は1/4となります。そのため実験前に説明を受けた段階では、眠り姫には4つの可能な状態が同様な確からしさで存在していました。

表で月曜日=1/4 目覚める
表で火曜日=1/4 目覚めない
裏で月曜日=1/4 目覚める
裏で火曜日=1/4 目覚める

 これは眠り姫の可能な状態を網羅しており、本来は1/2の確率が2つだったものが、1/4の確率が4つある状態に変わってはいますが、表の確率も裏の確率もそれぞれ1/4+1/4=2/4=1/2と、確からしさの配分に関しては変化がなく公正であると言えるものです。そのため睡眠前の眠り姫は公正性があると考える事ができます。


 …

 そして眠り姫は薬によって眠りにつき、そして目覚めます。
実験で定められたもう一つの条件から、目覚めた眠り姫にとっての可能な状態は下記のものになります。その条件とはコインが表だった火曜日には目覚めないというものです。

表で月曜日=1/3
表で火曜日=0
裏で月曜日=1/3
裏で火曜日=1/3

 目覚めた状態の眠り姫は、睡眠前に彼女が持っていた4つの可能な状態の内の一つが実験の主催者によって意図的に操作されて消されています。そのような特殊な条件付きの状態にあるのが目覚めた状態の眠り姫です。
目覚めた眠り姫の可能な状態は3つに変化し、その内の2つはコインが裏、一つが表です。眠り姫の与えられたこの状態は、公正なコインと曜日決定の組み合わせが本来持つ可能な状態の配分から言えば公正なものではなく、特殊な条件付きの状態に変化していると言えます。

 このように見ると、この思考実験の設定はすべて眠り姫の観察者としての公正性を変化させる為に用意されているかのようにも思えます。

a: 記憶消去薬によって、眠り姫が月曜日と火曜日の目覚めを区別できないようにし、本来は1/2の二択だった確率を、1/4の四択に変化させ、可能な状態を増やす。

b:眠り薬によって眠り姫の意識の連続性を遮断し、目覚めに際してそれら4つの確率を同様に確からしいものにする。

c:本来確率的に存在する選択肢の一つを無くすことで、眠り姫の可能な状態の確率分布を操作する。

 これらの結果として、睡眠前後で眠り姫にとっての可能な状態は変化します。目覚めた眠り姫は実験の条件によって公正性を失い、偏性を持ったと言うのが妥当に思えます。

 では次に、眠り姫の主観確率が1/2であると主張する立場を考えてみます。この主張の正当性を示すためには、睡眠の前後で眠り姫の公正性が維持されていることを示さなければなりません。

 観察者としての公正性が維持されているということは、確率的構造体の固有確率と、行為主体である実験主催者の公正性に対して、観察者がいずれかにも偏った条件や影響を与えないということを意味します。
 実験前の眠り姫は公正性を持っていたと言えるため、このことは”眠り姫は睡眠の前後でコインの確率に対する同一性を維持しているか?”と言い換えることができます。


4:同一性


 眠り姫がコインの確率の公正な観察者であるとする為には、眠り姫が睡眠による意識の連続性の遮断を経て、薬による部分的な記憶消去の可能性を経て、さらには条件付きの目覚めという選別を経た後にもコインの確率に対しての公正性を維持し、その確率的な同一性を維持していることを示さねばなりません。

 ここでなぜ同一性という言葉を使うかというと、おそらくこれがこの眠り姫問題の最も重要な点の一つと考えられるからです。

 同一性を扱う哲学では、意識の連続性、記憶の連続性、そして身体の連続性は主要な論点です。
 この眠り姫問題は一般的には確率の問題として知られているものですが、被験者である眠り姫が実験で課される条件である睡眠による意識の連続性の断絶と、記憶消去の可能性はまるで同一性を問う思考実験として考えられたものと思えるほど同一性問題と近接の状況を扱っています。
また、同一性と確率は共に”程度問題”、あるいは濃度や確からしさを扱う学問であることも共通しています。
 確からしさの程度を厳密に扱うことを目的とする確率の思考実験の中で、その実験の登場人物の同一性が問題となるのはある意味で当然のことであり、特にその人物の主観的な確率が問題となる場合には、その人物の同一性が問われるのは必然的とも言えます。

 同一性が絶対的なものではなく、度合いや濃度の問題であることは、バートランド・ラッセルが”心の分析”(The Analysis of Mind”)という著作で提案した”世界五分前仮説”を使って考えることができます。

 この仮説の主旨は、”世界が五分前にそっくりそのままの形で、すべての非実在の過去を住民が「覚えていた」状態で突然出現した、という仮説に論理的不可能性はまったくない。”というものです。
 これは私たちが現在の状態でRPGゲームやマインクラフトの世界、映画のマトリックスシリーズの様に突然生成された存在である可能性を否定できないということであり、それはすなわち記憶の中の過去の自分と今現在の自覚的な自分が連続性や同一性を持たない可能性があるということです。

 この仮説はその論理的不可能性を示すことができないと同時に、それを証明することもできないものです。
 この仮説の意義は、人間の認識能力では何らかの存在を絶対的に認識することはできないと言う主張です。これは仮に絶対的なものが存在したとしても、人間にはその絶対性を認識することができないという人間の認識能力の限界と言えます。
 これは古くから知られた問題で、古代中国の思想家である荘子が夢の中で胡蝶になり、自分が胡蝶か、胡蝶が自分か区別がつかなくなったという斉物論の故事”胡蝶の夢”で示されていることも同様の主旨だろうと思います。

