トゥルーラブストーリー3【PS2 全タイトルレビュー】#173
概要
『トゥルーラブストーリー3』は、2001年4月5日にエンターブレインから発売された恋愛シミュレーションゲームで、PlayStation 2用ソフトとしてシリーズ初のPS2進出作となりました。この作品は中学校を舞台に、卒業までの1年間を描く新たな試みを含んでいます。
新しい要素と特徴
舞台を中学校へ変更
前作までの高校生活から中学3年生という設定に変更。思春期特有の初々しさや不安定さが描かれ、キャラクターも年相応の幼さや可愛らしさが表現されています。1年間のプレイ期間
ゲーム期間がこれまでの1か月から1年間に延長され、物語全体の奥行きが広がりました。一方で、イベント発生率や密度の管理が求められるため、計画的な進行が必要です。「がんばる日」システム
一週間の中で「がんばる日」を選択して行動を決定します。このシステムにより、プレイヤーは行動を慎重に選びつつ、効率的な攻略を目指すことが求められます。新ステータス「やる気度」
やる気度が低下するとイベント発生率が下がるため、適度に休息を取りながら進める必要があります。これにより、現実的な日常生活感が加味されています。下校会話モードの強化
ヒロインだけでなく、友人や姉などが途中参加する「3人での下校会話」が新たに導入。独特なやり取りが楽しめる一方、攻略に影響を及ぼす場面もあります。
キャラクターデザインと音楽
キャラクターデザイン:
松田浩二が引き続き担当。彼の独特なタッチが中学生キャラクターたちの若々しさを見事に表現しています。
音楽:
岩垂徳行によるBGMが作品を彩り、シリーズ特有の切なさや温かみを表現。
オープニングテーマ「My Hometown」やエンディングテーマ「School Book」は、ゲームの雰囲気にぴったりとマッチしており、ファンからの評価も高いです。
改善点と問題点
改善点:
中学校生活を題材にした新鮮なストーリー設定。
PS2の性能を活かした美しいグラフィックとキャラクター表現。
下校会話や「がんばる日」システムなど、新たな遊びの幅が広がった。
問題点:
イベントの発生頻度や選択肢の少なさによる「間延び感」。
キャラクターごとの会話パターンが少なく、後半で繰り返しが多くなる。
プレイヤーの告白後にゲームが卒業式まで進行してしまい、未消化イベントが見られなくなる場合がある。
評価と影響
評価:
中学校を舞台にした斬新な設定や、キャラクターの個性が評価される一方、イベントの密度不足やテンポの悪さが指摘されました。特に、ゲーム期間の長さが全体のテンポを削ぐ要因となり、売上はシリーズ最低を記録。
その後の影響:
2003年に発売された『True Love Story Summer Days, and yet...』では、高校生活を舞台にした従来のシステムへと回帰。本作はシリーズの中でも異色の立ち位置を占める作品として語り継がれています。
総評
『トゥルーラブストーリー3』は、中学生の青春と恋愛を描いた新しい挑戦を試みた作品です。システムや舞台設定の変更は新鮮で、キャラクターとの交流やイベントも魅力的。しかし、全体のテンポや密度の問題が足を引っ張り、好みが分かれる結果となりました。それでも、初恋の甘酸っぱさや中学生らしい無邪気な日常を楽しみたいプレイヤーにはおすすめの一本です。