 このことからも、私たちの感じている自己の同一性は決して絶対的なものではなく、十分に信じることのできる強さ、度合い、濃度を持つ可変の信念であると考えることができます。

 一方で、同一性を存在すると見做す立場が不可能なわけではありません。しかしその為にはある程度の前提が必要となります。

 例えば、私たちは現実世界を直接認識している様に感じますが実はそうではなく、感覚、学習、コミュニケーション等の知覚を通して得た様々な外部の情報から、自身の脳内に仮想世界を構築し、その世界を知覚認識しているという考え方です。

 私たちは自分自身の内部の仮想世界を構成するすべての情報を外部から取得することは不可能です。そのため得られた情報をもとにして、不完全な部分を優位と見込まれる想像と仮定で無意識的に補完してこの仮想世界を構築していると考えられます。
 それの感覚的にわかりやすい例としてはプレグナンツの法則としても知られる、”水玉コラ”と呼ばれる画像が、実際には視覚情報を削っているのにも関わらず人の注意を惹き、魅力的になることが挙げられるかもしれません。                 

 この例はある程度意識的なものですが、人間は無意識的に自らの世界観をそのように補完して構築していると考える助けにはなるように思います。そしてそれは常に外部情報を取得し続けており、リアルタイムでアップデートを続ける仮想世界と考えることができます。

 この場合、同一性の概念は私たちがこの仮想世界で想像と仮定で自ら補完している仮想世界の部分であると考えることができます。
 この考え方で言えば、私たちの内部の仮想世界においては同一性は存在すると見做す事ができます。その根拠は、そもそも私たちの認識する世界の全てが外部情報をもとに脳内に構築された仮想の世界であるのだから、その世界においては、目の前にあるコップと同様の確からしさで、同一性も存在するという立場が可能となります。
 この場合の仮想世界は、映画マトリックスなどのSF作品に出てくるような人類全体を包むようなものではなく、個人の内部に皆がそれぞれ持っている認識世界と言えるもので、世界の人口を70億人とすれば70億の異なる仮想世界があると言う意味になります。

 ですがこの考え方でも、世界そのものが仮想であることが前提となるので、前段で述べた人間の認識能力の限界を克服したというわけではありません。

 この視点は、確率の問題で客観的な確率空間を定義し、確率を客観的に議論可能な対象として扱うこととも似ているかもしれません。

   眠り姫問題の本質が、眠り姫が睡眠の前後で自らの同一性、すなわちコインの確率に対する公正性を維持できるか否かであるということは、”世界五分前仮説”や”胡蝶の夢”と近い問題を共有していることを意味します。

 この観点から改めて眠り姫問題を見直すと、今度は眠り姫が実験で課される条件は最初から彼女の同一性の限界を問う為に設定されているかのようにも見えてきます。

 同一性の問題おいて意識の連続性と記憶の連続性というのは重要な要素ですが、眠り姫問題では眠り姫がこの二つを失う事が実験の条件として設定されています。(余談になりますが、登場人物を眠り姫ではなくてロボットに変え、目覚めの際に別の身体で目覚める設定にすれば、意識、記憶、身体の連続性が途切れるので、問題の本質がもっと明確化するかもしれません。)

 通常の思考実験であれば、特別な言及がなければ実験に登場する人物がその同一性を終始保つことは基本前提であり、それが問題になることはありません。ですがなぜか眠り姫問題ではそれを無視しづらいのです。

 その理由の一つは既に述べたもので繰り返しになりますが、確率が厳密な”程度問題”を扱う学問であり、同一性もまた度合いを扱う問題でその濃度や確からしさの問題である点。そして眠り姫問題で問われているのが眠り姫の主観確率である点です。

 主観確率が問題となる以上、彼女が彼女であることの確からしさの度合いは無視することのできない問題となります。

そしてもう一つの理由はこの問題が、眠り姫が自らの同一性を疑うことを促す構造を持っているためです。
 眠り姫問題は二つの確率の複合で構成されています。一つはコインの二択、もう一つは曜日決定の二択です。第一の確率であるコイン投げは言ってみれば表と裏という空間的な変数を持つ確率です。一方、第二の確率である曜日決定は月曜日か火曜日という時間的な変数を持ちます。

HM:コインが表で月曜日
TM:コインが裏で月曜日
TT:コインが裏で火曜日

 眠り姫は目覚めた時に自分に与えられたこの三つ状況を俯瞰して網羅的に比較考慮するために、自らの視点の変更を促されます。

 コインの表裏を空間、月曜日か火曜日を時間の選択と考えると、この二つの確率は異なる次元を持つために、これらの複合確率を俯瞰するためにはもう一つ高い次元の視点を必要とします。

 これは私たちが眠り姫の立場になって考える時にも自然と行っている視点の変更です。このことにより眠り姫は睡眠の前後で自身の視点、立場、位置、が変わった認識と感覚を持つことになります。



 仮にこの実験が第一確率としてコインの表裏、第二確率としては曜日選択の代わりにくじ引きで決まる、赤い玉か白い玉の二択だったバージョンを考えてみます。

 この場合のすべての可能な状態は、(表、赤い玉)(表、白い玉)(裏、赤い玉)(裏、白い玉)の四つの組み合わせになります。

 そして実験者はコインの結果が表で、くじ引きの結果で白い玉が出た場合には眠り姫を起こさずに実験を終了することとし、目覚めは全て月曜日に行われるとします。

 この実験の設定はすべてが月曜日に行われるため、眠り姫が記憶消去を行う意味も必要もありません。

 眠り姫が眠り薬で寝ている間に、コイン投げとくじ引きの試行は実験者によって公正に行われます。そして実験者は眠り姫を目覚めさせます。この状況で目覚めた眠り姫に可能な状態は下記の3つのいずれかです。

(表、赤い玉)(裏、赤い玉)(裏、白い玉)

そして実験者が尋ねる内容は、オリジナルと同様の”あなたにとってコインが表だった確率は幾らか?”というものです。

 この実験もオリジナルの眠り姫問題と同じく二つの独立した1/2の確率の複合で構成されています。
 しかしこのバージョンでは、コインとくじ引きはどちらも空間的な変数を持つ為、眠り姫は目覚めの後、これらの根元事象を網羅して認識するために視点の次元を変更する必要がありません。
 その為、この状況では眠り姫はオリジナルの問題と比べれば比較的自らの同一性を信じやすく、その結果としてコインが表だった確率も1/2と考えやすいように思えます。

 こう考えると眠り姫問題は眠り姫の同一性の限界を試すために、二つの確率の次元を変え、その複合確率を俯瞰で認識するために行う視点の変更を促しているかのように思えます。そしてその結果としてこの思考実験を思考する私たちも、自らの同一性を疑うよう促されます。


 コイン投げとくじ引きのバージョンでは、眠り姫は比較的その同一性および公正性を信じやすいと述べましたが、厳密なことを言えばこのバージョンでも、眠り姫は睡眠による意識の連続性の断絶を経て、自己の同一性を絶対的には保ててはいません。それは先に上げた”世界五分前仮説”の主張と同様です。
 ですがその度合いは違います。自己同一性と公正性の感覚的な確からしさの度合いが違うのです。そのことが眠り姫にとってのコインの確率の信憑性の度合いに影響を与えるといえます。

   一般的には生まれてから現在まで、自分は連続的な同一性を維持していると考える人が大半だと思いますが、それは”世界五分前仮説”の主張を考慮すれば絶対的なものではありません。
 より丁寧に言えば、私たちは自分が生まれてから今まで同一性を失っていないと十分に信じることのできる度合いで自己の同一性という信念を持っている、となるはずです。
 私たちは日々モノを忘れ、睡眠をとり、身体の細胞は入れ替わり、常に記憶や意識や身体の連続性は失われています。しかし私たちは自らの記憶、身体、そして周囲の環境などを参照して、自らの記憶の中の同一性に、現在の自覚的な意識の同一性を接続します。
 その意味では同一性は私たちの内面や意識にあるのではなく、外部に存在していると言え、この見方では同一性をジグソーパズルのピースや、ブロックチェーンのブロックのようなものと見做せるかもしれません。

 いずれにしろ、私たちの同一性は、それが十分に確からしいと思える程度の濃度に支えられた、継ぎ接ぎで出来ていると言えます。


 眠り姫が実験の睡眠の前後で自らの同一性を十分に信じることができない場合、眠り姫が確からしいと見做せるのは、目の前にある、(HM)、(TM)、(TT)の三つの可能な状態だけです。
 それ以外の情報を十分に信じれないということは、それら以外に信頼して比較検討をする情報が無いということであり、結果それらを同様に確からしいと見做さなければならないことを意味します。

 もちろん眠り姫は実験の設定でコインが公正であることを知っており、それを疑ってもいません。

 ですが今彼女が本質的に問いているのは、自らの同一性です。今の私はこの実験に参加した記憶している通りの私と同一で公正な存在か?睡眠の前に持っていた私の同一性とコインの確率に対する公正性は維持されているか?これが眠り姫の本質的な問いです。

 また、実験者が睡眠によって彼女の意識の連続性を断絶し、部分的な記憶の消去の可能性によって彼女の記憶の確からしさの程度を低下させた理由もそこにあるのでは無いでしょうか。実験者が本質的にこの実験で問いていることも、やはり眠り姫の自己同一性と言えます。
 もし眠り姫がそれを十分に信じることができるなら眠り姫にとってのコインの確率は1/2であり、できないならば1/3となります。

 このように考えると、眠り姫の公正性は実験の設定によって失われていると考える方が説得力があるように思えます。

 その為、眠り姫の答えとしては、”公正なコインの固有確率は1/2のままですが、私にとってのコインが表だった確率は1/3です。その理由は私のコインの確率に対する公正性が失われたからです。”というのが妥当に思えます。

23.04.15th







Sleeping Beauty Problem - (subjective probability as identity problem) -ENG ver.


Summary:


In this thought experiment, there is a strange phenomenon where the probability of getting "Heads" with a fair coin, which should be 1/2, seems to be 1/3 after a certain condition of sleep. While the sleep condition used in this experiment is unique, it is itself consistent and entirely possible. Therefore, it seems natural to consider that this contradiction arises from our general understanding and definition of "probability" being insufficient.

In this text, the elements that make up a probabilistic event are divided into three parts. The first is the "probabilistic structure and its intrinsic probability," which is the subject where the probabilistic event occurs. In the Sleeping Beauty problem, this is the fair coin, which can be said to have an intrinsic probability of 1/2 of showing heads. However, this alone is not enough to constitute a probabilistic event.

The second element is the "actor and their fairness," which means that some sort of actor must make the probabilistic structure into a probabilistic state, unless the structure is always in probabilistic state otherwise probabilistic event will not occur. In other words, someone must toss the coin, and that someone can be fair or unfair.

The third element is the "observer and their fairness," which is extremely important in the concept of probability as "scientifically examining the likelihood and certainty of unknown subjects." Observation is somewhat subjective, but probability targets the "unknown," so it is inevitable that subjective elements will be included. Probability is a science that mixes objectivity and subjectivity.
 Moreover, an unknown subject becomes a deterministic event only through observation. It can be said that probability becomes an event only when the result is observed. And this observer can also be fair or unfair.

 If we consider probabilistic events to be composed of three elements - "probabilistic structure and its inherent probability", "actor and their fairness", and "observer and their fairness" - then we can say that the inherent probability of the fair coin in the Sleeping Beauty problem always remains to be 1/2.
 So if Sleeping Beauty perceives the probability of the coin landing heads to be 1/3, it's then because fairness of either the actor (experimenter) or the observer (Sleeping Beauty herself) has changed.

 In conclusion, in this thought experiment, Sleeping Beauty's fairness as an observer has changed due to the conditions of her sleep and wakefulness.
Therefore, a reasonable response from Sleeping Beauty would be, "The inherent probability of a fair coin landing heads is always 1/2, but for me, who woke up under these special conditions, the probability of a similar coin landing heads is 1/3. That's because my fairness as an observer was compromised by the conditions of the experiment.”

 If we think simplistically that "a fair coin always has a 1/2 probability of showing heads," it may seem strange that the subjective probability of an observer for an event that objectively should have a 1/2 chance of showing heads becomes 1/3. However, there is no contradiction if we separate the constituent elements of the probabilistic event and consider them separately.

 By the way, the probability of a coin showing heads in this problem is accurately described as Sleeping Beauty's subjective probability. With that in mind, the probabilistic relationship can be organized as follows:

(Probability structure's inherent probability) × (Actor and their fairness) × (Observer and their fairness) = (Observer's subjective probability)

 The point of this problem was the changes in her fairness as an observer caused by the special condition of sleep and awakening.
However, if we delve deeper into the fairness of Sleeping Beauty, we will eventually arrive at the issue of her identity.
This is because how much she can have credibility in her own identity before and after sleep is directly related to the credibility of her subjective probability that the result of a coin toss will be heads.

 The Sleeping Beauty problem is a thought experiment that encourages us to reconsider how we think about probability. It also illustrates the strong connection between "probability" and "identity", which is another intriguing aspect of this problem.


0: abstract


This text discusses the Sleeping Beauty problem as a problem of self-identity of Sleeping Beauty.

Firstly divides the elements that constitute a probabilistic event into three:

A:  inherent probability of a probabilistic structure
B:  fairness of the actor
C:  fairness of the observer.

A (inherent probability of a probabilistic structure) x B (fairness of the actor) x C (fairness of the observer) = P (subjective probability for the observer)


Then, apply this to the sleeping beauty problem.

・ In the case of the Sleeping Beauty problem, the probabilistic structure is a fair coin, so the inherent probability of the coin landing on heads is assumed to be 1/2.
・ Since there is no special mention in the problem setup, the organizer of the experiment assumes as a fair agent who does not influence, assigning the value of "1".
・ The probability in question is Sleeping Beauty’s subjective probability of the coin after she wakes up.
When considering the probability in the case of 1/2 and 1/3, the difference is the fairness of Sleeping Beauty as the observer.

If we assume the subjective probability of "Heads" is 1/2, then:

A × B × C = P

1/2 × 1 × C = 1/2
C = 1/2 ÷ 1/2 ÷ 1
C = 1

If we assume the subjective probability of "Heads" is 1/3, then:

1/2 × 1 × C = 1/3
C = 1/3 ÷ 1/2 ÷ 1
C = 2/3

Before the sleep, if Sleeping Beauty had fairness in terms of the probability of the coin, then question becomes whether she maintains that fairness after waking up.
This can be rephrased as whether Sleeping Beauty maintains the same identity before and after the sleep.

 Probability and identity are both fields that deal with the degree of certainty. The purpose of this text is to point out the certainty of Sleeping Beauty's identity is crucial to the problem, as it is her subjective probability that is being questioned.


1: Problem


Problem Overview.

Sleeping Beauty, a participant in the experiment, is fully informed of the experiment and is administered a sleeping drug after one day has passed, falling asleep on Sunday.
While Sleeping Beauty is asleep, a fair coin is tossed once by the experiment's organizer, and one of the following actions is taken depending on the result:

Case H: If the coin lands heads, Sleeping Beauty is awakened on Monday, questioned, administered the drug again, and falls back asleep.

Case T: If the coin lands tails, Sleeping Beauty is awakened on Monday, questioned, administered the drug again, and then awakened again on Tuesday, questioned, administered the drug again, and falls back asleep.

The sleeping drug administered in this experiment has an effect of completely erasing memories of the day and causing the subject to remain asleep until awakened again.
As a result, when Sleeping Beauty is awakened to be questioned, she can never know whether it is Monday or Tuesday or whether she has already been awakened as part of this experiment.
The question asked of Sleeping Beauty when she is awakened is as follows:

"What is your credence now for the proposition that the coin landed heads?"

Regardless of the coin's outcome, Sleeping Beauty will be awakened on Wednesday, no question will be asked, and the experiment will end.

Source: https://en.wikipedia.org/wiki/Sleeping_Beauty_problem

To begin with, it is necessary to clarify what this thought experiment is addressing, which is what is the appropriate answer for Sleeping Beauty to give when she asked the question "What is your credence now for the proposition that the coin landed heads?" upon waking up. This thought experiment concerns the subjective probability and its changes of Sleeping Beauty in response to the probabilistic event of a fair coin toss.



2: Probabilistic events


The term "probabilistic event" can be ambiguous, so let's first consider the requirements for probabilistic events in general.

As an example of a simple probabilistic event, consider rolling a die. Suppose we have a fair die and roll it randomly, and the result is "1". It is appropriate to call this a probabilistic event, so let's examine what is involved in this sequence of events.

(1): The first thing required is an object with a probabilistic structure. In the case of rolling a die, this is the die itself, and in the Sleeping Beauty problem, it is the coin. There may be more appropriate terms for this, but here we will call it a “probabilistic structure”.

 This is the subject in which a probabilistic event occurs. Anything can be considered as a probabilistic structure depending on the setting of a probability problem, such as horses in a horse race, weather, someone's actions or opinions etc.

 Probabilistic structures are believed to have inherent probabilities that derive from its structure. For example, a fair six-sided die has a probability of 1/6 for each number from 1 to 6, and a fair coin has a 1/2 probability of heads or tails.
 Of course, there may be cases where the inherent probability of the probabilistic structure is unknown or only incomplete information is provided. And also, there may be cases where the probabilistic structure is not fair and has a bias. Such as a biased coin or a rigged dice.

In this text, the concept of inherent probability of a probabilistic structure includes environmental factors like the gravity and air of the Earth as common assumptions. In cases where the environment dramatically changes, such as in space or in a different dimension, it is necessary to treat them separately.
 In the Sleeping Beauty thought experiment, the coin is simply set to be fair, so it can be considered as a probabilistic structure with a inherent probability of 1/2 for heads.

(2): Next, the actor of the probabilistic event, in other words, the subject who throws the dice, is necessary. In the case of Sleeping Beauty experiment, the organizer of the experiment fulfills this role.

A probabilistic structure has an inherent probability derived from its structure, but it does not give rise to a probabilistic event unless it is in an unstable state. To put it simply, a die that is just sitting on a desk cannot be considered a probabilistic event. A probabilistic state refers to an unstable state, such as when a die is thrown and the face is not yet determined. This is just stating the obvious fact that a die does not become a probabilistic event until someone rolls it.

However, this actor may not always be fair, as in the case of a person who cheats in gambling.
In the Sleeping Beauty thought experiment, the organizer is treated as fair for the coin toss, so there is no need to take this into consideration.

(3): Finally, let's talk about the observer of the event. In the example of rolling a dice, the observer would be the one who observes the number "1" that was rolled. In the case of the thought experiment at hand, Sleeping Beauty herself serves as the observer.

 The observer of a probabilistic event is likely more important than the actor of the event. Because, if you roll a dice in a box where you can't see inside, the outcome should be physically determined, and there is an actor involved. However, if no one has observed the result yet, the probabilistic event should be considered undetermined. A probabilistic event only comes into existence when someone observes the result.
This observer can also be unfair. The observer may appear to be a fair entity that it simply accepts the result, but this is not always the case. Let's consider an extreme situation:

We gather 10,000 people and make 100 groups of 100 people each. Then, make each group draw lots, which contain one winning ticket and 99 losing ones. As a result, 100 people will have won the lottery.
Next, we create a new group only from the winners but do not inform them of the lottery results. However, we explain to them beforehand that only the lottery winners will be gathered again after the drawing.

If we randomly select one person from the newly gathered group and ask them what the probability was of the winning ticket being drawn, they should answer 1/100.
 However, if we ask them how much they trust that they were the winner, given the current situation, they will answer 100%.
 They were all impartial observers of the probabilistic event of drawing the lottery. but now, they are not impartial observers anymore, due to the special conditions of being selected.
In such cases, they can be considered biased or unfair observers of the probabilistic event. Such unfair observers can be easily created if there is an asymmetry of information.

The concept of a "probabilistic structure", an "actor", and an "observer" must all be present for a probabilistic event to occur.
However, this is a subjective probability for the observer. If there are multiple observers with different beliefs, information, abilities, or biases, even if they share a common probabilistic structure and an actor, different probabilities (subjective) can arise.

An example of this can be seen in horse racing, which is often watched by thousands of audiences as observers. Everyone sees the same probabilistic structure of the race, and the actor of the event is the race organizer. However, each of the thousands of observers believes in a different probability of which horse will come in first, based on their individual "likelihood."

Viewing probabilistic events in this way, we can understand that the "fair coin" in the Sleeping Beauty problem, as a probabilistic structure, has an inherent probability of 1/2 to be Heads. This does not mean that it will always remain 1/2 regardless of who flips it or observes it.


3: Fairness


To simplify the relationship between the "probabilistic structure" "actor" and "observer" we can express it as follows:

A (Probabilistic structure's inherent probability) x B (Actor's fairness) x C (Observer’s fairness) = P (Subjective probability for the observer)

While it is necessary to ensure that the final subjective probability falls within 0-100%, I think this basic idea is adequate. For example, if a fair gambler bets on a casino dice game with a dice with 1/6 inherent probability of rolling “1”, but the dealer cheats in a particular unknown way of throws the dice, and as a result, one-third of the 1000 dice thrown come up as "1," that can be expressed as follows:

A x B x C = P
1/6 x ? x 1 = 1/3
? = 1/3 ÷ 1/6 ÷ 1
? = 2

This means that the dealer had a bias that made the number "1" come up twice as often.

Let's apply this to the Sleeping Beauty Problem.

  • In the Sleeping Beauty Problem, the probabilistic structure is a fair coin, so the inherent probability of obtaining heads is “1/2”. A = 1/2.

  • Since there is no special mention in the problem setup, we assume that the experimenter is an impartial actor who does not exert any influence, so assign a value of "1" for this. B=1

  • We don't know Sleeping Beauty's fairness as an observer, so we leave that as "?".

  • The probability at issue is the subjective probability that Sleeping Beauty assigns to the coin landed Heads based on the information she receives upon waking up, with respect to the coin toss that was performed while she was sleeping.

We consider the difference between when this probability is 1/2 and when it is 1/3, which corresponds to the difference in impartiality that Sleeping Beauty has as an observer as below.

In the case Sleeping Beauty's subjective probability of getting Heads is “P = 1/2":

A × B × C = P

(1/2) × (1) × (?) = 1/2
? = 1/2 ÷1/2 ÷1
? = 1

"? = 1" means that Sleeping Beauty is fair as an observer and has no bias. Therefore, for Sleeping Beauty's subjective probability of getting Heads from the coin to be 1/2, she must be a fair observer, meaning that she needs to have a fairness value of 1.

In the case Sleeping Beauty's subjective probability of getting Heads is “P = 1/3”:

  • The inherent probability of getting Heads from the coin remains 1/2 for the same reasons as before. A = 1/2

  • The experimenter is considered to be fair, so we assign a value of 1. B = 1.

  • We don't know Sleeping Beauty's fairness as an observer, so we leave that as "?".

(1/2) x (1) x (?) = 1/3
? = 1/3 ÷ 1/2 ÷ 1
? = 2/3

"? = 2/3" means that Sleeping Beauty has a biased perspective and is not fair as an observer of the probability of the coin. In other words, for Sleeping Beauty to have a subjective probability of 1/3 of getting Heads from the coin, she must have a bias and lack fairness as an observer.

If this is valid, then whether the subjective probability of Sleeping Beauty to see Heads is 1/2 or 1/3 is depends on her fairness as an observer.

To consider the fairness of Sleeping Beauty as an observer of the coin flip, let's first examine Sleeping Beauty's state before going to sleep.

Firstly, a fair coin has two possible states with a probability of 1/2 each. However, Sleeping Beauty is administered a memory erasing drug, so she cannot distinguish between Monday and Tuesday upon waking up. As a result, the number of possible states for Sleeping Beauty increases to four states when she wakes up during the experiment, with each state having a probability of 1/4.
Thus, before the experiment is conducted, there were four possible states for Sleeping Beauty with equal plausibility.

The possible states for Sleeping Beauty are as follows:

Heads and Monday (wakes up) = 1/4
Heads and Tuesday (does not wake up) = 1/4
Tails and Monday (wakes up) = 1/4
Tails and Tuesday (wakes up) = 1/4

This covers all of her possible states, and although there are now four states with a probability of 1/4 instead of two states with a probability of 1/2, the plausibility distribution remains unchanged for both heads and tails, with each having a plausibility of 1/2. Therefore, we can say that Sleeping Beauty before sleeping is fair.

(Incidentally, if Sleeping Beauty does not receive a memory-erasing drug, she can distinguish between Monday and Tuesday, so she can consider the probability of the coin being heads as 1/2 upon waking up for the first time, and 1/1 for tails upon waking up for the second time, which may indicate a complete fairness in accordance with the inherent probabilities of the probabilistic structure. It is unclear whether it is necessary to separate having four possible states with a probability of 1/4 and having two possible states with a probability of 1/2 when discussing fairness.)

And then Sleeping Beauty falls asleep by taking the drug and wakes up again.
According to the other condition stipulated in the experiment, which is if the coin lands heads she will not wake up on Tuesday, the possible states for Sleeping Beauty upon waking up are now as follows:

Heads on Monday = 1/3
Heads on Tuesday = 0
Tails on Monday = 1/3
Tails on Tuesday = 1/3

The Sleeping Beauty upon awakening, realizes that one of the four original possibilities has been lost, leaving her with three possible scenarios. This new conditioned state leaves her with only three possible states and two of which are tails and one is heads.
These states given to Sleeping Beauty is not fair in terms of the possible distribution of states that would be expected from a fair coin and the day determination combination. Therefore, it can be considered a specially conditioned state.

Looking at the problem this way, it seems the whole setup of this experiment is designed to alter the impartiality of the Sleeping Beauty as an observer of the probability of the coin.

a: By administering a memory erasing drug, Sleeping Beauty cannot distinguish between waking up on Monday or Tuesday, changing the original 1/2 probability of a binary choice to a 1/4 probability of a four-way choice, increasing her possible states.

b: By interrupting the continuity of Sleeping Beauty's consciousness with a sleeping drug, those four probabilities become equally plausible upon waking.

c: By removing one of the states that should exist probabilistically, the probability distribution of Sleeping Beauty's possible states is manipulated.

As a result of these manipulations, Sleeping Beauty's possible states change before and after sleep. It seems reasonable to say that upon waking, Sleeping Beauty loses impartiality and gains bias due to the experimental conditions.

Next, let's consider the position that claims Sleeping Beauty's subjective probability to be 1/2.

To demonstrate the legitimacy of this claim, it is necessary to show that Sleeping Beauty's impartiality is maintained before and after sleep.
Maintaining impartiality as an observer means that the observer does not introduce any biased conditions or influences towards either the inherent probability structure or the impartiality of the actor of the event.
Since Sleeping Beauty had impartiality before the experiment, this can be rephrased as "Does Sleeping Beauty maintain the identity regarding the coin's probability before and after sleep?”


4: Identity



In order to consider Sleeping Beauty as a fair observer of the coin flip probability, it must be shown that even after the disruption of consciousness continuity caused by the sleep, the possibility of partial memory erasure through the drugs, and the selective awakening based on conditions, Sleeping Beauty maintains her fairness and maintains its probabilistic identity.

The reason for using the term "identity" is because it might be one of the most important points of the Sleeping Beauty problem.

 In philosophy that deals with identity, continuity of consciousness, memory, and body are major points of contention.

 The Sleeping Beauty problem is commonly thought of as a probability problem. However, due to the interruption of consciousness caused by sleeping and the potential for memory loss during the experiment, it also raises questions about identity that are closely related to the problem of identity.

Identity and probability are fields of study that share a common focus on issues of degree, such as intensity, concentration, and reliability.

In probability thought experiments, the identity of the characters involved typically does not become a significant issue. However, in the case of the Sleeping Beauty problem, it may be valid to consider the characters' identities as relevant due to the unique circumstances of the experiment, such as the potential for memory erasure and interruptions in consciousness. 

We can use Bertrand Russell's "Five minute hypothesis", proposed in his book "The Analysis of Mind," to consider the idea that identity is not an absolute concept but rather a matter of degree or intensity.

“There is no logical impossibility in the hypothesis that the world sprang into being five minutes ago, exactly as it then was, with a population that ‘remembered’ a wholly unreal past. There is no logically necessary connection between events at different times; therefore nothing that is happening now or will happen in the future can disprove the hypothesis that the world began five minutes ago. -The Analysis of Mind (1921)
: Bertrand Russell"

This implies the possibility that the past self residing in memory and the presently conscious self may not possess continuity or identity.

While this hypothesis cannot prove or disprove its logical impossibility, its significance lies in the claim that human cognitive abilities cannot absolutely recognize any existence. This can be regarded as the limitation of human cognition, which suggests that even if absolute things existed, humans would be unable to recognize their absoluteness.

This is a well-known problem, which is also reflected in the story of "The Butterfly Dream" from the Chinese philosopher Zhuangzi, in which the protagonist, Zhuang Zhou, dreams of being a butterfly and is unable to distinguish whether he is Zhuang Zhou who has transformed into a butterfly or a butterfly that has transformed into Zhuang Zhou.

From this, we can consider our sense of self-identity as a variable belief with a strength, degree, and intensity that can be sufficiently trusted, rather than an absolute one.


On the other hand, it is not impossible to view identity as existing. However, some assumptions are necessary for this to be the case.

For example, although we feel like we are directly perceiving the physical world, we actually construct a virtual world inside our brain through the perception of various external information such as sensation, learning, and communication, and perceive and recognize that world accordingly.

 But we cannot acquire all the information that constitutes our internal virtual world from the outside. Therefore, it is reasonable to think that we unconsciously construct this virtual world by supplementing the incomplete parts with imagined and assumed information that is expected to be likely based on the obtained information.

An example that is perceptually easy to understand is the “Mizutama collage" also known as the Pregnant’s Law. Even though it is actually cutting out visual information, it can attract and become more attractive to people's attention.
While this example is somewhat conscious, it can help to think that humans unconsciously supplement and construct their worldview in this way. And it can be thought of as a virtual world that constantly receives external information and continues to update in real-time.

 In this case, the concept of identity can be considered as a part of the virtual world that we construct through our imagination and assumptions. Therefore, within our internal virtual world, identity can be seen to exist. The basis for this is that everything we perceive in the world is a virtual construct within our brains based on external information, so within that world, just like the cup in front of us, identity can also exist with a similar degree of certainty.

 In this context, the virtual world is not something that envelops all of humanity like in science fiction movies like The Matrix, but rather something that each individual possesses within their own cognition, meaning that with a world population of 7 billion, there are 7 billion different virtual worlds.
However, even with this perspective, the assumption that the world itself is virtual remains a prerequisite, and it does not overcome the limits of human cognitive ability discussed earlier.

*This viewpoint is similar to defining objective probability spaces for probabilistic problems and treating probability as an objectively discussable subject.

The Sleeping Beauty problem revolves around whether she maintains her identity and a sense of fairness regarding the probability of the coin toss, both before and after she falls asleep. This concept is similar to the "five-minute hypothesis" and the "butterfly dream," which also explore the issue of identity.

Looking at the Sleeping Beauty problem from this perspective, it appears that the experimental conditions were created to challenge the limits of her identity right from the beginning.

While continuity of consciousness and memory are important elements in the issue of identity, in the Sleeping Beauty problem, she is required to lose both of these as a condition of the experiment. (As a side note, if we were to replace the character of Sleeping Beauty with a robot and set it up so that the robot wakes up in a different body, this may further clarify the essence of the problem regarding continuity of consciousness, memory, and physicality.)

In typical thought experiments, it is generally assumed that the characters involved maintain their identity throughout the experiment, which is usually not an issue. However, for some reason, it is difficult to ignore this issue in the Sleeping Beauty problem.

One reason for this is, as previously mentioned, because probability is a precise "degree problem" and identity is also a problem of degree, dealing with the issue of intensity or reliability. Furthermore, what is being questioned in the problem is Sleeping Beauty's subjective probability.
Since subjective probability is the issue at hand, the reliability of Sleeping Beauty's identity cannot be ignored.

 Another reason is that this problem has a structure that causes Sleeping Beauty to question her own identity.

The Sleeping Beauty problem consists of two combined probabilities: a binary choice between heads and tails for a coin toss, and a binary choice for the determination of the day of the week.
The first probability, the coin toss, involves a spatial variable of heads or tails. The second probability, the determination of the day of the week, involves a temporal variable of Monday or Tuesday. These are the elementary events that remain upon Sleeping Beauty's awakening.

HM: Heads & Monday
TM: Tails & Monday
TT: Tails & Tuesday

When Sleeping Beauty wakes up and considers these three possible scenarios, she is prompted to comprehensively compare and consider them from different perspectives.

considering the heads/tails are spatial and Monday/Tuesday choices as temporal dimensions, these two probabilities have different dimensions.

Therefore, to consider the combined probabilities of the elementary events, Sleeping Beauty needs to adopt a higher-dimensional perspective, resulting in a shift in her perception, position, and point of view before and after sleep.

This change of perspective is also happens when we put ourselves in Sleeping Beauty's position to think about this problem.

Let's consider similar but different version of this experiment. This setup is also combination of two probabilities. The first probability is the coin flip, but instead of choosing a day of the week, the second probability is a choice between a red ball and a white ball drawn by lot.

In this case, elementary events are combinations of four outcomes:

HR (heads : red ball),
HW (heads : white ball)
TR (tails : red ball)
TW (tails : white ball)

The experimenter will end the experiment without waking Sleeping Beauty if the coin comes up heads and the white ball is drawn.
Sleeping Beauty is always awakened on Monday.
Since all the awaking in this experiment take place on Monday, there is no need for Sleeping Beauty to perform any memory erasure.

While Sleeping Beauty is under the influence of the sleeping drug, the coin flip and ball drawing are conducted fairly by the experimenter. The experimenter then awakens Sleeping Beauty. After awakening, Sleeping Beauty can be in one of three possible states:

HR (heads : red ball),
TR (tails : red ball)
TW (tails : white ball)

The experimenter then asks the same question as in the original problem: "What is the probability that the coin landed heads for you?"

This experiment, like the original Sleeping Beauty problem, is composed of two independent probabilities of 1/2 each. However, in this version, both the coin flip and ball drawing are spatial variables, so Sleeping Beauty does not need to change the dimension of her viewpoint to compare these elementary events after waking up.

In this situation, Sleeping Beauty may be more likely to believe in her identity compared to the original problem, and as a result, she may also find it easier to consider the probability of the coin landing heads as 1/2 from her perspective.

Considering this, the Sleeping Beauty problem seems to prompt a shift in perspective to observe the combined probability from a higher-dimensional viewpoint, in order to test the limits of Sleeping Beauty's identity. As a result, contemplating this thought experiment also prompts us to question our own identity.

In the versions involving coin flips and lottery, it was mentioned that Sleeping Beauty is relatively susceptible to believing in her own identity and fairness.

However, strictly speaking, even in these versions, Sleeping Beauty cannot absolutely maintain her own identity after the discontinuity of consciousness caused by the sleep. This is similar to the assertion of the "Five Minutes Hypothesis" mentioned earlier.

but the degree of this effect is different. The degree of sensory certainty of self-identity and fairness is different. This can be said to have an influence on the degree of credibility of the coin's probability for Sleeping Beauty.

The notion of a continuous self-identity from birth until the present is commonly accepted, yet it is impossible to verify due to the "five-minute hypothesis." Therefore, it is more accurate to acknowledge that our belief in self-identity is based on the trust that we have not lost it since birth.

Every day, we experience forgetfulness, sleep, and cellular replacement, which results in the loss of continuity in our memory, consciousness, and physicality. Nevertheless, we rely on our memories, bodies, and surroundings to connect our present conscious awareness with the identity we hold in our memories.

In that sense, identity is not within us or our consciousness, but rather exists externally. Identity can be thought of as an amalgamation of external factors, like the pieces of a jigsaw puzzle or blocks in a blockchain. Our identity is made up of patches that are held together with enough strength to instill trust in us.

If Sleeping Beauty cannot fully believe continuity of her identity before and after the sleep, the only things she can consider as certain are the three possible states. They are (HM), (TM), and (TT).
Not being able to fully trust any other information means there is no other information to rely on for comparison, and as a result, she must consider them equally likely.

Of course, Sleeping Beauty knows that the coin is fair from the experimental setup, and does not even doubt it.
What she is fundamentally questioning is her own fairness and identity.

"Am I the same person who participated in the experiment as I remember it? "
"Do I have the same identity before the sleep, and is my fairness in relation to the coin's probability maintained?"

And it seems, the reason why the experimenter disrupted the continuity of Sleeping Beauty's consciousness through sleep and potentially decreased the reliability of her memory through partial memory erasure is also related to her self-identity.

In other words, the experimenter is essentially asking about the self-identity of Sleeping Beauty. If Sleeping Beauty can fully believe it, then the probability of the coin is 1/2 for her, and if not, it is 1/3. As a result, what the experimenter learns from Sleeping Beauty's response is the degree of her belief in her own identity.…

Based on this interpretation of the problem, it is more compelling to conclude that Sleeping Beauty's fairness as an observer is either compromised or at least questionable due to the conditions of the experiment.

Therefore, a reasonable answer for Sleeping Beauty would be,

"The inherent probability of a fair coin always remains to be 1/2, but the probability of the coin landed heads from my perspective is 1/3. Because my fairness in relation to the coin's probability is lost or at least in doubt by the conditions of the experiment.”

23.04.22nd YI




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